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 最近話題のレーシック手術
 近眼の治療にレーシック手術というのがある。簡単にいえば近眼を調整するのに、凹レンズのメガネをかけるように、眼球の表面の角膜をレーザーで削り、凹レンズの形に整形する手術である。だが、表皮の一部である角膜の表面を削っても、もとに戻ってしまうので、表面を薄く剥ぎ取り、真皮の部分を削って凹レンズの形にする手術である。

 眼球の表面を薄く切ったり、削ったりするのでちょっと怖い感じだが、眼科専門医が行ったレーシックが原因で失明したという報告は現在までに一例もない。ほとんど痛みもなく10~15分ほどの手術で終わるので、近年治療を受ける人も増えている。世界において、レーシック先進国といわれるアメリカでは、毎年約130万人以上の方が、手術を受けている。日本では、2000年に厚生省からレーシック手術の認可がおり、手術者数は、2000年に年間2万人、2008年に年間40万人と増加傾向にある。費用は両眼で10~50万円まで、病院によってかなり差がある。

LASIK

 手術後、何十年か経って問題が生じることはないのだろうか?これについては、世界各国のドクターにより様々な検証や臨床試験が行われ、レーシックでの長期安全性について問題ないと報告されている。その安全性と効果から世界中で数百万人の患者様がこの手術を受けてられおり、すでに術後10年以上経過した方も多くいる。

 手術が原因で眼の病気になったりすることはないのだろうか?これについても、しっかり消毒・除菌を行えば、レーシックでの感染の危険性は極めて低い。レーシック治療を行う、品川近視クリニックでは、施術室は空気清浄度を保つために細かい粒子を捕集する高性能フィルターを用いて除塵、除菌を行っている。また、定期的に清浄度を調べ、清潔度の維持に努めているので問題はないという。

 ところが、東京都にある銀座眼科では、問題が起きた。

 レーシック集団感染、手術中の洗眼怠る
 銀座眼科(閉鎖、東京都中央区)で近視矯正のレーシック手術を受けた患者が集団感染した事件が起こり、元院長、溝口朝雄容疑者(49)が業務上過失傷害容疑で逮捕された。病院では手術の際、感染症を防ぐために必要な目の洗浄を徹底しなかった疑いがあることが12月8日、捜査関係者への取材で分かった。警視庁築地署捜査本部は、手術数をこなすため時間の短縮を図った可能性もあるとみて捜査している。

 捜査本部は同日、溝口容疑者を東京地検へ送検。溝口容疑者は「1件でも多く手術をこなしたかった」と容疑を認めているという。

 捜査本部の調べによると、レーシック手術は角膜の表皮を薄くめくり、角膜実質層をレーザー照射により削った上で表皮を元に戻すが、溝口容疑者は手術中、薬液などで眼部を洗浄する処置を怠り、菌を残留させた疑いがあるという。

 医療関係者によると、レーシック手術は短くても10~15分の時間がかかるが、銀座眼科で手術を受けて感染症になった患者の中には「5分程度で手術が終わった」と説明する人もいる。

 同院の執刀医は溝口容疑者だけで、器具滅菌の所要時間などから1日5~6人の手術が限界とされるが、多いときで約20人を手術。2セットあった手術器具一式のうち1セットのみを使用し、すべての菌を死滅できない「オゾン水」などで洗い流すだけで使い回していたという。感染症拡大を懸念した職員は滅菌の徹底を進言したが、溝口容疑者は「おれがやる」と回答。その後も滅菌器を使用する様子はなかったという。

 捜査本部は、溝口容疑者が薄利多売を図ろうと時間や経費を要する滅菌処置を怠った上、必要な手術の手順も省くなど不衛生な要因が重なり、感染が拡大した疑いがあるとみて、実態の解明を進めている。(2010.12.8 産経ニュース)

 レーシック手術とは何か?
 レーシック (LASIK) とは角膜屈折矯正手術の一種で、目の表面の角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることにより視力を矯正する手術である。LASIKは、正式名称である "Laser(-assisted) in Situ Keratomileusis[1]"(英語・ラテン語・ギリシア語からなる)の略であり、「レーザー照射を本来の場所に収まったままの眼球に施し、角膜を彫り整えること」の語意がある。

 近視を補正する場合、眼鏡やコンタクトレンズ等の道具を使用することが一般的だが、レーシックでは角膜を矯正手術することにより正視の状態に近づける。これにより、裸眼視力を向上することができる。1990年代にアメリカを中心にその手術方法が認知されるようになった。

 レーザー機器もしくは、マイクロケラトームと呼ばれる眼球用カンナで角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくる。表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、一部を削る(蒸散させる)。その後、フラップを元の状態に戻し、フラップが自然に吸着する。角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正される。視力は術後直後から1日程度で矯正される。視力が安定するには1週間から1ヶ月程度を要し、90%以上の人が裸眼視力1.0以上になる。

 フラップは時間の経過とともに安全な強度に近づくが、元には戻らない。強い外圧がかかるとフラップがずれる場合がある。このため格闘技の選手等、顔面に衝撃を伴う職種には向かない。フラップを作らずに角膜上皮から削ることで屈曲率を矯正するPRKや、フラップを再生させることが出来るラセックと呼ばれる同種の手術もあるので、特にスポーツ選手はこちらを選ぶこともある。

 角膜に一定の厚さが必要なため、角膜が薄い場合や眼に疾患等を抱えている場合は、手術が受けられない。また、近視の進行する10代などの若年者は手術が受けられない。近視遠視乱視を矯正するための手術であるので、加齢により進行する老眼には有効でない。モノビジョンと呼ばれる片方を遠視用、もう片方を近視用とする手術も存在する。アメリカにおいては、毎年100万人以上が手術を受けており、近視になっている者のうちレーシックを受ける者はおおよそ1割といわれる。

 世界初のレーシックは1990年にギリシャで行われた。1995年にアメリカ食品医薬品局がエキシマレーザーの使用認可を出し、アメリカでは1998年以降レーシックが屈折矯正手術の主流となった。日本では、2000年1月に厚生省(現・厚生労働省)がエキシマレーザーの使用認可を出してから受けられるようになっている。歴史が浅いため、長期に渡る安全性が実証されていないとも言われるが、2009年、アメリカの医学誌「Archives of Ophthalmology(眼科学)」11月号にて近視に対するレーザー手術は長期的に見ても安全であるという研究結果が発表された。

参考HP Wikipedia「レーシック」・品川近視クリニック「視力回復レーシック」・錦糸眼科「レーシック治療

不可能を可能にする視力再生の科学 (PHPサイエンス・ワールド新書)
坪田 一男
PHP研究所
ササッとわかる近視矯正手術「レーシック」で失敗しない本 (図解大安心シリーズ)
吉田 憲次
講談社

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