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 ブラックホールとは何か?
 ブラックホール (Black hole) は、重力が強く、光さえも抜け出せない時空の領域のことを指し、その中心に特異点が存在する。大質量の恒星が超新星爆発した後、自己重力によって極限まで収縮することによって生成したり、巨大なガス雲が収縮することで生成すると考えられている。

  21世紀初頭現在、ブラックホール自体を直接観測することはまだ成功していないが、周囲の物質の運動やブラックホールに吸い込まれていく物質が出すX線や宇宙ジェットから、その存在が信じられている。

3C66B

 銀河の中心には、太陽質量の106〜1010倍程度の超大質量ブラックホールが存在すると考えられており、超新星爆発後は、太陽質量の10倍〜50倍のブラックホールが形成すると考えられている。

 20世紀末には、両者の中間の領域(太陽質量の103程度)のブラックホールの存在をうかがわせる観測結果も報告されており、中間質量ブラックホール (IMBH) と呼ばれている。

 ブラックホールが天体の最終形なら、宇宙は超巨大なブラックホールに飲み込まれることになるが、ホーキング博士はブラックホールの蒸発もあり得るとしており、現在も謎の多い天体である。

 さて、銀河の中心には超巨大ブラックホールがあることは知られていた。しかし、これがどのように誕生し、どのようになっていくかはまだくわしくわかっていない。

 急接近!衝突直前のブラックホール
 国立天文台などの研究チームが、地球から2.8億光年離れたアンドロメダ座の巨大楕円銀河の中心部に、衝突直前のふたつのブラックホールがあるのを発見した。

 巨大ブラックホールが誕生する仕組みを説明できる世界初の観測成果で、複数のブラックホールが合体して巨大化するという仮説を裏付ける有力な証拠となる。12月1日発行の米国の専門誌で発表する。

 同天文台の井口聖(さとる)准教授らは、2003年に発見したふたつのブラックホールが放出する電波を3年間以上にわたり観測。その結果、大きい方の質量は太陽の12億倍、小さい方は8億倍あることが分かった。電波の強度が変動する周期などから、双方の距離は0.02光年(1900億キロ)しか離れておらず、急接近していることも突き止めた。500年前後で衝突し、一つに合体すると予想される。(2010年12月1日00時06分  読売新聞) 

 ブラックホール、あと500年で衝突か
 約500年でぶつかるほど近くにある二つの超巨大ブラックホール(BH)を、国立天文台や岐阜大、名古屋大の観測チームが見つけた。重さは太陽の8億倍と12億倍。お互いの距離は0.02光年で、どんどん接近している。宇宙の歴史から考えると、500年は衝突直前に等しい。BHが衝突、合体して大きくなっていくという仮説の有力な証拠になりそうだ。1日付の米専門誌に掲載された。

 観測チームは、長野・野辺山の電波望遠鏡などを使ってアンドロメダ座の方角にある超巨大楕円(だえん)銀河「3C66B」を3年かけて観測。中心にあるBHから噴き出るジェットの様子を捉えた。

 0.02光年は二つのBH自身の半径の50倍にあたる。BHを地球サイズにすると、地球と月の関係に近い。あまりに近いため、空間がゆがんで波として伝わる「重力波」を放出し、エネルギーを失って徐々に近づいているとみられる。

 本当に衝突するかは、地球が太陽に落ち込まないことから疑問視する意見もあったが、国立天文台の井口聖准教授は「今後、衝突しそうなBHがもっと見つかるだろう。BHや銀河がどう衝突し、成長するのかといった天文学の謎を解き明かすきっかけになる」と話した。(asahi.com 2010.12.1)

 衝突する直前!双子のブラックホール
 国立天文台ALMA推進室の井口聖准教授が率いる研究グループは、衝突直前の2つのブラックホールを初めて観測することに成功した。

 これまでの研究で、非常に活動性が高い銀河中心核(活動銀河核)のさらにその中心には"太陽の数十億倍程度の質量を持つ"巨大なブラックホールが存在することがわかってきている。そして、近年、さらにこの中心には2つ(3つ以上も有り得る)のブラックホールが存在する可能性が示唆されている。

 その中で、2003年、本研究チームが巨大楕円銀河・電波銀河3C66Bの中心核の公転運動を観測することで、この中心に2つのブラックホールが存在することを世界で初めて発見することに成功した(米国の科学雑誌「サイエンス」に掲載)。

 その後、本研究チームは 野辺山宇宙電波観測所のミリ波干渉計とフランス・ドイツが共同で運用するIRAM観測所(フランス・グルノーブル)のPdBI干渉計を使って、さらに詳細な観測を実施し、その2つのブラックホールが実はあと500年程度で衝突することを突き止めた。このような衝突直前の2つのブラックホールが存在することを強く示唆する観測に成功したことは世界で初めてである。

 宇宙が誕生してから今まさに我々が見ている銀河へ進化していく"銀河形成史"において、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返し行われ、そしてその最終段階に巨大楕円銀河が誕生すると考えられている。この巨大楕円銀河の中心から合体直前の2つの巨大なブラックホールが発見されたことは、これまでの銀河形成史の仮説を強く支持する結果を得たことになる。本研究は、まさに宇宙空間において最も壮大な自然現象の内の1つを初めて観測で捉えることに成功したという結果である。

 研究チームは、今後、現在建設中のアルマ(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)を用いて、より高精度な観測を実施することで、合体直前のブラックホールの振る舞いを詳しく調べ、最終的にどのようにしてさらなる超巨大なブラックホールが誕生するのか、そしてその誕生(衝突)の過程で放射されると予言されている重力波との関係を解き明かして行きたいと考えている。(国立天文台)

 

 参考HP 国立天文台プレスリリース「衝突する直前双子のブラックホール」 

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