サイエンスジャーナル

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2010年02月

燃料「ゼロ」?究極の惑星間省エネ航法、宇宙帆船「イカロス」

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 宇宙帆船「イカロス」
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、神奈川県相模原市由野台の研究施設で開発され、2010年度に打ち上げ予定されている、世界初の宇宙帆船「イカロス」に搭載する名前やメッセージを募集している。
 
 このキャンペーンの名称は「君も太陽系をヨットに乗って旅しよう!」。イカロスは約14メートル四方の巨大な帆で太陽光の光子と呼ばれる粒のエネルギーを受けて、宇宙空間をヨットのように進むことから命名された。イカロスは、打ち上げから半年後に金星に接近する予定という。
 
 応募者の名前やメッセージ(50字以内)、絵画はDVDに収録され、イカロスに搭載される。応募締め切りは3月14日。応募者のうち、2月28日までに申し込んだ人の名前はアルミプレートに刻まれ、帆の四隅に取り付けられる。

 担当者は「名前やメッセージを大切に預かり、宇宙に届けたい」と応募を呼び掛けている。 申し込みはインターネット(http://www.jspec.jaxa.jp/ikaros_cam/j/index.html)で。 (2010年2月24日 読売新聞)

 どうやらイカロスは金星を探査する宇宙船のようだが、風のない宇宙で「帆船」とはいかなる宇宙船だろうか?

 ソーラーセイルとは何か?
 イカロスは、ソーラーセイルを動力源にもつ宇宙船である。ソーラーセイルは簡単に言うと、太陽の光で推進する宇宙機(宇宙船)のこと。ロケットは自分で搭載している燃料をエンジンの中で高圧の燃焼ガスを大量に作って、それを後方に高速で噴射することによって推進する。これに対し、ソーラーセイルは太陽からの光で押されることによって航行する。

 理由は、光は光子というエネルギー量をもつ粒でできていて、あたかも高いエネルギーをもった原子のようにふるまう。光のビームが鏡のような表面に向けられると、光子はまるで壁からはね返るボールのように反対側にはね返る。この過程で、光子はその運動量の2倍を壁に伝えてはね返る。太陽の光が恒常的に帆にあたることにより、わずかではあるが、その明るく輝く表面の壁が押されて持続的に前進する。

 太陽の光がソーラセイルの表面で反射すると、光子という光の粒のエネルギーが帆への運動量に変換される。これが宇宙空間でソーラーセイルを加速させる「押す力」となる。その加速度はとても小さいが、連続して発生する。化学エンジンを使ったロケットでは、燃料を燃やすことで目的の速度に到達させられるが、燃料消費を抑えるために運転を停止する必要がある。

 他方でソーラーセイルは常時加速を続ける。その結果として、相対的に短い時間で非常に速い速度へと到達させることができる。推進力の方向は帆の太陽に対する角度を変えて制御でき、軌道速度を加速も減速もさせることができる。

 燃料「ゼロ」究極の惑星間航法
 「太陽風」は、太陽から放射されるイオン化された粒(陽子)からなっている。これらの粒の運動は、光の速度よりもずっと遅いため、光による圧力の1パーセントに満たない力にしかならない。だから、ソーラーセイルでは、ほんとうに速く飛ぶために、太陽風ではなく光を使って航行する。

 ソーラーセイルの最大の利点は燃料が不要なこと。ソーラーセイルは時間さえかければ化学ロケットよりもずっと速く飛行させることができる。例えば火星に行くには、ソーラーセイルのはたらきで行き、帰りは太陽の重力で帰るので、燃料の必要がない。

 太陽はとても重い星。地球は1年かけて太陽の周りを回っている。地球は太陽の周りを回る遠心力と、太陽からの重力がちょうど同じなので、同じ場所を回っているのだが、もし、地球がゆっくり回り出したらどうなるだろう?結果、遠心力が弱くなるので太陽に近づいていく...。

 これと同じ仕組みをイカロスは使う。イカロスが地球と同じスピードで地球と同じ軌道を回っているとします。大きな帆を太陽に斜めに向けて、スピードを上げるとどんどん太陽から離れて火星や木星の軌道に近づく。反対にスピードを落とすと太陽に落っこちていこうとして、地球より太陽に近い水星や金星の軌道に近づく。

 太陽系大航海時代の幕開け
 かつて人類は、風の力だけを頼りに帆船を操り、地球の果てまで探検をした「大航海時代」があった。これからは太陽の光と重力を利用し、太陽系をくまなく探検する時代がやってくるのかもしれない。

 イカロスは半年かけて金星に近づくことを計画している。イカロスは金星に向かって飛んでいくが、将来の探査機は木星に行くことを計画している。この探査機の帆の面積はイカロスの帆の約10倍を予定している。

 さらに、イオンエンジンを搭載し、ソーラーセイルと合わせたハイブリッドな推進を実現する。イオンエンジンを運転するには大きな電力が必要となるが、広い帆にたくさんの薄膜太陽電池を貼り付けることでこの電力をまかなう。私たちは、このソーラー電力セイルによって、太陽系大航海時代を先導する。

 太陽の光を受けて進むソーラーセイルのアイデアは実は100年程度前からある。しかし、帆の素材や展開方式など非常に難しく、近年になりやっと実用化の見通しがついてきた。欧米でもソーラーセイルの研究を進めているが、まだ実現できていない。イカロスが成功すれば世界初の快挙になる。

 今までの宇宙船はスピードを調整するのに燃料を必要とした。燃料が無くなれば調整は不可能。(宇宙空間にはガソリンスタンドはない。)小惑星探査機「はやぶさ」は、イオンエンジンという省エネタイプのエンジンを積んでいたが、それでも燃料としてキセノンガスを必要とした。ソーラーセイルは燃料無しでも飛行できるので、省エネというより、0(ゼロ)エネである。

 ポリイミド素材と薄膜太陽電池
 宇宙で使う帆は広ければ広いほど太陽の光から推進力を取り出しやすいのですが、広くても重くなってしまうと探査機がゆっくりとしか動けなくなってしまいます。そこで、薄い膜素材が重要になる。イカロスの帆の膜の厚さは何と7.5マイクロメートル(7.5ミクロン)!家庭用のラップフィルムやコピー用紙は約100マイクロメートルなので、この帆がいかに薄いかが分かる。

 このため、イカロスの帆の広さはバレーボールコートぐらいですが、重量はたったの15キロしかない。

 さらにイカロスの帆はポリイミドという素材でできている。普通のプラスチック素材を宇宙空間に持って行くと、熱や宇宙線の影響ですぐにボロボロになってしまうが、このポリイミドは宇宙空間でも丈夫で長持ちする。イカロスでは接着剤を用いなくても、熱を加えて融着することで貼り合わせられるようポリイミドを改良した。イカロスの帆はこのポリイミド膜にアルミを薄く蒸着して、太陽光をよく反射するようにしている。

 木星と太陽の距離は地球と太陽の距離の5倍で、木星近辺の太陽光は地球近辺の太陽光の25分の1となる。もし、木星近辺で太陽電池のみで電力をまかなおうとすると広大な太陽電池パネルが必要になる。

 これまで欧米では、木星よりも遠い天体に行く探査機には軽量高出力の原子力電池を使っていた。他方で、イカロスでは、帆に膜のような太陽電池を貼り付け、太陽光で電力をまかなう。広い帆にたくさんの太陽電池を貼り付ければ、たとえ木星近辺であっても十分な電力が得られる。 イカロスは太陽の光で進み、太陽の光で発電する、クリーンな探査機の先駆けとなる。

 イカロスの進む方向は帆の傾きによって調整する。 イカロスでは、姿勢制御デバイス(曇りガラスと同じ原理)で帆の傾きを変更する仕組みを取り入れている。帆の表面は真っ直ぐ光を反射します。その反作用で、反射した方向と反対の向きの力を光からもらう。曇りガラスと同じような作用にすると、その部分だけ光が乱反射して光の力が分散してしまう。よって、曇りガラスでない面がより強い力で押されて帆全体の傾きが変化する。曇りガラスと同じ原理の装置は、太陽電池によって発電された電気で働くので、太陽の光のみでイカロスは自由に飛ぶことができる。

 

参考HP JAXA「君も太陽系をヨットに乗って旅しよう 

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「J-PARC」から「スーパーカミオカンデ」へ!ニュートリノ振動の謎を追う

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 スーパーカミオカンデ 
 1987年、岐阜県飛騨市にある「カミオカンデ」で超新星SN 1987Aの 爆発によるニュートリノが初めて観測された。ニュートリノ天文学の記念すべき第一歩である。ニュートリノの飛来した方向、時刻、エネルギー分布が詳細に分析されたのはこの観測が初めてであった。この成果によって東京大学名誉教授の小柴昌俊博士が2002年にノーベル物理学賞を受賞した。

 2010年、2月24日新しくなった「スーパーカミオカンデ」で、茨城県東海村で人工的に作られた素粒子「ニュートリノ」を検出することに初めて成功した。この実験では、ニュートリノが飛行中に別の種類のニュートリノに変わる「ニュートリノ振動」という現象を調べることを目的としている。果たして、ニュートリノ振動は観測されたのだろうか?

 人工ニュートリノを検出
 高エネルギー加速器研究機構(KEK)や東京大宇宙線研究所など国内外の研究者で組織する「T2K実験グループ」は25日、茨城県東海村で人工的に作られた素粒子「ニュートリノ」を約295キロ離れた岐阜県飛騨市で検出することに初めて成功したと発表した。

 ニュートリノは物質を構成する最小単位、素粒子の一種。詳しい性質が未解明で、人工的にニュートリノを発生させ、遠くに飛ばしてその振る舞いを検出する実験が各国で行われている。

 今回は、昨年4月にニュートリノ発生に成功した東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」から、飛騨市の検出器「スーパーカミオカンデ」に向けてニュートリノを発射。24日午前6時、スーパーカミオカンデ側で検出が確認された。今後、発射を増やし、研究を進展させる。(毎日新聞 2010年2月25日)

 ニュートリノとは何か?
 物質を構成している最小の粒子を素粒子と言う。現在では、最小の粒子は原子ではない。原子核の陽子や中性子を構成する粒子の仲間(クオーク)と電子の仲間(レプトン)が素粒子と考えられている。レプトンのうち、電気を持たない粒子をニュートリノと呼び、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類がある。

 ニュートリノの存在は、放射性物質のベ−タ崩壊(物質中の中性子が電子を放出して陽子に変わること)のとき、放出されるエネルギーの量が理論的な値より少なく、どこへ消失したのかが問題になったことで、考え出された想像上の粒子であった。

 ニュートリノの発見
 1930年、オーストリアのW.・パウリがベータ崩壊では中性の粒子がエネルギーを持ち去っているという仮説を公表。これが後に「ニュートリノ」になる粒子だった。

 1932年に中性子が発見されたのをきっかけに、エンリコ・フェルミはベータ崩壊のプロセスを「ベータ崩壊は原子核内の中性子が陽子と電子を放出しさらに中性の粒子も放出する」との仮説を発表。この粒子を「ニュートリノ」と名付けた。

 1956年、アメリカのライネスらによって、原子炉から生まれるニュートリノが初めて発見された。

 1969年、アメリカのデイビスが太陽ニュートリノの観測を開始。観測を重ねた結果、ニュートリノは理論からの予想の1/3程度しか発見されなかった。このことは、「太陽ニュートリノ問題」と呼ばれた。

 1987年、超新星SN 1987Aの 爆発によるニュートリノが初めて観測された。ニュートリノ天文学の記念すべき第一歩と紹介される。ニュートリノの飛来した方向、時刻、エネルギー分布が詳細に分析されたのはこの観測が初めてであり、ニュートリノ天文学を大きく飛躍させた。この成果によって東京大学名誉教授の小柴昌俊博士が2002年にノーベル物理学賞を受賞した。

 ニュートリノに質量はあるか?
 ニュートリノに質量があるかという問題は、これまでの物理学では解決していなかった。ところが質量があるときにしか現れない「ニュートリノ振動」と見られる現象が次々と明らかになったことで、ニュートリノに質量があることがわかった。

 1998年6月にスーパーカミオカンデ共同実験グループは、宇宙線が大気と衝突する際に発生する大気ニュートリノの観測から、ニュートリノ振動の証拠を99%の確率で確認した。 また、2001年には、太陽からくる太陽ニュートリノの観察からも強い証拠を得た。

 ニュートリノ振動とは何か?
 ニュートリノには、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3種類があるが、いつもひとつの性質を保つわけではなく、飛んでいるうちに互いに入れ換わっている。

 太陽からやっていくる太陽ニュートリノや宇宙線が大気にぶつかって発生する大気ニュートリノが、その道のりの途中で他の種類のニュートリノに移り変わるのが「ニュートリノ振動」である。

 加速器で100%純粋なミューニュートリノを作っても、距離と共にある割合で別のニュートリノに変化する。これは、ニュートリノが重さをもち、世代間の混合がある場合に限り起きる現象である。

 

参考HP Wikipedia「ニュートリノ」「ニュートリノ振動」・KEKプレス「スーパーカミオカンデでJ-PARCからのニュートリノ初検出 

ニュートリノは何処へ―宇宙の謎に迫る17の物語
ジョン グリビン
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第21回ノーベル化学賞 フレデリック・ソディ「放射性崩壊・同位体」

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 放射性物質の発見
 1802年、イギリスの化学者ドルトンは「原子説」によって、物質を細かくしていくと原子にまで分解されることを提唱した。当時の科学者の多くは物質に本当にそのような構成単位があるのか大いに疑っていて、一般に理解されるには時間を要した。

 1900年、カナダのモントリオールにあるマギル大学で化学の実験助手に就任したフレデリック・ソデイは23歳、共同実験を行ったアーネスト・ラザフォード教授は当時29歳だった。
 原子は不変の粒であると考えられていたが、ラザフォードとソディが発見したウランの放射壊変は原子の概念を大きく変えた。ウランは放射線を出しながら、ラジウムへと変わっていったからである。原子は不変の粒子ではなくなった。

 放射性物質が発見された当時、何かが出ていることは分かっていたが、誰にもその原因はわからなかった。原子の変化が実際に起きていることを証明するため、ソディとラザフォードは慎重に研究を進める必要があった。

 アルファ線の発見
 1903年にフレドリック・ソディはウィリアム・ラムゼーとユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンで、ラジウムの崩壊が、ヘリウムの正の電荷を持つアルファ粒子を生成していることを明らかにした。

 実験ではラジウムの試料は中空のガラス球内に設置されたガラス容器に封入された。アルファ粒子は薄いガラスの壁を通り抜けることができたが、その周囲のガラス容器の中にとどまった。

 長い時間をかけた実験ののち、ガラス球の内容物をスペクトル解析した結果、ヘリウムの存在が明らかになった。

 1908年、アーネスト・ラザフォードは、α線をガラス管に集め、放電スペクトルを調べることでα線がヘリウム原子核であることを発見。この年ラザフォードは、「元素の崩壊および放射性物質の性質に関する研究」によりノーベル化学賞を受賞している。

 原子核の発見
 1911年、ラザフォードの助手であったハンス・ガイガーと学生だったアーネスト・マースデンは、金のうすい箔にアルファ線(正の電荷をもったヘリウムの原子核)をあてる実験を行った(ガイガー=マースデンの実験)。その結果、アルファ線の大部分は金箔を透過するが、一部が大きな角度で散乱される現象を見いだした。ラザフォード散乱の発見である。

 原子は不変・最小の粒ではなく、中心に原子核とよばれる存在が確認された瞬間であった。これ以後、原子核は陽子・中性子からできていることや、核力で結びつけられていること、陽子・中性子はさらに3つのクオークでできていることが解明されていく。

 ソディの射性崩壊・同位体
 1904年から1914年までフレデリック・ソディはグラスゴー大学で講師を務め、この間にウランがラジウムへと崩壊することを示した。ソディはまた、放射性元素が化学的性質が同一にもかかわらず複数の原子量を持つ可能性を示した。ソディはこの概念を、「同じ場所」を意味する「アイソトープ」と名付けた。

 ソディはアルファ崩壊では原子番号が2つ小さい方へ、ベータ崩壊では1つ大きい方へと原子が遷移することを示した。これは放射性元素群の関係を理解する上で基礎となるステップだった。

 1914年にソディはアバディーン大学の教授に任命され、第一次世界大戦に関連した研究をおこなった。1919年に化学の教授としてオックスフォード大学に移り、1936年に退職するまで務めた。
 1921年に放射性崩壊の研究と同位体元素理論の公式化への貢献により、ノーベル化学賞を受賞した。

 フレデリック・ソディとは?
 フレドリック・ソディ(Frederick Soddy, 1877年〜1956年)はイギリスの化学者である。放射性元素の研究で、アルファ崩壊・ベータ崩壊などを見出した。1921年に原子核崩壊の研究、同位体の理論に関してノーベル化学賞を受賞した。また、後には経済学に関する研究もおこなっている。

 アルファ崩壊とは?
 アルファ崩壊(Alpha decay)は、アルファ壊変ともいい、原子核の放射壊変の一種。

 ある原子核がアルファ粒子(陽子2つ、中性子2つの、ヘリウム原子核)を放出し、原子番号と中性子数が2減る(すなわち、質量数が4減る)ことをいう。

 アルファ粒子はヘリウムの原子核でもあり、質量数や中性子数の減少はヘリウム原子核分と等しい。アルファ崩壊は一つの原子が二つの原子へと分かれる核分裂反応ととらえることもできる。

 なお、崩壊の際にアルファ粒子は原子核内で働く核力(強い力)を振り切り、上回るだけのエネルギーを持つわけではない。アルファ崩壊はトンネル効果によりアルファ粒子がエネルギーの壁を通り抜け、原子核から飛び出すことにより起きている。

 原子核外へは強い力が及ばず、さらに原子核とアルファ粒子の間には電磁気力による斥力が働いているため、一度外へ出たアルファ粒子はそのまま原子の外へ高速で飛び出すことになる。

 ベータ崩壊とは?
 ベータ崩壊(beta decay)は、弱い相互作用によって起きる放射性壊変の一群を意味する。この中にはベータ粒子と反電子ニュートリノを放出するβ−崩壊(陰電子崩壊)、陽電子と電子ニュートリノを放出するβ+崩壊(陽電子崩壊)、軌道電子を原子核に取り込み電子ニュートリノを放出する電子捕獲、二重ベータ崩壊、二重電子捕獲 (double electron capture) が含まれる。

 いずれのモードで崩壊しても、質量数は変化しない。つまり、ベータ崩壊は同重体を推移する現象である。

 同位体とは?
 同位体(isotope、アイソトープ)とは、同じ原子番号を持つ元素の原子において、原子核の中性子(つまりその原子の質量数)が異なる核種の関係、あるいは核種である。

 同位体には放射能を持つ放射性同位体 (Radioisotope) と持たない安定同位体 (Stable Isotope) の2種類が存在する。同位体、すなわち放射性物質、と短絡的なイメージが持たれる場合もあるが、これは誤りである。放射性同位体は時間とともに電子・陽子・中性子を放出して原子番号が変わってゆく(放射性崩壊)が、安定同位体は自然界で一定の割合をもって安定に存在している。

 

参考HP Wikipeia「フレデリック・ソディ」「アーネスト・ラザフォード」「アルファ崩壊」「ベータ崩壊」「同位体」 

アーネスト・ラザフォード―原子の宇宙の核心へ (オックスフォード 科学の肖像)
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同位体地球化学の基礎
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第21回ノーベル物理学賞 アインシュタイン「光電効果の法則の発見」

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 受賞理由「光電効果」の理由
 第21回ノーベル物理学賞はアルベルト・アインシュタインである。数々の業績を残し、平和活動などにも熱心だった。特異な風貌とユーモアあふれる言動によって、専門分野を超え、世界中に広く愛されている科学者であり、しばしば天才の例としてもひきあいに出される。

 彼の業績で有名なのは特殊相対性理論と一般相対性理論であるが、ノーベル賞の受賞理由は「光電効果の法則の発見等」。1905年はアインシュタイン「奇跡の年」といわれている。「特殊相対性理論」をはじめ「光量子仮説」「ブラウン運動の理論」「特殊相対性理論」に関連する5つの重要な論文を立て続けに発表した。

 このうち「光量子仮説」がノーベル賞で注目を浴びることになった。この理由はなぜなのだろう?

 実はそこに、ユダヤ人としての人種差別の壁があったという。ノーベル賞の受賞は1922年、日本へ向かう最中、11月9日にアインシュタインは前年度に保留されていた1921年度のノーベル物理学賞受賞の知らせを受けている。受賞理由は「光電効果の法則の発見」によるものであった。

 人種差別の時代
 当時、アインシュタインが構築した相対性理論について「人類に大きな利益をもたらす様な研究と言えるのかと言えば疑問」との声、更には「ユダヤ的」であるとするフィリップ・レーナルト或は、ヨハネス・シュタルクなどノーベル物理学賞受賞者らの批判があった。ノーベル賞委員会は、これらの批判を避けるために、光電効果を受賞理由に挙げたと言われている。

 同じノーベル物理学賞受賞者で、同じドイツ出身の物理学者達から、人種差別的批判を受けたのは残念なことだ。かつてのノーベル賞は「人格」がノーベル賞選出の基準になってなかったのだ。その後、ドイツは20世紀最大の天才科学者を失うことになる。

 1894年15歳の時、ドイツの軍国主義的な教育を嫌い、一家とともにイタリアへ移住する。その後スイスで学び、1913年にはベルリンに戻ることになるが、1932年アメリカへ3度目の訪問をすべくドイツを発つ。翌年にはドイツでヒトラー率いるナチスが政権を獲得。以後ユダヤ人への迫害が日増しに激しくなっていったため、アインシュタインがドイツに戻ることはなかった。1933年、ナチスはアインシュタインを国家反逆者とした。

 アルベルト・アインシュタインとは?
 アルベルト・アインシュタイン(1879年〜1955年)は、ドイツ生まれのユダヤ人理論物理学者。1921年ノーベル物理学賞受賞、受賞理由「光電効果の法則の発見等」

 彼の業績は多岐にわたる。特殊相対性理論及び一般相対性理論、相対性宇宙論、ブラウン運動の起源を説明する揺動散逸定理、光子仮説による光の粒子と波動の二重性、アインシュタインの固体比熱理論、零点エネルギー、半古典型のシュレディンガー方程式、ボーズ=アインシュタイン凝縮などを提唱した。

 特殊相対性理論
 1905年に特殊相対性理論を発表。20世紀に於ける物理学史上の2大革命として量子力学及び相対性理論が挙げられるが、以前から論理的に展開されていた相対性原理(アンリ・ポアンカレ、ジョゼフ・ラーモア、ヘンドリック・ローレンツなど)をもとに、ニュートン力学とマクスウェルの方程式を基礎とする物理学の体系を根本から再構成した。特殊相対性理論では、質量、長さ、同時性といった概念は、観測者のいる慣性系によって異なる相対的なものであり、唯一不変なものは光速度cのみであるとした。

 一般相対性理論
 特殊相対性理論は重力場のない状態での慣性系を取り扱った理論であるが、1915年-1916年には、加速度運動と重力を取り込んだ一般相対性理論を発表した。一般相対性理論では重力場による時空の歪みをリーマン幾何学を用いて記述している。

 さらに後半生の30年近くを重力と電磁気力を統合する統一場理論を構築しようと心血を注いだが、死により未完に終わっている。

 光電効果とは?
 光電効果(Photoelectric effect)は物質中の電子が、光子1個を吸収し、そのエネルギーを自身の運動エネルギーとして物質から飛び出す(もしくは半導体等の伝導帯へ励起される)現象として説明される。

 アルベルト・アインシュタインがマックス・プランクの黒体放射の量子仮説を基にして、電磁波の粒子的な側面を説明するために導入した光の量子である。アインシュタイン自身は光量子 (light quantum) の名前で提唱していた。

 光子1個の持つエネルギー Eは、プランク定数 h、振動数 ν、光速度 c、波長 λ を用いて次のように表した。

  E = hν =h c/λ
 
 1887年、ドイツの物理学者ヘルツ (H.R. Hertz)は、陰極に紫外線を照射することにより、電極間の放電現象が起こって電圧が下がる現象として、光電効果を見出した。

 翌1888年、金属に短波長の(振動数の大きな)光を照射すると、電子が表面から飛び出す現象がドイツの物理学者ハルヴァックス(W.L.F.Hallwacks)によって発見された。

 この現象は、19世紀の物理学では説明することのできない難題であったが、1905年、物理学者のアルベルト・アインシュタインの導入した光量子仮説によって、説明付けられた。

 励起された電子は光電子と呼ばれる。光電子が物質の表面から放出される外部光電効果(external photoelectric effect)と、光照射によって物質内部の伝導電子(これも光電子と呼ぶ)が増加する内部光電効果(internal photoelectric effect)に分けられる。単に光電効果という場合は外部光電効果を指す場合が多い。

今日、光電効果は光センサ、フォトダイオード、太陽電池などに広く利用されている。

 

参考HP Wikipedia「光電効果」「アルベルト・アインシュタイン」「特殊相対性理論」「一般相対性理論」 

アインシュタイン150の言葉

ディスカヴァー・トゥエンティワン

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特殊および一般相対性理論について
アルバート アインシュタイン
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働かない遺伝子「リボゾームRNA遺伝子」の存在理由とは?

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 リボゾームの構造解明
 すべての生物の細胞の中にある、タンパク質をつくる小器官といえば何だろう?

 そう、正解はリボソームである。私たちの体はこのリボソームのはたらきでできている。今回の化学賞の受賞理由は「リボソームの構造と機能の解明」。受賞者は、英MRC分子生物学研究所のベンカトラマン・ラマクリシュナン博士(57)と米エール大のトーマス・スタイツ教授(69)、イスラエルのワイツマン科学研究所のアダ・ヨナット博士(70)の3氏である。

 3氏はX線結晶解析法を用いて、それまで不可能とされてきたリボソームの原子レベルでの構造解明に成功した。これにより、タンパク質合成に関する研究を進めることが可能となった。

 リボゾームは2つの大小のユニットから成り、それぞれが翻訳機の役割とタンパク質合成機の役割を持つ。

 小サブユニットには暗号解読センター(decoding center)があり、mRNAのコドンを1つ1つ解読してtRNA と結合させる翻訳機の役割がある。

 大サブユニットにはペプチジル転移酵素中心(peptidyl transferanse center)がありペプチド結合を形成しタンパク質合成の役割をする。

 ペプチド結合形成の触媒作用の中心的な働きは、タンパク質ではなく厳密に折りたたまれたrRNAが担っている。rRNAはリボソーム内部でコアを形成し、リボソームタンパク質は通常リボソーム表面に存在して折りたたまれたrRNAの隙間を埋めている。

 リボソームタンパク質の主な役割はRNAコアの安定化である。この他、翻訳の開始・終結地点の決定、翻訳の制御・維持などもタンパク質が行っている。(出典:Wikipedia)



 増幅遺伝子
 ほとんどの遺伝子は1細胞あたり1コピーのみ存在するが、中にはコピーを増やし転写産物量を増大させている遺伝子もある。それらは増幅遺伝子と呼ばれ、同一遺伝子が染色体上あるいは染色体外に多数並んで存在する。増幅遺伝子の代表格は、リボソームRNA遺伝子というリボソーム中に存在するRNAをコードする遺伝子で、真核細胞では数百〜数千コピーが巨大な反復遺伝子群を染色体上に形成している。

 リボソームは細胞の全タンパク質の約80%を占めており、その骨格を作るリボソームRNAの遺伝子も1つでは足らず多数必要となる。しかし不思議なことに、その膨大なコピーの半数以上は転写されておらず、なぜこのような「働かない」余分なコピーが存在するのか長年の謎であった。

 今回、国立遺伝学研究所の研究グループが、全く働いていないように見えるリボゾームRNA遺伝子に、ゲノム全体の安定性を維持するという重要な役目があることを突き止めた。

 リボゾームRNA遺伝子
 リボゾームRNA遺伝子は、リボゾームをつくるリボゾームRNAをコード(遺伝暗号を指定)する遺伝子。リボゾームRNAは細胞の中にある全RNAのうちの約7割を占めている。動植物の体をつくる真核細胞ではリボゾームRNA遺伝子の数百から数千ものコピーが存在し、これは進化の過程で細胞が徐々に大きくなるにつれてリボゾームもまた多く必要になったためと考えられている。

 国立遺伝学研究所の井手聖・研究員、小林武彦教授らは、真核細胞のモデル細胞である出芽酵母を用いて、リボゾームRNA遺伝子のコピー数を減らした場合の変化を調べた。コピーを人工的に減らされた酵母は、紫外線や発がん物質などDNAに傷を付ける薬剤に弱くなることが分かった。さらにその理由を調べたところ、DNAの傷の修復に必要な接着機能が働くなってリボゾームRNA遺伝子が壊れ、その結果、ゲノム全体の安定性に影響を与え、細胞の生育を阻害することが明らかになった。

 ゲノム安定性の低下は、がんとの関係があるとみられている。長い進化の過程でがん化に対抗する手段として、リボゾームRNA遺伝子を多数存在させ、その内の大半がDNAを守るために有効なことが分かった。

 今後は、リボゾームRNA遺伝子のコピー数を減らした出芽酵母を用いた研究を進めることで、より副作用の少ない抗がん剤開発なども期待できると研究グループは言っている。 

 

参考:Wikipedia「リボゾーム」「リボゾームRNA」・国立遺伝学研究所「リボゾームRNA遺伝子はなぜ多数存在するか 

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テレコネクションの1つ「太平洋10年規模振動」とは何か?

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 テレコネクション
 ようやく暖かくなってきた。今年は北極震動の影響で、思わぬ積雪が全国で見られた。一方、気象庁は向こう3か月はエルニーニョ現象の影響で、日本南海の亜熱帯高気圧が強くなり、南から暖かく湿った空気が入りやすいため、全国的に気温は平年より高くなる見通しだという。

 6〜8月は、同現象が終息に向かい、日本付近への高気圧の張り出しが弱くなると予想され、北日本では冷夏になる可能性があるという。6〜7月の梅雨時期(沖縄・奄美は5〜6月)の降水量は北日本で平年より多くなるほかは、ほぼ平年並みの見通し。

 北極振動やエルニーニョは北極やペルー沖など、日本から遠く離れた場所で起きたことが、日本の気候に影響を与える現象で「テレコネクション」と呼ばれている。この他にはダイポールモード現象やマッデン・ジュリアン振動などがある。

 太平洋十年規模振動を再現
 今回、テレコネクションの1つである「太平洋十年規模振動(PDO)」の再現に国立大学法人東京大学気候システム研究センター,独立行政法人海洋研究開発機構,及び独立行政法人国立環境研究所の研究グループが成功した。

 太平洋十年規模振動(PDO)とは太平洋各地で海水温や気圧の平均的状態が、10年を単位とした2単位(約20年)周期で変動する現象である。

 これにより,近未来(2030年頃まで)の地球温暖化傾向のゆらぎやその地域的な違いに対する予測性能が向上し,「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第5次評価報告書に大きく貢献することが期待される。

 国立大学法人東京大学気候システム研究センター(センター長 中島映至),独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏),及び独立行政法人国立環境研究所(理事長 大垣眞一郎)の研究グループは,大気海洋結合気候モデルMIROCを用いて10年規模の気候変動を予測するシステムを開発して,スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」上で気候予測実験を行い,環太平洋域における大気・海洋の顕著な変動である「太平洋十年規模振動(PDO)」の再現に成功した。

 PDOは,日本の東方海域と,それを取り囲むようなアラスカからカリフォルニア沿岸,赤道太平洋域の海面水温が10〜20年規模でシーソーのように変動する現象。その動向を客観的にあらわすPDO時係数は,1977年頃に負から正へ大きく変化したことがよく知られていて,最近では2006年頃に正から負への反転が観測されている。

 PDOの物理メカニズムはまだ完全に解明されているわけではないが,海洋大循環(黒潮の強さや位置など)やアリューシャン列島付近の気圧,太平洋域の偏西風の変化を伴い,日本を含む環太平洋域の気温や降水量だけでなく、海洋生態系の変動にも10年規模で強く影響することがわかってきた。

 気候予測システム概要
 研究グループは,季節予報などに適用されている手法を応用して10年規模の変動を予測するためのシステムを開発した。このシステムでは,データ同化という手法を用いて1945年から予測計算スタート時までの水温と塩分の観測データ(いずれも海面から700m深まで)を気候モデルに教え込み,予測計算のスタート時の大気・海洋の状態(初期値)を決める。

 このようにPDOのような内部変動の初期状態を反映させた初期値を使い,地球シミュレータ上で気候変動予測計算を行った。また初期値をわずかに変化させて10通りの予測計算を行い,その平均値を予測結果とみなすこと(アンサンブル予測)によって,結果の信頼性を向上させた。

 2005年7月スタートの再現実験では,2006年頃に観測されたPDO時係数の正から負への変化の再現に成功し,2008年までの平均的な結果も観測値とよく一致しました。負のPDO時係数に伴って,日本付近は高温化しているが,赤道太平洋域の広範囲では低温化しているため,結果として地球平均気温は押し下げられる。長期的な地球温暖化傾向は変わらないが,PDOの影響によって2012〜13年頃までは地球平均気温の上昇が一時的に緩やかな状況が続く可能性が高いと予想される。

 

参考  国立環境研究所「太平洋10年規模振動の再現実験成功」 

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地震の前兆?「リュウグウノツカイ」たびたび漂着それも日本海側 

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 吉兆?それとも...
 年1・2匹が見つかるかどうかの長大な深海魚、リュウグウノツカイが昨秋以降、日本海沿岸に相次いで漂着している。各地の水族館や水産センターが確認しただけで少なくとも19匹。生態はほとんどわかっておらず、昔から「大漁の吉兆」「地震の前触れ」などと各地で言い伝えがある。今季に限ってなぜなのか。謎は深まるばかりだ。

 「長年、水族館に勤務してますが本物を見たのは初めて。大きさに驚きました」。福井県坂井市、越前松島水族館の笹井清二飼育員(38)が3日の出来事を振り返る。

 福井新港で釣りをしていた男性から「リュウグウノツカイがいる」と連絡を受け、駆けつけると、長さ3.61メートルの魚が消波ブロックに引っかかって死んでいた。メスと思われる。1月31日にも近くの海岸に漂着しており、「珍魚が続けて見つかるなんて」と笹井さんは不思議がる。

 竜宮城からの使い、との言い伝えがあるリュウグウノツカイは硬骨魚類としては世界最長。細長く、大きいものでは10メートルほどになる。世界中の外洋の水深200メートル以上に生息するとみられる。

 温暖化の影響か?
 各地の水族館や水産センターによると、昨年11月20日に松江市沖で弱って漂っていた4.3メートルのリュウグウノツカイを釣り人が引き揚げて以来、石川県や富山県を中心に少なくとも8府県で19匹。確認していないものの、見たという報告を含めると40匹近く。ほとんどが発見時にすでに死んでいたり、発見直後に死んだりしている。

 それにしても、なぜ、今季に限って相次ぐのか。

 越前松島水族館の稲木明浩副館長は「遊泳力の弱い魚なので、荒れた冬の日本海で海水がかき回されたせいだろうか」と話す。だが、日本海が荒れるのは今年に限った話ではない。

 深海魚に詳しい尼岡邦夫・北海道大名誉教授は「元々暖流域にすむ魚。日本海では最近、今まで取れなかった南の魚が水揚げされるなどの報告が多い。海水温の上昇と関係があるのかも」と推測する。

 千葉県立中央博物館の宮正樹・上席研究員は「そもそも、どこで産卵し、どう成長するのかも分からない。なぜ、これほど見つかるのか理由を特定するのは難しい」と話している。(asahi.com 2010年2月21日)

 リュウグウノツカイとは? 
 リュウグウノツカイ(竜宮の遣い、学名 Regalecus glesne syn. Regalecus russelii)は、魚類アカマンボウ目リュウグウノツカイ科の唯一の種である。

 全長は5.5mほどだが、10mほどになるものもいる。リュウグウノツカイおよびその近縁種は、硬骨魚類の中では世界最長である。

 体は左右から押しつぶされたように平たく、タチウオのように細長い。頭の部分が最も体高が高く、あとは尾に向かって細くなる。下あごが前方に突き出ており、口は斜め上に向かって開く。歯はない。

 背びれは長く、頭のすぐ後ろから始まって尾びれまで繋がっているが、前端の6つの軟条は糸のように長く発達する。2つの腹びれも糸のように長く発達し、先端が木の葉のようになっている。尾びれも糸状で、尻びれはない。体色は全身が銀白色で、灰色の薄いまだら模様が上下と互い違いに並んでいる。各ひれは赤い。まさに和名「竜宮の遣い」にふさわしい外見をしている。死ぬと色みが消える。

 謎の生態
 外洋の中層で、群れを作らず単独で生息する深海魚である。人前に姿を現すことは滅多にないが、特徴的な姿は図鑑などでよく知られている。

 生態は、ほとんど不明だが、インド洋から太平洋にかけての深海に分布するとみられる。泳ぐ時は体をまっすぐ伸ばし、背びれを波打たせて泳ぐ。食性は肉食性でエビ、オキアミ、クラゲ、イカなどを捕食する。敵は外洋性のサメ類と考えられている。

 生きて泳いでいる姿を撮影した映像記録は非常に少なく現在一件のみが確認されている。

 卵は浮性卵で、海中を浮遊しながら発生し、生まれた稚魚や若魚は外洋の海面近くでプランクトンを捕食しながら成長する。成長するにつれ水深200-1000mほどの、海洋の中層へ移動していくとみられる。

 傷ついた個体や波浪に巻き上げられた個体がたまに海岸に姿を現し、沿岸の住民を大いに驚かせるが、そのインパクトの強い外見から日本の龍宮や人魚、西洋諸国のシーサーペントなど、多くの伝説が生まれたと考えられている。

 

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これが冥王星の姿だ!ハッブルの画像、20台のCPで4年計算

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 準惑星になった冥王星
 冥王星は、2006年までは太陽系第9惑星とされていた天体。2006年8月14日からチェコのプラハで開かれた国際天文学連合 (IAU) 総会で準惑星に格下げになった。

 会議では、当初提出された定義案に従うならば、冥王星が惑星として残るのに加えて冥王星の衛星カロン、小惑星ケレス、2003 UB313(エリス)が惑星とみなされ、惑星は12個となるはずであった。

 しかし、天文学者などから強い反対の声が噴出し、原案は大幅な見直しを余儀なくされた。結局、8月24日に採択された議決において「惑星」、「dwarf planet」(準惑星)、「Small Solar System Bodies(太陽系小天体)」の3つのカテゴリが定義されることになった。

 惑星
1.太陽のまわりを公転していること。
2.自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自3.己の重力により重力平衡形状になっていること。
4.軌道上の他の天体を排除 (clear) していること。

 準惑星(dwarf planet)
1.太陽のまわりを公転していること。
2.自己の重力によって球形になるほど十分な質量を持っていること。より明確にいうと、自己の重力により重力平衡形状になっていること。
3.軌道上の他の天体を排除 (clear) していないこと。
4.衛星ではないこと。

 Small Solar System Bodies
 太陽のまわりを公転している天体で、惑星、dwarf planetでないほとんど全ての天体(小惑星の大部分、太陽系外縁天体の大部分、彗星その他)。

 IAUは上記の定義の元で、それまでの9つの惑星のうち冥王星は惑星としての条件の3つ目を満たさないとして、惑星の総数を8つとするとともに、冥王星を「dwarf planet」に再分類し、太陽系外縁天体内の新しいサブグループの典型例とみなすと決議した。(Wikipedia)

 NASA冥王星画像公表
 さて、そんな冥王星だが、最後まで惑星とする意見の中で、巨大な衛星カロンをもつことそして大気をもつことをあげる天文学者もいた。

 今回米航空宇宙局(NASA)は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した写真から作製した準惑星・冥王星の高精細合成画像を公表した。地球から遠い冥王星の観測は難しく、表面の様子はよくわかっていなかったが、黒っぽい部分やオレンジ色の部分があるなどの特徴や大気の存在がはっきり映し出された。

 この画像は2002年から翌年にかけて、ハッブル搭載のカメラで撮影された写真約400枚を合成して作った。白っぽく光る部分は、一酸化炭素が固まった霜だと考えられている。

 1994年に撮影された白黒の画像と比較すると、模様が変化していることもわかった。冥王星はいびつな公転軌道を持っている。太陽からの距離が大きく変わるのに伴って、温度も大きく変化し、表面の様子も変わっているらしい。

 研究チームのマーク・ブイエさんによると、ハッブルがいろいろな角度から撮った元の写真では、冥王星は数ピクセルの大きさだが、20台のコンピューターに4年間計算させるとこんな画像ができるという。ブイエさんは「地上から月面を肉眼で見る程度の画質だが、第一歩」という。

 冥王星は、2006年に惑星から準惑星に「格下げ」されて評判になった。NASAの探査機ニューホライズンズが2015年に初めて接近することになっている。(asahi.com 2010年2月16日)

 精密画像から分かること
 冥王星のオレンジ色と灰色の色彩は、太陽光が地表を包むメタンガスを分解してできた炭素を多く含む残留物によって作り出されている可能性があることが、今回作成された画像からわかっている。

 ハッブルが撮影した写真から地表の詳しい状態を探ることはできないが、地表上の明暗がはっきりとうかがえることから、冥王星の地形が非常に変化に富んだものであることが推察される。

 さらに、今回の画像と以前の画像とを見比べると、冥王星は2000年から2002年にかけて、南半球側が著しく赤黒い色に変化し、一方で北半球側は明るさを増したことが分かるという。おそらくは冥王星の季節の変化に応じて、氷がいったん溶けた後で再び固まったからだろうと、カリフォルニア州パサデナにあるカリフォルニア工科大学のマイク・ブラウン氏は記者会見で語った。

 冥王星は、太陽系の中のカイパーベルトと呼ばれる領域を、非常に細長い楕円を描きながら248年かけて太陽の周りを一周している。冥王星の軌道が楕円形であるため、軌道上の場所によって太陽までの距離に差があり、一番近い位置で約44億キロ、一番遠い位置では約73億キロと大きな差がある。

 カイパーベルトの謎に迫る!
 ブラウン氏によると、太陽までの距離の極端な差が、これまで確認されている太陽系の天体の中でも最大規模の変動が冥王星の地表に生じる原因だという。同氏は、木星や土星などの大気に包まれた惑星の表面の様子が絶えず変化していることを例にあげ、「季節があると変化も激しくなる。なぜなら季節風が地表にあるものを色々な場所に運んで回るからだ。それでも、冥王星のように地表が急激に変化する例は珍しい」と語った。

 冥王星の季節が春から秋に変わる時の変化をブラウン氏は次のように説明する。「地球なら、気温摂氏15度から21度ほどの心地よい春だったのが、秋になった途端に摂氏マイナス68度ほどにまで急激に落ちるようなもので、とても住めるような所ではない」。

 ハッブルの撮影による最新の冥王星の写真は、実際には最近の改良前まで搭載されていたカメラで撮影されたものである。2009年に「広視野カメラ3」(Wide Field Camera 3: WFC3)が搭載されてからは、冥王星を以前よりも鮮明に撮影できるようになった。

 しかし、冥王星の姿を最も良く伝える写真はニューホライズンが撮影することになりそうだ。2006年に打ち上げられたニューホライズンは、冥王星までの距離の半分以上の飛行を終えている。やがて冥王星を周回する軌道に乗って、カイパーベルト内に存在する、その多くが未解明の物体について新たな観察情報を地球に送る最初の宇宙探査機となる予定である。

「冥王星は太陽系外縁部にある天体で最も大きいわけではない。しかし冥王星こそは、地球に最も近いこともあり、太陽系外縁部にあるその他すべての天体について私たちが最も多くを学ぶことができる天体だろう」。 (National Geographic News 2010年2月5日)

 

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かくして冥王星は降格された―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
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硝化菌で温室効果ガス「N20」を減らし、家畜糞を堆肥化!

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 動植物に必須「窒素循環」
 窒素循環(Nitrogen cycle)は、自然界の窒素(N)とこれを含む構成要素の間の変換についての循環で、生物地球化学的循環の一部をなす。気体の要素も含んでいる。

 窒素はタンパク質を構成するアミノ酸やDNAやRNAのような核酸にも含まれている。つまり窒素は生物にとって不可欠の存在である。

 窒素の最大の貯蔵所は大気であり、その78%は窒素ガス(N2)である。窒素ガスは、極めて安定な物質であり、またそのままでは生物には利用できない。従って空中の窒素は、そのままでは窒素の循環の経路にはなりがたい。実際にはこの窒素は窒素固定と呼ばれるプロセスによって「固定」される。窒素固定では、窒素と酸素から硝酸塩(NO3-)などを生成する。

 硝酸塩は植物や動物によって使われる(食物連鎖によって循環していく)。窒素固定は、雷でも起きるし、人工的にも起こせるが、主役は土壌内の窒素固定能力を持ったバクテリアであり、例えばマメ科植物の根にある根粒菌も窒素固定を行う。窒素固定菌は、ある酵素を使って窒素ガスを硝酸塩に変化させる。

 動植物に使われた窒素は、排泄物や死体の腐乱によって開放される。腐食動物や分解者が動植物の排泄物や死体を分解し、窒素はアンモニア(NH3)に姿を変える。アンモニアは毒性があり、動植物は利用できない。

 しかし、土壌内の亜硝酸菌がアンモニアを亜硝酸塩(NO2-)に変化させる。亜硝酸塩も多くの動植物は利用できないが、硝酸菌が亜硝酸塩を硝酸塩に変化させ、再び動植物が利用可能な形になる。一部の硝酸塩は脱窒のプロセスを経て窒素ガスに変化する。

 「窒素循環」の立役者達
 根粒菌はマメ科植物の根に根粒を形成し、その中で大気中の窒素をニトロゲナーゼによって還元してアンモニア態窒素に変換し、宿主へと供給するいわゆる共生的窒素固定を行う土壌微生物。根粒内には宿主から光合成産物が供給されることにより、共生関係が成立している。

 亜硝酸菌とは土壌中のアンモニアを亜硝酸に酸化する細菌と古細菌の総称。硝酸菌とともに硝化菌ともいう。生物体やその排出物が腐敗して生じるアンモニアを亜硝酸に変え、その際発生するエネルギーを炭酸同化に用いる。

 反応式は「2NH₃+3O₂→2HNO₂+2H₂O+158kcal(660kJ)」である。 亜硝酸は更に硝酸菌により硝酸に変えられる。

 硝酸菌は、亜硝酸を硝酸に酸化することで得られるエネルギーを用いて炭酸固定を行うプロテオバクテリアの一群。土壌中や海洋に広く生息する。Nitrobacter 属、Nitrococcus 属などが含まれる。亜硝酸菌とともに硝化作用を通して自然界の窒素循環に役立っている。

 NO2- + 1/2 O2 = NO3-, -�僭 = 18 kcal

 温室効果ガス・一酸化二窒素(N2O)
 養豚場から排出される糞を堆肥化する際に発生する一酸化二窒素(N20)を大幅に減らす技術開発に、農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所が成功した。

 N20は気候変動枠組み条約京都議定書でも削減対象になっている温室効果ガスで、地球温暖化への影響が一分子あたり二酸化炭素(CO2)の約310倍高いと言われている。対策が進むフロン類に代わり、オゾン層破壊物質としても最も大きい影響を持つことが最近の研究で分かった。発生源の65%は家畜の糞尿とも言われ、家畜の糞尿を堆肥にする過程で大量に大気中に排出される。

 畜産草地研究所のこれまでの研究で、堆肥化が進む過程でできる亜硝酸イオンが長期間・高濃度に蓄積し、これがN2Oに変化すると考えられている。

 硝酸菌(亜硝酸酸化細菌)を活用
 新しく開発された方法は、亜硝酸イオンがN20に変化する前に亜硝酸イオンを硝酸イオンに変えてしまうのが狙い。堆肥化の途中段階にある豚の糞に硝酸菌(亜硝酸酸化細菌)を多く含む完熟堆肥を重量比で1.5-10%添加した結果、N20の発生量を平均で60%削減できることが確認された。

 堆肥化は初期に有機物が活発に分解されるため温度が60℃以上まで上昇する。亜硝酸酸化細菌は高温に弱いので、60℃から温度が下がり始める時期を狙って完熟堆肥を添加するのがこの技術のポイントだ。

 畜産草地研究所は今後、実規模に近い堆肥化試験に加え、この技術を牛や鶏など他の家畜糞にも適用することを検討したいと言っている。

 

参考HP Wikipedia「窒素循環」「根粒菌」「亜硝酸菌」「硝酸菌」・農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所「温室効果・オゾン層破壊をもたらす一酸化二窒素ガスを抑制し、家畜糞を堆肥化 

地下水の硝酸汚染と農法転換―流出機構の解析と窒素循環の再生 (自然と科学技術シリーズ)
小川 吉雄
農山漁村文化協会

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見てわかる 地球の危機
ナショナル ジオグラフィック
日経ナショナルジオグラフィック社

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RHIC 宇宙創成直後 4兆度再現!あなたの知らない超高温の世界

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 温度計ではかれる温度
 身の回りの温度計、何度まではかることができるのだろう?

 日常目にするものは100℃までのものがほとんどである。天ぷら用の温度計で約200℃まで、このあたりまでなら市販されている。しかし、それ以上高温となると一般では手に入らない、特殊な温度計が必要となる。高い温度を正確に測定するのは現代でも難しい課題だ。

 そんなに高温なんて、日常ほとんど使わないから関係ない?ちょっと待ってほしい。高温の世界には重要なことがたくさんある。

 例えば、物が燃える温度は発火点といって、物質によって違う。燃え出す温度を発火点と言って、紙の発火点は450度、木の発火点は400〜470度位。マッチに使われている赤リンは発火点がとても低くて260度位。マッチは燃え始めは低い温度だが、火が付いた瞬間のマッチの温度は何と2500℃にまで上昇する。

 あなたの知らない高温の世界
 よい鉄をつくるには、正確な鉄の融点 1,535 ℃の測定が欠かせない。広島に落ちた核分裂原子爆弾の1秒後の温度は 3,027 ℃ 爆心地にいた人は一瞬で蒸発してしまい影だけが残った。

 5,507 ℃ は太陽の表面温度。私たち人類が生きるためには、太陽エネルギーがなくてはならないが、太陽の中心温度は約1400万℃、核融合反応の起きるためには、温度が最低でも約1000万℃は必要だという。

 人類がこれまでに核融合実験でつくった最高温度は、約5億℃だ。1億℃を越えると、3つのヘリウム原子核がトリプルアルファ反応により核融合を起こし、炭素が生成され始めるという。 

 宇宙の始まりビッグバンから30万年後にはまだ宇宙は 5,927℃高温だったという。ビッグバン後10,000 年後の宇宙の平均温度では 24,727 ℃。もっと遡って宇宙の誕生直後はどのくらいあったのだろうか?

 熱力学の第3法則により、温度の正体は原子のエネルギー状態に等しいから、高い方に上限はない。「温度0=エネルギー0」の状態は理論的にはあるが現実にはない世界。

 宇宙創生直後の超高温状態再現
 そんな不思議な熱・温度の世界であるが、理化学研究所と高エネルギー加速器研究機構は2月16日、金のイオン同士を衝突させ、約4兆度という実験室で実現した温度としては最高記録を達成したと発表した。

 実験は、米ブルックヘブン国立研究所の相対論重イオン衝突加速器(RHIC)を用いて行われた。4兆度は太陽中心温度の10万倍も高く、また、これまで理論計算法を用いた大規模計算機シミュレーションで得られた宇宙創生直後の温度推定値約2兆度をはるかに上回っている。

 このような高温を直接測る温度計はない。衝突の結果、バラバラに壊れた粒子の一部が瞬時に熱的光子に崩壊する現象を利用し、熱的光子の発生量とエネルギー分布を正確に測定することで温度を割り出すことに成功した。

 約4兆度という高温では、陽子や中性子を構成するクォークとグルーオンがプラズマ状態になっていると考えられている。宇宙ができた直後の数十万分の1秒の間、宇宙はクォークとグルーオンのプラズマ状態で満たされていた。その後宇宙が冷えて、クォークとグルーオンは陽子や中性子に凝縮、さらにその後、原子核や原子とそれらが集まってできる星がつくられたという。

 どうしてこのような研究の意味があるのかについて理化学研究所と高エネルギー加速器研究機構は、宇宙創生直後の宇宙の状態をより詳しく研究できることに加え、素粒子の基本作用の一つである「強い相互作用」とその理論である量子色力学の性質を解明できる、と説明している。(サイエンスポータル 2010年2月17日)

 熱的光子で分かる超高温
 衝突初期に発生する光の粒子である光子は、高温物質から熱的に放射されるため、熱的光子と呼ばれる。熱的光子は、その周りに作られている高密度物質によって乱されることなく外部に放出される。その発生量とエネルギー分布は、衝突初期の温度とその後の時間発展を反映している。このため、この熱的光子を測定することで、衝突初期の温度を直接的に測定することが可能になる。
 
 しかし、この熱的光子の測定は非常に困難。RHICの金原子核同士の衝突では、衝突1回あたりに数千個もの崩壊した粒子が発生(生成)するが、これらの粒子の中には、発生後瞬時に光子に崩壊するものも多く、それが測定したい熱的光子を隠すバックグランド(雑音光子)となり、測定を難しくする。雑音光子の発生量は、熱的光子の発生量の約10倍もあり、しかも雑音光子と熱的光子を直接区別する方法はなかった。
 
 研究グループは、高エネルギーの光子の一部が、電子とその反粒子である陽電子の対(電子・陽電子対)に変換することを利用して、熱的光子を雑音光子から分離し、その発生量とエネルギー分布を測定することに成功した。アインシュタインの有名な質量とエネルギーの関係式 E=mc2 に従って、光子(エネルギー)は物質(電子・陽電子対)に変換。光子が電子・陽電子対に変換する割合は、理論により正確に計算することができるため、光子自身ではなく、電子・陽電子対を測定することで、もとの光子の発生量を求めることができる。

 雑音光子を物質から算出
 研究グループは、電子・陽電子対の測定領域を適当に選ぶことで、雑音光子の量を約5分の1に減らした。残りの雑音光子成分については、その元になる親粒子の生成量を測定し、雑音光子の発生量を計算して差し引くことで、余剰光子成分を算出した。
 
 陽子同士の衝突では、高温物質を生み出すエネルギーに達することがないために、熱的光子は発生しない。また、金原子核衝突の場合と異なり、余剰光子成分はほとんど残らず、わずかに残った余剰光子も、反応初期に高エネルギーのクォークとグルーオンが衝突した結果生ずる光子として説明できた。

 従って、金原子核衝突で観測した余剰光子は、その大部分が金原子核衝突で作られた高温物質から生じている光子、すなわち熱的光子と考えられる。
 
 こうして求めた、熱的光子の発生量とエネルギー分布を、理論予想と比較することで、反応初期の高温物質の温度を推定しました。その結果、理論計算から求められたクォーク・グルーオン・プラズマへの転移温度である約2兆度をはるかに超える、4兆度程度と推定された。

参考HP Wikipedia「核融合」・Panasonic Kids School「熱の不思議」 ・理化学研究所「重イオン衝突型加速器「RHIC」で4兆度の超高温

ビッグバンをつくりだせ―新型加速器:リニアコライダーが宇宙誕生の瞬間に迫る
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まるで環境ホルモン?タミフルが河川から「微量検出」の影響

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 タミフル
 タミフルというと、インフルエンザ治療薬。日本では中外製薬が製造輸入販売元となり、A型、B型のインフルエンザに作用するものとして利用されている。C型インフルエンザには効果がない。トリインフルエンザはA型であり、H5N1型の高病原性トリインフルエンザにもある程度有効との研究結果が報告されている。

 「タミフル」を服用していた2人の患者が異常行動の結果事故死(転落死など)したことが報道された。しかし一方で、インフルエンザ自体の症状として意識障害や精神神経系の異常症状がでることもあり、オセルタミビルが原因ではないとの一部専門家による見解がある。現時点では原因を特定できていない状況である。

 何かと問題点のあるタミフルであるが、現在のところ有力なインフルエンザ対策だ。しかし、またもやタミフルについて問題が起きた。何とタミフルが河川を汚染しているというのだ。何でタミフルが河川を汚染するのだろう?また、薬であるのになぜ汚染というのだろう?

 

 タミフルの河川汚染
 それは、日本薬剤師会の調査で分かった。新型の豚インフルエンザで使用が急増した抗インフルエンザウイルス薬「タミフル」が生活河川を通じて環境に与える影響を探るため、日本薬剤師会が全国調査を始めた。すでに国内の河川では、下水などから入ったとみられるタミフルの代謝産物が微量ながら確認されているという。日本は世界中のタミフルの7割を消費するという推計も過去にあり、環境影響の把握が求められている。

 代謝産物とはタミフルが患者の体内でウイルスを抑えるための形に変化したもの。タミフルなど医薬品が河川に入り込む経路ははっきりしていないが、尿などの排泄(はいせつ)物や、のみ残した薬をトイレに流す場合などが考えられる。水鳥などがこれを飲んで体内でウイルスと接するうちに、突然変異で薬が効かず感染力が強いウイルスが生まれないかと懸念される。

 環境への医薬品の残留はタミフルだけの問題ではなく、同会はこれまでも鎮痛剤や向精神薬などによる環境影響の調査に取り組んできた。今回もその一環で、タミフルを追加。新型の流行した昨秋から水道水の水源や下水処理場近くの河川計約50地点で水を採取、分析している。藤垣哲彦常務理事は「5月ごろまでにまとめたい」と話す。

 耐性ウイルスの危険性
 2008〜2009年の季節性インフル流行時に、京都大学大学院・流域圏総合環境質研究センターの田中宏明教授らが京都で行った調査では、下水処理後の水域でもタミフルの代謝産物が検出された。

 濃度は感染の流行が広がる時期ほど高く、ピークには1リットルあたり約300ナノ(ナノは10億分の1)グラムだった。ただし、今すぐ人体や生態系に何らかの影響を与えるほどではないという。

 販売元の中外製薬によれば、今シーズンのタミフルの供給量は前シーズンの約3倍。国立感染症研究所の調査では、今シーズンは、8〜9割の患者に抗ウイルス薬が使われているとみられる。

 冬の渡り鳥は、下水処理場からの温かい水を好む傾向があり、「海外では、代謝産物が残留した水を渡り鳥がくり返し飲んだ場合、薬が効きにくい耐性ウイルスが出現するのではないかと指摘されている」と田中教授はいう。

 国立感染症研究所の岡部信彦感染症情報センター長は「まだ仮説に過ぎず、ただちに影響があるわけではないが、長期的に研究すべき課題だ」と指摘している。(asahi.com 2010年2月14日)

 環境ホルモン
 河川にごくわずかに残留しているタミフルが、そんなに問題なのだろうか?これについては、環境ホルモンを思い出す。ごくわずかに環境中に存在し、ホルモン的なはたらきをすると考えられた化学物質のことである。

 「沈黙の春」が発表された直後の1960年代後半からすでにDDTなどがホルモン的作用をする可能性が指摘されていたが、一般には1997年に出版された「奪われし未来」が指摘したことから注目された。またフォム・サールらがDES(ジエチルスチルベストロール)について「低濃度でだけ」影響が現れる場合があると報告したが、従来の毒性学によれば低濃度で出た影響は「高濃度でも」見られるはずであることから、学術的にも問題視された。

 日本では1998年5月に環境庁(当時)が発表した「環境ホルモン戦略計画 SPEED '98」にて、「内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質」67物質をリストしたことにより、強い不安感が高まり、一気にメディアに「環境ホルモン」の言葉が登場するようになった。 ただし、その後に検証実験事実が蓄積されるに従い、ほとんどの物質は哺乳動物に対する有意の作用を示さないことが一部に報告されている。

 その知見等を踏まえ、環境省は上記リストを取り下げた。現在では、リストは単に調査研究の対象物質であり、このリストに掲載されていたことをもって環境ホルモン物質もしくは環境ホルモン疑惑物質などと言うことは根拠がなくなったとされている。

 環境ヒトホルモン?
 特にヒトや動物の生殖機能は、男性(オス)も女性(メス)も、性ホルモンと呼ばれる一群のステロイドホルモンの影響を非常に強く受けて微妙な調節がなされているため、体外のホルモン類似物質の影響を受けやすいとされている。

 河川、湖、海岸付近など、人間社会の近くに生息する魚類、貝類などの調査により、環境水中の内分泌攪乱化学物質の影響で生殖機能や生殖器の構造に異常が生じる現象が報告されている。

 ただし、こうしたメス化は、化学物質の作用ではなく、下水から排出される屎尿、つまり女性の尿に含まれる女性ホルモンのせいではないかという報告もあり、現在では人間の人口が爆発的に増えたため人のもつホルモン自体が他の生物に影響をあたえたものも多く指摘されている。(出典:Wikipedia)

参考HP Wikipedia「環境ホルモン」「タミフル」

 

やっぱり危ないタミフル―突然死の恐怖

金曜日

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環境生殖学入門―毒か薬か 環境ホルモン
堤 治
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「いぶき」(GOSAT)・「だいち」(ALOS) 宇宙から地球環境を守れ!

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 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」
 環境省とJAXAが打ち上げた、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データ解析結果を、誰でも自由にインターネット上で利用することが可能になった。「いぶき」は二酸化炭素やメタン濃度を測定したり、雲・エアロソルセンサによる地球観測画像データを送ってくる。

 地上約666 kmの高度を飛行して約100分で地球を一周し、3日間で同じ軌道に戻る。3日間で数万点の観測を全球にわたり偏りなく行う。実際には、解析可能な地点は雲の無い晴天域に限られるため、二酸化炭素とメタンのカラム量を算出できる地点数は全観測数の10%程度になるが、現在の百数十点の地上測定に比べて測定点数は飛躍的に増加し、これまでの測定の空白域を埋めることができる。

 このデータによって、例えば中国やインドの経済発展地域の二酸化炭素濃度が高くなっていることが観測できる。

 「いぶき」(GOSAT)観測データ公開 
 (独)宇宙航空研究開発機構及び(独)国立環境研究所及び環境省は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT:平成21年1月23日打上げ)による観測データの解析結果(二酸化炭素・メタン濃度等)について初期検証作業が完了したのに伴い、当該データの一般提供を平成22年2月18日より開始すると発表。

 また、雲・エアロソルセンサによる地球観測画像データについては初期校正作業が完了し、11月中旬の一般提供に向けた準備を進めている。

 なお、今後、さらに解析結果のデータ質の向上等を進めるとともに、平成23年上半期を目処に、月別・地域別の二酸化炭素吸収排出量(収支)の一般提供を開始する予定。

 データの取得は、利用希望者が国立環境研究所のウェブサイト(http://data.gosat.nies.go.jp/)よりユーザ登録を行ったうえで、データベースの中から希望する地点、日時のデータを検索・選択のすることにより、ダウンロード可能。(2010.02.16 国立環境研究所 )

 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)は世界最大級の地球観測衛星。地球資源衛星1号「ふよう」(JERS-1)と地球観測プラットフォーム技術衛星「みどり」(ADEOS)の開発と運用によって蓄積された技術をさらに高性能化したもので、地図作成、地域観測、災害状況把握、資源調査などへの貢献が目的である。

 観測機器としては、標高など地表の地形データを読みとる「パンクロマチック立体視センサ(PRISM)」、土地の表面の状態や利用状況を知るための「高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)」、昼夜・天候によらず陸地の観測が可能な「フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)」の3つの地球観測センサを搭載し、詳しく陸地の状態を観測する機能を持っている。

 「だいち」のセンサは地形情報を正確に取得することが可能。地表の基準点などの情報に頼らずに、世界中の2万5000分の1の地図作成ができる、地形データ収集を行える。また、「地球環境と開発との調和を図るための地域観測」「国内外の大規模災害の状況把握」「国内外の資源探査」など、様々な分野で利用される。

 南極基地周辺の海氷状況
 独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)・情報技術研究部門・地球観測グリッド研究グループは、独自に開発している地球観測データ統合システムGEO Grid( http://www.geogrid.org/jp/index.html )を用いて衛星画像データを処理し、南極観測船「しらせ」が昭和基地に接近した2010年1月に第51次南極地域観測隊(以下「観測隊」)に画像として提供した。

 この画像により、「しらせ」と昭和基地周辺の海氷状況が把握でき、「しらせ」の夏季の主な活動である昭和基地への物資輸送および観測隊が基地周辺で観測を実施する上で航路計画や安全行動などに役立った。

 提供した衛星画像は陸域観測技術衛星ALOS「だいち」に搭載されたPALSAR(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー)によって取得されたもので、財団法人 資源・環境観測解析センターからのデータ提供の下、2009年11月6日および同年12月22日の受信データ(46日毎に同一地域の上を飛ぶ衛星から得られたデータ)をGEO Gridで画像処理し、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(以下「極地研」)を経由して観測隊に画像を提供した。(2010年1月11日 産総研)

 インドネシア熱帯雨林の火災監視
 温室効果ガスの吸収源であるインドネシアの熱帯雨林が、排出源に転じている可能性があることが、大崎満・北海道大教授(植物栄養学)や国際協力機構(JICA)の研究で分かった。頻発する森林火災の煙で太陽光が遮られ、光合成が抑制されるためと考えられる。チームは今月、「だいち」(ALOS)を使って、森林火災の影響を抑え吸収源に戻すプロジェクトを始めた。

 チームは1997〜2007年、中部カリマンタン州の熱帯雨林約100万ヘクタールを対象に、(1)天然林(2)森林は残っているが、農業用水路を掘るなどの開発で乾燥が進む地域(3)森林火災の跡地−−での温室効果ガスの排出と吸収を測った。

 その結果、乾燥地と火災の跡地では、1平方メートル当たりの年間排出量が、吸収量を1500〜3000グラム上回り、天然林でも、排出量が吸収量より約400グラム多かった。天然林は大気中の二酸化炭素を吸収する働きがある。

 しかし、断続的に起きる森林火災の煙が太陽光を遮り、光合成を抑制。さらに乾燥地では微生物の活動が活発になるため、有機物が分解されて大量の温室効果ガスを出していると考えられた。

 熱帯雨林の地面(泥炭地)は大量の温室効果ガスを蓄えており、火災や開墾で空中に放出される。この放出量を含めたインドネシアの温室効果ガス排出量は米、中に次いで多い。今回の調査対象地域だけでも、日本の1990年の排出量の13%に相当する1億6400万トンを排出した計算になる。

 大崎教授は「森林の火災や乾燥を防止しなければ、残っている天然林の吸収機能も奪われかねない」と話す。(毎日新聞 2010年2月13日) 

 

気象衛星画像の見方と使い方
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まさか?減速する地球温暖化 成層圏の水蒸気減少が影響?

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 地球温暖化がストップ?
 今年の冬は、日本の各地に大雪をもたらした。あまり雪の降らない湘南でも、数回降雪している。その原因は、たびたび上空に流れ込んでくる寒気にある。地球温暖化はどうしたのだろう?そう思うのは私だけではないであろう。その予兆は昨年からあった。

 それは太陽黒点である。黒点がほとんど出現しない時期が1年ほど続いたあと、昨年の2009年9月28日にようやく出現、それから増加の傾向にあるものの、まだまだ少なく太陽活動は全体的に静穏期にある。本格的な増加は夏以降だと見られている。このような太陽活動の少なさは、これまでの約100年間に見られなかったものだ。

 また、空気中に含まれるエアロゾルの影響も見逃せない。1991年のピナトゥボ山噴火は、エアロゾル濃度の世界的な増加をもたらし、気温を低下させた。恐竜の滅亡も、隕石の衝突によるエアロゾルの増加が関係しているとされる。

 このように、地球温暖化は温室効果ガスとして、二酸化炭素ばかりが注目されているが、太陽活動などや他の要因も多く関係している。


 
 温室効果ガスの主役は?
 そもそも温室効果ガスとは何だろうか?温室効果ガスは、大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより温室効果をもたらす気体の総称である。

 対流圏オゾン、二酸化炭素、メタンなどが該当する。京都議定書における排出量削減対象となっていて、環境省において年間排出量などが把握されている物質としては、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)(一酸化二窒素)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)の6種類がある。

これらの温室効果は二酸化炭素を1としたとき、メタンは21倍、一酸化二窒素で310倍にもなる。六フッ化硫黄では23,900倍もある。もちろん圧倒的に二酸化炭素の濃度の方が高いのは確かだが、二酸化炭素よりもっと濃度が高く、温室効果の高い気体がある。それは何だろう?

 正解は水蒸気。これは二酸化炭素より多量に空気中に存在し、最大の温室効果をもたらす。現在の大気の温室効果は約6割が水蒸気、約3割が二酸化炭素によるものだそうだ。つまり、もし大気中の水蒸気量が変化したら、地球温暖化に大きな影響が出ることになる。

 しかし、まさか空気中の水蒸気はそんなに変化しないだろう...と思われていた。

 成層圏の水蒸気が10%減少
 今世紀に入って地球の気温上昇が鈍り、横ばい傾向になっているのは、上空の成層圏にある水蒸気の減少が関係しているとの分析を米海洋大気局(NOAA)のスーザン・ソロモン博士らのグループがまとめた。米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の2007年報告書は地球温暖化により、今世紀末に気温は20世紀末に比べ1.1〜6.4度上昇すると予測している。しかし、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)は増え続けているのに気温上昇が横ばいなことから、一部の専門家は「地球温暖化は止まった」とIPCCの分析を疑問視している。

 成層圏は地表に近い対流圏の上にある。水蒸気の量などは衛星観測により、広範囲のデータ分析が近年可能になった。水蒸気が減った理由は不明だが、気温の変化の仕組みを解明する手がかりになる可能性がある。

 研究グループによると、成層圏下部の水蒸気濃度は2000年ごろを境に、10%程度減っていた。温室効果ガスなどによる気温上昇の効果を25%程度抑え、本来なら気温が0.14度上がるところ、0.10度にとどめたと分析した。1980〜1990年代で気温上昇が大きかったのも、水蒸気量の多さと関係していた可能性があるという。(asahi.com 2010年1月30日)

 「二酸化炭素=地球温暖化」という短絡的な図式は、どうも「?」が点滅してきたようだ。

 

参考HP Wikipedia「温室効果ガス」「温室効果」 

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利用したい「エコポイント制度」 12月31日まで延長決定!

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 エコポイントで人気の家電
 景気はまだまだ厳しい状況が続いているが、昨年(2009年)の家電とIT市場における販売動向は、家電量販店で前年度売上げ増4.1%を記録した(GfK調べ)。これは、エコポイント制度による薄型テレビ、冷蔵庫の販売数量増、Windows 7効果による個人向けPCなどが売り上げに貢献したようだ。

 さて、エコポイント制度と言えば、地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として、省エネルギー性能の高い「エアコン・冷蔵庫・デジタルテレビ」を購入した者に対して、一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度である。

 我が家にも1台アナログテレビがあるので、この制度を利用したいところであるが、いつまでやっているのだろう?

 エコポイント期間を延長
 調べてみると、エコポイント発行期間は、平成21年5月15日〜平成22年3月31日購入分まで...あと1ヶ月ちょっとしかない。そして、 エコポイント登録申請受付期間は平成21年7月1日〜平成22年4月30日、エコポイント交換期間は平成21年7月1日〜平成24年3月31日である。

 これについて、政府は省エネ家電製品の販売促進を目的にしたエコポイント制度の購入・申請期限を延長する方針を固めた。

 家電エコポイントの発行対象となる対象製品購入期間は、平成22年12月31日までとなる。これに伴い、エコポイント登録申請受付期間やエコポイント交換期間も、現在変更を検討しているところであり、決まりしだい周知する予定だという。

 この理由は、引き続き経済の活性化のため、そして、対象商品の購入者の半数程度しか申請手続きを済ませておらず、ポイントが大量に失効する恐れがあると判断したためだ。申請を促すために、手続きの簡素化も検討するという。

 たしかに申請手続きがわかりにくい、面倒だという人もいるだろう。私もその一人だ。いずれにしてもエコポイントを受けられる期限が延長されるとなれば、利用しない手はない。そこで、もう一度「エコポイント」とは何か?まとめておきたい。

 エコポイントとは何か?
 エコポイントとは、正式には「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業」であり、日本政府が2009年年度の補正予算において、経済対策の1つとして行っている事業である。環境省・経済産業省・総務省が所管する。事業予算は2,946億円。

 エコポイント事業は、地球温暖化防止、経済の活性化、地上デジタル放送対応のテレビの普及を目的として、省エネルギー性能の高いエアコン・冷蔵庫・地上デジタル放送対応テレビを購入した者に対して一定のエコポイントを付与し、これを使ってエコ商品等を購入できるようにするという制度である。

 2009年5月15日以降、2010年3月31日までに購入した対象商品が、エコポイント付与の対象となり、エコポイントに相当する指定商品との交換の受け付けは事務局が行い、交換は事業者を介して行われている。

 エコポイント対象商品
 2009年5月15日以降の購入に関して適用される、エコポイント事業の対象家電製品については、統一省エネラベルの4つ星以上の「エアコン」、「冷蔵庫」、「地上デジタル放送対応テレビ」および、4つ星相当として扱うことが適当と認められるものとして、以下の通りとされている。

 エアコン:2009年5月上旬に予定される、改正後の統一省エネラベル4つ星基準を満たす製品
 冷蔵庫:2009年5月1日から実施される、改正後の統一省エネラベル4つ星基準を満たす製品。但し、該当製品のない定格内容積400リットル以下の冷蔵庫については、現時点で省エネレベルが最高水準にある製品(改正前の統一省エネラベル5つ星基準を満たす製品)
 地上デジタル放送対応テレビ:現行の統一省エネラベル4☆基準を満たす製品、統一省エネラベルの基準が設定されていない以下の製品につき、現行の統一省エネラベル4☆相当の基準を満たすと認められるもの。
 液晶ディスプレイテレビ、プラズマディスプレイテレビ、有機ELテレビ、デジタルチューナーを内蔵したPCの液晶ディスプレイは対象外

 統一省エネラベルの基準で4つ星以下の製品は、省エネ性能が優れていないと言う訳ではなく、その評価は、過去の同クラスの製品の省エネ性能を基準に設定されている。例えば、テレビなら液晶サイズ、アスペクト比、画素数など、それによって細かく区分が分かれていて、全メーカーで共通の基準が設けられている。

 評価が5つ星でも、消費電力が大きいクラスの製品は基準となる値も大きいことが多く、もともと消費電力が少ない製品と比較した場合は、4つ星以下の製品よりも消費電力が大きいこともある。買い換えの際は省エネ達成率だけではなく、年間消費電力量も必ず確認したほうが良い。

 エコポイントと何が交換できるか?
 交換できる商品は大別して「商品券・プリペイドカード」「地域型商品券」「全国型の地域産品」「都道府県型の地域産品」「省エネ・環境配慮製品」に分けられるが、交換できる商品の種類が非常に多い(200点以上)ため、一部を抜粋した。

電子マネー:交通系(Suica、PASMO、ICOCA、TOICA、SUGOCA、はやかけんなど)※既存カードを利用したチャージはできない。買い物系(nanaco WAON Edy など)
金券類 :ギフトカード(JCB、三井住友VISAカードなど)・オレンジカード・おこめギフト券・全国共通すし券・図書カード・花とみどりのギフト券・旅行券(JTB、日本旅行、近畿日本ツーリストなど) ・全国百貨店共通商品券・セブン&アイ共通商品券・イオン商品券・クオカード  地域の商品券・産地直送品 など

 エコポイントの申請のしかたは?
 ポイント付与及びこれを利用した様々な商品との交換を行うに当たっては、以下の書類が必要となる。

 保証書のコピー(購入日、購入店が分かること)・領収書またはレシートの原本(購入日、購入店、購入製品、購入者名が分かること) ・家電リサイクル券の排出者控えのコピー(新たに対象家電製品を購入し、同種の古い家電をリサイクルした場合に限る)

 エコポイントの登録には、エコポイント事務局への申請が必要。申請方法は2種類ある。1つはインターネットによる申請。もう一つは書面による申請。どちらも必要事項を記入する。申請書については、家電販売店に置いてある。

 また、必要書類として、保証書(コピー):購入日、購入店、購入製品の型番・製造番号が分かるもの  領収書/レシート(原本):購入日、購入店、購入製品の型番、購入者名が分かるもの  家電リサイクル券の排出者控え(コピー):リサイクルされた方のみ必要... があり、申請書に必要書類貼り付け後、原本を封筒にいれて郵送する。

 宛先は 〒119-5085 郵便事業株式会社 新東京支店留 グリーン家電エコポイント申請係 である。

参考HP Wikipedia「エコポイント」・グリーン家電普及促進事業「エコポイント 

 

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手軽に安全に!紫外線殺菌する「ダイヤモンドLED」とは何か?

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 紫外線とは何か?
 紫外線とは波長が10〜400 nm、すなわち可視光線より短く軟X線より長い不可視光線の電磁波である。紫外線は波長 200–280 nm以下だと殺菌効果が高くなる。生体に対する破壊性も強くなる。これを利用して殺菌灯がつくられる。
 
 身近に紫外線を発光するものといえば、蛍光灯なのはご存じであろうか。蛍光灯は電子が水銀蒸気に当たることで、紫外線を発する。これが蛍光塗料に当たることで光っている。蛍光灯には水銀蒸気が低圧で入っているので水銀低圧灯ともいう。

 蛍光灯の蛍光塗料をなくしたものが水銀殺菌灯である。ただ、普通のガラスは紫外線をカットするので、水銀殺菌灯には石英ガラスを使っている。

 有用なLED紫外線殺菌
 新型インフルエンザなど世界的な流行性疾患の増大傾向から、社会や生活の中での殺菌の必要性が今後ますます増している。殺菌手段の中でも紫外線による殺菌はドライ方式で多くの場面で使われており、水銀灯による紫外線が利用されている。

 しかし、環境に好ましくない水銀を使うことや装置が大掛かりなことから、水銀フリーで手軽に殺菌できる紫外線LEDの開発が望まれている。LED照明はクリスマス電飾など省エネ的な光源として利用が広まっているが、紫外線発光するLEDはまだ実用化していない。水銀を使わない紫外線LEDの開発ができれば、どこでも簡便に使える殺菌灯として応用できる。

 産総研では究極の半導体と呼ばれるダイヤモンド半導体の高品質化を進め、電子デバイス応用を目指した研究開発を進め、励起子と呼ばれる状態を使った新原理で235 nmの波長をもつ紫外線の光を発するLEDの開発を進めている。

 安全・安定したダイヤモンドLED
 今回、ダイヤモンドの品質の向上とデバイス構造を改良することにより、0.3 mWという実用化に近づく発光出力を持つダイヤモンドLEDの開発に成功し、実際に大腸菌を殺菌することを確認した。この成果は、どこでも使える殺菌灯としての実用化に道筋をつけるものである。

 現在広く使われている窒化ガリウム系材料を用いたLEDでも紫外線を発光するLEDの開発が進められているが、波長が短くなるほど技術的に困難で、350 nm以下の波長のLEDは市販されていない。

 ダイヤモンドは半導体としての性質でも優れた性質を持っていることは知られていたが、高品質化や加工が困難であったため、シリコンのように応用されることがなかった。産総研の研究グループはダイヤモンドの作製技術から電子デバイスに必要な技術やダイヤモンドの物理に関する知識を蓄積してきた。

 その積み重ねに基づいて、ダイヤモンドの最初の電子デバイス実用化を目指して、ダイヤモンドに特徴的な励起子と呼ばれる状態を使って高効率の紫外線発光に成功した(2006年8月28日プレス発表)。この新原理LEDの光は波長235 nmであり殺菌に有効な紫外線である。今回、ダイヤモンドのさらなる高品質化とデバイス構造の改良により、発光効率の向上に成功し、殺菌に有効なことを実証した。

 関連するニュース
 殺菌能力持つダイヤモンドLED開発


 紫外線を発する発光ダイオード(LED)を産業技術総合研究所の研究グループが開発した。紫外線照射は殺菌の有力な手段となっているが、現在広く使われている水銀灯は装置が大がかりな上、環境に有害な水銀を使用するという欠点を持つ。紫外線発光ダイオードは水銀灯に代わる殺菌装置として実用化が期待されている。

産業技術総合研究所の山崎聡・主幹研究員、牧野俊晴・研究員らが開発したのは、ダイヤモンドLEDで、0.3ミリワットという実用レベルに近い高出力の紫外線を発光する。

紫外線は菌のDNAに直接作用することで菌の増殖を抑える効果があり、DNAが吸収しやすい波長260ナノメーター前後の紫外線が特に殺菌効果が高い。現在254ナノメーターの紫外線を出す水銀灯が広く使われているが、LEDでは波長の短い光を出すのが難しく、350ナノメーター以下の波長を出すLEDはまだ実用化されていない。(サイエンスポータル 2010年2月9日)

 

参考HP 産業技術総合研究所プレスリリース「ダイヤモンドLEDで殺菌を確認」・Wikipedia「紫外線」「紫外線殺菌灯」 

初歩から学ぶ紫外線殺菌―工業用水から上水道まで (ケイブックス)
浦上 逸男
工業調査会

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次世代高速半導体 「ダイヤモンド半導体」とは何か?

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 半導体とは何か?
 半導体は、トランジスタや集積回路(IC・LSI)など、「産業のコメ」と言われるほど様々な電気製品を産み出している。半導体とは何だろう?

 文字通りの説明としては、半分導体の物質である。つまり、電気を良く通す良導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。

 重要なのは電気を通すときの性質だ。まったく電気を通さないときは絶縁体と変わらないが、電気を通すとき様々な能力を発揮する。すなわち、電流の整流作用や電流の増幅作用をはじめ、レーザー光や紫外線を発したり、さまざまな波長の光を発するものもある。また、太陽電池のように光を電流に変える半導体もある。

 半導体というと、このような半導体を使用した「半導体デバイス」を指す場合が多い。今日数多く利用されているものには、トランジスタ、サイリスタ (SCR)、ダイオード(整流器)・発光ダイオード (LED) ・レーザーダイオード・フォトダイオード・太陽電池等の半導体素子やこれらの素子を組み合わせた集積回路(IC・LSI)などがある。

 ダイヤモンド半導体とは?
 ダイヤモンド半導体(Diamond semiconductors)とは、人工ダイヤモンドを使用した半導体のことである。現在主流のシリコン半導体に比べ、ダイヤモンドは物理特性に優れており、究極の半導体になると言われているが、1980年代後半、米国では研究を断念し、その実用化は技術的に実現不可能と思われてきた。

 この理由は、天然ダイヤモンドには不純物を含むものが多く、純粋な物質に微量の不純物をドープ(混ぜて)してつくる半導体には、不向きだったからである。

 しかし、近年産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業などで高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が大いに発展がしてきたことにより、実用化の可能性が開かれてきている。

 現在、日本国内にて複数の研究機関、大学等で開発が進められているが、結晶サイズが1mm未満の多結晶ダイヤモンド薄膜が利用されている。今後は、この結晶サイズを大きくすることや、コストを抑えての更なる高純度化技術の開発が望まれる。

 また現在、ホウ素イオンなどをドープし、p型n型といった半導体物性を発現している。しかし、ダイヤモンド格子に不要な欠陥を与えずにこれらのイオンをドープする技術の開発が課題である。

 電極などの他の物質との接触部で、ナノレベルの不要な界面構造が生じる。これを完全に抑える事は困難である...などの問題もある

 ダイヤモンド半導体の開発
 産業技術総合研究所ダイヤモンド研究センターの大串秀世・副センター長がダイヤモンド半導体の本格的研究に取り組んだのは、1995年から。開始1〜2年後、高温高圧法で比較的短時間に、基板全体が原子レベルで平坦な、単結晶シリコン並みの高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功した。

 高温高圧法で合成した約4mm角の人工ダイヤモンド基板の上に、マイクロ波プラズマCVD(化学気相堆積)法で、メタンを分解して生じた炭素を雪のように降り積もらせた。この技術をベースにホウ素添加で作ったp型ダイヤモンド薄膜は、世界最高の電荷移動度を示した。

 さらに、こうして作った高品質(結晶性、電気光学的特性、簡単な電子デバイス特性が従来のものより一桁以上優れた)ダイヤモンド薄膜に室温で電子ビームを照射すると、波長235ナノm(1ナノmは10億分の1m)の紫外線を発光することを発見した。ダイヤモンドが紫外線デバイスに使えることがわかった。

 これまでの研究でダイヤモンド薄膜の室温紫外線発光は、ある電流値から急激に増大することから、高密度なエキシトン(負の電荷を持つ電子と正の電荷を持つ正孔を合わせ持ったもの)によるダイヤモンド固有の現象であることが分かった。

 今後、紫外線発光の出力を高めるために、エキシトン密度を高めることが重要で、それには素子を出来るだけ小さくすることが課題である。


参考HP 科学技術振興機構(JST)「夢ではないダイヤモンド半導体」・Wikipedia「半導体」「ダイヤモンド半導体」 

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米国、コンステレーション計画中止!どうなる?宇宙探査計画

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 コンステレーション計画
 コンステレーション計画(Constellation program)はNASAが進めている有人宇宙機計画で、アレスIとアレスV打ち上げ機とオリオン宇宙船とアルタイル着陸機から構成される。これらの宇宙機は多様なミッションに適合し、国際宇宙ステーションの輸送や月着陸、火星湯人飛行にまでつなげる計画であった。ところが...



 月有人探査計画を中止
 オバマ米大統領は2月1日に発表した11会計年度(2010年10月〜11年9月)予算教書で、20年までに月有人探査を目指す航空宇宙局(NASA)の計画を打ち切ることを明らかにした。

 アポロ計画以来となる月有人探査は、2004年にブッシュ前大統領が発表した新宇宙戦略に基づく「コンステレーション計画」の柱だった。だが、次世代ロケット「アレス」の開発経費が膨らむなどし、実現が危ぶまれていた。

 ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)のオーザッグ長官は会見で「NASAの研究の軸足を、火星有人探査も視野に入れた長期的な技術開発に移す」と述べた。

 月有人探査は、1972年、アポロ17号の2人の飛行士が月面に立ったのが最後。

 国際宇宙ステーション(ISS)は運用を延長する。現在、ISSは予算上、15年までしか計画はないが、20年ごろまでは運用の見通し。風船のような構造物を設置して飛行士の居住空間を増やすことなどが想定されている。スペースシャトルの退役は11年までとし、その後は、民間のロケットも活用するとした。(asahi.com 2010年2月2日)

 もっとイノベーションを!
 せっかく「LCROSS」の成果で、月面に水の存在が確認され、宇宙開発に夢がふくらんだ矢先であったので、がっかりした人も多かった。しかし、宇宙開発についてすべてあきらめた、というわけではない。

 2月3日、これについてNASAのチャールズ・ボールデン長官は「月探査計画中止は米国が宇宙への大志を捨て去ったことを意味するわけではない」と語った。

 「これまで、コンステレーション計画に費やされた予算は、NASAがより一層歴史的な成果を達成するための道筋を作るものだ。なぜなら、イノベーションを推進し、新しい分野でアメリカ国民の雇用を創出し、さらには世界中の人々の関心を集めることになるからだ」と述べている。

 ボールデン氏は次のように続ける。「想像してほしい。1年近くではなく、わずか数週間で火星まで行ける日が来ることを。人類が内太陽系に進出し、月、小惑星、火星の有人探査がほぼ同時に成功して、続々と歴史的偉業を成し遂げていく日を。しかも、これらすべてが世界中の国々の協力によって実現する日を。オバマ大統領の発表したNASAの新計画はこうしたことを可能にするものだ」。

 オバマ大統領も、コンステレーション計画に代わって「われわれを技術革新と発見への新たな旅路へと駆り立てる、米国の創造力に投資する大胆かつ野心的な新宇宙構想」を立ち上げると語っている。

 とりあえず、目先の月有人飛行計画が中止となると、日本の宇宙開発には影響はないのだろうか?

 日本への影響は限定的
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の立川敬二理事長は2月10日会見し、米国が有人宇宙探査計画を中止したことについて「日本への影響はさほど大きくない」との見解を示した。

 中止決定後の理事長会見は初めてで、立川氏は「米航空宇宙局(NASA)が有人探査を引っ張る形でなくなるかもしれない。日本が有人探査にどのような形で手を挙げるかが課題だ」と語った。

 また、立川氏は1日にNASAのボールデン長官と電話協議したことを明らかにした。それによると、米国の今後の計画について、従来計画の目標(月や火星)に小惑星などを追加▽スペースシャトルに代わる有人宇宙船の調達先として、民間5社と契約▽国際宇宙ステーション計画より参加国の多い「国際宇宙探査協働グループ」を核に協力国の拡大−−などの方針を示したという。(毎日新聞 2010年2月10日)

参考HP Wikipedia「コンステレーション計画」 

マーズ・ダイレクト―NASA火星移住計画
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ローマ帝国滅亡に新説!1500年前、地球に巨大隕石衝突か?

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 ローマ帝国滅亡に新説
 現在、地球では温暖化が心配されているが、今から約1500年前、西暦500年ごろの欧州は寒冷化が問題であった。この時期の欧州はローマ帝国の末期に当たる。ローマ帝国はこの寒冷気候のために、植民地からの食料確保が困難となった。また、西暦300年〜700年にかけて、ゲルマン民族の大移動があり、急速に衰退していく。

 この寒冷化の原因が、オーストラリアのカーペンタリア湾に落下した巨大隕石ではないかという説を、海洋地球物理学者ダラス・アボット氏が語っている。「衝突によって吹き上げられた物質が大気上層部を覆い、冷却化が始まった。オーストラリアでは先住民アボリジニが2つの衝突の目撃情報を残している」という。  

 オーストラリア・カーペンタリア湾
 約1500年前、巨大な小惑星か彗星の破片が地球上空で分裂し、オーストラリア沖に落下した可能性があるという。現地で衝突クレーターとみられる痕跡が見つかった。

 ラモント地球研究所(LDEO)の海洋地球物理学者ダラス・アボット氏がオーストラリア北部カーペンタリア湾を衛星から測定したところ、海面の水位にわずかな変化があることがわかった。海底に衝突クレーターがある証拠だという。

 衛星データによるとクレーターは2つあり、それぞれの直径は18キロと12キロと推定される。アボット氏は以前から、この湾沿いにある複数のV字型砂丘は衝突で発生した津波によって形成されたと主張していた。

「これらの砂丘は衝突地点を指し示す矢のような形をしている」とアボット氏が言うとおり、砂丘は湾内の1点に向けて収束しており、その地点は2カ所の海面低下が確認された位置と一致している。

 同氏は次のように説明する。「西暦536〜545年に地球の気候が冷却化して作物の収穫に影響を与えた。この冷却化と大規模な衝突を結び付ける手掛かりは複数あるが、今回の研究はその中で最新の成果となる」。

 西暦536〜545年地球寒冷期
 その説によると、衝突によって吹き上げられた物質が大気上層部を覆い、冷却化が始まったという。時期はアジアとヨーロッパの樹木の年輪データから特定された。「当時、欧州ではローマ帝国が崩壊しつつあり、オーストラリアでは先住民アボリジニが2つの衝突の目撃情報を残している」とアボット氏は語る。

 海底に2つのクレーターを残した天体は、元は1つだったが地球接近中に分裂したというのがアボット氏の考えだ。柔らかな堆積地に直径10キロ以上のクレーターを刻んだとすると、分裂前の天体の直径は約600メートルだったと推定される。

 この地域で採取したコアサンプルも、そのような衝突の可能性を裏付けているという。以前の調査では、サンプルに磁気を帯びた滑らかな小球体が含まれているのが見つかっていた。天体が衝突して爆発したときに溶けた物質が、空中に吹き上げられたものだと考えられる。

 また、2004年に「Astronomy and Geophysics」誌に掲載されたある論文は、西暦500年頃の地球冷却化の原因は衝突によって発生した“ちり”であると述べており、衝突の規模も今回のアボット氏の計算結果とほぼ一致していた。

 アボリジニの民話
 さらに衝突の目撃者もいたようだ。調査チームは論文発表前に詳細を明かすのを控えているが、アボリジニの美術様式である岩壁画(ロックアート)にそれらしき記録が残っているとみられているのだ。

 シドニーにあるマッコーリー大学の博士課程大学院生デュアン・ハマチャー氏は、岩絵の調査には関与していないが、アボリジニの民話を分析すれば隕石クレーターの場所を特定できるかもしれないと提案している。

「オーストラリア各地のアボリジニ・ドリーミング(Aboriginal Dreaming)と呼ばれる宗教的民話には、炎のような星が空から降ってきて地球に衝突し、死や破壊を引き起こす話がたくさんある。民話の描写から考えると、単なる作り話ではなく目撃記録だったのではないか」とハマチャー氏は自身のブログで述べている。

 まだ論文発表前だが、ハマチャー氏は一連のアボリジニの民話とグーグル・アースの画像から、オーストラリア、ノーザンテリトリーのパーム・バレーにある直径280メートルの衝突クレーターを発見したという。

 だが、前述のアボット氏の結論には懐疑的な専門家もいる。アメリカ、ニューメキシコ州アルバカーキにあるサンディア国立研究所(SNL)の物理学者マーク・ボスロー氏は、カーペンタリア湾に2つの別々のクレーターがある点について指摘する。

「1つの大きな衝突体が地球に接近する最後の段階で分裂したとすれば、破片同士は衝突時も非常に接近していたはずで、本来なら1つの物体のような痕跡が残る」とボスロー氏は述べている。

 アボット氏の研究は2009年12月にサンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合の秋季集会で発表された。 (出典:2010年2月4日 ナショナルジオグラフィック) 

 

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日本最古・2万年前の人骨発見!日本人のルーツ(起源)とは?

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 人類の起源
 人類の祖先として、時代によって猿人、とか旧人、原人、新人とか言った言葉をよく聞くが、人類というとどの時代のものを言うのだろうか?

「ラミダス猿人は」東京大総合研究博物館の諏訪元教授らの研究グループが、約440万年前の人類、アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)の化石から全身像を復元することに成功したもので、二足歩行をしていた人類としては世界最古のものとして注目されている。

 人類とは生物の中で直立二足歩行が可能な存在。人類の進化は、アウストラロピテクスとよばれる猿人に始まった。彼らは400万〜500万年前に現われ、150万年目には姿を消してしまった。アウストラロピテクスは、直立2足歩行をするようになった初めての生物であった。

 160万〜150万年前には、脳が大きくなり、歯が小型になったホモ・エレクトゥスが現われた。原人ともいわれる。ホモ・エレクトゥスも、はじめはそれまでのヒトの祖先と同じくアフリカの東部と南部だけで生活をしていたが、100万年前くらいからユーラシア大陸へと移動していった。

 30万〜20万年前に、ホモ・エレクトゥスはホモ・サピエンスへと進化した。旧人である。ホモ・サピエンスは“知性あるヒト”という意味で、彼らは当時のきびしい氷河期の中でも効率よく食料を獲得することができた。また人類史上初めて死者に花を添えるなどして弔う習慣ができた。

 それでは最古の日本人というと、どのくらいの昔になるのだろうか?



 日本最古の人骨
 沖縄・石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡で出土した人骨が、炭素年代測定によって約2万年前の旧石器人の骨であることが2月4日、わかった。放射性炭素を直接測定した人骨としては日本最古。日本人のルーツや成り立ちを探る重要な成果になる。

 同遺跡は石垣市で建設が進む新石垣空港予定地内。現地のNPO法人沖縄鍾乳洞協会が、頭骨や脚の骨などを発見した。

 同協会や沖縄県、琉球大、東京大、愛知教育大などの専門家でつくるチームが、人骨6点の放射性炭素年代を測定し、うち1点で約2万年前の値を得ることに成功した。これまで直接骨をはかった値では、浜北人の1万4千年前が最古だった。

 現在、日本列島で知られる1万数千年より前の旧石器時代人骨は10例ほど。そのほとんどが石灰岩質で保存環境のよい南西諸島で見つかっている。ただ、多くは化石化が進んでいたり、骨そのものの分析ではなく、一緒に出土した炭化物の測定や形態的な特徴からの推測だった。これまで最古とされる那覇市の山下町第一洞穴の骨(3万2千年前)も木炭での測定のため、年代観を疑問視する意見もあった。

 今回は少量の試料で測れる加速器質量分析法(AMS)を利用し、直接人骨そのものから年代を割り出し、南西諸島に確実に旧石器時代の人類が存在したことを裏付けた。

 旧石器時代の日本列島に人類がいたことは石器から確認されているが、人骨がわずかなため、どんな人類がどこから来たのか、のちの縄文人や現代人につながるのかなど謎が多い。日本人の祖先は南方から南西諸島を北上してきたとの説があり、日本人の起源論に大きな影響を与えるとみられる。(asahi.com 2010年2月4日)

 日本人の起源・旧石器時代
 この日本列島に「人」が棲み始めたのは、いつ頃だろうか?

 この列島は火山灰の影響で土壌が酸性化し骨の化石が残りにくいことから、人骨化石でもって、それを実証することはなかなか難しい。

 1948年、野尻湖畔の旅館の主人であった加藤松之助が、野尻湖底でナウマンゾウの臼歯(きゅうし)を発見した。このナウマンゾウはおよそ40万年前、中国大陸から日本に渡ってきたアジア象で約2万年前まで生息したことが知られている。

 ナウマンゾウやオオツノジカなどの黄土動物群など大型食用動物を追って、原人や旧人がこの日本列島にやって来ていたことは想像に難くない。

 また、樺太経由で北海道や東北地方まで、マンモスやヘラジカを求めて、北の狩人・マンモスハンターたちも来ていたであろうと考えられる。

 この時代を前期旧石器時代、或いは中期旧石器時代と呼ぶ。当時は大陸と陸続きだったので、自由に人や動物は行き来できたのである。
 
 日本人の二重構造モデル
 しかし、この時期の「人」は現代の日本人の祖先とは違う。私たち日本人の祖先は、いつどこからこの日本にやってきたのだろう?

 この問の答は、自然人類学の埴原和郎氏の「二重構造モデル」が最もポピュラーである。「二重構造」モデルとは何であろうか?

 日本人のルーツ(起源)がたどれるのは、後期旧石器文化がこの地に現れ始めた時代からである。この時期の日本人は、かって東南アジア(スンダランド)に棲んでいた古いタイプのアジア人集団−原アジア人−をルーツに持つ。

 沖縄本島の南端・具志頭村港川の採石場から、1968年、アマチュア研究者の大山盛保によって5〜9体分の人骨が発見された。日本で唯一と言っていい旧石器時代人(18,000年前)の完璧な人骨化石・港川人の発見である。

 埴原和郎氏は港川人は中国南部の柳江人やジャワのワジャク人 に似ているが、中国北部(河北省)の山頂洞人とはかなり違っている。従って港川人を初めとする日本の旧石器時代人のルーツは、中国南部から東南アジアにかけての地域という可能性が高いとし、とりわけ東南アジア島嶼部(スンダランド)ではないかとしている。                      
  閉鎖的縄文人
 旧石器時代人に続く縄文人も、骨の形からみると港川人やワジャク人の特徴を受け継いでいるので、縄文人の祖先も同じように、東南アジア系の集団だったと考えられる。

 その縄文人は1万年もの長期間に亘って日本列島に生活し、温暖な気候に育まれて独特な文化を熟成させた。

  大陸との交流は皆無ではなかったにせよ、縄文文化は一種の鎖国、閉鎖環境の中で熟成されたと考えられる。すなわち縄文人は1万年の間、混血など他の集団の影響を受けず、純粋な集団として小進化をしたとしている。

 気候が冷涼化するにつれて北東アジアの集団が南下し、渡来して来た。おそらくこの渡来は縄文末期から始まったが、弥生時代になって急に増加し以後7世紀までのほぼ1,000年にわたって続いた。

 この集団は、もともと縄文人と同じルーツをもつ集団だった。だが、東南アジアから北上し、且つ長い期間に亘って極端な寒冷地に住んだため「寒冷適応」をとげ、その祖先集団とは著しい違いを示すようになった典型的アジア人である、という。

 これで明らかなように、埴原氏はホモ・サピエンスは東南アジアに達した後、北上して北東アジア人が成立したとし、最近、定説化している、ヒマラヤの裏を通って北上した超初期
型のモンゴロイドの集団があったという説を認めていない。

 また、埴原氏の二重構造モデルで特徴的なのは、弥生時代の渡来人をかなり北方の民族としていることである。

 渡来した弥生人
 大陸からの移動人口は先住の縄文人の数をはるかに上回るほど多かった。その結果水稲耕作や金属器に代表される大陸の先進文化が流入し、採集・狩猟を中心とした縄文文化が一挙に農耕中心の弥生文化に変貌した。これは埴原の100万人渡来説として有名である。

 渡来集団はまず北部九州や本州の日本海沿岸に到着し小さなクニグニを作り始めた。更に彼らは東進して近畿地方に至り、数々の抗争を経て統一政府、つまり朝廷を樹立した。

 朝廷は積極的に大陸から学者や技術者などを導入したこともあって、近畿地方は渡来人の中心地となった。また土着の縄文人を同化するため北に南に遠征軍を派遣したり、地方に政府の出先機関を設置した。

 渡来系遺伝子はこのようにして近畿を中心に徐々に地方へ拡散した。したがって縄文系と渡来系との混血は近畿から離れるにつれて薄くなるという「遺伝子の流れ」を造った。

 上記の混血がほとんど、或いは僅かしか起こらなかった北海道と南西諸島に縄文人の特徴を濃厚に保持する集団が残ることになった。アイヌ人と沖縄の集団がそれであり、彼らがいろいろな形質や遺伝子などで共通するのも説明できる。

 以上が埴原和郎氏が考える日本人形成史の概要であり、日本人集団の主な構成要素を縄文系と渡来系の二つと考えることから「二重構造モデル」と名付けたと言う。(出典:日本人の起源HP)


参考HP 日本人の起源「最初の日本人の系譜 

骨―日本人の祖先はよみがえる
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メタボに新基準!女性は腹囲90cmから80cmへ より厳しく

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 メタボリックシンドロームとは?
 メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)とは、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併した状態をいう。

 厚生労働省は、中年男性では二分の一の発生率を見込むなど、約2000万人がメタボリックシンドロームと予備軍に該当すると考えており、これを平成24年度末までに10%減、平成27年度末までに25%減とする数値目標を立てている。これにより医療費2兆円を削減することを目的としている。

 WHO、アメリカ合衆国、日本ではこの診断基準が異なっていた。日本肥満学会(JASSO)の基準(2005年)では、腹囲男性85cm、女性90cm以上が必須。かつ血圧130/85mmHg以上。中性脂肪150mg/dL以上またはHDLc40mg/dL未満。血糖110mg/dL以上。・・・の3項目中2項目以上。と定められている。

 2008年4月から特定健診制度(糖尿病等の生活習慣病に関する健康診査)で、メタボリックシンドロームの概念を応用して糖尿病対策を行い、40歳から74歳までの中高年保険加入者を対象に健康保険者に特定健診の実施を義務化すると共に、メタボリックシンドローム該当者、または予備軍と判定されたものに対して特定保健指導を行うことを義務づける。

 5年後に成果を判定し、結果が不良な健康保険者には財政的なペナルティを課す事によって実行を促すとされる。

 反メタボ共同声明
 しかし、メタボリックシンドロームの基準についてはあいまいさが指摘されてきた。2005年、国際糖尿病連合(IDF)は腹部肥満を必須項目とするメタボリック症候群の世界統一診断基準を提唱したが、アメリカ循環器学会(AHA)とアメリカ心臓肺血液研究所(NHLBI)はIDF診断基準よりも、全米コレステテロール教育プログラム (NCEP)診断規準の方が良いという共同声明を発表し、アメリカ糖尿病学会(ADA)とヨーロッパ糖尿病学会(EASD)は、これまでのどの診断基準も症候群と称するに足る科学的根拠がないので、人々にメタボリック症候群というレッテルを貼ってはならないという共同声明を発表した。

 この声明の中では以下の8項目の問題点が指摘されている。

 1.診断基準があいまいで不完全である。2.基準値の根拠がきちんと説明されていない。3.糖尿病を含む価値は疑問である。インシュリン抵抗性が共通の原因かどうか不確かである。4.他の心血管危険因子を含むか除外するかの明確な根拠がない。5.心血管疾患の危険度は含まれる個別の危険因子によって様々である。6.心血管疾患の危険度は各危険因子の総和以上ではないと考えられる。7.この症候群の治療は各成分の治療と同じである。8.この症候群の診断の医学的価値が不明確である。

 共同声明が発表されてから現在までメタボリック症候群診断の是非が論争されており、メタボリック症候群でないと診断された人のほうがメタボリック症候群と診断された人よりも心血管疾患の危険度が高い場合もあるという。

 復囲に科学的根拠なし?
 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の適正な診断基準を検証していた厚生労働省研究班(主任研究者=門脇孝・東京大学教授)は2月9日、診断の必須項目の腹囲の数値によって、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の発症の危険性を明確に判断できないとする大規模調査の結果をまとめた。

 現在の診断基準は、腹囲に加え、血糖、脂質、血圧の3項目のうち二つ以上で異常があった場合、メタボと診断され、保健指導(積極的支援)の対象となる。しかし、他の先進国に比べ男性の腹囲基準は厳しすぎる、女性の基準は逆に甘いと、批判されていた。

 研究班は、全国12か所の40〜74歳の男女約31000人について、心筋梗塞、脳梗塞の発症と腹囲との関連を調べた。

 その結果、腹囲が大きくなるほど、発症の危険性は増加したが、特定の腹囲を超えると危険性が急激に高まるという線引きは困難であることがわかった。

 国際的には、腹囲を必須とせず、総合的にメタボを診断するのが主流。米国では、腹囲(男性102センチ以上、女性88センチ以上)は中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値を含めた五つの診断基準の一項目に過ぎない。

 ただ、今回の研究でも肥満の人ほど発症しやすい傾向は変わりない。現行の基準でメタボと診断された人は、そうでない人に比べて発症の危険性は男性で1.44倍、女性で1.53倍高かった。(2010年2月9日  読売新聞)

 厚労省メタボに新基準!
 
こうした状況から、厚生労働省研究班は、内臓脂肪の蓄積で生活習慣病の危険性が高まる「メタボリック症候群」の診断基準の妥当性について、現在「90センチ以上」としている女性の腹囲を「80センチ以上」に厳しくすれば、より多くの脳卒中や心疾患を予防できるとする研究結果をまとめた。

 メタボリック症候群は、日本肥満学会などが2005年に「腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上」などの診断基準をまとめ、特定健診にも採用されたが、女性の腹囲が男性より緩い点などに異論も出ていた。

 基準が変更されれば、保健指導にも影響を与えることになるが、厚労省生活習慣病対策室は「今回は妥当性判断の一つの材料。必要があれば検討会を設置する可能性もある」としている。

 研究班は、全国の40〜74歳の男女約3万6千人に、腹囲と、血圧や血糖値などの関係を調べた。メタボリック症候群は、内臓脂肪蓄積に加え脂質異常、高血圧、高血糖のうち2項目以上に該当する状態だが、男性で85センチ前後、女性で80センチ前後を上回ると、そうした状態になる可能性が3倍に高まり、心筋梗塞や脳卒中が起きるリスクが大幅に上昇することが分かった。(2010/02/09 共同通信)

 

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