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 決裂回避!議長国日本に成果
 今回の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)、始まる当初から合意に達するのは難しいと思われていた。実際に、どの国も自分の主張を最後まで、繰り返すばかりであり、果たして最終日まで、一致することはなかった。

 各国の妥協点を見出し、合意できる点を絞り込んで提案された議長案が、もはやこれまでかと思われた、最後の最後に、劇的に採択され、土壇場で決裂を回避できた。結局「名古屋議定書」「愛知ターゲット」「名古屋・クアラルンプール補足議定書」3つの議題の採択に成功し、COP10は閉幕した。

COP10(1)

 議長を務めた松本環境相をはじめ、政府の交渉担当者、関係者の方たちの努力が報われた。どの国も「生物資源」の取引について、これまでのような「無法状態はいけない、何らかのルールが必要だ」という共通点があった。今回の会議の合意点は低いかもしれないが、最後まで合意をあきらめなかった、日本の政府関係者の努力に拍手を送りたい。長い間お疲れ様でした。

 中国・北朝鮮問題と課題の多い東アジアの情勢、アフガニスタンやイラクなどの中東問題、友好を主とした会議と違い、現代の国際会議は気候変動枠組み条約や生物多様性条約などますます複雑になっていく、その中で日本が果たせる役割があり、成果があがったことが大きい。これで、日本の国際的な信用力を得た。この結果、日本は東アジアの他の問題でも発言力をおおいに増すことになる。

 生物多様性で新ルール設定
 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)は最終日の10月29日、難航を極めた遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」について各国の意見を取り入れた議長案が提示され、翌30日ついに採択した。

 10月11日からの期間中、遺伝子組み換え生物が生態系に被害を与えた場合の補償ルール「名古屋・クアラルンプール補足議定書」を既に採択している。生物多様性を守るために二つの国際ルールと新たな国際目標を設定する歴史的な会合となった。

 採択される議定書は、先住民の伝統的知識も含め遺伝資源の利用による利益を衡平(こうへい)に配分すると規定した。締約国は、遺伝資源を不正に入手していないか監視機関を設けて確認する義務が生じる。遺伝資源の入手には、提供国から事前の同意を得る必要がある。

 途上国が主張していた、利益配分の対象を議定書発効以前や植民地時代にさかのぼることは盛り込まれなかったが、代替措置として途上国に多国間で資金支援する枠組みを設ける。

 遺伝資源を加工した「派生物」は事実上、議定書の利益配分の対象から除外された。ウイルスなどの病原体についてはワクチン開発のための先進国の早急な利用を認め、適切な利益配分を求めた。

 各国が議定書の議長案に同意したのを受け、難航していた新国際目標「愛知ターゲット」の議論も進んだ。新しい生態系保全の国際目標(愛知ターゲット)は「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」とし、焦点の保護地域については、陸域は少なくとも17%、海域は公海を含む少なくとも10%を保全するとの目標で合意した。

 名古屋議定書の交渉をめぐっては、交渉官による協議不調を受け、議長の松本龍環境相が自ら議定書案を各国に提示、各国がこれに同意する過去に例のない事例となった。

 交渉過程では、遺伝資源の利用国の先進国と、提供国のアフリカ諸国など途上国が激しく対立。議長案にもアフリカ勢が当初、反発したが、資金支援が盛り込まれたことなどを評価して受け入れに転じた。29日午後の全体会合で、松本議長は「議定書の採択はすべての国の悲願だ。各国の意見の相違に十分配慮して議長案を策定した」と呼びかけて締約国に受け入れを迫る場面もあった。(毎日新聞 2010年10月30日)

 「名古屋議定書」要旨
 会議での採択は全会一致が原則だが、190を超える加盟国・地域のすべてが満足する結論を得るのは困難だ。それを考えれば、議定書などの採択にこぎ着けたことで、日本は議長国として一定の責務を果たしたといえる。

 今後は、会議の成果を生物多様性の保全に確実につなげていかねばならない。各国に求められるのは、自然の恵みを将来にわたって持続的に利用していくための節度ある姿勢である。名古屋議定書の要旨は次の通りである。

1.遺伝資源の利用で生じた利益を公平に配分するのが目的。
2.遺伝資源と並び、遺伝資源に関連した先住民の伝統的知識も利益配分の対象とする。
3.利益には金銭的利益と非金銭的利益を含み、配分は互いに合意した条件に沿って行う。
4.遺伝資源の入手には、資源の提供国から事前の同意を得ることが必要。
5.多国間の利益配分の仕組みの創設を検討する。
6.人の健康上の緊急事態に備えた病原体の入手に際しては、早急なアクセスと利益配分の実施に配慮する。
7.各国は必要な法的な措置を取り、企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していないか、各国がチェックする。

 「愛知ターゲット」要旨
 2020年までの世界共通の全体目標については「生物多様性の損失を止めるための効果的な緊急行動を起こす」という抽象的な表現で決着した。主な個別目標については次の通りである。

1.2020年までに、国や地方の開発に、生物多様性の価値観が組み込まれるようにする。
2.2020年までに、生物多様性に悪影響をもたらす仕組みは、段階的に廃止、改革する。
3.2020年までに、政府や企業は持続可能な生産や消費計画を立て、自然を再生可能な範囲で利用する。
4.2020年までに、すべての森林の減少をストップする。
5.2020年までに、生物資源の乱獲を防ぎ、生態系が大きく損なわれないようにする。
6.2020年までに、侵入した外来種および進入経路を特定し、根絶し、侵入を防ぐ。
7.2015年までに、サンゴの減少や気候変動などの人為的な影響を最小限にする。
8.2020年までに、少なくとも地球上の陸域の17%、海域が10%を効果的に保全する。
9.2020年までに、すべての絶滅危惧種の絶滅をストップする。
10.2020年までに、すべての作物、家畜および野生の生物の遺伝子の多様性を維持する。
11.2020年までに、この愛知ターゲットを、実施するための資金を大幅に増やす。

 国際自然保護連合(IUCN)の分析では、現在の海域の保護区は1%にとどまり、乱獲や開発が問題になっている。交渉では、先進国の日本や欧州が15%の目標を掲げたが、途上国は中国の6%など開発の妨げにならない数値を提示した。

 「愛知ターゲット」は、損なわれた生態系を緊急に回復させるため「2020年までに少なくとも陸域の17%、海域の10%を保全する」との数値目標を示した。現在1%にも満たないとされている海の保護区の面積を、この10年で10倍以上に広げる意欲的な目標だ。国際的な環境保護団体からも「非常に大きな成果」と支持された。

 


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