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 神の領域に突入
 2010年11月25日NHKクローズアップ現代放送の「広がる波紋 遺伝子組み換え動物」では、新しく開発された、遺伝子組み換え動物について知ることができた。これまで遺伝子組み換え植物などはよく知られていたが、動物についてはあまり知られていなかった。

 通信販売で買えるノン・アレルギー猫や犬、通常の2倍の早さで育つサケなど。今、遺伝子組み換え動物が次々と実用化している。マレーシアでは、デング熱を媒介する蚊を絶滅するため、自爆遺伝子を組み込んだ蚊を野山に放つ国家プロジェクトが進行中である。

 アメリカでは、一部の遺伝子を換えるのではなく、百万以上の遺伝子をゼロから組み上げた「合成生物」まで登場し、「神の領域に突入した」と注目を集めている。しかし、こうした技術の急速な普及は、生物多様性や食品安全などを脅かし、さらには、悪用されればバイオテロにつながると危惧する声も上がっている。遺伝子組み換え技術とどう向き合っていけばいいのだろうか、その課題に迫る。

GMO
 成長速度2倍!「遺伝子組み換えサケ」
 通常の倍の速さで成長する遺伝子組み換えサケを、米企業が開発した。米食品医薬品局(FDA)は同社の申請を受け、販売の可否を最終判断する見通しだ。大豆やトウモロコシなど組み換え作物は広く流通しているが、遺伝子組み換え動物が食品として流通するのは前例がない。米科学誌サイエンスは19日発行の同誌で、多角的な検討を求める研究者の投稿を掲載した。

 開発したのはアクアバウンティ・テクノロジーズ社(マサチューセッツ州)。アトランティックサーモン(大西洋サケ)に、キングサーモンの成長ホルモン遺伝子など2種類の遺伝子を組み込んだ。サイズは通常の大西洋サケと同じだが、成長が早く、通常の半分の期間で出荷できるため、餌も少なくて済む。

 FDAはこれまでに、栄養価やアレルギーの危険性など「通常と同等」と評価。組み換えサケは不妊処理され、陸上のいけすで養殖するため、生態系への影響も極めて低いとしている。

 米国ではサケが健康にいいとして消費量が増えており、乱獲による資源減少も心配されている。組み換えサケはこうした需要増に応える狙いがあるが、米デューク大のマーチン・スミス准教授とノルウェーの研究者はサイエンス誌上で、社会に与える影響は大きいとして「食品の安全性や環境影響だけでなく、健康や経済への功罪も評価すべきだ」と主張している。

 環境保護団体グリーンピースなどは「組み換えサケが環境中に逃げ出せば、在来魚を駆逐する可能性がある」と警告する。(毎日新聞 2010年11月19日)

 新素材「遺伝子組み換えカイコ」
 一方、日本では遺伝子組み換え蚕が開発された。群馬県と民間企業で共同研究を進めてきた遺伝子組み換えカイコ(GM蚕)をめぐり、前橋市の養蚕農家が今月中旬から、世界初となるGM蚕の医療用飼育に乗り出す。今回のGM蚕は、医療検査薬に活用できるタンパク質を含んだ繭を作り出せる。生糸や絹製品とは異なる医療分野への進出に、関係者は「衰退する養蚕業の復興につなげたい」と期待を寄せている。

 飼育を行うのは、JA前橋市の養蚕農家6戸。県と共同研究に取り組んできた医薬品製造会社「免疫生物研究所」(藤岡市)の委託を受け、県蚕糸技術センター(前橋市)で11月16日から、GM蚕を飼育する。

 今回のGM蚕は、抗体を精製するのに必要なタンパク質を含んでいる。県蚕糸園芸課によると、バクテリアなどを利用する主流の抗体培養法と比べ、不純物が少ない上、設備投資も抑制できることがメリットという。

 県内の養蚕農家は最盛期の昭和43年に7万戸以上に上ったが、平成21年には373戸に激減。養蚕農家でつくる前橋遺伝子組換えカイコ飼育組合の糸井文雄組合長は「新たな試みを成功させて、次の世代が養蚕に取り組んでいける基礎を作りたい」としている。

 GM蚕をめぐっては、県蚕糸技術センターと免疫生物研究所が21年に共同研究を開始。蛍光カラーの絹糸や、人工血管など医療技術に活用できるGM蚕数種の育成に成功し、商品化の取り組みを進めていた。(産経ニュース 2010.11.5)

 カルタヘナ議定書と米国
 遺伝子組み換え生物についてはカルタヘナ議定書がある。日本やEUなど140ヶ国が加盟しており、この条約では、生物多様性に悪影響を及ぼすおそれのあるバイオテクノロジーによる遺伝子組換え生物(LMO)の移送、取り扱い、利用の手続き等についての検討を国際間で行うことになっている。

 ところが、米国ではこれに加入しておらず、遺伝子組み換え生物を最低限の安全性が確認されれば、積極的に利用していこうとしている。遺伝子組み換えサケについては、公聴会で承認され、現在、遺伝子組み換えの表示を義務づけて販売するかどうかが検討されている。

 こうしてみると、米国は遺伝子組み換え生物の最前線を行っているようだが、危険とも隣り合わせだ。今年の5月20日、米国のクレイグ・ベンダー博士は世界初の人工細菌の開発に成功した。驚いたことに博士らは、100万を超える細菌の遺伝子をすべてコンピューターで設計して作成した。

 現在、博士の企業では、バイオ燃料をつくり出す細菌を研究中である。しかし、一方でこれまでにない、危険な生物をつくり出すこともできる。現に、博士の企業には、ある遺伝子の設計図を送ってきた依頼者がいた。その設計図を調べてみたところ、猛毒をつくるボツリヌス菌や炭疽菌の遺伝子であった。それは、バイオテロリストからの依頼であった。

 こうした事態を受け、オバマ大統領は生命倫理特別委員会を開き、研究者たちを集めて注意を促した。世界的に広がる、遺伝子組み換え生物の利用について、大阪大学准教授の平川秀夫氏は、市場の論理、科学の論理に対して、「社会の論理」を組み入れて議論していくことが大切だと述べている。

 

参考HP NHKクローズアップ現代「広がる波紋 遺伝子組み換え動物 

よくわかる「バイオテクノロジー」最前線―遺伝子組み換え、ヒトゲノム、バイオ医療、エネルギー創造まで (PHP文庫)

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