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 温暖化と北上する昆虫
 今年の暑い夏も、ようやく記憶の一つとして忘れ去られようとしている。しかし、記録を調べてみると、温暖化は確実に進んでいるデータばかりが残っている。  

 各地で真夏日の記録を更新した。9月に入って、サンマがなかなかとれない日もあった。富士山頂の永久凍土が減少したり、サンゴの生育場所が千葉県館山沖まで広がった。そして昆虫たちは、アメリカシロヒトリが減少、ツマグロヒョウモンは北上した。

 調べてみると他の蝶にも北上が観察された。どんな蝶が北上していたのだろう?一方で、気になる外来種が日本で広がっている報告もある。そして、次は人を殺すほどの毒をもった、昆虫の上陸も心配されている。

Butterfly_Ant
 
 亜熱帯産・ナガサキアゲハ
 亜熱帯が原産で、国内では関東以南が生息域とされるチョウの「ナガサキアゲハ」を、福島県いわき市の写真愛好家丹野稔さん(57)が同市内で見つけ、撮影に成功した。

 研究者は温暖化で北上した可能性に注目している。

 丹野さんは9月18日、虫の撮影のために足を運んだ市内の山間部で4、5匹群れているのを発見。「珍しいチョウだ」と関心を持ち、望遠レンズで撮影した。

 羽を広げた際の大きさは15センチほど。日本環境動物昆虫学会員が写真を見て、ナガサキアゲハのオスと分かった。

 ナガサキアゲハのオスは、青みを帯びた黒い羽が特徴。国内の生息域はかつては九州だったが、戦後北上し、ここ数年は茨城県辺りが北限だった。

 チョウに詳しい東京大学総合研究博物館の矢後勝也特任研究員は「温暖化で東北での発見は時間の問題と思っていた。さなぎでの越冬が確認されれば、1年を通しての生息域が北上したと言える」と話している。(2010年9月26日  読売新聞)

 本州初!ツマベニチョウ
 国内では沖縄県や九州南部にのみ生息する「ツマベニチョウ」が、浜松市で採集された。

 本州での採集は初めてとみられ、専門家は、台風で運ばれたか、温暖化で分布域が北上している可能性を指摘している。

 ツマベニチョウはシロチョウ科の一種で、体長約12センチで、羽を開くと幅約10センチ。白地の羽の先端はオレンジ色。「幸せを呼ぶチョウ」の異名もある。瞬時に10メートルほど移動するため捕獲が難しいという。

 同市中区富塚町の越川耕作さん(73)が9月18日、同市西区の佐鳴湖西岸で野鳥の観察中に見つけ、翌日、吸水中を狙って捕獲。市動物園昆虫館管理者の山下孝道さん(64)が9月20日、標本にして同館に保存した。(2010年9月26日  読売新聞)

 南米産・アルゼンチンアリ
 南米原産のアルゼンチンアリは、物資や人の移動に伴い、世界各国に分布を広げてきた。日本では、平成5年に広島県廿日市市で初めて生息が確認され、全国各地で新たな生息地域が確認されている。山口県内においては、平成13年に岩国市及び柳井市、平成20年に宇部市、平成21年には光市で生息が確認されている。

 アルゼンチンアリ自体には毒があるわけではない。しかし、家屋内に侵入すれば、不快な感じを受けるし、大量のアリが発生すれば、日常生活に不便をきたすこともある。また、普通のアリと同様に人を咬むこともある。

 アルゼンチンアリは、アブラムシやカイガラムシなどが分泌する甘露を好むため、これらを外敵から保護する。その結果、昆虫による農作物への被害を、アルゼンチンアリが助長する可能性がある。

 アルゼンチンアリは、競争力・繁殖力が非常に高く、侵入した地域にいるアリを攻撃し、駆逐することもあり、地域の生態系に影響を及ぼすことが懸念されている。

 殺人アリ?ファイアーアント
 そして、現在上陸が心配されているのが、殺人アリの一種ファイアーアント(アカヒアリ)。アルカロイド系の毒を持っており、刺されると急性のアレルギー症状を起こし、死亡することもある。近年、生息圏を拡大しつつあり、アメリカではアナフィラキシーによる2件の死亡例が報告され社会問題となっている。

 本来、アメリカ合州国南部から中米にかけて分布していた種であるが、人為的に分布を拡大し、現在では全世界に分布が見られる。欧米では fire ants の一種として良く知られており、本種に噛まれると激しい痛みを覚え時には一週間以上も腫れが引かない。

 日本周辺ではフィリピンや台湾で分布が確認されている。日本では沖縄本島の米軍基地周辺、、伊江島のレーダー基地および硫黄島で得られており、いずれも米軍の輸送物資に伴って国内に運び込まれたものと推定される。硫黄島では完全に定着しており、かつ優占種となっている。

 日本本土でも、2005年12月、福岡市の博多港に入った貨物船のコンテナから毒を持つファイアーアントが見つかっていたことが、環境省の調べで分かった。日本では沖縄や硫黄島以外でアカカミアリが確認されたのは初めて。同省は輸入業者に注意を呼び掛けた。

 現在はまだ、広がっている報告はなされていないが、このまま温暖化が続けば、再上陸・拡大は時間の問題とされている。

 

参考HP Wikipedia「アルゼンチンアリ」「アリ」「ファイヤーアント」「ナガサキアゲハ」「ツマベニチョウ」・山口県特定外来生物「アルゼンチンアリについて 

温暖化に追われる生き物たち―生物多様性からの視点
堂本 暁子,西田 治文,小堀 洋美,及川 武久,岩槻 邦男,リチャード・B. プリマック,森田 恒幸
築地書館

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生物多様性民間参画ガイドライン
環境省自然環境局 編
成山堂書店

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