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2012年04月

第35回ノーベル生理学・医学賞 ハンス・シュペーマン「胚発生における誘導作用の発見」

 オーガナイザー(形成体)の発見
 ハンス・シュペーマン(Hans Spemann, 1869年~1941年)はドイツの発生学者。動物の胚において二次胚を誘導する領域ー形成体(オーガナイザー)を発見したことにより、1935年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。受賞理由は「胚発生における誘導作用の発見」である。
 
 オーガナイザー(形成体)とは、動物の発生の途上、ある部分が他の部位に対して、特定の分化をするように働きかける場所のこと。発生の過程で、原口背唇部(脊索)が原腸の陥入にともなって、内側から外胚葉に作用し、神経管に「誘導」するのが一例。このときの原口背唇部のように「誘導」を行う部分のことを「形成体」、英語で「オーガナイザー」と呼ぶ。

 他に、表皮を「角膜」に誘導する「水晶体」、またこの水晶体を表皮から誘導する「眼胞(眼杯)」も、形成体として紹介されている。形成体は、このように、様々な部分が様々な部分に働きかけることで、複雑な体構造を作り上げている。

 現在、ES細胞やiPS細胞から、さまざまな組織の細胞を造り出す再生医療の研究がさかんに行われている。これもES細胞やiPS細胞を放っておいて、心筋細胞や肝細胞に分化するのではなく、オーガナイザーの働きがあって可能になる。

Hans_Spemann

 シュペーマンが、1924年に形成体を発見して以来、分化をひき起こす形成体の本体についての研究が、長年にわたって行われてきた。タンパク質、脂質、核酸などいろいろ取り上げられては、次々と否定されていき、結局まだよくわかっていない。

 それには理由がある。シュペーマンの発見後40年して明らかになった遺伝子情報は、生命現象の基本をなすものであるが、その情報発現がどのように調節されているかは今日でもまだ解明されていないからだ。形成体の作用とは、まさに遺伝子情報発現の引き金となるしくみのことである。この見地に立って新しい角度からの研究が進行中である。まだまだ生命については、謎が多く残されている。

 ハンス・シュペーマン
 彼はヴュルツブルクでボヴェリに学び、1908年からはロストック大学教授、ベルリン-ダーレムのカイザー・ウィルヘルム生物学研究所員、フライブルク大学教授を歴任。1923年からフライブルク大学の学長を務めた。 
 
 彼は、実験発生学的方法を大きく進め、特にそれまでわずかな例しか行われなかった、卵や胚を紐で縛って区切る方法、いわゆる緊縛法を非常に多くの回数行った。しかし、直径2mmのイモリの卵を新生児の髪の毛を用いて縛る、という極度にストレスのたまる実験を長きにわたって行っていたため、やがて左手が動かなくなってしまった。
 
 彼はその初期にはイモリ胚のレンズの発生を研究し、これが眼胚に依存することを知った。また上記のような緊縛法の結果から次第に誘導の発見へと導かれた。原口背唇部を移植することで二次胚を形成させた彼の有名な実験はマンゴルト(Hilde Mangold 1898-1924)と共同で行ったものである。原口背唇部の二次胚誘導能をもつ領域をシュペーマン・オーガナイザーあるいはシュペーマン/マンゴールド・オーガナイザーと呼ぶ。

 次に主な実験例を示す。

1.シュペーマンの実験(イモリ) 1902年: イモリの2細胞期の胚の卵割面に沿って、髪の毛で縛って、割球の発生の様子を調べた。強く縛り割球を完全に分離すると、どの割球からも小さいが完全な個体が得られた。また、縛り方を弱くして割球の分離を不完全にしておいた場合、頭を2つ持った胚が得られた。

 調節卵とモザイク卵について分かった。調節卵とは、分化の決定の時期が比較的遅く(胞胚期くらい)、発生の初期に各割球を分割しても、完全な個体が生じる卵のことを言う。ウニ、イモリ、カエル、ほとんどの動物の卵が、調節卵である。

 モザイク卵とは、分化の決定の時期が比較的早く(4細胞期くらい)、胚の各部分の予定運命がモザイク状に決定されているクシクラゲ、ツノガイなどの卵のことを言う。 

2.シュペーマンの実験 (1921年): スジイモリの褐色の胚とクシイモリの白色の胚を用いて、交換移植を行い、それらがどのように変化して行くかを調べた。イモリ胚における決定時期を解明した。原腸胚初期の移植片の予定運命は、未決定。原腸胚後期の移植片の予定運命は、決定か未決定かはっきりしない。神経胚初期の移植片の予定運命は、決定済み。

3.、シュペーマンの実験 (1924年): イモリの原腸胚初期の原口背唇部を切り取って、別の原腸胚初期の胚の予定外胚葉に移植した。その結果、移植した原口背唇部を中心に、神経管、体節、腎管、腸管が分化してもう一つの胚が形成された。
 
 宿主(一次胚)に移植された小さな胚(二次胚)は、発生が進み頭となり、双頭の胚となった。原口背唇部による二次胚の誘導解明。Spemann(シュペーマン:独)らは、原口背唇部のように、まだ運命が決まっていない胚の他の部分に作用して一定の分化を起こさせる部分を形成体(organizer)と呼んだ。イモリの二次胚の形成のように、胚の他の部分に働きかけてある種の分化を引き起こす働きを誘導(induction)と言う。

 発生とは何か?
 胚発生(embryogenesis)または生物学における“発生”とは、多細胞生物が受精卵(単為発生の場合もある)から成体になるまでの過程を指す。広義には老化や再生も含まれる。発生生物学において研究がなされる。

 様々な無脊椎動物の発生過程の研究から、動物の発生には、一定の共通する型があると考えられている。 

 多細胞動物の発生は、受精卵の細胞分裂、いわゆる卵割から始まる。卵割は同調的な分裂により、細胞数を2の級数で増やす。通常は2細胞期に左右に、4細胞期に前後に、8細胞期に腹背に分かれる。卵黄の多い卵では、このとき動物極側(卵黄が少ない)の方が細胞が小さくなる。

 ある程度細胞数が増えると、多くの場合、内部に空洞ができる。その外側は一層の細胞に覆われた形になる。この時期を胞胚(ほうはい)期と呼ぶ。胞胚の内部の空洞は卵割腔(らんかつこう)または、胞胚腔(ほうはいこう)と呼ばれる。ウニ卵は胞胚期に孵化し、表面に繊毛を持って泳ぐ。
 
 卵割腔がなく、内部まで細胞で満たされるものもある。また、脊椎動物では複数の細胞層が生じる。 

 原腸陥入と胚葉形成
 やがて、胞胚の表面の細胞層が内部に入り込む。これは陥入(かんにゅう)と呼ばれる。そして、一つの口を持った袋を内部に形成する。これが消化管の始まりである。この袋は原腸と呼ばれ、その出入り口は原口と呼ばれる。この時期の胚を嚢胚(のうはい)または原腸胚(げんちょうはい)とよび、その形成を原腸胚形成 (Gastrulation) という。
 
 刺胞動物や扁形動物では消化管には一つしか出入り口がない。その他の動物では消化管は管状である。そのような動物では、原口の反対側に新たにもう一つ出入り口ができる。このとき、どちらが口になるかは動物門によって異なる。軟体動物、節足動物、環形動物など、多くの無脊椎動物など原口動物(先口動物ともいう)では原口が口になるが、棘皮動物や脊椎動物など新口動物(後口動物ともいう)では原口は肛門になる。

 原腸が陥入したことで、それまで平等に並んでいた細胞が、内側と外側に分かれたことになる。そこで、外に残った細胞群を外胚葉(がいはいよう)、内側に入った細胞群を内胚葉(ないはいよう)と呼ぶ。外胚葉からは主に表皮と神経が、内胚葉からは消化管が形成される。刺胞動物は、このような構造をほとんどそのままに成体になるので、二胚葉性動物と言われる。
 
 それ以外の動物では、外胚葉と内胚葉の隙間に細胞群が入り込み、そこで発達を始める。この細胞群を中胚葉(ちゅうはいよう)とよぶ。中胚葉からは筋肉、血管系などが作られる。また、中胚葉からは体腔が作られる。これらの動物は三胚葉に分類される。

 原腸背唇部の誘導作用と誘導因子
 ドイツのハンス・シュペーマンはイモリ胚での移植実験(1924年)から、原口背唇部(げんこうはいしんぶ)に分化を引き起こす作用を発見し、原口背唇部を形成体(オーガナイザー)と名付け、未分化の細胞群に分化を促す形成体の作用を誘導と呼んだ。
 
 また、ドイツのフォークトが、イモリの胚を部分的に染色する「局所生体染色法」を開発した。フォークトはこれにより染色された胚がどのように分化するかの追跡調査を行い、胚が将来形成する原基の位置を示した原基分布図(予定運命図)を作成した(1929年)。
 
 シュペーマンの実験において、原口背唇部の誘導の後に次々と組織・器官が形成されたことから、誘導の連鎖が推測された。 
誘導のメカニズムについては、誘導は分泌性因子を介した細胞間相互作用により行われると考えられるが、しばしば多数の因子が複雑な制御系を形成しており、分子メカニズムが解明されていないことが多い。

 例えば1989~1990年において、アクチビンという物質が、中胚葉誘導因子であることが多くの論文で述べられたが、アクチビンノックアウトマウスで中胚葉が正常に分化し、アクチビン受容体のノックアウトマウスでも中胚葉の分化が正常であるなど、アクチビンが単独で中胚葉誘導を担っているわけではなさそうである。他に、TGF-βファミリーに属すVg1や,BMPサブファミリーに属すNodalが中胚葉誘導因子の有力な候補にあげられており,アクチビンはBMPとNodalを介して働いていることが示唆されている。

参考HP Wikipedia ハンス・シュペーマン 胚発生

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第35回ノーベル化学賞 フレデリック・イレーヌ=キュリー夫妻「人工放射性元素の発見」

 2組のキュリー夫妻
 第35回ノーベル化学賞は、フレデリック・ジョリオ=キュリーとイレーヌ・ジョリオ=キュリーの“キュリー夫妻”に贈られた。受賞理由は「人工放射性元素の発見」である。

 この名前からわかるように、イレーヌは、高名なマリー・キュリーの娘、フレデリックは娘婿である。マリー・キュリーは、1903年には放射能の研究によって、夫ピエールとともにノーベル物理学賞を受け、さらに1911年にもポロニウムとラジウムの発見により、2つ目のノーベル賞を受けている。そのときはノーベル化学賞であった。ノーベル物理学賞と化学賞の、両方の賞を授与された科学者は、マリー・キュリーだけだ。

 ピエールとマリーの“キュリー夫妻”は夫婦で研究生活を共にしていたが、その長女イレーヌ(物理学者)と結婚したフレデリック・ジョリオ(キュリー夫人の助手)もまた物理学者であり、やはり夫婦で研究生活を共にする。そして、キュリー夫妻には息子がいなかったため、その「キュリー姓」を保持しようと、ジョリオは結婚後、ジョリオ・キュリーと名乗ったのである。

Frédéric_Irène

 キュリー夫人がノーベル賞を2回受賞したこともすごいが、1903年のノーベル物理学賞のときは夫婦そろっての受賞。そして1935年には、娘夫婦も受賞したのもすごい。

 受賞研究の「人工放射性元素」は文字通り、人がつくった放射性元素。現在では、プルトニウムやテクネチウム、ネプツニウムなどの超ウラン元素などが知られている。

 1934年に妻イレーヌと共に、母マリーが発見したポロニウムから出るα 粒子をアルミニウムに照射した。その線源であるポロニウムを取りのぞいても、その物質は放射線を出し続けていたのである。アルミニウムは、リンの同位体に姿を変えていた。これが世界で初めて、人工的につくられた放射性同位元素であった。
 
 フレデリック・ジョリオ=キュリー
 ジャン・フレデリック・ジョリオ=キュリー(Jean Frédéric Joliot-Curie、1900年~1958年)は、フランスの原子物理学者。妻はイレーヌ・ジョリオ=キュリー。
 
 1925年、ラジウム研究所でマリ・キュリーの助手となり、そこで彼女の娘であるイレーヌと知り合った。2人は翌1926年に結婚したが、その際、姓を2人の旧姓を組み合わせた「ジョリオ=キュリー」とした。
 
 1934年に妻イレーヌと共に、アルミニウムへα線を照射することによって世界初の放射性同位元素の製造に成功し、それにより1935年に夫婦でノーベル化学賞を受賞した。
 
 第二次世界大戦時はレジスタンス運動に参加し、戦後はフランス国立科学研究センター総裁に就任すると共にフランス原子力庁に入庁し、コレージュ・ド・フランスの教授も務めた。1947年には、フランス初の原子炉「ゾエ」の開発に成功。1956年にイレーヌが亡くなると、彼女のパリ大学教授の職も兼任した。
 
パグウォッシュ会議の設立にも尽力し、創設メンバーの一人でもある。フランス共産党の党員でもあった。日本初の女性物理学者湯浅年子が、師事していたことがある。
 
長女のエレーヌ(1927年~)は物理学者に、長男のピエール(1932年~)は生物学者になった。(Wikipedia)

 イレーヌ・ジョリオ=キュリー
 イレーヌ・ジョリオ=キュリー(Irène Joliot-Curie、1897年~1956年)は、フランスの原子物理学者。父はピエール・キュリー、母はマリ・キュリー。パリ生まれ。

 パリ大学でポロニウムのアルファ線に関する研究で学位を取得。1926年、母マリの助手だったフレデリック・ジョリオと結婚。1935年、「人工放射性元素の研究」で、夫フレデリックと共にノーベル化学賞を受賞。 1936年、ブルム内閣の科学担当国務次官に就任。また同年、母の後任としてパリ大学教授にも就任。
 
 夫フレデリックはフランス共産党員だったが、イレーヌは婦人同盟員だった。長年の放射能研究により1956年白血病で死去。 (Wikipedia)

 冷戦下の悲劇の科学者
 イレーヌ・キュリーは、1897 年9 月、マリーとピエールの二人姉妹の長女として生まれるが、両親はすでにベクレルの放射能発見に刺激され、その本質的実体を探る研究に没頭していた著名な科学者である。一方、フレデリックは、1900 年3 月、6 人兄弟姉妹の末っ子として生まれている。

 父親は、家具商人を経て音楽家で本質的なプロレタリア、母親は、プロシャ支配に対するレジスタンス運動家で熱烈な共和主義者である。この二人が出会う動機は、イレーヌの父ピエールの教え子で母マリーの同僚の反ナチスト物理学者ポール・ランジユヴァンが、研究職に就くには条件不足ながらも、かれを尊敬し慕うフレデリックを助手にしたことにある。かくして、同じ研究者の釜の飯を喰うこととなった二人は、やがて恋に落ち1926 年10 月結婚。フレデリックは、科学者として名声高いキュリー家の現代版婿養子フレデリック・ジョリオ=キュリーを名のることとなり、ここに科学者イレーヌ/フレデリック・ジョリオ=キュリーの二人三脚の生活が始まる。

 二人の生きた時代は、20世紀初頭から半世紀間であり、それは第一次世界大戦、第二次世界大戦、核兵器の登場、米ソ冷戦構造の時代でもある。二人の人生をふりかえると、イレーヌ/フレデリックを主人公とする20 世紀前半のフランスの科学者たちが、国際政治にいかに翻弄され苦悩せざるを得なかったか、が示されている。ヨーロッパ現代史の証言のひとつともなっている。

 本書は大きく見て、偉大な科学者マリーとイレーヌの母子関係、フレデリックとの出会いと結婚、二人の共同研究、男性社会の中で生きる女性科学者の苦闘、米ソ冷戦構造下で、共産党員の夫をもつイレーヌへのさまざまな政治的圧力による悲劇の科学者像などが述べられている。

 それらを順に見ていこう。本書を読み初めてすぐ、これは女性科学者イレーヌを主題にした少女小説ではないか、と思うほどだが、偉大な科学者の母マリーと長女イレーヌの母子関係が、二人の心理構造の分析も踏まえてことこまかに描かれている。それは本書の著者ノエル・ロリオが、パリで活躍中の女性作家・ジャーナリストという「文人」であることでもうなずけるが、それはともかく、家庭でも職場でも、物理や化学ばかりに関心を示す両親のもとで育ったイレーヌは、少女時代から数学と物理と国語(フランス語)に特異の才能を示していく。

 母子の話題はもっぱら科学である。のちに科学の世界と無縁な、音楽家で文人となるマリーの次女エーヴは、母とイレーヌの科学の話題についていけず、反発していることからもうなずける。こうした家庭環境の影響からか、イレーヌの言語表現は、一切の社交辞令抜きの単刀直入のあまり周囲の人々を戸惑わせることばかりであった。その態度は生涯かわることはなかった。

 人工放射性元素の発見
 イレーヌとフレデリックは共同研究として1934 年、イギリスの科学雑誌『Nature』に、20 世紀最大の発見のひとつといわれる人口放射性元素発見を発表する。これは母マリーが発見したポロニウムから出るα 粒子を照射されたアルミニウムやホウ素が、その線源であるポロニウムを取りのぞいても、放射線を出し続け減衰するというものである。

 人工放射性元素は、人工的に合成された元素(同位体)の総称である。 例としては、テクネチウム、ネプツニウムなどがある。超ウラン元素はすべて人工放射性元素である。人工の放射性同位体も含む。これらは半減期の短い放射性元素であるため、自然界には極めて僅かしか存在が確認されない。通常は、原子核に高いエネルギーを持たせた荷電粒子や、γ線、中性子などをぶつけて合成する。

 人口放射性元素発見は、イギリスのチャドウィック(1891-1974)の中性子の発見後、イタリアのフェルミ(1901-1954)の中性子による原子核破壊、さらにドイツのハーン(1879-1968)とシュトラスマンによるウランの核分裂の発見(1938)とつながり、やがて原子爆弾の開発製造と広島・長崎への投下、米ソ冷戦構造下の政治的核抑止力、さらに、今日的な原子力発電の出現という原子力をめぐる諸問題を生み出すことになる。

 イレーヌはフレデリックとともに1935 年ノーベル化学賞を受賞する。これでキュリー家では三つのノーベル賞となる。1934 年7 月、母マリーは娘の栄誉を見ることなく白血病で他界する。

 第二次世界大戦下のレジスタンス運動
 さてここからがイレーヌの悲劇の始まりである。人口放射能を発見した1934 年頃から肺結核が発病し、それいご、一定期間の転地療養を繰り返しながらの研究と、男性社会の中で女性の権利獲得運動にあたらねばならなかったこと、さらに追い打ちをかけたのが、夫フレデリックがフランス共産党員であるとの理由から国際政治に翻弄され、科学者として、ことあるごとに屈辱的な体験をせざるを得なかったことである。

 1936 年、反ファシズム人民戦線のレオン・ブルム内閣の科学担当閣僚になり、男性と同等の権利獲得運動に乗り出すが、二ヶ月であっさり辞任し、後任をジャン・ペラン(1870-1942)に譲る。その後のイレーヌは、ラジウム研究所とソルボンヌ大学での研究生活にもどるが、肺結核の病状はおもわしくなく、一年に最低一ヶ月は、空気の澄みきった山荘での静養をせざるを得ない状態であった。

 1939 年9 月、第二次世界大戦が勃発し、1940 年6 月には、ドイツ軍がパリを占領し、それ以後1944年8 月25 日のパリ解放までドイツ支配が続くが、この間、イレーヌとフレデリックは地下レジスタンス運動に身を投じる。とりわけフレデリックは、1940 年末から大学人国民戦線を組織するなど、学者の世界のレジスタンス運動のパイオニア的存在であった。

 まさにフレデリックにとっては、愛国者であるがゆえに共産党員であることは必然であった。が、戦後イレーヌにとって、夫が共産党員の科学者であることのつけが、思いもかけぬ事態を招くことになる。

 1945 年7 月、アメリカのメキシコ砂漠でプルトウム原爆実験後、8 月広島・長崎への原爆投下で、第二次世界大戦は終決する。

 東西冷戦と原子力開発
 戦後世界で原子力研究に関する国際的競争が始まり、フランスも例にもれず、原子力研究に関するブレン・トラストなる原子力委員会を創設し、委員長にフレデリックが化学部門の責任者に就任する。米ソの核抑止力を前提にした東西の冷戦構造の開始によって、アメリカでは、共和党上員議員マッカーシー(1908-1957)の反共活動、いわゆるマッカーシズムが猛威をふるい、一方、ソ連では、スターリン主義政治体制が近隣諸国に対して支配圏を拡大して行く。そのような東西冷戦構造のもとでイレーヌとフレデリックは、フランスの原子力研究にのりだすわけであるが、共産党員科学者フレデリックとその妻イレーヌの政治的立場はきわめて微妙である。

 1948 年、イレーヌは在米スペイン難民支援のためニューヨーク入りするさい、自らのことでなく、夫が共産党員であるという理由だけで、一時収監される事態を招くが、この事態の有り様は、「アメリカでは共産主義者よりファシストやナチの方が好かれている」(イレーヌのアメリカでの発言)ということばは端的に象徴している。雑誌『タイム』までが、共産主義は裏切者として処遇せよ、とまで報じたが、まさにイレーヌは、アメリカの魔女狩りのターゲットとされたのである。一方、フレデリックの指導のもとに、同年12 月、フランスの最初の原子炉が稼働するにいたるが、またもや『タイム』や『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』などの主要なマス・メディアは、共産主義者プレデリック指導下の原子炉は、西側にとっては脅威であるなどと書きまくる。

 こうした魔女狩りが猛威を振るうなかで、アメリカは1950 年初めから、日本に投下された原爆の数千倍の威力をもつ水素爆弾の開発研究を開始し、米ソの軍備拡張競争が激化の一途をたどって行く。ソ連は1955 年、のちに悲劇の物理学者となるアンドレイ・サハロフ(1921-1989)の指導のもと、最初の水素爆弾の開発・実験に成功する。前後するが、西側フランスの原子力委員長で共産党員のフレデリックの政治的立場は、マッカーシズムを背景にしたアメリカと共産主義国家ソ連の軍備拡張競争の狭間におかれることになる。その結果、プレデリックは1955 年、原子力委員長をイレーヌはその委員を解任されるにいたる。

 時代に翻弄された、ノーベル賞受賞者
 その後の二人の人生は屈辱の連続である。ノーベル賞受賞者であるにもかかわらず、1951年のジュネーブでの国連主催の原子科学者平和会議に招待されず、フランス科学アカデミー会員の入会を4 回も拒否され、アメリカ化学会の入会までも拒否される。さらに尊敬してやまないアインシュタインが、1955 年4 月19 日、プリンストンで心臓病で死去する。世界中の科学者が喪に服する中、別れの挨拶に出たくとも、アメリカには好ましからぬ人物イレーヌは、尊敬してやまないアインシュタインの葬儀にも出席できず身を震わすのである。こうしてイレーヌは1956 年放射能被爆による白血病、そしてフレデリックは、1958 年、イレーヌを追いかけるように同じ原因の肝臓病でこの世を去っていく。

 戦争の時代20 世紀における科学者の科学研究と政治的立場は、否応なく軍事体制に組み込まれて行く。本書には、ナチス下のドイツの科学者でも、ヨーロッパからアメリカに亡命しマンハッタン計画にかかわった科学者でも、さらに矛盾に満ちたスターリン主義下のソ連の科学者でもない、イレーヌ/フレデリックをはじめとするフランスの科学者が、国際政治の中で、フランス革命の精神を内在する自国の国有の文化を保持しつつ、戦争に翻弄され苦悩しながら生き闘わねばならなかった様子が、柔らかい文章で描かれている。(「イレーヌ・ジョリオ=キュリー」ノエル・ロリオ著/伊藤力司・道子訳、共同通信社、1994より)

参考HP Wikipedia フレデリック・ジョリオ=キュリー イレーヌ・ジョリオ=キュリー 

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第35回ノーベル物理学賞 ジェームズ・チャドウィック「中性子の発見」

 ジェームズ・チャドウィック
 第35回ノーベル物理学賞は、ジェームズ・チャドウィック(Sir James Chadwick, 1891年~1974年)である。チャドウィックはイギリスの物理学者。中性子の発見で1935年にノーベル物理学賞を受賞した。他にヒューズメダル(1932年)、コプリ・メダル(1950年)、フランクリン・メダル(1951年)などを受賞している。
 
 チャドウィックはチェシャーのボウリントンで生まれた。マンチェスター大学、ケンブリッジ大学で物理を勉強した後、1914年、ベルリンのベルリン工科大学においてハンス・ガイガーのもとで研究した。大戦後ケンブリッジに戻り、アーネスト・ラザフォードと、放射性物質からのガンマ線の放射、α線照射による元素の変化、原子核の研究を行い、1932年に中性子を発見した。

 中性子発見については、フランスのイレーヌ・キュリーとフレデリック・ジョリオ夫妻と、成果を競うことになった。キュリー夫妻が、1932年の論文で、これを「γ線」だと考えたのに対し、ラザフォードとチャドウィックは「γ線」ではないと考えた。チャドウィックが行った一連の実験で、この新しい放射は陽子と等しい質量を持ち、かつ電荷を持たない粒子によりなされるという事実を示した。

James Chadwick

 帯電したヘリウム原子核であるα線粒子に比べて、電気的な斥力をうけない中性子はよりウランなどの重い元素の原子核に作用して核分裂をおこさせることができる。やがて、この研究は核兵器の製造につながることになるが、当時のチャドウィックには思いもよらないことであった。しかし、チャドウィックをはじめ、多くの核物理学者達は、後に米国で行われた、原子爆弾製造の“マンハッタン計画”に力を貸してしまうのは残念な事である。

 中性子発見のエピソード
 ジェームズ・チャドウィック(1891~1974)は貧しい家庭に育ち、1908年にマンチェスター大学に入学を許可されたが、毎日家から6.4キロの道を歩いて大学に通っていたので、大学の仲間同士の集まりや、課外活動に参加することは不可能だった。おまけに、彼はあまりに内気すぎたので、大学の事務手続きの間違いで、彼が申し込んだ数学ではなく、物理学のコースに入れられても指摘することができなかった。しかし、物理学は彼と相性がよかったらしく、彼はハンス・ガイガーと研究するためベルリンに旅立った。

 しかし、そこで第一次大戦が勃発し、チャドウィックは敵性外国人として捕虜収容所に入れられた。収容所での生活はかなり厳しく、馬小屋同然の部屋で、食料もほとんどなく、冬の寒さで死にかけたこともあった。それでも手に入れられるだけの本と道具をかき集めて簡単な実験を行っていた。

 戦争が終わると、ラザフォードは彼にマンチェスター大学の職を与え、ラザフォードがケンブリッジのキャベンディッシュ研究所の所長になるとき、チャドウィックを副所長として迎えた。

 1930年にドイツのW・ボーテとH・ベッカーは、放射性の強いポロニウムから発せられるアルファ線をいくつかの軽い元素に当てた際に、ベリリウム、ホウ素、リチウムからは特に強い透過力をもった放射線が放出されることを発見した。(ベリリウム線)

 最初はこの放射線はガンマ放射であると考えられていたが、これはそれまでに知られていたどんなガンマ線よりも透過力が強く、実験結果はガンマ線説とは非常に異なっていた。

 1932年に次の重要な発見が、パリでイレーヌ・ジョリオ=キュリーと夫のフレデリック・ジョリオ=キュリーによって報告された。彼らはこの謎の放射線がパラフィン もしくは他の水素を含んだ化合物に当たると非常に高エネルギーで「陽子」をはじき出すことを発見した。

 この頃、チャドウィックとラザフォードは、陽子と同じほどの質量を持つ何かが原子核の中にあることに気づいていた。チャドウィックの実験では、放射線が標的にぶつかったとき、アルファ線ともベータ線とも違う得体の知れぬ放射線が出てくる。

 「その放射線が陽子と同じくらいの質量をもつ粒子でできているとしたら、衝突に関わる難問はすべて消えてしまう」と、彼は書いている。チャドウィックは、この問題を解決するため、必死にもがき苦しんだ。「口にできない馬鹿な実験をいくつもやった」と彼は書いている。

 1932年3月、彼はベリリウムの標的にアルファ粒子をぶつけて出る放射線を調べることができた。その放射線は電荷を持たず、質量は陽子と同じほどで、信じられないことに、鉛まで貫通するほどの透過力を持っていた。彼はついに中性子を発見したのだ。
 
 同じ頃、キャベンディッシュで研究員だった、C.P.スノーは、「彼は三週間ほど昼夜を問わず研究していた」と書いている。チャドウィックは、同僚たちに発見の報告をすると、「すまないがクロロフォルムをかがせて二週間ほど眠らせてくれ」と頼んだという。

 中性子とは何か?
 中性子(neutron)は、バリオン(元素を構成する素粒子)の一種。原子核の構成要素の一つ。陽子1個でできている水素の最も一般的な同位体1Hを唯一の例外として、すべての原子の原子核は、陽子と中性子だけから構成されている。陽子と中性子を核子と呼ぶ。

 原子核の外ではわずかな例外を除いて中性子は不安定であり、陽子と電子および反電子ニュートリノに崩壊する。平均寿命は886.7±1.9秒(約15分)、半減期は約10分。
 
 同様な崩壊(ベータ崩壊)が何種類かの原子核においても起こる。核内の粒子(核子)は、中性子と陽子の間の共鳴状態であり、中性子と陽子は互いにパイ中間子を放出・吸収して移り変わっている。中性子はバリオンの一種であり、ヴァレンス・クォーク模型の見方をとれば、2個のダウンクォークと1個のアップクォークで構成されている。
 
 中性子の最大の特徴は、電荷が0であるということである。電荷を持たないため直接観測することが難しく、中性子の発見は電子や陽子と比べて遅れた。電磁気力の影響を受けないため、中性子線は透過性が高く原子核の核種変換に使う物質として重要である。通常の状態では荷電していない原子は中性子と同じようには利用できない。なぜならば、原子は中性子よりも約1万倍も大きく、正電荷を持つ原子核の周りに負電荷を持つ電子が広く分布しているという系になっているためである。
 
 荷電粒子(陽子、電子やアルファ粒子など)や(ガンマ線のような)電磁波は、物質中を通過する際にエネルギーを失う。電磁気力によって通過する物質の原子をイオン化するためである。イオン化に費やされたエネルギーはすなわち、荷電粒子の失ったエネルギーであり、その結果、荷電粒子は減速し、ガンマ線は吸収される。しかし、中性子は、そのような過程でエネルギーを失わない。
 
 中性子と原子との相互作用は、非常に短距離でのみ働く核力によるものがほぼすべてである。核力の到達範囲は中性子の直径と同程度しかない。従って、物質中を移動する自由な中性子は、原子核と「正面」衝突するまで直進する。原子核の断面積は非常に小さいため衝突はまれにしか起こらず、中性子は衝突までに長い行程を飛ぶことになる。生成した中性子が他の原子核と衝突するまで移動する距離を平均自由行程 (mean freepath) という指標で表す。空気中で220m、軽水の場合は0.17cm、重水では1.54cm、ウランでは0.035cmである。
 
 弾性衝突を起こすような場合、運動量保存則に従い、ビリヤードのボールが互いに衝突するようにふるまう。もし衝突された核が重い場合は核の加速は比較的少ない。中性子とほぼ等しい質量をもつ陽子(水素原子)と衝突した場合、陽子はもともとの中性子が持っていた運動量のほとんどを受け取りはじき出される。一方中性子はほとんどの運動量を失う。この衝突の結果生じる二次的に放射された粒子が電荷を持っている場合、電離作用があるため検知することが可能である。
 
 電気的に中性であるため、観測だけでなく中性子を制御するのも難しい。荷電粒子に対しては電磁場によって加速、減速、軌道修正が可能であるが、中性子には使えない。さらに、自由な中性子は核分裂反応からのみ得られ、自然界には存在しない。
 
 自由中性子を制御し、減速、進路の変更、吸収などの結果を得るには進路に原子核を配置するしかない。このことは平均自由行程と併せて原子炉や核兵器を設計する際、非常に重要である。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia ジェームズ・チャドウィック 中性子 科学と技術の諸相 原子核物理学

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平成24年7月1日スタート!再生エネルギー固定買取価格決定!消費者は負担増

 再生エネ:原案価格決定 太陽光42円、風力23〜57円
 平成24年7月1日より、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートする。ドイツは固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6.3%から2007年末には14%に倍増させる成果を挙げた。我が国でも再生エネルギーの普及はすすむことが期待される。

 経済産業省の有識者会議「調達価格等算定委員会」は4月25日の会合で、7月に導入する「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度」の原案をまとめた。次回会合で正式決定する。焦点の電力会社が発電事業者から買い取る際の価格は、太陽光発電が1キロワット時当たり42円、風力発電が同23.1〜57.75円など。買い取り期間は15〜20年とした。発電事業者の要望に近い価格水準とすることで、再生エネの普及を目指す。

 同制度は、太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスの5種類の再生エネで発電した全電力を、電力会社が固定価格で一定期間買い取ることを義務づけることが柱。原案は枝野幸男経産相に報告され、関係閣僚との協議を経て最終決定する。

 委員会では、発電所の建設費や運転維持費に利益率6〜8%を上乗せする形を基本に価格や買い取り期間を算定した。電源別の具体的な価格(消費税込み)と買い取り期間は、太陽光:1キロワット時当たり42円、20年。風力(小型含む):同23.1〜57.75円、20年。地熱:同27.3〜42円、15年。中小水力:同25.2〜35.7円、20年。バイオマス:同13.65〜40.95円、20年。

 コスト変化を踏まえて毎年見直す方針。住宅での太陽光発電は全量買い取りとせず、居住者が使う分を除いた余剰発電分を電力会社に買い取らせる現行制度を10年間維持する。電力会社が買い取った分は電気料金に上乗せされるため、買い取り価格が高くなれば、他の利用者には負担増となる。(毎日新聞 2012年04月25日)

 平成24年7月1日スタート!  再生可能エネルギーの固定価格買取制度
 我が国の「再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案」は2011年(平成23年)4月5日に国会に提出され、2011年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した。平成23年10月掲載の政府公報では次のように述べている。

 「日本のエネルギー自給率はわずか4%にすぎません。私たちは暮らしや産業の中で、毎日たくさんのエネルギーを使っています。しかし、日本では、原子力発電を除くと、エネルギー自給率(国内で使われるエネルギーを国内の資源でまかなえる割合)はわずか4%。エネルギーの中心となっている石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っている状況です。今後も安定的にエネルギーを確保していくため、化石燃料に替わるエネルギーの確保が課題となっています。

 再生可能エネルギーは、資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時に二酸化炭素(CO2)をほとんど排出せず地球環境にやさしい、優れたエネルギーです。再生可能エネルギーの普及・拡大を目的に、平成24年7月から“再生可能エネルギーの固定価格買取制度”がスタートします。買取制度により、電気事業者は、一定の期間・価格で、再生可能エネルギーでつくられた電力の買取が義務づけられます。買取に要した費用は「賦課金」として消費者が負担し、電気代の一部として支払います。

 エネルギー資源が少ない日本で、今、新たなエネルギーとして注目されているのが、太陽光や風力、バイオマスなど自然の力を利用した再生可能エネルギーです。CO2をほとんど排出しないという環境面のメリットもあります。この再生可能エネルギーの普及・拡大を目的として、平成24年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートします。この制度は、再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けるもので、この買取りに要した費用は、消費者の皆さんに「電気代の一部」という形でご負担をお願いすることになります。社会全体で再生可能エネルギーを普及・拡大させていくために、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」 
 
 消費者が負担する賦課金の単価は、全国一律
  「電気事業者が買い取る価格・期間については、再生可能エネルギー源の種類や設置形態、規模などに応じて、中立的な第三者委員会(調達価格等算定委員会)が公開の場で審議を行い、その意見を受けて、経済産業大臣が告示することになっています。買取価格、買取期間は、原則として毎年見直した上で、告示されます。法の施行後3年間は、集中的な再生可能エネルギーの利用の拡大を図るため、再生可能エネルギーの供給者の利潤に特に配慮することとしています。
 
  電気事業者が買い取った実績に基づき、費用負担調整機関において、消費者が負担する金額(賦課金の単価)が全国一律になるよう、調整を行います。電気の使用者は、賦課金単価に電気の使用量を乗じた金額を、電気料金の一部という形で負担することになります。なお、過重なものとならないよう配慮されます。
 
 きわめて大量のエネルギーを消費する事業者には、賦課金の8割またはそれ以上を減免する制度が設けられます。また、東日本大震災で著しい被害を受けた被災者の方は、平成24年7月1日から平成25年3月31日まで賦課金が免除されます。 

 先行して導入された、太陽光発電の余剰電力買取制度では、制度開始から今までで、住宅用太陽光発電の価格は1キロワットあたり5万円程度価格が下がり(4キロワットの太陽光を設置した場合、20万円価格が低下したことになります。)、また導入量は4倍に伸びているなど、一定の成果を上げています。

 従来の制度を一歩すすめる、再生可能エネルギーの固定価格買取制度。これによって、再生可能エネルギーがますます普及していくことが期待されています。
 
 日本国内のエネルギー自給率を高め、地球環境にもやさしい再生可能エネルギー。この再生可能エネルギーの普及・拡大は日本全体にとってとても大切なことですので、皆さんのご理解とご協力をお願いします。」(平成23年10月掲載 政府公報オンライン)

 固定価格買い取り制度
 固定価格買い取り制度(Feed-in Tariff)とは、エネルギーの買い取り価格(タリフ)を法律で定める方式の助成制度である。固定価格制度、フィードインタリフ制度、Minimum Price Standard、電力買い取り補償制などとも呼ばれる。地球温暖化への対策やエネルギー源の確保、環境汚染への対処などの一環として、主に再生可能エネルギー(もしくは、日本における新エネルギー)の普及拡大と価格低減の目的で用いられる。設備導入時に一定期間の助成水準が法的に保証されるほか、生産コストの変化や技術の発達段階に応じて助成水準を柔軟に調節できる制度である。適切に運用することにより、費用当たりの普及促進効果が最も高くなるとされる。世界50カ国以上で用いられ、再生可能エネルギーの助成政策として最も一般的な手法となっている。

 固定価格買い取り制度は1978年、米国において導入されたPublic Utility Regulatory Policies Act(PURPA)法がその走りとされる。PURPA法は特にカリフォルニア州などにおける風力発電の立ち上げに貢献した。しかし現在のように国家レベルで顕著な効果を挙げられる制度は1990年にドイツが採用したのが最初とされる。

 再生可能エネルギーの普及促進政策としては他にも固定枠(クォータ)制や入札制などもあり、既存市場との整合性や安さを根拠として固定価格買い取り制度以外の方式を採る国も多かった。しかし固定枠制や入札制では、その主張に反して、いずれもその効果は固定価格買い取り制度に劣るものとなった。

 その一方でドイツは固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを大量に普及させると同時に生産コストを下げ、電力総需要に対するシェアを2000年の6.3%から2007年末には14%(見込み)に倍増させるなど、他の方式より大幅に勝る成果を挙げてみせた。この結果を踏まえ、現在では多くの学術的報告や公的機関がその優位性を認めている。採用数は特に2005年以降に急増し、2009年時点では少なくとも50以上の国々と25以上の州・地域で採用されている。現在では再生可能エネルギーの普及政策として、最も一般的な手法となっている。

 固定価格買い取り制度を採用する地域は年と共に増加しており、2007年末の時点で46の国/州/県が採用している。欧州連合では25ヶ国中、ドイツ・フランス・イタリア・スペインなどを含む18ヶ国が導入している。(Wikipedia)

参考HP 政府公報オンライン 平成24年7月1日スタート!再生可能エネルギー固定買い取り制度

飛躍するドイツの再生可能エネルギー―地球温暖化防止と持続可能社会構築をめざして
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暗黒物質の正体は何か?素粒子(WIMP)が 1分に1個、人体に衝突?

 暗黒物質の正体は何か?
 具体的に何が、宇宙の質量の大半を占めている「暗黒物質」だろう?これには複数の候補が挙がっている。

 素粒子からは、ニュートリノ、ニュートラリーノ、アミシオン、ミラーマターなどがあるが、ニュートリノ以外は存在が確認できていない。このような粒子をWIMP(ウィンプ)と呼んでいる。WIMP(weakly interacting massive particle)は、弱く相互作用する重い粒子で、特に関心を集めている。それは、WIMPが素粒子物理学の標準モデルを拡張する新しい理論から自然に出てくる存在だからだ。

 暗黒物質の観測事実からいくつかのその性質が推測される。(1)電荷を持たず、(2)非常に重く、(3)安定である、こと。このような物質は、現在われわれが知っている素粒子では説明ができない。新しい理論に基づく、未発見の素粒子が必要となる。

 われわれの身の回りにもダークマターは1リットル当たり約1個ほど存在すると考えられている。しかし、いまだ実験的に直接捕えられていない。ダークマターの直接観測は、現在の宇宙物理の最も大きな課題の一つである。直接観測に成功すれば、その正体を解明する手がかりが得られる。そして、ダークマターの正体が分かれば、宇宙創成メカニズムの理解が大きく進展すると考えられる。

Dark Matter

 暗黒物質の候補としては、ブラックホール、白色矮星・中性子星・惑星などの天体も考えられている。小規模なブラックホールは超新星爆発のときに生じる。質量が太陽の数億倍もあるような大規模なブラックホールは銀河中心で観測されているが、まだ成因はよく分かっていない。恒星規模のブラックホールが銀河系内にいくつくらい存在するのか、その質量分布がどのような物か、等も未だ明らかではないため、これは暗黒物質の候補となる。また、原子核大の極微小ブラックホールも多量に存在しているかも知れない。さらに、宇宙誕生後3分頃に生成されたブラックホールについては、バリオン存在量(物質)の制限から逃れることができる。

 比較的小質量の恒星が燃え尽きると白色矮星・中性子星になる。こうした星が自分で出す光が小さい場合、暗黒物質の候補となりうる。 褐色矮星 恒星誕生の際、核融合が起こるほどのガス質量がなかった場合、明るく輝かないために観測は困難となる。近年、観測精度の向上によって褐色矮星が観測されるようになった。また、観測できる多数の恒星がそれぞれ観測できない惑星を持っている可能性があり、これも暗黒物質の候補になる。

 暗黒物質、1分に1個が人体に衝突?
 暗黒物質が、数種類の素粒子だとすると、平均的な人間の体にはおよそ1分に1個、暗黒物質の粒子が衝突しているという計算結果が発表された。
 
 暗黒物質とは、宇宙に存在すると考えられている目に見えない物質。銀河や銀河団への重力の影響が観測されることから、その存在が推定されている。科学者の推定によると、この謎めいた物質が宇宙全体の物質の80%近くを占めるという。
 
 現在まで、暗黒物質を構成する粒子は特定されていない。最も有力とされる候補は、WIMP(ウィンプ)と呼ばれる仮説的な粒子のグループだ。WIMPとは、“物質との電磁気的な相互作用がほとんど無い重い粒子(weakly interacting massive particles)”の頭文字。
 
 名前が示すとおり、この仮説的な粒子は、バリオンと呼ばれる通常の物質に対して、ごく弱い影響しか及ぼさない。人間の体も含め、宇宙のほとんどの物質を素通りしてしまうのが普通だ。
 
 ところが一定の質量を持つWIMPは、ときおり原子核と衝突することがある。そして、その衝突はこれまで考えられていたよりも頻繁に起こっている可能性が出てきた。

 ミシガン大学のミシガン理論物理学センター(MCTP)教授、キャサリン・フリーズ(Katherine Freese)氏は、「この研究を始める前は、WIMPが人間の体内の原子核にぶつかる率は、一生に1度くらいだと思っていた。ところが1分に1回の可能性の方が高いことがわかった」と話す。
 
 WIMPと通常物質の衝突
 WIMP理論によれば、WIMPはほかの物質と同じように、宇宙の誕生時に生まれた。通常の物質とはあまり相互作用しないが、WIMP同士が衝突すると、両方とも消滅してすべての質量がエネルギーに変わる。
 
 今回の研究論文の著者の1人で、スウェーデンにあるストックホルム大学オスカル・クライン・センターの研究員、クリストファー・サビッジ(Christopher Savage)氏は、「宇宙が(膨張して)冷えるにつれ、(WIMPは)非常に広範囲に広がって、もはや消滅しなくなり、ただそこにあるだけになった」と話す。
 
 理論モデルによると、現在、地球とその住民たちを毎秒何十億というWIMPが通り抜けているという。

 ゲルマニウム結晶など特定の物質にWIMPが衝突すると見込まれる確率と、その衝突から発生するはずのエネルギーの量に基づいてWIMPを検出しようとする実験が、いくつか考案されている。
 
 今回の研究でも、フリーズ氏とサビッジ氏はこのような計算方法を用い、何種類かのWIMPの質量と数を調べ、その粒子が、人体に多く含まれる原子の核とどのくらいの頻度で相互作用するかを試算した。
 
 「計算方法はわかっていたけれども、人間の体といった具体物について実際に計算したことはなかった」とサビッジ氏は言う。計算の結果、酸素と水素は比較的WIMPと衝突しやすいことがわかった。人体は大量の水(H2O)を含んでいるため、WIMPと相互作用をする可能性が高い。

 今回の研究によると、60GeV(600億電子ボルト、GeV=ギガ電子ボルト。1GeVは陽子1個の質量に閉じ込められているエネルギーにほぼ等しい)の質量を持つWIMPは、体重70キロの人の体に含まれる原子核に、年に約10個ぶつかるという。
 
 質量が10~20GeVのWIMPだと、平均的な人体の原子核に、年に10万個単位で衝突すると推定される。

 暗黒物質は危険か
 言うまでもなく、相互作用が弱いということは、WIMPがぶつかっても人体に大きな危険はないということだ。

 しかしWIMP同士がぶつかると、消滅して非常に大きなエネルギー反応が生じる。「それぞれが陽子の100倍の質量を持つWIMP同士がぶつかると、陽子の質量の200倍のエネルギーが生じる。これはかなりのエネルギーだ」とフリーズ氏は言う。
 
「WIMPが人体内で消滅すると、人体に良くない突然変異の原因になりかねない。しかし、そんなことが起こる確率は極めて低い」とフリーズ氏は付け加えた。

 暗黒物質の衝突についての研究は、科学サイト「arXiv.org」に4月9日に掲載された。「Physical Research Letters」誌にも掲載される予定だ。(Jason Major for National Geographic News April 25, 2012)

 参考HP アストロアーツ 暗黒物質は太陽系の近くにないかもしれない National Geographic news 暗黒物質1分に1個が人体に衝突?

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宇宙に見える物質は4%!暗黒物質は22%だが、太陽系付近に少ない?

 宇宙で目に見える物質はたった4%
 宇宙が何でできているかを調べてみると、われわれが知っている、陽子や中性子など”目に見える”(観測されている)物質は全体の約4パーセントにすぎない。その5~6倍は未知の物質(ダークマター)が占めていると考えられている。残りはダークエネルギーと呼ばれている正体不明のもの。これまで観測に利用されてきたのは、光やX線、赤外線などの電磁波だが、”暗黒”物質というのは、電磁波での観測では見ることができないため、”暗黒(ダーク)”という呼び名がついている。

 1986年に発見された宇宙の大規模構造が作られるまでの時間をシミュレートした結果、ビッグバン宇宙論から導き出されている137億年といった宇宙の年齢とはかけ離れた長い歳月を必要とすることが明らかになった。そのため、ビッグバン宇宙論が間違っていて修正が必要ではないかという見解が生まれたが、まもなく暗黒物質の存在を仮定すると、ビッグバン宇宙論と矛盾しない時間の範囲内でも、現在のような銀河集団の泡構造が出来上がることが明らかにされた。

 そこで、宇宙全体にどの程度の暗黒物質や暗黒エネルギーが必要なのか、繰り返しシミュレーションが行なわれている。その結果、ダークマターを含めた物質を約30%、ダークエネルギーを約70%にした場合にうまくいくことが確認されている。 2003年から、宇宙背景放射を観測するWMAP衛星の観測によって、宇宙全体の物質エネルギーのうち、74%が暗黒エネルギー、22%が暗黒物質で、人類が見知ることが出来る物質の大半を占めていると思われる水素やヘリウムは4%ぐらいしかないことが分かってきた。この観測結果は、宇宙の大規模構造のシミュレーションから予測されているダークマターの値と、ほぼ一致している。このように2つの方法から推測したダークマターの量がほぼ合うということから、この考えの妥当性が図られている。 

Gravitational lens

 暗黒物質は太陽系の近くにはないかもしれない
 天の川銀河の星の動きを詳しく観測し、太陽系の近くにあるとみられる大量の暗黒物質(ダークマター)を検出しようという研究がチリのグループによって行われた。だが、暗黒物質の痕跡は見つからなかった。理論と観測的事実の違いはなぜなのか、新たな謎が生まれた。

 「暗黒物質」(ダークマター)は光では観測できず、周囲の物質との重力的な相互作用でしか存在が確認できない不思議な物質である。宇宙を構成するこの謎の物質は、もともとは銀河外縁部の高速回転を説明するために提唱されたものだった。高速回転にも関わらず物質が銀河から飛んでいくことなくつなぎとめられたまま存在できるのはなぜか。その理由が、見えない暗黒物質による重力作用によるものとされたのである。暗黒物質はいまや、銀河の形成進化理論の要ともなっている。暗黒物質は宇宙の全質量の約80%を占めていると考えられているが、実際それがどんな物質なのかは未だよくわかっていない。

 暗黒物質の存在を調べるため、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のラ・シーヤ観測所で、太陽から1万3000光年以内にある400個以上の星の動きが測定された。この新しいデータから研究チームは、従来よりはるかに大きな規模で太陽近傍空間に存在する質量を計算した。

 銀河面から離れた多数の星の動きを注意深く測ることで、そこにある物質の質量を求めることができる。それらの動きは星や暗黒物質を含む全ての物質の重力相互作用の結果であるからだ。

 「計算から得られた質量は、星や塵、ガスなど目に見える物質の量とぴったり一致します。意外なことに、暗黒物質に当たる質量は残りませんでした。暗黒物質が存在するのなら確実に結果に現れているはずですが、それがなかったのです」(スペイン・コンセプシオン大学のChristian Moni Bidin氏)。

 従来の銀河形成モデルによれば、大量の暗黒物質が天の川銀河を球状(ハロー構造)に取り囲んでいる。その構造の詳しい形状は不明だが、太陽近傍で非常に多い量が見つかると予測されていた。だが、暗黒物質に当たる質量が見つからなかったという今回の結果からは、このハロー構造は、たとえば極端な楕円形といった予想外の形状をしているということになる。少なくとも、私たちの近くには存在しないかもしれない。

 今回の研究成果により、暗黒物質と普通の物質との相互作用をとらえることで地上から暗黒物質を検出しようとする試みがうまくいかないという見通しも示された。

 「しかし、この結果があっても、天の川銀河が目に見える物質だけを考慮した場合より高速回転しているということには変わりありません。期待していた場所で見つからなかったら、新しい解決案を考えなければなりません。我々が出した結果は、現在受けいれられているモデルをきっぱりと否定してしまいました。暗黒物質の謎は、これでさらに深まったのです」(Christian Moni Bidin氏)。(2012年4月23日 ヨーロッパ南天天文台)

 宇宙を満たすダークマター
 宇宙の構造形成をひきおこす重力の源となる物質のほとんどは、我々がよく知っている物質を構成する水素や酸素、炭素といった通常の元素ではなく、正体不明の物質であると分かっている. 「暗黒物質」や「ダークマター」あるいは「ミッシングマス」という言葉を聞いたことがあるかもしれない。「正体不明のものが存在するとわかっている」とは何だかとても奇妙な言い方であるが、暗黒物質の存在は、特殊な観測や理論から導かれたのではなく、様々な観測結果から共通に示唆されており、ほぼ事実といってよい。以下にその根拠となる代表的な観測事実を挙げる。

・銀河の回転速度が、星の存在しない外側領域でも大きく減少しないこと
・銀河団内の構成銀河の速度分散が非常に大きいこと
・多くの銀河団に見られる重力レンズ現象
・宇宙の大規模構造の形成

 これら全ての観測結果を説明するためには、大量の「目には見えないが重力相互作用をするもの」を持ち出さなくてはならない。(東京大学 吉田直紀

 暗黒物質の発見
 暗黒物質の存在は、1934年にフリッツ・ツビッキーによって銀河団中の銀河の軌道速度における"欠損質量" (missing mass) を説明するために仮定された。彼は、ビリアル定理をかみのけ座銀河団に適用し未観測の質量の証拠を得た。
 ツビッキーは、銀河団の全質量をその周縁の銀河の運動に基づいて推定し、その結果を銀河の数および銀河団の全輝度に基づいて推定されたものと比較した。そして、彼は光学的に観測できるよりも400倍もの推定される質量が存在することを発見した。
 銀河団中の可視的な銀河の重力はそのように高速な軌道に対して小さすぎるので、何らかの外部要因が必要であった。これは"質量欠損問題" (missing mass problem) として知られている。これらの結論に基づき、ツビッキーは銀河団を互いに引き寄せる十分な質量や重力を及ぼす目に見えない物質が存在するはずであると推測した。
 その後、宇宙の暗黒物質の存在を示唆する観測が報告されている。銀河の回転速度、弾丸銀河団のような銀河団による背景物体の重力レンズ効果、そして銀河および銀河団を取り巻く熱い気体の温度分布などの観測結果である。
 暗黒物質の存在の間接的な発見は、1970年代にヴェラ・ルービンによる銀河の回転速度の観測から指摘された。水素原子の出す21cm輝線で銀河外縁を観測したところ、ドップラー効果により星間ガスの回転速度を見積もることができた。この結果と遠心力・重力の釣り合いの式を用いて質量を計算できる。すると、光学的に観測できる物質の約10倍もの物質が存在するという結果が出た。

 この銀河の輝度分布と力学的質量分布の不一致は銀河の回転曲線問題と呼ばれている。この問題を通じて存在が明らかになった、光を出さずに質量のみを持つ未知の物質が暗黒物質と名付けられることとなった。なお、暗黒物質を仮定せずにこれらの問題を解決する方法も提唱されている。(Wikipedia)

 本当は存在しない?暗黒物質
 宇宙には現在の観測技術には引っかからない暗黒物質が満ちている。その質量は宇宙の全物質の96%にも及ぶ。もしこうした暗黒物質を想定せず、目に見える星や電波などで観測できる天体だけしか存在しないとすると、銀河や銀河団は自らの重力が足りず、バラバラになってしまう。これが暗黒物質論だ。

 この結論は現在の物理法則が宇宙ですべて成り立っていることを前提にしたものだが、数多くの研究が続けられたにもかかわらず、暗黒物質の正体は一向に見えてこない。それならいっそのこと,現在の物理法則がある条件下では成り立っていないとしたらどうか。著者のミルグロムはこんな発想の大転換を試みた。

 「力は加速度に比例する」という有名なニュートンの第2法則を,極めて小さな加速度の下では「加速度の2乗に比例する」とした修正ニュートン力学を提唱したのだ。不思議なことにこのように修正を施すと,暗黒物質の存在を想定しなくても驚くほど矛盾なくさまざまな観測結果を説明できる。そのうえ修正ニュートン力学が予想したいくつもの現象も,その後の観測で確認された。(M.ミルグロム 日経サイエンス 2002年11月号)

 参考HP アストロアーツ 暗黒物質は太陽系の近くにないかもしれない National Geographic news 暗黒物質1分に1個が人体に衝突?

宇宙を支配する暗黒物質(ダークマター)とは何か!?―人類起源から量子論まで、解かれざる謎に最新科学が挑む (PHPビジネスライブラリー)
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4%の宇宙 宇宙の96%を支配する“見えない物質”と“見えないエネルギー”の正体に迫る
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ビッグバンから10億年!最も遠い“銀河団”を発見!宇宙の歴史と成り立ち

 最も遠い“銀河団”発見
 国立天文台などの研究チームは4月24日、すばる望遠鏡(米ハワイ島)を使った観測で、これまでで最も遠い127.2億光年先に、銀河が集まる銀河団を見つけたと発表した。約137億年前の宇宙誕生から10億年に満たない時期の「原始銀河団」の発見は、宇宙の構造が形成される過程を解明する手掛かりになるという。論文は近く、米天文学誌アストロフィジカル・ジャーナルに掲載される。

 宇宙には、銀河団のように銀河が集中する場所が点在し、相互につながった網目状の「大規模構造」があるとされる。宇宙誕生直後の物質分布のわずかなむらがこうした構造をもたらしたとされるが、形成過程の解明には、遠方の銀河団の観測が必要になる。

 総合研究大学院大博士課程1年の利川潤さんと国立天文台の柏川伸成准教授らは、すばる望遠鏡の広視野と高い集光能力を生かし、かみのけ座の方角に約30個の銀河が集まっている領域があるのを発見。このうち15個の距離を詳しく測ったところ、8個が127.2億光年先に集中していた。原始銀河団としては、これまで2005年に同望遠鏡が発見した126.5億光年が最も遠いとされていたが、今回の観測はそれを7000万光年上回った。


Galaxy


 すばる望遠鏡では、今年末以降、さらに7倍視野の広い新カメラが稼働する予定。利川さんは「原始銀河団をより多く発見し、一般的な性質を知ることで、銀河の進化や宇宙の構造形成の様子が分かる」と話している。研究チームには、京都大の研究者も参加している。(jiji.com 2012/04/24)

 さらに、発見された原始銀河団の内部構造を詳しく調べてみると、いくつかの銀河のグループを形成しているような傾向が見られた。より大きな銀河団を作るために小さな銀河集団が集まり始めた様子を、私たちは目撃しているのかもしれない。本研究の成果は、宇宙の構造形成や銀河進化の解明に重要な手がかりを与えるものと考えられる。

 図は今回発見された原始銀河団の中心領域を拡大した画像(すばる望遠鏡で撮影)。◯で囲んだ赤い天体が127億光年先にある銀河である。(国立天文台)


 宇宙の始まりと宇宙の構造
 観測によれば、宇宙はおよそ137億年前に誕生した。それ以来宇宙は3つの段階を経過してきている。未だに解明の進んでいない最初期宇宙は今日地上にある加速器で生じさせられるよりも高エネルギーの素粒子からなる高温の状態であり、またほんの一瞬であったとされている。そのためこの段階の基礎的特徴はインフレーション理論などにおいて分析されているが、大部分は推測からなりたっている。

 次の段階は初期宇宙と呼ばれ、高エネルギー物理学により解明されてきている。これによれば、はじめに陽子、電子、中性子そして原子核、原子が生成された。中性水素の生成にともない、宇宙マイクロ波背景が放射された。そのような段階を経て、最初の恒星とクエーサー、銀河、銀河団、超銀河団は形成された。(Wikipedia)

 今回発見されたのは、これまでで最も遠い、127.2億光年という距離の銀河団である。銀河団というと、銀河の集まりである。数千万~数兆個という恒星が集まって銀河は成り立っており、これらの銀河が数十~数千個集まって銀河団が形成されている。

 銀河団がいくつか集まって超銀河団が形成され、超銀河団が連なりさらに大きな構造(銀河フィラメント)を形作る。その間にはほとんど銀河の見られない超空洞(ボイド)があることもわかってきた。観測可能な銀河は、少なくとも1700億個存在する。

 最も遠い銀河については、地球から130億光年以上も離れた「最も遠い銀河」が発見されている。


 最も遠い銀河を“重力レンズ”で発見
 2007年7月、欧米の観測チームが発表した。従来の「記録」は、日本の国立天文台などがすばる望遠鏡で見つけた約128億8000万光年先の銀河。宇宙誕生は約137億年前と考えられ、今回の発見が事実なら、誕生直後の宇宙を知る重要な手がかりとなる。

 発表したのは、米カリフォルニア工科大と英仏などのチーム。ハワイの米ケック望遠鏡で、星の形成が続いている「先例のない遠さ」の六つの銀河を観測し、地球からの距離を割り出した。リーダーのリチャード・エリス同工科大教授は「宇宙誕生からわずか約5億年後の銀河」という。

 光が銀河団などのそばを通る際、巨大な重力で進路が曲がる「重力レンズ」効果を利用。6個の銀河の光は、地球との間にある銀河団による重力レンズ効果で約20倍に増幅されるといい、これを3年間かけて解析した。ただ、エリス氏は「疑い深い人たちは、さらなる証拠を求めるかもしれない」と、発見に異論が出る可能性を認めている。

宇宙は誕生からしばらく星のない「暗黒時代」が続き、その後、星や銀河の形成が始まる「宇宙の夜明け」を迎えたと考えられている。最初の銀河の形成は宇宙誕生から数億年後とされ、日本も含めて各国が「より古い銀河」の発見にしのぎを削っている。
 
 これまでの「最遠銀河」を観測した国立天文台チームの家正則・教授は「重力レンズという新しい方法で得られた非常に大きな成果。ただ、とても暗いので確認作業が重要になるだろう」と話している。 (asahi.com 2007年07月23日)


 ハッブルが、最も遠い銀河発見
 2011年1月には、地球からろ(炉)座の方向に約132億光年も離れた所にある銀河とみられる天体が、欧米のハッブル宇宙望遠鏡で観測された。これまでに観測された最も遠い銀河より約1億5000万光年遠く、記録を更新した。観測成果は2011年1月27日付の英科学誌ネイチャーで発表された。

 米航空宇宙局(NASA)によると、宇宙は約137億年前にビッグバンで誕生したとみられ、初期の宇宙では星が予想以上に速いペースで増えたことが分かった。この「銀河」のサイズは小さく、地球がある銀河系(天の川銀河)の約100分の1という。

 宇宙で最初の星や銀河を発見することは、天文学の最大テーマの一つ。NASAはハッブルの後継となるジェームズウェッブ宇宙望遠鏡を開発しているほか、日本の国立天文台を含む国際研究グループは次世代超大型望遠鏡「TMT」をハワイ・マウナケア山に建設する計画を検討している。(2011/01/27 時事通信)


参考HP Wikipedia:銀河 国立天文台:すばる望遠鏡が見つけた宇宙最遠方の銀河団


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野生で36年ぶり!放鳥トキに初のひな誕生!自然繁殖への歩み

放鳥のトキ 初めてひな誕生を確認
新潟県佐渡市で野生復帰を目指して自然に放された国の特別天然記念物のトキについて、環境省は4月22日夜、「ひなが誕生した」と発表した。自然界でひなの誕生が確認されたのは、佐渡に野生のトキが生息していた昭和51年以来、36年ぶりで、放鳥されたトキでは初めて。

環境省によると、このひなは佐渡市で去年の春に放鳥された3歳のオスと2歳のメスのトキのつがいから誕生した。このつがいは3月中旬から4個の卵を産んだとみられていたが、観察のため設置されたカメラが今月11日ごろから故障して撮影できなくなり22日、あらためてカメラを設置して映像を確認したところ、午後6時45分ごろ、巣の近くにひなの姿が映っているのが確認された。

これを受けて環境省は「ひなが誕生した」と発表した。20年にわたって、地元でトキの飼育や訓練などを行ってきた佐渡トキ保護センターの金子良則獣医師によると、産まれたひなの映像を確認したところ、ひなの体長はおよそ20センチで、ふ化から一週間程度経っているとみられるということである。また、飼育で生まれたトキと同じように元気で、仕草も正常だということだ。

Nipponia nippon

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恐竜絶滅に新説!原因は“卵生”?主流は「隕石衝突説」他に「伝染病・火山活動」など

 恐竜絶滅の原因は卵生だったから、研究論文
 何千万年もの昔に陸上を闊歩(かっぽ)していた恐竜が大量絶滅したのは、赤ちゃんではなく卵を産むその繁殖方法に原因があったとする論文が、18日発行の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に発表された。

 研究チームは、数学モデルを用いることによって、生まれた時のサイズが種の生存を左右する決め手となったことを突き止めた。

 論文によれば、卵の殻が厚過ぎると胚が必要とする酸素を通すことができないため、卵のサイズには上限があるという。このため恐竜は比較的小さい状態で生まれざるを得なかった。わずか2~10キログラムの卵から、30~50トンもの巨体へと成長する種もいたという。史上最大級の脊椎動物だった恐竜ティタノサウルス(Titanosaur)は、成体で平均4トンと、卵からふ化した時の約2500倍の重さへと成長した。一方、現代に生きるゾウの母親の体重は赤ちゃんと比べて22倍程度だ。

Dinosau

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強度世界一!燃えにくい“マグネシウム合金”開発!マグネシウムの拓く未来

 強度世界一のマグネシウム 熊本大、合金を開発
 世界一の強度を持つマグネシウム合金の開発に成功したと、熊本大の河村能人教授(金属工学)らが4月20日、大阪市内で発表した。強度は512メガパスカルで、従来のマグネシウム合金では440メガパスカルが最高。世界記録を大幅に更新した。

 航空機に使われるアルミニウム合金の超々ジュラルミンの505メガパスカルよりも高強度で、重さも3分の2しかないため、自動車部品や航空機への応用が期待される。

 河村教授は「マグネシウムは実用金属の中で最も軽く、輸送のための機器の軽量化が可能。環境に優しい社会の実現に貢献できる。資源も豊富で日本発の新材料として確立したい」と話した。

 河村教授らはマグネシウムに配合する元素の種類や割合を検討。ニッケルとイットリウムを加え「長周期積層構造」と呼ばれる特殊な重層構造を備えた合金を開発した。通常の合金製造法で作ることができ、量産化も可能。特許を申請中という。(2010/05/20 共同通信)

Kawamura_Yabe

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地球寒冷期の前兆か?太陽活動に異変!磁場が4重極構造になる可能性

 太陽活動に異変、地球寒冷期の前兆か?
 国立天文台と理化学研究所などの国際チームは4月19日、太陽極域の磁場にこれまでの活動周期とは違った現象が観測されたと発表した。地球に寒冷期が到来する兆候にも似ているという。 太陽には南北両極にプラス極とマイナス極があり、約11年周期で同時に両極の磁場が入れ替わる(反転する)。

 現在の太陽は北極がマイナス極、南極がプラス極となっていて、次回は2013年5月の太陽活動の「極大期」(太陽の黒点数が最大になる時期)と同時に反転すると予測されていた。 ところが今年1月の太陽観測衛星「ひので」の観測で、北極では約1年も早く、反転に向けて磁場がゼロ状態に近くなっていることが分かった。

 しかし、南極では反転の兆しはみられず、依然、プラス極のままだ。その結果、北極と南極がともにプラス極となり、赤道付近に別のマイナス極ができるような、太陽全体の磁場が「4重極構造」になる可能性があるという。

Polar-field-reversal

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世界最高の分解能“アルマ望遠鏡”で、フォーマルハウトの環・惑星を捉えた!

 世界最高の分解能“アルマ望遠鏡”
 アルマ望遠鏡は、南米のチリ共和国北部にある、アタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原に建設された電波望遠鏡である。パラボラアンテナ66台を組み合わせる干渉計方式の巨大電波望遠鏡で、直径12メートルのアンテナを50台組み合わせるアンテナ群と、直径12メートルのアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台からなる「アタカマコンパクトアレイ (ACA)」で構成されている。

 アンテナは全て移動可能で、それらの間隔を最大18.5キロメートルまで広げることで、直径18.5キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能(視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡になる。アルマ望遠鏡の分解能は、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の約10倍にもなる。

 2011年9月からは、初期科学観測が開始されており、全世界から公募された観測研究のなかで、最初の成果があがった。みなみのうお座の一等星「フォーマルハウト」を取り囲む環の観測だ。

Fomalhaut

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「セドナ」予想より小さかった!準惑星、太陽系外縁天体、冥王星型天体の違いは何?

 太陽外縁天体とは?
 太陽系外縁天体(trans-Neptunian objects (TNO))とは、海王星軌道の外側を周る天体の総称である。エッジワース・カイパーベルトやオールトの雲に属する天体、かつて惑星とされていた冥王星もこれに含まれる。

 1990年代になると海王星軌道より外側で次々と天体が発見され、冥王星を含むそれらの天体を総称して「trans-Neptunian objects (TNO)」と呼ぶようになった。2007年4月9日、日本学術会議はTNOの日本語表記を太陽系外縁天体または外縁天体を推奨した。

 似たような言葉に、準惑星(dwarf planet)と、冥王星型天体(Plutoid)がある。準惑星は、太陽の周囲を公転する惑星以外の天体のうち、それ自身の重力によって球形になれるだけの質量を有するもの。国際天文学連合(IAU)が2006年8月24日に採択した第26回総会決議5A(以下、決議5Aと略)の中で「惑星」を再定義した際に、同時に定義された太陽系の天体の新分類である。

 冥王星型天体(Plutoid)は、太陽系外縁天体 (trans-Neptunian objects, TNO) に属する準惑星 (dwarf planet) である。つまり、準惑星には海王星より遠いところにあるものと、海王星より近いところにあるものがある。海王星より遠いものを冥王星型天体というのである。太陽系外縁天体は、海王星の外側の、太陽系の天体すべてのものをいう。

Transneptuneobjects

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火星の生命、30年前“バイキング”で発見か?その他の証拠「隕石・メタン・珪素…」

 バイキングによる生物探査
 1970年代中盤に行われたバイキング計画の主要な目的は、火星の土壌中の微生物を検出する実験を行うことだった。4つの実験が行われたうち、放射性同位体で標識した元素を用いた実験だけが有意な結果を出し、14CO2の濃度の上昇が見られた。科学者はこのバイキングの実験から2つの事実について合意を得た。1つは、検出された14CO2はこの実験で使われた元素から生成したこと、もう1つは、ガスクロマトグラフ質量分析計は有機分子を検出しなかったことである。しかし、これらの事実をどう解釈するかについては、大きな違いがあった。
 
 実験の計画者の1人であるギルバート・レヴィンは、実験の結果は火星の生命の確定的な証拠だと信じていた。しかしこの結果は、土中の活性酸素によって生物なしでも同じことが起こりうるとする多くの科学者によって異議を唱えられた。またガスクロマトグラフ質量分析計は天然有機物を検出するために設計され、有機分子を検出するものではなかったため、この実験のデータは生命の証拠として合意を得ることはなかった。火星の生命に関するバイキングのミッションの結果は、専門家の分析では“決定的ではない”と評価された。

 果たして火星に生命は存在するのだろうか?火星は約40億年前に磁気圏を失ってしまったため、火星の電離層は太陽風や放射を遮ることができず、このため生命にとっては厳しい環境となっている。しかし、最近の探査で「水」があることは確実になっている。

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第34回ノーベル生理学・医学賞 不治の病“悪性貧血”を打破!「肝臓療法の発見」

 レバーが“悪性貧血”に効く理由
 1934年のノーベル生理学・医学賞は、「貧血に対する肝臓医療法の発見」に贈られた。受賞したのは、米国の医師ジョージ・H・ウィップル、ジョージ・リチャーズ・マイノット、ウィリアム・P・マーフィの3人である。

 1924年、マーフィーは犬を貧血の状態にし、様々な物を与えて改善効果を測定した。そして彼は、レバーを大量に与えると貧血の症状が改善されることを発見した。ウィップルとマイノットは治癒を起こした物質としてビタミンB12を単離した。

  貧血にはレバーがよいという。若いときは貧血気味で、苦手でも無理矢理レバーを食べた。レバーの何が貧血によいのだろう?

 レバーに鉄分が多く含まれていることは有名。赤血球の成分であるヘモグロビンをつくるのには、鉄分を必要とする。だから、血液を多くつくるためにレバーを取るとよいというわけだ。鉄分を多く含んだ食べ物としては、他にほうれん草や、大豆と大豆を原料にした豆腐、焼きのり、ひじきなどの海草、シジミなどの貝類がある。

Whipple_Minot_Murphy

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第34回ノーベル化学賞 ハロルド・ユーリー核融合反応の原料「重水素の発見」

 1934年のノーベル化学賞
 1934年のノーベル化学賞は、ハルロド・ユーリーの「重水素の発見」に贈られた。ハロルド・ユーリーは、アメリカ合衆国インディアナ州ウォルカートン出身の化学者。1932年に液体水素を繰り返し蒸留した結果、重水素の単離に成功した。この功績によってノーベル化学賞を受賞する。

 1932年それは、物質の究極の姿を解明しようとする、素粒子物理学の幕開けの年であった。ニ-ルス・ボ-アやポ-ル・ディラックによって始まった量子力学が、素粒子物理学に発展し 1932年に、中性子、陽電子、重水素(二重水素)と言った粒子の発見があいついで発見されたからだ。この年、粒子加速器による研究も本格化した。

 第二次世界大戦ではその功績を買われてマンハッタン計画に参加し、ウランからウラン235同位体のみを得るための気体拡散法を開発し、原子爆弾の実現に一役買っている。

Harold_Urey

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マリファナより危険!健康被害急増!限りなく違法性の高い「脱法ハーブ」とは何?

 脱法ハーブとは何か?
 2012年4月7日TBS報道特集「脱法ハーブ」を見た。ハーブはにおいのよい香草である。何か問題があるのだろうか?番組を見ていくうちに、これは「脱法ドラッグ」のことだとわかった。ハーブをこまかく砕いて、違法すれすれのドラッグと混ぜたものである。ハーブ自体は有益なもので私は好きだ。見終わった後、そのよいイメージをぶち壊されたようで不快になった。

 売る側は「合法」と呼び、取り締まる側は「脱法」と呼ぶ。ハーブとは言いながら、大麻の成分に似た化学物質が含まれているのだ。「合法」あるいは「ハーブ」という言葉に誘われ、気軽に手を出す若者も多いと言われるが、実態は幻覚や深刻な健康被害を引き起こす危険なものだ。この「脱法ハーブ」は今、日本のみならず世界に広がりを見せている。その実態はどうなのだろう?

 脱法ハーブは、見た目は乾燥した植物の粉末だが、火を付けてタバコのように煙を吸うと中枢神経に影響して興奮作用があるほか、幻覚や幻聴の症状が出ることもあり、「簡単に気持ちよくなれる」として、ここ数年で若者を中心に急速に広まった。

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フォトクロミック物質を使った新材料:光で液体→固体→液体→固体…自由自在!

 新材料:液体→固体→液体→固体…光で自在
 産業技術総合研究所は4月6日、室温で紫外線を当てると液化し、可視光を当てると固まる新材料を開発したと発表した。この過程を何度でも繰り返すことができる。加熱せずに光だけで液体、固体に変わる材料は世界初という。独科学誌「アドバンスト・マテリアルズ」電子版に掲載された。

 新材料は粉末状で、有機質の糖アルコールと石油化合物の黄色の色素を組み合わせた液晶性物質。実験では、長さ3センチ、幅1.2センチの石英ガラス板2枚を使い、一部を重ねて接着面に新材料を挟んだ。緑色の可視光を当てると固化して接着し、1平方センチの接着面で約5キロの引っぱり力に耐えた。

 強い紫外線を当てると液化して簡単にはがれ、再び可視光を当てて接着させると最初と同じ強度になった。セ氏0度から60度までの環境で利用でき、何度でも使える「光制御接着剤」が開発できるという。(毎日新聞 2012年04月06日)

Photochromic

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連動する巨大地震!スマトラ島沖でM8.6・M8.2の地震発生!日本にも同じ可能性?

 インドネシアのスマトラ島沖でM8.6、M8.2の地震発生!
 米地質調査所(USGS)によると、インドネシア・スマトラ島沖で日本時間4月11日午後5時38分ごろ、マグニチュード(M)8.6の大きな地震があった。日本の気象庁に入った連絡によると、スマトラ島北部で1.1メートルの津波を観測。約2時間後にはM8.2の余震が起きた。

 タイ南部でも10センチの津波を観測したが、米ハワイの太平洋津波警報センターによると、津波警報は日本時間の11日夜までに全て解除された。インドネシア災害対策局の担当者はスマトラ島沖のシムル島で4人が軽傷を負ったと明らかにした。マレーシアやインド、スリランカも津波対策を取った。タイのプーケット国際空港は閉鎖された。

 米地質調査所(USGS)の発表によると、地震が発生したのは、バンダアチェの南西500キロの地点で、震源の深さは33キロだった。スマトラ島沖では、2004年12月26日にもM9.1規模の地震が発生しており、津波により、合わせて20万人を超える死者が出ている。(時事通信)

Sumatra

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世界最薄・最軽量!厚さ1千分の2ミリ、有機薄膜太陽電池開発!変換効率4.2%

 厚さ1千分の2ミリ!最軽量の太陽電池開発
 世界で最も薄く軽い太陽電池の開発に東京大やオーストリア・ヨハネスケプラー大のチームが成功した。シールのように貼って携帯するなどの応用が期待できるという。英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに4月4日に発表した。

 同チームは、厚さ1.4マイクロ・メートル(1マイクロ・メートルは1000分の1ミリ)のプラスチックフィルムに、発電や電極の役割を果たす半導体と金属の薄膜を載せ、従来の12分の1程度の厚さしかない約2マイクロ・メートル(毛髪の太さの数十分の1)の太陽電池を作製した。発電量1ワットあたりの重さも0.1グラムで最軽量だ。

 新太陽電池は柔らかく、しわしわにしたり、巻き付けたりして、その後平らに戻しても性能は落ちない。太陽光を電気に変換する効率は4.2%で、関谷毅東大准教授は「今後、実用化の目安となる10%まで上げたい」としている。(2012年4月5日 読売新聞)

Solar cell

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