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 めずらしい日本の自己主張
 
京都議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策を話し合う、国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が11月29日~12月10日まで開かれていたが、今後の交渉の基礎となる「カンクン合意」を採択し、閉幕した。

 結局、京都議定書の延長か、新議定書の策定かの結論は持ち越しになった。コペーンハーゲン合意の流れは引き継ぎ、先進国と途上国が自主目標で温室効果ガス排出削減に取り組むこと、先進国だけでなく途上国も国際検証を受けることを盛り込んだ。昨年のCOP15の失敗で交渉は停滞したため、各国は主要論点を棚上げして合意を優先した。

COP16end

 しかし、これらを法的拘束力がある枠組みとするかや、議定書を延長するかどうかの結論は先送りされた。来年12月、南アフリカで開かれるCOP17に向け交渉が活発化するが、難航するのは必至だ。

 交渉過程で、日本は「現行の枠組みで削減義務のある国の排出量が世界全体の27%にとどまる」と述べ、米国や中国の削減義務のない温暖化対策の実効性を問題視、議定書の延長に関して、めずらしく強硬に反対した。その結果、合意では、議定書締約国が13年以降の削減目標に同意しない権利に言及し、仮に議定書の枠組みが延長されても削減目標の義務付けを回避できる「抜け穴」を認めさせた。

 昨年のCOP15で議論された枠組み「コペンハーゲン合意」の内容を正式に採用し、先進国は削減目標を掲げ、排出量を毎年報告することを盛り込んだ。途上国は20年までに削減対策を取らない場合と比較して排出量を減らす。先進国だけでなく、途上国も国際検証を受けるとした。これらを法的な義務のある枠組みにすることは、米国や中国の反対で見送られた。議長を務めたメキシコのエスピノサ外相は「我々は歴史的な合意を成し遂げた」と語った。

 日本の経済界は評価 
 議定書延長に強く反対していた経済界からは「最悪の事態はひとまず回避できた」(鉄鋼大手)と一定の評価が目立った。ただし、主要排出国の米中や新興国は依然、削減義務を拒否しており、「日本企業だけが過大な負担を強いられる」との不満は根強い。

 日本がめずらしく自己主張を押し通した形になったが、国益を考えれば当然のことだ。日本は世界最高の省エネ水準で、国内総生産(GDP)が世界全体に占める割合が8%なのに対し、二酸化炭素(CO2)排出量は4%だ。このため日本経団連など経済団体は「実効性、公平性ある枠組みの構築が不可欠」と、議定書の延長反対で足並みをそろえてきた。

 また議定書が延長されると、国内企業は過大な負担を避け「海外移転の動きが加速し、経済や雇用に悪影響を及ぼす」(経団連幹部)と主張した。地球温暖化対策基本法案に明記した「20年に90年比25%削減」は、ポスト京都で米中などの主要排出国の参加が前提となる。

 しかし、こうした日本の態度に対し環境団体ネットワーク組織(CAN)から、「化石賞」という不名誉な賞をもらった。11月30日、国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)のNGO会場で、最も後ろ向きな発言をした国に授与する「今日の化石賞」の1位に日本が選ばれたのだ。

 COP16:日本に「化石賞」
 というのも29日に経済産業省の有馬純大臣官房審議官(地球環境問題担当)が「日本は京都議定書の延長(第2約束期間の設定)をいかなる場合でも認めない」と発言したからだ。CANのイアン・マグレガー氏は「会議の建設的雰囲気をぶち壊す破壊発言。代表団の8割、ほとんどのNGOが否定的に受け取った」と批判した。

 化石賞は1999年のボン会議から始まった。期間中、環境団体の投票によって“その日の悪者”が選ばれる。今回は約200団体が投票した。

 しかし、中国や米国が参加しない京都議定書は世界の温室効果ガス排出の27%しかカバーしておらず、日本の立場は「単純延長は締結国にとって不公平」というもの。有馬氏は「議定書延長がカンクン会議の最大の成果になるとの発言が途上国からあり、黙っていては日本が延長を受け入れると誤解されるので、明確に言った」と振り返る。当然の主張だと思う。同氏の発言に会場は静まり返ったという。

 各国代表団からは「なぜ日本は交渉をブロックするのか」「日本の論理は正しいが、現段階で立場に固執すれば会議を壊すだけだ」の声が上がっていた。(毎日新聞 2010年12月1日)

 見えぬポスト京都
 ポスト京都議定書の枠組みづくりに失敗した昨年末の交渉から1年。今回の国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)で、次期枠組み交渉の基礎となる「カンクン合意」が採択され、各国は温暖化対策の議論を一歩、進めた。だが決裂回避を優先し、議定書の延長や新たな枠組みの法的な位置付け、結論を出す時期など主要議題の多くが棚上げされた。今後交渉は本格化するが、鍵を握る米国の対策は停滞するなど、有効な国際ルールが実現するか不透明感も漂う。一方、議定書の延長に反対してきた日本の産業界から評価する声が上がった。

 10日深夜、エスピノサ議長(メキシコ外相)が示した合意案に、各国は相次いで賛同した。「来年以降の交渉のために、各国が譲らない線を超えないよう配慮して作成された」(交渉筋)という。

 合意案は、議定書の枠組み延長に反対する日本にも配慮。議定書の枠組みに沿って13年以降の目標は協議するが、同意しなくてよい権利があると脚注に書き込まれた。また、米国や中国が「削減義務のある新たな議定書」に抵抗したため、合意が、法的拘束力を持つともうたっていない。

 米国・中国の出方しだい
 このため、環境NGO「気候変動プログラム」(米国)のスティーブン・ポーター部長は「十分な温暖化防止は期待できない」と指摘する。国連環境計画によると、「気温上昇 2度未満」の達成には、今後10年間の世界の温室効果ガス排出量を440億トンに抑えなければならない。各国が公表している自主目標は490億トンで、さらなる対策が求められる。

 一方、どの国にも削減義務のない「空白期間」の回避には来年12月のCOP17が正念場となる。しかし、米国は「12年の大統領選まで消極的な態度に終始するだろう」(交渉筋)という見方が強い。というのは、ポスト京都の枠組みに積極関与する姿勢だったオバマ大統領の与党・民主党は11月の中間選挙で大敗。温暖化対策で消極的な共和党が下院で多数を占めるからだ。

 中国は「米国が削減義務を負わない限り、義務は受け入れない」としている。米国を含む先進国が求めていた、削減行動の国際検証受け入れを容認する姿勢も示すが、さまざまな前提条件をつけており予断を許さない。  

 カンクン合意の骨子
・産業革命以降の気温上昇を 2度未満に抑える。
・京都議定書の第1約束期間(2008~2012年)と2013年以降の第2約束期間に空白期間を作らないよう、できる限り早く結論を出す。
・議定書締約国には2013年以降の削減目標に同意しなくてよい権利がある。
・先進国は温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比25~40%削減しなければならないと認識する。
・先進国は削減目標を掲げ、排出量を毎年報告し、国際的な検証を受ける。
・途上国も2020年の見込み排出量からの削減量を目標に掲げ、達成状況を2年に1度報告し、国際的な検証を受ける。
・途上国の排出削減を支援する「グリーン気候基金」や、温暖化による被害対策の枠組みを新たに設立する。
・50年までの世界全体の削減目標をCOP17で検討する。(毎日新聞 2010年12月12日) 


 参考HP COP16ホームページ 「
COP16 Cancun Mexico

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