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 骨からわかった最古の石器
 2010年8月、今から約340万年前、人類最古の石器使用跡が発見された。発見者は米カリフォルニア科学アカデミーなどの国際調査隊で、ウシとヤギほどの大きさの動物の骨の断片2個を発掘した。石器自体は見つかっていないが、骨に付いた跡から、石器で肉をこそぎ取ったり、たたき割って骨髄を吸っていたりしたとみられる。

 石器が見つかったアワシュ渓谷(Awash Valley)の発掘現場では、2000年、同じ調査隊が約330万年前の人類の祖先アウストラロピテクス・アファレンシス(ルーシーで有名)のほぼ完全な骨格化石を発掘している。女児のものと断定され、「セラム(Selam)」と名付けられた。セラムは石片を持ち歩いていて、家族が動物を解体するのを手伝っていた可能性がある。(2010年8月11日 AFP提供)

Tyrannosaurus-rex

 一方、米モンタナ州で発掘された約6500万年前(白亜紀後期)のティラノサウルスの足の骨の化石に、牙による傷跡があることが発見された。

 発見したのは、米エール大のニコラス・ロングリッチ博士らの研究チーム。博士らは2年前、ティラノサウルスの足の骨の化石に、牙による傷跡があるのに気付いた。全米の博物館や大学が所蔵する化石を調べ直すと、同州で発掘された計4個の骨に同様の牙でできた傷が見つかった。

 当時、この地域に大型の肉食獣はティラノサウルスしかいなかったため、ティラノサウルスが共食いしていたと結論した。

 骨からわかったT・レックスの共食い              
 暴君ティラノサウルス・レックス(T・レックス)は無敵と考えられてきた。ただし、最新の研究から、身内は唯一の例外だった可能性が明らかになった。

 アメリカ、イェール大学の古生物学者ニック・ロングリッチ氏が、モンタナ州で発見された恐竜の化石を調査し、なんらかの理由で大きく削られた跡をいくつも見つけた。

「この跡は大きな肉食動物に付けられたものに違いない。化石の恐竜たちが死んだ6500万年前の北アメリカには、これだけの打撃を与えられるほど体が大きく、歯が強力だったのはT・レックスしかいない」とロングリッチ氏は話す。

 T・レックスによる傷は特に驚く話ではないが、調査を進めると恐ろしい事実がわかった。傷跡が残る骨の1つがT・レックスのものだったのだ。これは共食いの明白な証拠である。

 写真の足の骨について、「巨大な獣脚類に噛まれた跡があるが、当時、この一帯にはT・レックスしかいなかった」とロングリッチ氏は話す。「共食い以外の結論は考えられない」。

 手元にある化石も見直した結果、同じように噛まれたT・レックスの骨がさらに3個見つかった。

 ロングリッチ氏の研究チームは、T・レックスがある程度日常的に共食いしたと推測している。ただし、仲間同士で殺し合っていたのか、それとも死骸を食べた跡なのかはわかっていない。

 コモドオオトカゲ、ワニなど恐竜の遠い仲間を含む現代の捕食動物の多くは、特に子どもを標的に共食いすることで知られる。

 恐竜の共食いはまだ立証されていないが、体長9メートルの獣脚類で、6500万年前のマダガスカル島に生息していたマジュンガトルス・アトプス(Majungatholus atopus)は仲間を食べたと考えられている。(National Geographic News October 18, 2010)

 骨からわかる北限のニホンザル
 骨からはさまざまなことがわかる。京都大学、霊長類研究所の川本芳准教授は、ニホンザル北限の秘密を「遺伝子」で調査している。調査に向かったのは、東北の農村。だが、そこにサルは住んでいない。

 教授は、納屋に入るとそこに祀ってあった「神棚」に注目した。そこには何と「頭蓋骨」が納めてあった。一見人骨のようにも見えたが、よく見ると「ニホンザル」のものであった。この地域数十年前にはサルが住んでいた。そのサルの頭を納屋に飾ることで、牛馬を守っていたのだ。このサルの頭を「厩猿(うまやざる)」と呼ぶ。

 教授はその頭蓋骨の一部を削り、その粉の中から、遺伝子を集めた。全国135カ所のサルのミトコンドリアDNAを集め、それを比較することで、驚くべきことがわかった。

 通常、生物は同じ地域に生息すると、その中で遺伝子は多様化する。ニホンザルの多くは多様な遺伝子を持っていた。ところが、東北や下北半島のサルの遺伝子はほぼ同じタイプで一致した。これは、つい最近広がった、新しいなかまであることを意味している。(参考:NHK 日本列島奇跡の大自然 )

 骨からわかる故人識別
 骨から人のDNA鑑定も可能だ。例えば3体分の骨がまざりあっている棺、下半身のない死体。かろうじて体の形が残っているだけの、腐乱しきった戦死体から個人識別をするには、残った骨を科学的に「読む」ことで鑑定できる。骨は、ほんの小さな一片ですら人種、性別、年齢を正確に物語る。そして、人間の体に潜んでいるすばらしい機能、知られざる秘密も、明らかにする。

 厚生労働省は10月8日、フィリピンでの戦没者の遺骨収集事業を、当面延期すると発表した。厚労省によると、現地でフィリピン人の墓から骨が盗まれ、日本人の遺骨として売買されているなどと指摘があり「事実関係を調べた上で、今後の対応を決めたい」としている。

 フィリピンでの遺骨収集事業は2005年度まで国が行っていたが、2006年度から民間委託に変わり、昨年度からNPO法人に委託している。フィリピンから帰還した旧日本兵や戦没者の遺族らは10月8日、「民間に委託し、DNA鑑定もせず、日本人とみなす現在の制度に問題がある」として、厚労省に改善を求める要請書を提出した。(2010/10/08 共同通信)

 焼いた骨についてはDNA鑑定はできないとされている。 しかし、2004年12月10日、北朝鮮から、横田めぐみさんのものとされる、焼かれた遺骨が送られてきた。遺骨の中の骨片5個のうち4個から同一のDNAが、また他の1個から別のDNAが検出されたが、いずれのDNAも横田めぐみさんのDNAとは異なっているとの鑑定報告がなされた。現代科学の進歩にはいつも驚かされる。 

 

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