サイエンスジャーナル

自然科学大好き!サイエンスジャーナル!気になる科学情報をくわしく調べ、やさしく解説します!

2012年06月

やはり、ポパイは強かった!ホウレンソウに含まれる硝酸に筋肉増強効果発見!

 ポパイとホウレンソウの関係
 ポパイは、アニメのキャラクター。現在はテレビで見かけることも少なくなった。雑誌の名前“POPEYE”はこのキャラクターから取ったもの。

 ポパイは1929年、エルジー・クリスラー・シーガー (Elzie Crisler Segar)によって「シンブル・シアター(Thimble Theatre)」という作品で生み出されたキャラクター。初めオリーブはいたが、ポパイが出場したのは10年後のことだという。1930年代に入ると、同作の短編アニメ(カートゥーン)映画がフライシャー・スタジオによって次々と制作されるようになった。今日知られるポパイはこのアニメ版といっても過言ではない。

 物語は、ホウレンソウを食べると超人的パワーを出すセーラー服姿の男ポパイと、その恋人オリーブ、そしてポパイの天敵である大男ブルート(ブルータス)の三人をめぐるコメディである。なぜ、野菜に過ぎない「ホウレンソウ」を食べるとパワーアップするのか?子供心に不思議に思った。

 ポパイのホウレンソウパワーは、ホウレンソウ等の野菜を食べない小学生に、野菜が必要な事を説く際、多くの母親たちが引き合いに出した。当初はホウレンソウがパワーの源ではなくキャベツを食べて元気を出していたともいう。 とあるエピソードの中では、当初ポパイは玉ネギの匂いを嗅いで力を出していたが、ブルータスに水をかけられ匂いがなくなった玉ネギの代わりにホウレンソウを食べ、 その結果玉ネギの匂いを嗅いだ時以上の力を発揮し、以後ホウレンソウを食べるようになったと言う話もある。

POPEYE

続きを読む

ガラパゴスゾウガメ「ロンサム・ジョージ」死す!推定100歳・ゾウガメ亜種絶滅!

 トキ、野生種絶滅から復帰
 環境省は6月29日、自然界では38年ぶりに新潟県佐渡市で巣立ちを迎えたトキの幼鳥8羽が順調に育っていると発表した。
 
 今春最初にひなが生まれたペアと幼鳥3羽が羽を休めているところに、成鳥2羽が加わって計7羽が枯れ木に集う様子も観察された。また、幼鳥8羽のうち1羽は、落ちていた羽のDNA分析から、雌であることが判明した。(2012年6月29日22時55分  読売新聞) 

 一方、ガラパゴス諸島ピンタ島の最後の生き残りといわれていたガラパゴスゾウガメ、通称「ロンサム・ジョージ(孤独なジョージ)」が6月24日死んだ。これにより、ガラパゴスゾウガメの亜種「ピンタゾウガメ」は絶滅した。

 ガラパゴス諸島ではゾウガメの亜種が島ごとに進化した。ピンタ島系は絶滅したとみられたが、1970年代初めに発見された唯一の生き残りとして「ロンサム」の愛称がつき、同諸島サンタクルス島の研究所で保護されてきた。

Galapagos_LonesomeGeorge

続きを読む

日本は資源大国だ!レアアース、南鳥島の海底に国内消費量の230年分!

 南鳥島海底に大量のレアアース
 日本の領土は世界第61位、世界の陸地のうちわずか 0.25%しかない。それに対して領海と排他的経済水域を合わせた広さでは、世界6位となり、その海水量を計ると、世界で4位の海水量になるという。これは凄い事だ、これを活用しない手は無い。(日本は世界4位の海洋大国 山田吉彦著)

 ハイテク製品に欠かせず、現在、中国が独占的に供給している、希少な金属「レアアース」が、日本の排他的経済水域にある南鳥島近くの海底に多く存在していることが、東京大学の調査で分かった。日本の経済水域でまとまった量のレアアースが確認されたのは初めてで、埋蔵量は国内の消費量の220年分余りに上るとみられている。

 東京大学の加藤泰浩教授の研究グループは、海底の火山活動で放出される熱水がレアアースを吸着しやすいことに注目し、太平洋の海底で採取された泥の分析を4年前から進めてきた。その結果、日本の排他的経済水域にある南鳥島近くの水深5600メートルの海底の泥に、ハイブリッド車のモーターに使われる「ジスプロシウム」や、液晶テレビに使われる「テルビウム」などのレアアースが高い濃度で含まれていることが分かった。

Rare earth elements

続きを読む

海の色が変化!ベーリング海にプランクトン・ブルーム発生!温暖化の影響か?

 海の色が変化する理由
 海の色はどうやって決まるのだろう? 海の色の違いというのは おもに、海水中のプランクトンなど、 小さな生き物による。 可視光線のうち、海は 青い色を反射し、赤い色を吸収するため、青く見える。 植物プランクトンの量が多くなれば、 光合成のため赤と青の色を吸収して緑やオレンジ色の光を跳ね返す。 よってプランクトンがたくさんいると、 海の色が濁った緑っぽい茶色に見える。

 東京湾だと1ミリリットルの海水にプランクトンが1000~1万個くらいもいるという。 沖縄の海だと10個くらいのため、 海の水は透き通った青だが、 浅瀬では白い砂か跳ね返った光の色が混ざり 透き通ったエメラルドグリーンになる。プランクトンが増える理由は 東京湾みたいに周りに人がたくさん住んでいると、 生活排水が川からいっぱい流れて来る。 その中に、植物プランクトンの栄養になる窒素やリンが含まれているため、増加する。

 また沖縄の海は栄養分が少ないため、プランクトンも少なくなる。赤潮はプランクトンの異常発生で起きる。ヤコウチュウというピンクのプランクトンが海面に沢山集まると赤く見えまる。 黒潮は日本列島の南側を流れる潮の流れ。 海が深いためプランクトンも少なく、 光の跳ね返りが少ないから青黒く見える。このように海の色は、 プランクトンの量によって変わりまる。


Emiliania huxleyi

続きを読む

毛髪はただの物理的バリアではない!ケモカインを分泌し、免疫細胞を呼ぶ!

 毛嚢に免疫機能を発見
 毛嚢は“もうのう”と読む。毛穴より下にある髪の毛を取り囲む組織のことだ。髪の毛がつくり育てられていく過程で非常に大切な部分である。毛嚢が、皮膚と粘膜に存在する免疫細胞であるランゲルハンス細胞を表皮へと動員するきっかけを作ることが明らかになった。

 毛嚢は毛の成長、皮脂の分泌にかかわるとともに、表皮のさまざまな幹細胞の待機所の役割を担う。ランゲルハンス細胞は表皮に高密度に分布し、正常な状態では自己再生するが、ストレスのかかった状況の下では骨髄中の細胞によって補充される。

 Nagaoたちは、ストレスや炎症刺激が加わると、毛嚢の異なった領域からケモカインと呼ばれる可溶性メディエーターが分泌され、これがランゲルハンス細胞前駆細胞の表皮への移動を誘導することを明らかにした。

 ランゲルハンス細胞の役割 皮膚の異常をキャッチするセンサーの役目をしている樹状細胞。  発見者にちなんでドイツの医学者パウル・ランゲルハンスより名づけられている。膵臓に存在するランゲルハンス島と混同してはならない。

Langerhans cell

 骨髄で造られ、表皮(表皮有キョク層)まで来て存在する樹状細胞で、表皮全体の細胞数の2~5%を占めている。樹枝状の突起が有り、皮膚免疫を司る沢山のレセプター(受容体)を持ち、外部から侵入する細菌やウイルス、化学物質、かび、放射線、紫外線、温熱、寒冷等の刺激や、皮膚内部の状況を常に脳へ伝達し、皮膚の均衡を保つセンサーの役目を担っている。 (Wikipedia)

 遊走性で、細胞内の抗原輸送を担うバーベック顆粒(Birbeck granule)が有り、抗原を樹枝状の突起で取り込むとリンパ管を通って特定のリンパ節に移動し抗原をT細胞に提示しこれを感作する。感作されたT細胞が皮膚に移行して抗原に出会うとサイトカインを放出し、異物を殺傷したり炎症などを引き起こす。 ランゲルハンス細胞は老化した皮膚では、その数の低下が確認されており情報伝達が滞れば、微生物や化学物質などの異物は排除されず侵入を許し、皮膚や体の健康的な営みが損なわれることになる。

 毛はただの物理的バリアではない
 慶應義塾大学(慶応大)は6月25日、国内外での共同研究により、毛は外的刺激に反応して「樹状細胞」を皮膚に呼び寄せ、「毛嚢(もうのう)」の部位による異なる「ケモカイン」を発現し、樹状細胞の表皮内への進入を巧妙に制御していることを発見したと発表した。

 成果は、慶応大 医学部皮膚科学教室の永尾圭介専任講師、同天谷雅行教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、米国東部時間6月24日付けで英科学誌「Nature Immunology」電子版に掲載された。

 毛・毛嚢はすべての哺乳動物が持っている基本的な構造であり、外的刺激から体を守る重要なバリアを提供している。円形脱毛症、膠原病、ニキビなど毛嚢が傷害される炎症性皮膚疾患がよく知られているが、今まで毛嚢に能動的な免疫機能があるとは考えられていなかった。

 一方、2011年のノーベル生理学・医学賞の受賞対象(故・ラルフ・スタインマン博士)となった樹状細胞は白血球の一種で、免疫の起点となる重要な細胞だ。生体の最表面にある表皮には「ランゲルハンス細胞」という樹状細胞が全身を覆うネットワークを形成し、微生物などから生体を守っている。

 研究グループはランゲルハンス細胞がどのような機序で表皮に動員されるのかに興味を持ち、観察を行ったところ、樹状細胞と毛嚢との重要な関係が発見されたというわけだ。

 ランゲルハンス細胞は骨髄から発生することが知られているが、正確な起源は明らかではなかった。マウスを用いて解析したところ、骨髄の単球という白血球がランゲルハンス細胞前駆細胞となり、その後表皮の中でランゲルハンス細胞に分化することが確認されたのである。

 ランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮へ入っていく際、常に毛嚢を経由していることがわかった。皮膚での外的刺激や炎症がこのプロセスを促す仕組みだ。

 ケモカインが、免疫細胞を呼び寄せる。 
 「2光子顕微鏡」という生体内を観察できる顕微鏡を用いて、物理的刺激を加えたマウスの皮膚を観察すると、白血球は刺激負荷後1.5時間後より毛嚢に集積することが判明また、ランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮内に入るためには、特定のケモカインレセプター(受容体)を持っていなければならないこともわかった。

 これらの事実から、研究グループは、毛嚢にはケモカインを産生し、樹状細胞を呼び寄せる機構が存在するのではないかと考察。毛嚢の細胞を5つに分離し、遺伝子発現解析を行ったところ、毛嚢のある特定の部位にランゲルハンス細胞前駆細胞を呼び寄せるケモカインが産生されることが確認された。対応するケモカインの受容体がないと表皮への進入が阻害されることも示されたのである。

さらに、毛嚢の重要性を示すために、毛嚢を維持することができないマウスの皮膚に炎症を起こし、ランゲルハンス細胞前駆細胞の動員を誘導したところ、毛のある皮膚にはランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮内に入ったのに対し、毛のない皮膚では入ることができないことが確認された。よって、ランゲルハンス細胞前駆細胞が表皮に入っていく際には毛嚢がゲートウェイとして重要な働きを担っていることが明らかになったのである。

また、毛の再生に重要な幹細胞を有する毛嚢隆起部では、ランゲルハンス細胞前駆細胞の進入を防ぐ別のケモカインが産生されており、毛嚢の部位により樹状細胞の進入を制御されていることがわかった。

 また、ヒトの疾患においても、毛嚢が残っている脱毛症(円形脱毛症)では、表皮内のランゲルハンス細胞が正常に認められたが、毛嚢が残っていない脱毛症(瘢痕性脱毛症)では、表皮内のランゲルハンス細胞がほぼ消失していた。

 ヒトの毛嚢においても、ランゲルハンス細胞を呼び寄せるケモカインはもちろん、円形脱毛症で関与が疑われるケモカインも毛嚢の特定の部位で産生されていることが判明。マウスだけでなく、ヒトでも毛嚢が免疫機能を有していることが強く示唆されたのである。 

 今回の成果により、毛嚢には今まで気づかれていなかった免疫機能が備わっていることがわかった形だ。単なる物理的バリアであると考えられていた毛嚢は、積極的に皮膚の白血球の交通を整理していたというわけだ。毛嚢に新たな存在意義が加わったといえるだろう。

 皮膚は全身を包む最大の臓器であり、微生物などの外来物質に対して活発な免疫応答が行われている。今回の研究により、毛嚢がこれらの調節に重要な役割を持っていることが明らかになった。今後皮膚での炎症、免疫を理解するための重要な基盤となることが考えられるという。

 目標は皮膚の免疫機能解明
 今回の研究では樹状細胞に着目して解析したが、毛嚢が呼び寄せるのは樹状細胞だけとは限らない。円形脱毛症や瘢痕(はんこん)性脱毛症ではリンパ球が毛嚢を破壊する。ニキビでは好中球という細胞が毛嚢で炎症を起こす。毛嚢が白血球を動員するメカニズムをコントロールできれば炎症を抑えることが可能となるはずだ。

 アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)という皮膚疾患でもリンパ球を主体とした炎症が起きるが、毛嚢が炎症を起こす細胞を呼び寄せている可能性が考えられる。

 今回の研究にて明らかになった毛嚢による白血球の交通整理はアトピー性皮膚炎などの皮膚炎症の病態解明に役立ち、将来それを応用した新しい治療法開発の基盤となることが期待されると、研究グループはコメント。

 また、さまざまな感染症を予防するワクチンを接種する場所として、皮膚が最も効果的であることがわかっている。単に感染症といってもさまざまなものがあり、予防にはそれぞれの感染症に応じた特有の免疫応答が必要だ。望ましい免疫応答を促すために必要な細胞を呼ぶ。今回の研究の白血球動員制御機構は、より制御された新規ワクチンの開発戦略に寄与することが期待されるとも述べている。(マイナビニュース 2012/06/25)

参考HP Wikipedia:ランゲルハンス細胞 マイナビニュース:毛はただの物理的バリアではない

柳屋 薬用育毛アロメール 240ml
クリエーター情報なし
柳屋本店
誰もが知りたい毛髪のひみつ―毛髪の科学と診断
クリエーター情報なし
薬事日報社

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

超伝導状態は2つある?物質が絶対零度で示す新しい臨界現象を発見!

 超伝導とは何か?
 超伝導(Superconductivity)とは、特定の金属や化合物などの物質を超低温に冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象。1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オンネスにより発見された。この現象が現れるときの温度は超伝導転移温度と呼ばれ、この温度を室温程度に上昇させること(室温超伝導)は、現代物理学の重要な研究目標の一つである。

 なお、この現象と同時に、マイスナー効果により外部からの磁力線が遮断されることから、電気抵抗の測定によらなくとも、超伝導状態が判別できる。金属は温度が下がると電気伝導性が上がり、逆に温度が上がると伝導性は減少する。これは温度の上昇に伴って伝導電子がより散乱されるためである。この性質から、絶対零度に向けて金属の電気抵抗はゼロになることが昔から予想されていた。

このことを検証する過程で、超伝導は1911年にヘイケ・カメルリング・オネスによって発見された。超伝導となる温度(臨界温度、Tc)は金属によって異なり、例えばニオブは9.22K、アルミニウムは1.20Kとなる。 特定の物質が超低温に冷やされた時に起こる現象は「超伝導現象」(Superconductivity phenomenon)、超伝導現象が生じる物質のことは「超伝導物質」(Superconductor)、超伝導物質が超伝導状態にある場合「超伝導体」と呼ばれる。

Superconductivity

 液体窒素の沸点である-196℃(77 K)以上で超伝導現象を起こすものは特に高温超伝導物質(Cuprate superconductor)と呼ばれる。 物質が超伝導状態になるということは「水が氷になるように、まったく新しい相へ移行すること(相転移)」を意味する。このため超伝導相に移り変わる温度を、(超伝導)転移温度という。超伝導に転移する前の相は常伝導という。

 絶対零度付近で新しい臨界現象を発見
 京都大学の研究グループは、低温物質科学研究センター、米エイムス研究所、米アイオワ州立大学、米イリノイ大学、英ブリストル大学、および青山学院大学の研究グループと共同で、超伝導状態が絶対零度で示す新しい臨界現象を発見した。

 鉄イオンを含む高温超伝導物質の元素組成比を化学的に変化させたところ、ある組成比に近づくにつれて、超伝導電子の重さが著しく増強されることを実験的に明らかにした。この結果は超伝導状態の中に、臨界点(特異点)が存在することを直接的に示すもので、これまでの長年の未解決問題に答えを与えるものである。この臨界点の存在は、二つの異なる超伝導状態が絶対零度で存在することを意味している。さらに、超伝導転移温度は、この臨界点直上で最も高く、本研究成果は高温超伝導発現機構の理解へつながると期待される。本研究成果は、米国科学雑誌「Science」2012年6月22日号に掲載された。

 物質の温度を変化させると、一つの状態(相)から別の状態(相)に変化する。例えば磁石を暖めると、ある温度において急に磁力が消失してしまう。このような現象は相転移と呼ばれ、物理学の中心的課題の一つである。相転移の近傍では、均一な状態からのずれ(ゆらぎ)が大きくなるが、通常これは熱によって引き起こされたゆらぎと考えることができる。しかしながら、相転移はこの熱ゆらぎの存在しない絶対零度(摂氏マイナス273度)でも、圧力、化学組成など、温度以外のパラメーターを変化させることによって起こすことが出来る。このとき、その起源は、熱ゆらぎではなく、ハイゼンベルグの不確定性原理に由来する量子ゆらぎであり、通常の相転移と区別して量子相転移と呼ばれる。また、量子相転移を起こす、パラメーター空間内の特異点を量子臨界点と呼ぶ。
 
 2008年に日本で発見された鉄イオンを含む新型高温超伝導体は、相転移の一種である反強磁性の相転移温度が絶対零度付近に制御された物質群で、高い転移温度を持ったドーム型の超伝導が出現することがわかっている(図1)。しかしながら、ドーム型の超伝導相ができることで、絶対零度の相転移点(量子臨界点)が消失してしまうのか(図1左)、超伝導内部で相転移点が存続しているのか(図1右)が大きな論争になっていた。 

 今回、同じ超伝導状態でも、高温超伝導物質の元素組成比を変化させ、絶対零度に近づけたところ、ある組成比に近づくにつれて、「磁場侵入長」λが変化していることがわかった。このことは超伝導電子がこの近辺でのみ急激に重くなることを意味している。このような結果は他の超伝導体では見つかったことがない驚くべき結果である。(京都大学プレスリリース 2012年6月22日)

 「磁場侵入長“λ”」の変化
 超伝導物質では、転移温度Tc以下の温度に冷却すると、電気抵抗がゼロになり電力消費なしに電流を流すことができ、それと同時に磁場を完全に遮蔽することができる性質(マイスナー効果)を示す。この磁場を遮蔽する能力は、「磁場侵入長」λとよばれる物理量で決定づけられる(図2)。磁場侵入長の長さ(通常数十~数百ナノメートル程度)は超伝導電子の密度と重さ(有効質量)と密接な関係があり、超伝導状態を記述する上で最も基本的かつ重要な量となっている。

 今回、研究グループは極低温においてこの磁場侵入長を高精度に測定する手法を開発し、鉄系超伝導体BaFe2(As1-xPx)2の純良単結晶試料を用いて、絶対零度における磁場侵入長について、P組成比xに対する変化を定量評価することに成功した。その結果Tcが最大となるx=0.30で磁場侵入長が急峻に長くなることを見出した。このことは超伝導電子がこの近辺でのみ急激に重くなることを意味している。このような結果は他の超伝導体では見つかったことがない驚くべき結果であり、今回非常に純良な試料を多数の組成比で調べたこと、さらに通常正確な測定の困難な物理量を3種類の異なる実験手法を用いることで系統的に調べたことにより、初めて明らかになった。

 このような絶対零度における磁場侵入長の急激な増大は量子効果によるゆらぎの増大が超伝導電子に影響を及ぼしていることを初めて直接示したものであり、図のように量子臨界点が超伝導相内に存在していることを意味する。この結果により、今まで論争になっていた二つの超伝導状態が存在することも同時に示されたことになる。さらに、量子臨界点でTcが最大になっていることから、量子効果によるゆらぎの増大と超伝導転移温度を高める要因が強く関連していることが示唆される。本研究成果により、超伝導電子に及ぼす量子ゆらぎの効果の重要性が初めて明らかとなり、今後の研究により高温超伝導発現メカニズムの解明につながることが期待される。(京都大学プレスリリース 2012年6月22日)

参考HP 京都大学プレスリリース:超伝導物質が絶対零度で示す新しい臨界現象を発見 Wikipedia:超伝導

超伝導の基礎
クリエーター情報なし
東京電機大学出版局
トコトンやさしい超伝導の本 (B&Tシリーズ―今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

甘い物を食べ過ぎると頭が鈍くなる?脳の活性化には栄養バランスが大切!

 脳には糖分が必要なはずだが?
 脳科学では、「脳はブドウ糖だけをエネルギー源にしている。糖質さえとっていれば、脳は働く」といわれてきた。「勉強の前に甘い砂糖を入れたコーヒーを飲んだり、チョコレートを食べればよい」というのも聞いたことがある。

 しかし、どうも甘いものばかり取っていてもかえって、脳の働きが鈍くなるという研究結果が今回発表された。これを防ぐには、抗酸化力のある、ω3脂肪酸をいっしょに取るとよいそうだ。抗酸化力が記憶をつかさどる脳神経細胞のシナプスを保護しているという。

 さらに2011年1月、東北大学の川島隆太教授と大塚製薬の共同研究の結果、「糖質だけではなくバランスよく栄養をとったほうが、集中力、疲労感、空腹感のすべてにおいてよい結果が得られる」ことがわったと発表している。

Sugar-affects-brain-vending-machine

 なぜ、糖質摂取だけでは脳がうまく活性化しないのだろうか?川島教授は、大学生を対象にある調査を行った。水だけ、砂糖水だけ、栄養バランスのよい流動食の3通りを各々朝食として摂取してもらい、3時間後に、集中力と緊張感を要する短期記憶テスト「Nバック課題」を実施。そのときの脳の働きを測定、写真を撮影したところ、「砂糖水」よりも「栄養バランスのよい流動食」を摂取したほうが、脳のいろんな領域が働くことがわかった。

 なぜ、このような差が出たのだろう?現在わかっている知識と栄養学とを併せて考察した結果、いろいろな栄養素が「ブドウ糖代謝」を亢進し、脳の働きを活性化させると考えられた。

 皆さん、糖分だけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを添加したり、ω3脂肪酸などもあわせた栄養バランスのとれた食事をするよう心がけましょう。

 甘い物を食べ過ぎると頭が鈍くなる
 甘い物を食べているとウエストが緩んでくることは誰でも知っている。ところが、頭も緩んでくるらしいことが、最新の研究からわかった。

 実験に使われたマウスは、甘い飲み物で記憶が混乱し、学習が妨げられた。研究を率いたカリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者フェルナンド・ゴメス・ピニーリャ(Fernando Gomez-Pinilla)氏は、甘い食べ物が人間に及ぼす影響も「非常に心配だ」と話す。
 
 ゴメス・ピニーリャ氏の研究チームは、まず5日間ラットを訓練して、迷路を通り抜けられるようにした。その間、ラットには水と標準的な餌だけを与えた。その後6週間は、水の代わりに15%の果糖溶液を与えた。
 
「たいていの炭酸飲料には12%程度の糖分が入っている。つまり、水の代わりに砂糖を加えた炭酸飲料を飲んだと考えてもらえばいい」とゴメス・ピニーリャ氏は説明する。

 その6週間の間に、半数のラットには、果糖溶液と共にオメガ3脂肪酸の豊富な亜麻仁油と魚油も合わせて与えた。これまでの研究から、オメガ3脂肪酸には抗酸化作用があり、シナプスと呼ばれる脳神経の化学的接続部分を保護するらしいことがわかっている。
 
 果糖溶液を6週間与えた後、すべてのラットで迷路の通り抜けが遅くなった。しかし、オメガ3脂肪酸を合わせて与えたラットは、与えなかったラットよりもわずかに速かった。
 
 実験に使ったラットの脳を切断して調べたところ、高濃度の果糖を摂ったせいで、学習のカギを握るシナプスの可塑性が抑えられていたことがわかった。また、ラットでも人間でも記憶の形成に働くことが知られている海馬と呼ばれる脳領域で、糖分を調整するタンパク質のインシュリンの働きが妨害されていたこともわかった。
 
「こうした食べ物が脳に与える影響がどれほど大きいかを知って衝撃を受けた。人間でも、食べる物が気分や認知に影響を及ぼす可能性が非常に心配だ」とゴメス・ピニーリャ氏は話す。
 
 何ごともほどほどが大切
 ソフトドリンクや調味料、その他さまざまな加工食品には、普通の砂糖よりも安価な、果糖の豊富なコーンシロップが使われることが多い。米農務省によると、平均的な米国人は年に27キロ以上のコーンシロップを摂取する。やはり果糖を含むサトウキビやビートの消費量も、それよりやや少ない程度だ。
 
「果糖が体に悪いと言うのではない。栄養素を1つだけ取り上げて考えてはいけない。問題は、摂りすぎることだ」とゴメス・ピニーリャ氏は言う。「食事全体を、そして、オメガ3脂肪酸を摂ることを考えてもらいたい」。オメガ3脂肪酸は、サーモンやマグロ、クルミ、オリーブ油などに含まれている。
 
 研究チームの次の課題は、「体に良くない食事の長期的影響を元に戻せるかどうかを確認することだ」と、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックのジル・バーンズ(Jill Barnes)氏は話す。バーンズ氏は今回の研究に参加していない。
 
 今後は、食事が加齢や発達に及ぼす影響についても研究していく必要がある。「例えば、発達段階にある若い動物や人間に、長期にわたって糖分が多く、オメガ3脂肪酸の少ない食事を与え続けるとどうなるか」とバーンズ氏は問いかける。
 
 その他、ストレスのかかっている脳にさらにストレスを加えるような「食事が、PTSDなどの疾患にどう影響するかも研究テーマとなる。適切な食事を取っていない人では、PTSDの悪影響も大きいかもしれない」とゴメス・ピニーリャ氏は話している。
 
 糖分の多い食事についての研究は、「Journal of Physiology」誌の5月15日号に掲載された。(Charles Q. Choi for National Geographic News May 23, 2012)

 「脳の活性化には、栄養バランスが重要」
 大塚製薬株式会社は、東北大学加齢医学研究所・川島隆太教授との共同研究において、朝食として栄養調整食品を摂取し、暗算や簡単な記憶テスト(以下、知的作業)を行った場合、前頭前野内側面における脳活動が糖質のみの摂取と比べて高まることを脳科学的な見地から確認した。

 本研究成果は、脳機能に関する学会「16th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping」にて、川島教授らにより発表された。

 前頭前野は能動的な注意、意欲に関わる領域であり、本領域の活動低下は慢性疲労との関係があるといわれている。今回の研究成果について川島教授は、「栄養バランスの良い朝食を食べないと脳が効率よく働かないことを客観的に示唆する内容であり、大変興味深い結果」とコメントした。

 これまでに、疲労を予防し、集中力や知的作業効率を高めるには朝食摂取が重要であること、さらに糖質だけではなく栄養バランスの良い朝食が大切であることはよくいわれる。しかし、脳内部でどのような違いが生じるかについてはこれまで不明だった。本研究は、この部分を明らかにすべく「fMRI」という脳活動を画像化する手法を用いて次の検討を実施した。

 健常成人6名を対象に、朝食摂取前に知的作業および集中度などの自覚症状を測定した。その後、朝食として被験物(栄養調整食品:五大栄養素を含む400kcalの飲料、糖液:400kcalの糖質のみを含む飲料、水のいずれか)を摂取し、朝食前と同様のテストを経時的に行った。なお、知的作業時にはfMRIを用いて脳活動を測定した。

 fMRIによる測定を行い、高い脳活動を示した領域が明るく表示されるよう画像化した。その結果、栄養調整食品を摂取した場合は、糖液や水摂取と比べて、摂取180分後に前頭前野内側面の脳活動が有意に高くなっていることが確認された。

 朝食として五大栄養素を含む栄養調整食品を摂取した場合、糖質のみの摂取と比べて、前頭前野内側面で脳活動が高まることが客観的指標によって確認された。これにより、脳の活性化には、糖質だけではなく、バランスのとれた栄養素の摂取が重要である可能性が、脳科学的見地から示唆される。(大塚製薬プレス 2011年1月18日)

参考HP National Geographic news:甘いものを食べすぎると頭が鈍くなる 大塚製薬プレスリリース:脳の活性化には、栄養バランスが重要

脳がめざめる食事
クリエーター情報なし
文藝春秋
脳を鍛える大人の音読ドリル―名作音読・漢字書き取り60日
クリエーター情報なし
くもん出版

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

「世界一のろい魚」発見!オデンザメならぬ、「オンデンザメ」というサメの正体

 サメの有効利用法
 サメは獰猛で危険な生物というイメージが定着しているが、人に危害を加えるおそれのある種は20~30程度とされ、サメ類全体の1割ほどである。中でもホホジロザメやイタチザメなどに代表されるような鋭い歯と力強いあごを持つ種は特に危険であるが、その多くは外洋性で人との接触の機会はあまりない。まれに海水浴場など人のいる沿岸域にそのようなサメが現れることがあると、安全のためそこは遊泳禁止になったり、サメよけネットが張られたりする。
 
 サメの利用法にはどんなものがあるだろうか?まず、高級食材である「フカヒレ」がとれる。しかしそれ以外は、軟骨を利用したり、一部がかまぼこなどの練り製品になるものの、ほとんどが利用されずに捨てられている。その理由は「臭い」ということ。サメ肉に含まれている尿素が、ウレアーゼという酵素によりアンモニアなどに分解されるために臭う。現在、サメ肉を有効利用しようと研究が続けられている。

 また、深海に棲息するサメの肝臓には肝油があり、これが健康によいということでよく利用される。肝油は、タラやサメ、エイの肝臓に含まれる液体、およびそれから抽出した脂肪分。サメやエイなどの軟骨魚類は浮き袋を持たないため、海水より比重の軽い油を肝臓に蓄え、浮力を得ている。

Greenland Shark

 今回、北極圏の冷たい海に生息する、深海ザメの一種である「ニシオンデンザメ」を調べたところ、“世界一のろい魚”であることを発見、日本の国立極地研究所やノルウェー極地研究所、カナダのウィンザー大学の研究チームが国際的な海洋科学誌「Journal of Experimental Marine Biology and Ecology」のオンライン版に発表した。

 研究チームは2009年6月にノルウェー沖の北極海で、体長3メートル前後の6匹のニシオンデンザメ(体重204~343キログラム)の体にGPS(衛星利用測位システム)機能付きの測定器を取り付け、24時間の動きを調査した。その結果、ニシオンデンザメの平均的な泳ぐ速さは秒速約34センチ(時速約1.2キロ)と、人間の赤ちゃんのハイハイほどで、最大でも時速2.6キロほどしかなかったという。(サイエンスポータル June 18, 2012)

 世界一のろい魚発見!
 国立極地研究所を中心とするノルウェー極地研究所、ウィンザー大学(カナダ)との国際共同研究により、「世界一のろい魚」が発見された。北極海に生息するニシオンデンザメは、体の大きさや系統関係の違いを考慮すると、これまでに調べられたどんな魚よりもゆっくり泳ぐことがわかった。

 動物の体にとりつけるデータロガーで調べたところ、体長3mにもなるこの大きなサメは驚くほどのろかった。プロペラセンサーで記録した泳ぐ速さは、平均でわずかに時速1キロ。赤ちゃんのハイハイほどの速度である。泳ぎにともなう尾びれの動きの速さを、加速度の記録から推定すると、左右の往復運動になんと7秒もかかっていた。

 これらの値を、体の大きさや系統関係の違いを考慮して他の魚と比較すると、これまでに調べられたあらゆる魚(ニシン、サケ、タラ、ヒラメ、マンボウ、チョウザメ、他のサメ等)よりも遅いことがわかった。

 一般に、動物の筋肉の収縮速度は温度の低下とともに急激に遅くなる。北極海の冷たい水の影響で、尾びれの動きが鈍くなり、それにともなって泳ぐ速さも落ちているのだと考えられる。

 南極の魚の中には、低水温の中でも高い筋肉活性を保てるよう、特別な適応をした仲間がいる。北極のニシオンデンザメには、そのような適応は見られず、低水温のなすがままにされていることがわかった。

 不思議なことに、この「世界一のろい魚」はアザラシを襲って食べる。アザラシは哺乳類であり、体温を常に高く保っているので、低水温の中でも筋肉の活性を落とさずに済み、ニシオンデンザメよりもはるかに速く泳ぐことができるのに。

 北極のアザラシは、ホッキョクグマを避けるために水面で眠ることがある。私もフィールドワークをしているときに、水面にプカプカ浮かぶアゴヒゲアザラシを見たことがある。死んでいるものと思ってボートで近づき、手でつっついてみたところ、ハッと目を覚ましたように動き出し、潜り去っていった。もしかしたらニシオンデンザメはこのように眠るアザラシを探し出し、襲っているのかもしれない。(国立極地研究所)

 ニシオンデンザメとは何か?
 ニシオンデンザメ(西隠田鮫、学名:Somniosus microcephalus、英名:Greenland Shark)はツノザメ目オンデンザメ科に属するサメの1種。北大西洋全域と、沿岸沖の大陸棚地帯に生息。英名が示すように、グリーンランド近辺の海域にも分布。緯度が北の低水温の海水であれば、浅い海域にも浮上してくる。

 ツノザメ目の最大種で、最大体長7.3メートルにもなる。体色は灰色。近縁種のオンデンザメと同じに深海性だが、エサを求めて浅海に上がってくる。顎の歯は上顎に付いている歯がやや突き出て、下顎の歯がやや小さくなっている。吻部はやや前方に突き出る。体型はやや太めで横幅がある。体の大きさに比べて、鰭と目はやや小さい。目には寄生性のカイアシ類(ミジンコの仲間)をぶら下げていることがよくある。

 鰭が小さく、ズングリとした体型である。低温域に生息しているため筋収縮速度が遅く、泳ぐ速さは時速1km程度と、サメ類に限らず大型魚類の中でも極端に遅い。一方で、食性は非常に多彩で、サケ、マスなどの魚類や底生性動物を捕食するが、大型の個体となると、アザラシを襲うようになる。

 貪欲で、エサになりそうなものであれば、何でも口に入れるようで、胃の中からトナカイの姿や、ホッキョクグマの骨が見つかった事もある。しかし、死亡して、漂流していた個体を食べた可能性も指摘される。船員の長靴や、海に沈んだ人間の遺体まで胃の中で発見された例もある。
 
 体が大きく、その貪欲な食性のため潜在的に危険なサメとされるが、人の泳げない低温海水域に分布しているので、直接害に及ぶことは無いとされる。本種は肉に毒があって、焼いて毒抜きしないと食べられないと言われるが、肝臓は肝油などに利用されるために、北極海近辺では年間3万頭あまりが捕獲されている。

 肝油は、タラやサメ、エイの肝臓に含まれる液体、およびそれから抽出した脂肪分。サメやエイなどの軟骨魚類は浮き袋を持たないため、海水より比重の軽い油を肝臓に蓄え、浮力を得ている。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:ニシオンデンザメ 国立極地研究所:世界一のろい魚発見!

世界サメ図鑑
クリエーター情報なし
ネコパブリッシング
深海鮫極肝油 海宝
クリエーター情報なし
ブレーンコスモス

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

イチゴに花粉症抑える効果発見!ただし、20個・7日以上食べ続けること!

 イチゴに花粉症を抑える効果
 イチゴに、花粉症などのアレルギー症状を抑える成分が含まれていることを、北九州工業高等専門学校(北九州市小倉南区)の川原浩治教授(47)(細胞工学)が突き止めた。

 この成分を濃縮した機能性食品の開発が期待され、川原教授は「研究成果を様々な国で利用してもらえれば」と国際特許を出願している。米国ボストン市で18~21日に開かれた「国際バイオ展示会」で発表した。

 川原教授は、人間の血液から採取した細胞の培養液にスギ花粉を入れ、花粉症を発症したモデルとなるヒト細胞を作製し、ニンジンやタマネギなど約190種類の食品で試した。

 その結果、すり潰したイチゴから抽出した液を加えると、アレルギーの引き金となる物質「IgE抗体」が減少し、イチゴの成分を分析した結果、「GAPDH」という酵素が作用していることがわかった。

Toyonoka

 品種により抑制効果に違いがあることもわかり、「とよのか」ではIgE抗体の量が22.3%、「あまおう」は16.7%減少した。人為的にアレルギーを起こした状態のマウスを使った実験では、一日1回イチゴの抽出液100マイクロ・グラムを与えると、アトピー性皮膚炎や鼻炎の症状が1週間過ぎから改善した。

 ただ、マウスに与えた量を体重60キロの人に換算すると、一日に「とよのか」(1個15グラム)を20個以上、1週間以上続けて食べる必要があるという。(2012年6月22日 読売新聞)

 イチゴの健康成分
 ビタミンCが豊富で健康にはよいといわれている、イチゴ。イチゴにはどんな成分が含まれているのであろうか?

 イチゴ100g当たりの栄養素は、ビタミンCが、80mg、食物繊維が1.4g、カリウムが200mg、ビタミンB1が0.02mg、ビタミンB2が0.03mg、鉄が0.4mgである。

 イチゴにはビタミンCが、100g中50~100mgと、レモンを遙かに上回る量が含まれており、果物の中ではトップレベルである。中程度の大きさのいちごを7~8粒食べれば、1日のビタミンC必要量を十分摂れる。

 ビタミンCには肌・皮膚を若々しく保つ美肌効果はよく知られている。ビタミンCは、コラーゲンの生成を促し、しわを予防する作用や、メラニンの生成を抑えシミを予防する働きがある。肌の悩みを抱えている人におすすめの栄養素だ。

 加えて、ウィルスや細菌に対する抵抗力をつけ風邪を予防、近年ガンを予防する栄養素としても注目されている。また、鉄分を吸収しやすくしてくれる栄養素でもある。疲れやストレスを感じている人、運動量の多い人、タバコを吸う人は特にビタミンCを消耗しやすいため、積極的に摂りたい。

 またイチゴには、下痢や便秘を防ぐなど整腸作用を持つ水溶性の食物繊維ペクチン、体内に蓄積されたナトリウム(塩分)の排泄を促し高血圧を予防するカリウム、虫歯予防効果があるキシリトール、さらにビタミン・ミネラルなどをバランス良く含んでいる。

 花粉症の原因「IgE抗体」とは何か?
 イチゴの「GAPDH」という酵素が、花粉症に効くことがわかった。花粉アレルギーに泣かされてきた私にはうれしいニュースだ。ところで、花粉症とはどんなアレルギーなのだろう?
 哺乳類が進化の過程で身につけた免疫が「IgE抗体」。これはダニや寄生虫に対する免疫機能である。それまで生物は細菌などの目に見えない小さい敵に対しては、自然免疫などの方法で対抗していた。ところがダニや寄生虫などについての対抗手段はなかった。これを獲得したのは哺乳類などの高等動物だけに限られる。いったいどうやって、我々はダニや寄生虫に対抗するのだろうか?

 実は我々の体内ではダニや寄生虫に対抗する物質がつくられており、これがアレルギーを起こす。具体的には、我々はダニや寄生虫の出す酵素に反応して、IgE抗体を作成。これが我々の粘膜下にある「マスト細胞」にたくさんくっつく。ある程度このIgE抗体の量が増えると、「マスト細胞」が爆発!中からヒスタミンが放出されこれが、ダニや寄生虫を攻撃する。

 ヒスタミンを吸い込んだ、あの憎い吸血ダニは、ショック死!おもしろいようにころころ死んでいのである。我々は何と「毒」をつくっていたのだ。これが、花粉症の正体だ。

 我々はハウスダストの中のダニのしがい死がいや。ダニのタンパク質に似ている、花粉表面のタンパク質に反応して「ヒスタミン」という毒をつくっているのである。こうして我々はダニがいなくても、未だにダニと戦っており、自分のつくるアレルギー物質に苦しんでいるのだ。

参考HP アイラブサイエンス:花粉症の正体がわかった「IgE免疫」の獲得が原因 NHKスペシャル「病の起源」:第6集アレルギー~2億年目の免疫異変~ 

サーファーに花粉症はいない ~現代病の一因は「ビタミンD」欠乏だった!~
クリエーター情報なし
小学館
花粉症にはホメオパシーがいい―治療現場からの報告 アトピー性皮膚炎からがんまで、エネルギー医学の大きな力
クリエーター情報なし
風雲舎

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

「昆虫虐待?」で発見!恐怖の中で死んだバッタは炭素率(C/N比)が変化する?

 「昆虫虐待?」で驚きの研究論文
 恐怖におののきながら死んだバッタの死骸は、安らかに死んだバッタの死骸とは異なる影響を土壌に与える――。このような内容の論文が15日発行の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。
 
 論文の主執筆者でイスラエルのエルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)の研究者Dror Hawlena氏は同誌のウェブサイトに掲載された音声インタビューの中で、この研究結果は「確かに少しとっぴな話に聞こえる」と語った。
 
 Hawlena氏は米エール大学(Yale University)の研究者らと共に、クモにおびえさせられたバッタの死骸を使った実験を行った。実験ではまず、バッタだけを入れた籠とバッタとクモを一緒に入れた籠を用意し、草木が茂る自然の中に置いた。バッタが実際に食べられてしまうことを防ぐため、クモの口はのりを使ってふさぎ、バッタには純粋な恐怖のみを感じさせた。

Jorougumo

  バッタが死んだ後、Hawlena氏はその死骸を研究室に持ち帰り詳しく分析した。すると、恐怖を与えられたバッタの体の窒素に対する炭素の割合が、安らかに死んだバッタと比べて4%増加していることを発見した。
 
 また、このわずかな違いが原因で、恐怖を感じたバッタの死骸を入れた土壌では、落ち葉など植物性有機物の分解速度が大幅に遅くなることが確認された。 
 
 Hawlena氏は、干ばつや酷暑によるストレスでも恐怖と同様の効果が生まれ、土壌成分が変化して農作物の収量や植物の成長サイクルに永続的な影響を与える可能性があると指摘している。(6月15日 AFP)

 有機物の分解と炭素率(C/N比)
 分解する有機物として、バイオプラスチック (bioplastic)があるが、これは生物資源(バイオマス)から作られたプラスチックである。 主にデンプンや糖の含有量の多いトウモロコシやサトウキビなどから製造される。今回、恐怖を受けたバッタの体も有機物でできている。その成分中の窒素が減少、炭素が4%増加したという。一般に有機物中の炭素分が多いと分解しづらくなることが知られている。

 有機物にはいろいろな種類のものがあるが、土壌中に施用されると微生物によって分解され、植物の栄養になったり、土壌の物理性(保水性、排水性、通気性など)や生物性(微生物性)の改善に役立つ。有機物は年間で数%程度分解して減少していきますので地力の維持や増強には有機物の補給は欠かせないものである。

 有機物は種類によってその分解のしかたが違う。分解のしやすさ・しにくさは環境条件によってちがいうが、同一条件ではC/N比(炭素率)の大小でほぼ決まる。炭素率が大きくなると分解しにくく、小さくなると分解しやすくなる。その境界線はC/Nが「30」程度。

 有機物中の炭素量(C)を窒素(N)で割ったものである。土壌の炭素率は表土では10前後で下層にゆくほど小さくなる。黒ボク土では大きく20近くなるものもある。新鮮なわらの炭素率は60、堆きゅう肥は20~30位である。 

 炭素率の大きい有機物の分解を促進するには、窒素を加えて炭素率を小さくする必要がある。麦わらなど炭素率の高い有機物を土壌に多量に施用するとき、窒素を多めに施用するのはそのため。これをしないと土壌中の窒素が有機物の分解のために使われ、植物に窒素不足(窒素飢餓)がおこり、生育が悪くなる。

 鶏ふんなど炭素率の低い有機物は、施用後まもなく分解が始まり窒素などの養分を放出する。有機物の分解がすすむと炭素率は低下し最終的には「10」近くになる。

 有機物の堆肥化と炭素率(C/N比)調整法としては、窒素を添加してC/N比を30前後まで下げる必要がある。これは有機物を堆肥化する場合も同じである。ほとんどの有機物は100kg当たり窒素1kg添加することでC/N比は30以下に低下する。

 また、技術的には木、米、生ゴミ、牛乳等からも製造可能であるとされている。 バイオプラスチックの大きな利点は、元来地上にある植物を原料とするため、地上の二酸化炭素の増減に影響を与えないカーボンニュートラルの性質を持っていることである。ただし、従来のプラスチックと同様にバイオプラスチックの製造時にもエネルギーを必要とするため、完全なカーボンニュートラルではないとの意見もある。

 害虫と益虫の違い
 今回の実権は、バッタがかわいそうになる実験であるが、バッタとクモで比較すると、バッタは害虫、クモは益虫に分類される。しかし、バッタの方がはるかに親しみが湧くのはなぜだろうか?

 害虫と益虫の定義はあくまでも人間にとっての但し書きが付くのだが、それ以外にも本当のところは益虫なんだけど見た目が気持ち悪いとか人間の勝手な判断で個人的に害虫に分類されてしまったりする所もあるので、明確な線引きも時には難しい。

 家庭菜園などでテントウムシはアブラムシを食べてくれる益虫でしかも見た目も悪くないですし、テントウムシのサンバなんて歌謡曲も流行りましたので、人間に駆逐され難いと思うが、見た目が全然違っていてグロテスクだったら、人間の扱いは全然違っていただろう。

 例えばミミズは誰がどう考えても土を耕して、土中の空気の通りを良くして土地を健全に保ってくれる益虫の代表のような存在だと思うが、どうも嫌っている人は多い。ミミズが出ただけで大騒ぎするような人が、家庭菜園をやっていたりするのは理解に苦しむが、とにかく地球上には実に様々な生物が共存しているので、少なくとも益虫位は可愛がってあげても良いのではないかと思う。

 最近はキャンプ場に虫が居ただけでクレームを付けてくるような、頭の中を検査したいような人が増えているとも聞く。都会に住む子供などは大人になるまで殆ど実際に生きている虫を見たり触ったりしないって事も増えてしまうような事も充分に予測されるので、そのうちに益虫も害虫も関係なく虫は全部同じで駆除の対象になってしまったりするかもしれない。

 人間にとって、蜜をつくり、果実を受粉させ、実らせる大切なはたらきをしている、ミツバチは、益虫中の益虫とも呼べるが、嫌う人も多い。それは刺すという行為がヒトには害だからであるが、難しい問題だ。益虫とはどんなものだろう?

 益虫には、資源供給をするものと害虫を駆除するものがある。資源供給でいうと、絹糸がとれるカイコや、蜂蜜を生産するミツバチなどを指していう。また、直接資源を提供するわけではないが農作物の受粉を媒介する動物として昆虫は重要な存在である。
 
 害虫駆除では、クモやヤモリが水田のイネに巣食う害虫や、人家内外に住まうゴキブリ・ダニ・ハエ等を捕食してくれるとか、トンボやゲジがカを捕食するとか、そのような場合に使う。ただし、クモが益虫であるミツバチを食べたり、巣を張れば害虫扱いとなる場合もある。また益虫であっても、ゲジやアシダカグモなどは「外見が気分を害する」などの理由で「不快害虫」のレッテルを貼られてしまうケースも出てきている。

参考HP 三重県農業技術情報システム:有機物の種類と分解の特徴 Wikipedia:益虫 

有機物循環論
クリエーター情報なし
昭和堂
減農薬のための田の虫図鑑―害虫・益虫・ただの虫
クリエーター情報なし
農山漁村文化協会

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

8年ぶり、6月に上陸した「台風4号」!原因は太平洋高気圧と偏西風蛇行

 修学旅行、第1日目
 6月17日の朝、梅雨の時期としては珍しく晴れ間が見えた。この日は修学旅行の第1日目。この時台風4号は、まだはるか南の海上にあり、2泊3日の旅行には影響はないと思われた。雨もなく幸先が良いと喜んだが、新幹線で京都に着き、バスで奈良に到着した頃には、この夏一番の暑さになっていた。

 私たちのグループは東大寺大仏殿を見学した後、斑鳩の里にある法隆寺へ行く。久しぶりの法隆寺は、静かで落ち着いた雰囲気。聖徳太子や推古天皇の目指した日本仏教の原点を感じ取ることができた。

 593年、推古天皇が即位し、甥の厩戸皇子を皇太子に立て(聖徳太子)、摂政 に任じ、国政を委ねたが、事実上は、聖徳太子と蘇我馬子との共同執政といわれる。601(推古9)年には、聖徳太子は斑鳩宮を造営し、政治の基調に仏教を採用し、文化の向上と仏教の興隆を目指し、 冠位十二階 や憲法十七条の制定 遣隋使 ・小野妹子を派遣、国書を煬帝に奉呈 天皇記、国記 の記録 勝鬘経義疏、維摩経義疏、法華経義疏の撰などを行った。


20120619

 622(推古30)年に聖徳太子が病いに倒れ、太子を看病していた妃膳夫人も病床に臥した。そのとき、他の太子の妃や山背大兄皇子をはじめとする皇子、諸臣が太子と等身の釈迦像の造顕を発願したが、膳夫人、聖徳太子と相次いで死去した。法隆寺は聖徳太子の一族が生活した場でもあったが、643(皇極2)年、蘇我入鹿に攻められた山背大兄皇子一族は、斑鳩寺で自害し、聖徳太子一族は滅亡したと知り驚いた。

 「日本書紀」によると、670(天智9)年に法隆寺は一屋も余すことなく焼失。金堂と五重塔を擁する現在の西院伽藍は、天武・持統朝に着工され和銅年間(708~714)には完成されていたといわれる。

 1993(平成5)年12月、法隆寺は、法起寺とともに「法隆寺地域の仏教建造物」 としてユネスコの世界文化遺産 のリストに登録された。日本の世界文化遺産第一号である。世界文化遺産は「歴史上、芸術又は学術上顕著で普遍的価値を有する記念工作物、建造物群、遺跡」と定義されている。

  わが国においては、1992(平成4)年に「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」の締約国となり、1993(平成5)年12月に文化遺産では「法隆寺地域の仏教建造物」及び「姫路城」が、自然遺産では、「屋久島地域」及び「白神山地地域」の4件が初めて登録されている。

 翌18日は京都班別自由行動。金閣寺や伏見稲荷をまわって、pm5:00頃、宿に帰着。その頃テレビの気象情報で台風4号の急速な接近を知ることになる。台風の予想進路では、何と京都に向かっているではないか?3日目のタクシー行動はどうするか、万一の場合を考えて、いろいろな可能性を考えた。結局、19日の朝5:00の気象情報を見て判断をすることになった。

 台風4号6月としては記録的風雨
 京都の人に聞くと、台風が京都を直撃することは少ない、いつもどちらかにそれていくという。6月のこの時期に台風が上陸するというのも珍しい。台風4号は急速に近づいていたが、19日の朝の時点で、風雨の予想は午前中「風速5m/秒、雨量2ミリ/時」であり、影響はさほどでもないようだ。風速はわかるが、雨量が「1時間に2ミリ」が多いか少ないかが、わかりにくかった。

 結局、予定通り京都発pm3:36発の新幹線で帰ったが、JR東海は19日pm5時33分、台風接近に伴い 東海道新幹線(東京~新大阪) 岐阜羽島駅~米原駅間において、強風の影響により上下線で運行を停止しており、きわどいところで逃げ帰ることができた状態だった。(以下はNHK news)

 本州を縦断した台風4号の影響で、19日から20日朝にかけて、各地で6月としては記録的な雨や風が観測された。台風4号は、19日夕方、和歌山県南部に上陸したあと、東海や関東甲信、東北南部を通過し、20日午前、本州の東の海上で温帯低気圧に変わった。

 6月に上陸した台風としては、8年前の平成16年6月21日に上陸した台風6号以来となり、6月19日の上陸は、気象庁が昭和26年に統計を始めて以降、7番目に早い記録となった。

 台風4号が上陸した際の気圧は965ヘクトパスカルで、6月に上陸した台風の中では平成16年の6号と並んで最も低い値となった。この台風や前線の影響で、19日から20日にかけて各地で記録的な雨や風が観測され、神奈川県山北町の丹沢湖では、19日午後9時前までの1時間に81ミリの猛烈な雨を観測し、時間雨量としては統計を始めて以降、最も多い記録となった。

 このほか、三重県大台町で、20日朝までの24時間の雨量が405.5ミリに達するなど、近畿や東海、関東甲信、東北など52の観測点で、6月としては最も多い雨量を観測した。

 また、最大瞬間風速は、千葉市で20日午前1時すぎに38.1メートルを観測するなど、19日と20日、合わせて8つの観測点で6月の1位の記録を上回った。(NHK news 6月20日)

 6月異例の直撃コース、偏西風蛇行が原因
 台風4号は6月としては珍しく、日本列島直撃コースをたどった。気象庁は、太平洋高気圧の張り出しで台風の進路が北に押し上げられた上、列島上空を西から東に流れる偏西風が日本付近で南に蛇行した流れに沿ったためとみている。5月に茨城などを襲った竜巻も偏西風の蛇行に伴う寒気流入で大気の状態が不安定になったのが一因とされ、今年の気象災害は「偏西風蛇行」の影響が色濃い。

 気象庁によると、この時期の台風は、太平洋高気圧の縁を回るように日本列島の南海上を東寄りに進むことが多いが、今回は太平洋高気圧が6月としては強く北側に張り出し、台風の進路を北寄りに変える一因となった。さらに日本を含む北半球中緯度帯の上空1万メートル付近を流れる偏西風が、中国大陸から朝鮮半島や九州方面に向かって南下。そこから反転して東・北日本方面に向かってU字形に蛇行した。沖縄の南海上から接近した台風は、この偏西風の流れにさおをさす形となり、速度を上げ北上したとみられる。(産経news 2012.6.19)

 19日夕、和歌山県南部に上陸した台風4号。6月に台風が本土へ上陸したのは気象庁が統計を取り始めた1951年以降、11回目だ。過去には56年の台風3号が4月25日に上陸した例があり、今回は過去7番目の早さ。季節外れの上陸の原因は、強く張り出した太平洋高気圧に台風が押し上げられた上、普段より南下した偏西風に乗ったことにある。

 気象庁によると、日本の南東海上には14日ごろから強い太平洋高気圧が張り出し、18日は全国の60地点で最高気温30度以上の真夏日となった。台風は高気圧の縁を弧を描くように進む特性がある。通常、6月の高気圧は強くないため台風は日本の南海上を東進するが、今回の高気圧が大きく日本列島方面へ張り出したことに伴い、台風が日本付近まで北上した。ただ、これだけでは上陸コースはたどらない。当初の予報でも台風は本州の南岸をかすめて東進し、上陸しないはずだった。

 しかし、上空の偏西風が極東付近で南に蛇行していることが17日に判明。これが日本列島上空に南西から北東方向の風の流れを作り出し、台風はこれに乗って進んだ。本州付近で速度が上がったのもこのためだ。南シナ海北部を東進している台風5号も偏西風の蛇行に伴う西風に乗り、九州に接近している。(毎日新聞 2012年6月19日)

 過去6月に台風が上陸した年は、台風の上陸数が多く、風雨による被害が多い。また、梅雨明けがはやく猛暑になる傾向があるという。今後も、気象情報に気をつけたい。 

台風学入門―最新データによる傾向と対策
クリエーター情報なし
山と溪谷社
BLUNT(ブラント) 防風手開き長傘 65cm ブルー AA-3244
クリエーター情報なし
BLUNT (ブラント)

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

国内初!6歳脳死男児からの臓器移植手術!問題は宗教的価値観の不在

 6歳未満脳死:富山大病院 臓器提供の経緯などを説明
 改正臓器移植法に基づき初めて6歳未満で脳死と判定された男児からの臓器摘出手術が6月15日、富山大病院(富山市)で行われた。臓器の移植手術は計3病院で実施。このうち心臓は大阪大病院(大阪府吹田市)で拡張型心筋症の10歳未満の女児に移植され、手術は無事終了した。富山大病院は記者会見で今回の脳死臓器提供の経緯などを説明、「慎重の上に慎重を重ねた」などと説明した。 

 男児からの臓器摘出手術は午後0時6分に始まり、約3時間半かけて終了した。会見した富山大病院の井上博病院長によると、男児は今月初旬、事故で心肺停止に陥った後、低酸素性脳症となった。高度な対応が必要として地元の病院から転送されてきたという。

 今月7日、病院側が「重篤な脳障害があり、回復を見込んだ治療は難しい」と伝えた際、家族から臓器提供の申し出があったという。虐待の有無については、院内の児童安全保護委員会で疑いがないことを判断したうえで、マニュアルに沿い警察と児童相談所にも確認したという。井上病院長は「(救命は)できる限りのことはした。虐待の所見は何もなかった」と話した。

 一方、大阪大病院で心臓移植を受けた女児の術後の状態は良好という。女児は2年前に発症し、年々病状が悪化していたという。

 この他、腎臓が富山県立中央病院(富山市)で60代女性に、肝臓が国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で10歳未満の女児に移植。肝臓移植は12時間以上かかり、すべての移植手術が終了したのは16日だった。(毎日新聞 2012年06月15日)

 子供の臓器の大人への移植 医学的な問題は?
 このニュースを見て驚いたのは6歳児という年齢。もちろん自分で判断できる年齢ではなく、家族が承認したので、法的には何ら問題はない。

 改正臓器移植法に基づき、初めて6歳未満で脳死と判定された男児からの臓器移植が行われた。心臓の提供を受けたのは10才の女児。腎臓の提供を受けたのは、60代の女性。確かに臓器を必要とする患者がいらっしゃるのは事実。しかし、子供の臓器を大人に移植することに医学的な問題はないのだろうか。

 腎臓移植に詳しい戸田中央総合病院の東間紘名誉院長は「ヒトの腎臓は生まれた時からほぼ完成しており、幼児の腎臓でも、大人の体内で十分機能する」という。ただ、大きさが小さいため腎臓一つでは大人の血液量をろ過しきれず、左右両方が提供されることがあるという。

 一方、18歳未満の脳死者から提供された心臓は、レシピエント(移植を受ける患者)を選ぶ際、18歳未満を優先するよう、厚生労働省の「選択基準」が10年に改正された。より生存率が高いという国際学会の調査に基づいている。肝臓についても、18歳未満の提供者の場合は18歳未満のレシピエントが有利になるよう基準が定められている。

 どの臓器が誰に提供されるかは、日本臓器移植ネットワーク(本部・東京都港区)のコンピューターがこれらの「選択基準」に基づいて、全国の登録者の中から優先順位の高い患者を選び出すという。(毎日新聞 2012年06月15日)

 6月19日には、富山県アイバンクが、富山大病院(富山市)で6歳未満として初めて脳死判定を受けた男児から提供された眼球について、関東地方の病院で同日午前、男児の右目の角膜を患者に移植し、無事に終了したと発表した。15日の摘出手術の後、県アイバンクが提供先を調整し、患者を決定した。これで男児からの移植手術が全て終わった。 (毎日新聞 2012年06月19日)

 臓器移植ネット:家族に意思を確認 最終的な希望患者選定
 それにしても、何か違和感の残る今回の6歳児の臓器提供。臓器提供を提案した組織や6歳児の家族はどんな気持ちでいるのだろう?

 今回の脳死臓器提供をあっせんした「日本臓器移植ネットワーク」(東京都港区)は、角膜以外の臓器移植をあっせんできる国内唯一の組織だ。厚生省(当時)の指導により1995年に結成された「日本腎臓移植ネットワーク」が、97年の臓器移植法施行に合わせて改組された。

 患者が脳死状態になった場合、所属する移植コーディネーターらが病院に派遣され、患者の家族に臓器提供について説明をした上で、提供の意思などを確認する。

 一方、移植を受けることを希望する患者(レシピエント)の登録も行う。提供者の脳死が確定すると、提供する臓器ごとにレシピエントが選ばれる。例えば心臓なら血液型や、提供者との体重差などの条件で候補者を絞り込み、病状や待機期間などから優先順位を決め、最終的なレシピエントを選ぶ。

 移植ネットによると5月31日現在、登録患者数は▽心臓214人▽肺177人▽肝臓406人▽腎臓1万2399人▽膵臓200人▽小腸3人。また5月1日現在の心臓の登録患者数は212人おり、年代別では0〜9歳が10人、15歳未満が15人いる。(毎日新聞 2012年06月14日)

 確かに全国には臓器を必要とする大勢の人達がいる。その要望に応えることは必要だ。

 6歳未満脳死判定:「息子を誇りに」両親がコメント
 一方、当事者である本人は、死亡してしまった以上意思の確認はとれない。では、同意した家族、両親は正しい判断をしたといえるのだろうか?

 日本臓器移植ネットワークは6月14日、富山大病院に入院していた6歳未満の男児が脳死と判定され、家族の同意で臓器が提供されることになったと発表した。男児の両親が日本臓器移植ネットワークを通じて発表したコメントは次の通り(原文のまま)。

 「息子は、私たち家族が精いっぱい愛情を注いで育ててきました。
 元気な息子のわんぱくにふり回されながらも、楽しい時間を家族みんなで過ごしてきました。
 本日、息子は私たちのもとから遠くへ飛び立って行きました。
 このことは私たちにとって大変悲しいことではありますが、大きな希望を残してくれました。
 息子が誰かのからだの一部となって、長く生きてくれるのではないかと。
 そして、このようなことを成しとげる息子を誇りに思っています。
 私たちのとった行動が皆様に正しく理解され、息子のことを長く記憶にとどめていただけるなら幸いです。
 そして、どうか皆様、私たち家族が普段通りの生活を送れるよう、そっと見守っていただきたくお願い申し上げます。」
(毎日新聞 2012年06月14日) 

 “亡き息子が、困っている人のお役に立つ”一見、感動的なコメントであるし、良心的でもあると思う。しかし、6歳児本人の意志が確認できないというのが、どうしても違和感を残す。6歳児の体が、家族の“物”になってしまっている感じも受ける。

 6月18日付けの読売新聞の社説では、今回の幼児の臓器提供は、社会的意義が大きいというコメントを述べているが、それだけの問題ではないと思う。

 幼児の臓器提供 国内での移植を増やす契機に
 富山県で6歳未満の男児が脳死と判定され、心臓などが、他の人に移植された。2010年施行の改正臓器移植法で15歳未満の子供からの臓器提供が可能となったが、幼児から提供されたのは今回が初めてだ。

 かわいい盛りのわが子を失った両親にとって、脳死の事実を受け入れ、臓器の提供を承諾することは、計り知れぬほど重く、つらい決断だっただろう。男児の心臓と肝臓は10歳未満の女の子と60才の女性2人にそれぞれ移植され、別の命が救われた。幼児間の臓器移植が実現したことは、日本の移植医療の着実な前進と言えよう。

 改正前の旧移植法は、本人が書面で提供意思を示していなければ臓器移植を認めなかった。有効な意思表示ができるのは民法で15歳以上とされ、幼い子供からの臓器提供は禁じられてきた。

 2年前の法改正によって、欧米などと同様に、本人が提供拒否の意思を示していない限り、年齢にかかわらず家族の判断で臓器提供が可能になった。ところが、改正法の施行後も、幼児からの脳死移植はなかなか行われなかった。背景には、幼児の脳死判定の難しさがある。

 大人より一段と厳格な脳死判定を行い、親からの虐待の有無なども慎重に見極めねばならない。厚生労働省などは今回、脳死判定の厳しい条件をクリアし、確認作業を重ねた上で臓器移植が行われたとしている。

 子供の脳死移植に対する信頼を培うためには、事後の厳密な検証作業が欠かせない。男児が入院していた病院で行われた脳死判定に関わる議論の内容などについて、詳細な情報公開が必要だ。

 これまで、国内では幼児の臓器提供がなかったため、移植を待つ子供たちは、海外に渡航して移植を受けるしか方法がなかった。多額の費用をかけて、臓器提供してもらう現状には、海外から厳しい視線が注がれている。今回の臓器提供を国内での移植を増やす契機としたい。

 そのためには、移植医療の態勢の充実が欠かせない。間違いなく脳死判定のできる医療機関を増やし、心のケアにあたる移植コーディネーターなども、拡充しなければならない。

 〈息子が誰かのからだの一部となって、長く生きてくれるのではないか〉。臓器提供した男児の両親のコメントだ。命のリレーを広げる礎としたい言葉である。(2012年6月18日 読売新聞)

 正しい宗教的価値感の確立・共有が必要
 臓器移植法の改正点は2つ。1つは改正前、臓器提供にはドナーカードによる意思表示が必要であったが、改正後は、本人の同意がなくても、家族の同意があれば臓器提供できることになった。

 また、改正前、15最未満の子供の臓器提供は禁止されていたが、改正後は年齢制限はなく、生まれて間もない乳幼児も臓器提供が可能になった。

 ただし生後12週〜6歳未満の子の場合、第1回法的脳死判定から、最低24時間あけて第2回法的脳死判定を行うことになった。その後、コーディネーターにより臓器提供を受ける患者への連絡、家族へ最終の意思確認後、臓器摘出となる。

 医師により「脳死」と判定されれば、家族の同意で臓器移植が可能になった。つまり、生きている人から臓器は取れないので、法律上は「脳死」を人の「死」と認めたことになる。そして、その判定をするのが医師である事も問題だ。

 これには当然、反対の意見を持つ人達も多い。例えば植物状態で寝たきりの患者を持つ家庭では、家族を「死人」とは認めたくないであろう。医師の間でも意見が分かれている。脳死とされた人でも、体の一部分が動いていたり、温かかったりする。「あいまいな判定で、生きることを断念させられることは絶対にあってはいけない」と話す医師もいる。

 改正により臓器移植の可能性が増えて良かったように思える。しかし、医師による「脳死」の判定が、何をもって「脳死」とするかはっきりしていないこと、また「脳死」=「人の死」であることは、科学的に証明されていないこと(法律で決められたに過ぎない)、そして、他人の臓器である以上どうしても拒否反応は避けられないということなどの問題がある。

 もともと、死後の世界は宗教の分野であったが、我が国の宗教は終戦後、表舞台から姿を消してしまったため、公教育でも正しい宗教教育が行われず、家庭に信仰がなければ、何を持って死とするかが、わからない状態が続いている。

 「死後の世界も、正しく生きる」という、”宗教的価値観”がなければ、「今、自分がよければ何をしてもよい」という、“犯罪的心理”も発生する可能性がある。「宗教の不在」こそが、我が国の大きな問題であると思う。

参考HP アイラブサイエンス:臓器移植法改正後初!脳死・家族承諾による臓器移植

まだ、間に合うのなら。 改正臓器移植法について考える
クリエーター情報なし
文芸社
いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植 (岩波ブックレット 782)
クリエーター情報なし
岩波書店

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

新開発「免疫不全ブタ」誕生!人類を救うために生まれた「ヒト化動物」という存在

 免疫不全ブタ開発に成功 体内で人間の肝臓作れる可能性
 疾患の研究や薬剤の開発に当たって、人間を用いる実験は出来ない。一般には動物で実験するが、動物実験の結果が人間に当てはまるとは限らない。その為に動物にヒトの正常細胞や疾患細胞を移植し定着させたヒト化動物が有用となっている。動物でもマウスは成長が早く繁殖力が強く世代交代が早く飼いやすく、従来から実験動物にはマウスが一番たくさん使われきた。

 ヒトの細胞が定着したヒト化マウスを作るには、「免疫不全マウス」を用いる。免疫不全マウスは異物の排除能力がなく、ヒトの細胞を植えるとマウスの体内でヒトの細胞や組織が定着して、人の代わりをするマウスになる。もちろん免疫不全マウスは完全無菌状態で飼育しないと細菌やウイルスの感染ですぐに死亡する状態にある。

 今回、免疫に関わる重要な遺伝子を持たない「免疫不全ブタ」をつくることに、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが成功した。この技術を応用して、免疫が働かず拒絶反応が起きないブタができれば、ブタの体内で人間の肝臓などをつくる技術の開発につながるという。6月13日付の米科学誌「セル・ステムセル」に発表した。

Nude Mouse

 免疫不全の実験動物はこれまで小動物のマウスやラットでつくられた例があるが、大型動物のブタでは初めて。ブタは生理学的により人間に近く、医学への応用が期待できるという。

 同研究所は、免疫機能の重要な遺伝子「IL2rg」が欠けたブタの体細胞を作製。この細胞からクローン技術で免疫不全のブタを育て、計14頭に増やした。これらのブタは体の免疫機構を統括する胸腺がなく、リンパ球のT細胞やNK細胞を作れない。感染症に弱く、寿命は2か月以内だが、正常なブタの骨髄を5頭に移植すると免疫機能が回復し、3頭が1年以上生きた。(2012年6月17日  読売新聞)

 「免疫不全ブタ」ができなかった理由
 これまで、遺伝子組換え技術によって、ヒトの生理現象や疾患を再現できるモデル動物が作成され、さまざまな研究に用いられてきた。その代表的な1つが、遺伝子組換えにより免疫機能を喪失した「免疫不全マウス」だ。免疫機能のない動物は拒絶反応を起こさないため、個体間や異種間の細胞や組織の移植が可能という特徴を持つ。

 現在では、さらに免疫不全マウスにヒトの細胞を移植することにより、ヒトの細胞や組織を保持する、いわゆる「Humanized mouse(ヒト化マウス)」の研究が進められている。ヒト化マウスは、創薬のための研究材料としての利用のみならず、新薬の前臨床試験やヒト細胞の分化、機能解析などの基礎研究にも有用であり、医療革命の礎としての貢献が期待されている状況だ。

 一方、ブタは、マウスよりも生理学的および解剖学的にヒトとの類似性が高いため、ヒトの疾病や治療法の研究に適している。そのため、研究グループはヒト化マウスの技術をブタに応用するため、その第1歩として免疫不全ブタの開発に取り組んだ次第だ。

 マウスの場合、特定の遺伝子の機能を消失させた、いわゆる遺伝子ノックアウトマウスの作製には、ES細胞(胚性幹細胞)が用いられる。まずES細胞に対して遺伝子組換えを行い、その後、組換えられたES細胞から個体が再生される。しかしブタの場合、長年研究してきたにもかかわらず、実用的なES細胞がないため、遺伝子ノックアウトブタの作製ができなかった。

 一方、体細胞から個体を再生する「体細胞クローン技術」の開発が進められ、1996年には世界で初めて体細胞クローンヒツジの「ドリー」が誕生。その後、ヤギ、ウシ、マウスなどの体細胞クローンが誕生し、2000年には、体細胞クローンブタの作出に米国の研究グループと同研究グループが成功していた。

 今回、研究グループはこの「体細胞クローン技術」と「遺伝子組換え技術」を組み合わせることで、免疫関連の遺伝子の機能を消失させた、免疫不全ブタを開発することを目指した。

 遺伝子組み換技術と体細胞クローン技術
 最初に遺伝子組換えにより、免疫機能に重要な役割を持つ「IL2rg遺伝子」の機能を消失させたブタの培養細胞(体細胞)を作成。その後、得られた組換え細胞を用いて、体細胞クローン技術により遺伝子組換えブタを作出した。

 IL2rg遺伝子は、性染色体のX染色体上に位置する。そのため、機能を喪失したIL2rg遺伝子をX染色体上に持つ雄(性染色体:XY型)は、免疫不全になった。

 一方、雌(性染色体:XX型)の場合は、片方のX染色体上のIL2rg遺伝子が機能を喪失しても、もう一方のX染色体上が正常なIL2rg遺伝子を持つ場合には機能が補われ、免疫不全にならず通常のブタと変わりなかった。

 免疫不全ブタでは、免疫に必須な器官である胸腺が欠失していた。免疫に関与するリンパ球の内、免疫応答の調節や発達の司令塔の「T細胞」(胸腺で分化)、ある種のウイルス感染細胞や腫瘍細胞を攻撃して破壊する「NK細胞」(骨髄で分化)が消失していた。残りのリンパ球の1つである「B細胞」(骨髄で分化)は存在していたが、抗体である「免疫グロブリン」を産生する「抗体産生能」を消失していた。 

 免疫機能をほぼ失っているため、臓器移植などを行っても拒絶反応は起こりにくくなるが、そのかわりに病原菌などの攻撃に対する抵抗力が圧倒的に弱くなるため、免疫不全ブタはおよそ2カ月以内ですべてが死亡するなど短命だった。そこで免疫不全ブタに正常な免疫機能を持つブタの骨髄を移植したところ、免疫機能が回復し、また骨髄移植した5頭中3頭が1年以上生存したことが確認された。

 重度な複合型免疫不全マウスはすでにヒト造血系モデルや免疫系モデル、ヒト肝臓モデル、ヒト感染症モデルなど多様なヒトモデルマウス作出に貢献しており、今回の免疫不全ブタはヒトの細胞や組織を移植する、新たな大型ヒトモデルブタ作出への大きな1歩を踏み出したと、研究グループはコメントしているほか、免疫不全ブタは、抗体医薬品開発への利用、再生医療におけるiPS細胞由来のヒト培養細胞の長期安全性試験、実用的なヒト組織や臓器の再生に向けた最初の1歩としても、今後の活用が期待されるともしている。

 また、今後の研究展開としては、ヒト由来の細胞を移植するためには、今回の免疫不全ブタでは重度な複合型免疫不全までは示していなかったことから、今後はさらに免疫に関与するほかの遺伝子「Rag遺伝子」の機能喪失も必要と考えられるため、Rag遺伝子の機能を喪失した免疫不全ブタの開発にも取り組んでいるとしているほか、2種類の免疫不全ブタを交配することにより、IL2rg遺伝子とRag遺伝子両方の機能を喪失した重度な複合型免疫不全ブタを作出し、このブタにヒト由来の細胞を移植することで「Humanized pig(ヒト化ブタ)」の開発を目指すとしている。(マイナビニュース 2012/06/15)

 ヒト化マウスとは何か?
 ヒト化マウス(Humanized mouse)はマウスの遺伝子・細胞・組織の一部が人間の物に置き換わったマウスである。ヒト化マウスには遺伝子レベルでのヒト化マウスとマウスの体内に人間の細胞・組織を定着させた細胞・組織レベルでのヒト化マウスがある。 
 
 マウスの受精卵の遺伝子にヒトの遺伝子の一部を導入し、成長したマウスはその遺伝子の一部がヒトの物である遺伝子導入マウス「トランスジェニックマウス」と、「免疫不全マウス」にヒトの細胞を移植した、マウスの体内でヒトの細胞が生きて定着しているマウスがある。

 「免疫不全マウス」は免疫がなく異物を排除できないマウスでヒトの正常細胞や癌などの細胞を移植するとマウスの体内で生着する。このヒトの細胞が体内で生きているマウスをヒト化マウスと言い、生体や疾患の研究、疾患治療研究あるいはヒトのウイルスを感染させるなどヒトでは出来ない生体実験を行う。遺伝子組換えマウスではマウスの全身の全細胞で遺伝子の一部がヒトのものに置き換わっており細胞はマウスの物であるが性質の一部がヒトの物になっている。

 遺伝子組み換え技術と免疫不全マウスの組み合わせで臓器レベルでのヒト化マウスも可能になりつつあり、肝臓の80%が人の肝細胞に置き換わったマウスも作られている。
 
 免疫不全マウスを使ったヒト化マウス
 疾患の研究や薬剤の開発に当たって、人間を用いる実験は出来ない。一般には動物で実験するが、動物実験の結果が人間に当てはまるとは限らない。その為に動物にヒトの正常細胞や疾患細胞を移植し定着させたヒト化動物が有用となっている。動物でもマウスは成長が早く繁殖力が強く世代交代が早く飼いやすい。従来から実験動物にはマウスが一番たくさん使われているが、ヒト化動物でもマウスが使いやすく、ヒト化マウスの開発が進められ、大きな成果をあげている。
 
 ヒトの細胞が定着したヒト化マウスを作るには重度の免疫不全マウスを用いる。免疫不全マウスは異物の排除能力がなく、ヒトの細胞を植えるとマウスの体内でヒトの細胞や組織が定着する。もちろん免疫不全マウスは完全無菌状態で飼育しないと細菌やウイルスの感染ですぐに死亡する。 
 
 ただし、免疫不全マウスといえど初期の免疫不全マウスにはわずかに免疫が残っており、ヒトの細胞の移植は限定的なものであった。1980年から現在に至るまでの免疫不全マウスの改良(免疫不全マウスから、重度の免疫不全マウス、さらに重度の超免疫不全マウス)によって現在ではさまざまなヒトの細胞の移植が容易になっている。
 
 現在では、もっとも進んだ超免疫不全マウスにはNOD/Shi-scid-IL2Rγnullマウス(NOGマウス)やRag2null/IL2Rγnullマウスなどがあり、これらの超免疫不全マウスにヒトの造血細胞を移植するとマウスの体内にヒトの造血細胞が定着し、マウスの体内でヒトの血液細胞が生産され定着・循環する。

 超免疫不全マウスの皮膚にヒトの頭皮を移植するとマウスにヒトの毛髪がはえ、ヒトの子宮内膜細胞を移植したヒト子宮内膜モデルマウスではホルモンの調節投与で月経周期を示せる。同じくヒトのがん細胞や白血病細胞を超免疫不全マウスマウスに定着させることも、あるいはマウスの体内に定着させたヒトの血液細胞にエイズウイルスを感染させてマウスをヒトのエイズモデルにすることも可能である。
 
 ヌードマウス・超免疫不全マウス
 ヒトやマウスの免疫系は複雑であり、免疫に関わる細胞もしくは分子の主なものだけでもT細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、マクロファージや補体、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、白血球がある。それらは互いに連携・補足し合いながら、免疫系を構成している。
 
 1962年、最初の免疫不全マウスであるヌードマウスが発見された。ヌードマウスは文字通り毛が生えないマウスであるが、ヌードマウスは胸腺を欠くことで成熟したT細胞がなく、免疫不全になる。ヌードマウスは一部のヒトの癌細胞が生着し、癌研究や抗がん剤の開発に役立った。しかし、ヌードマウスには成熟したT細胞以外の免疫細胞は存在し、多くのヒトの細胞は生着出来なかった」。その後いくつかの免疫不全マウスが発見されたが、1983年当時としては画期的なSCID(severe combined immunodeficiency 重症複合免疫不全)マウスが発見された。SCIDマウスはT細胞とB細胞を欠き、腎臓にヒト胎児の肝臓と胸腺を埋め込むことでマウスの体内でヒトのT細胞が現れた。

 しかし、ヒト胎児の細胞を使う倫理の問題と、ヒト細胞の生着の不安定さの問題があった。その後1985年NOD(nonobese diabetic 痩せ型糖尿病)マウスがNK細胞や補体・マクロファージの活性に劣ることが発見され、NODマウスとSCIDマウスを交配させた NOD-scidマウスが1995年に作られた。NOD-scidマウスはそれまでの免疫不全マウスよりヒト細胞の生着に優れ、ヒト胎児の肝臓と胸腺を用いずとも、ヒトの造血細胞がある程度生着、このNOD-scidマウスを使って造血幹細胞や白血病細胞の研究が大いに進んだ。また1995年にはIL-2(インターロイキン)などのサイトカインシグナル欠損マウス(IL-2rγノックアウトマウス)が人工的に作られ、NOD-scidマウスとIL-2rγノックアウトマウスを交配させた2011年現在もっとも優れた超免疫不全マウスであるNOD/Shi-scid-IL2Rγnullマウス(NOGマウス)が2002年日本で開発されている。

 また、SCIDマウスとは違う系統であるが成熟したB細胞とT細胞が完全に欠損したRag欠損(Ragnull)マウスが1992年に発見され、Rag欠損(Ragnull)マウスとIL-2rγノックアウトマウスを交配させた系統の超免疫不全マウスの系統が2000年欧米で開発されている。SCIDマウスの系統は放射線に非常に弱く、Rag欠損(Ragnull)マウスの系統は比較的強いなど、超免疫不全マウスにも性質の違いがあり、研究目的・手法によってどのマウスがもっとも優れているかは変わってくる。

 トランスジェニックマウス
 トランスジェニックマウスはマウスの遺伝子に外来の遺伝子を組み込んだマウス(遺伝子改変動物)である。トランスジェニック技術を使ったヒト化マウスはマウスの受精卵にヒトの遺伝子を主に微小な針でDNAの注入を行う方法 (マイクロインジェクション法)で作られる。組み込む遺伝子でその性質は違い、疾患の原因遺伝子を組み込めばヒト疾患モデルになり、ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入したマウスを用いるとヒト抗体をマウスが作る。

 トランスジェニック技術を用いたヒト化マウスはさまざま実用化されているが、その1例にポリオマウスがある。
 
 ヒトやサルに感染するポリオウイルスは細胞表面にあるポリオウイルスレセプター(PVR)にウイルスが吸着されることで感染する。しかし普通のマウスの細胞にはPVRがないのでポリオウイルスはマウスには感染しない。しかしトランスジェニック技術を用いてマウスの受精卵にヒトのPVR遺伝子を導入したポリオウイルスレセプタートランスジェニックマウス (PVR-Tgマウス)は細胞表面にPVRがあるのでマウスがヒトやサルの病気であるポリオに感染する。
 
 トランスジェニック技術を用いて作った劇症の肝障害を起こすuPAマウス(アルブミンプロモーター制御下にウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ遺伝子を発現するトランスジェニックマウス)とscid系免疫不全マウスを交配したuPA/scidマウスでは肝臓の80%以上をヒトの肝細胞に置き換えることができる。ほぼ臓器レベルでのヒト化マウスである。この肝臓がほぼヒトのものに置き換わったマウスにヒトの血液細胞(リンパ球)を移植し、さらにヒト肝炎ウイルス(HBV,HCV)を感染させてヒト肝炎モデルマウスも製作可能である。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:ヒト化マウス 農業生物資源研究所:免疫不全ブタの開発に世界で初めて成功      

新・動物実験を考える―生命倫理とエコロジーをつないで
クリエーター情報なし
三一書房
実験動物の技術と応用 入門編
クリエーター情報なし
アドスリー

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

理論限界を突破した「ナノワイヤー型トンネルトランジスタ」とは何か?

 理論的限界を超えた省電力トランジスタ開発
 パソコンなどで使われる半導体集積回路(IC)の消費電力を現在の10分の1以下に低減できる新型トランジスタを、科学技術振興機構(JST)の冨岡克広・専任研究者や北海道大学大学院情報科学研究科の福井孝志教授らが開発した。従来のトランジスタのスイッチング特性を、江崎玲於奈氏(1973年ノーベル物理学賞受賞)が半導体において発見した「トンネル効果」現象を利用することで飛躍的に高めたもので、デジタル家電の待機電力やスマートフォンなどのモバイル機器の電池消費を大幅に減らすことが期待できるという。

 ICの開発では、構成要素となるトランジスタそのものを微細化し、集積度を高めることで、高速・高性能化、低消費電力化を実現してきた。しかし、より高集積化することで、トランジスタのオン・オフとは関係なく配線に漏れ出す「リーク電流」が問題となり、半導体にかける電圧にも理論的限界(室温で「60mV/ 桁」以下にはできないというサブスレッショルド係数の限界)があった。

 研究チームは半導体結晶技術によって、シリコン基板の上に直径80ナノメートル(ナノは10億分の1)のワイヤー状のトランジスタを数多く剣山のように林立させた構造を作り、リーク電流の出現を抑えた。トランジスタ針のシリコン基板との接合部では、電子が量子的に通り抜ける「トンネル効果」が発生し、これをトランジスタのスイッチとすることができた。その結果、理論的限界の3分の1の低電圧(21mV/桁)でトランジスタが駆動する高いスイッチング特性が得られ、回路全体の消費電力を現在のICに比べて10分の1以下に低減することが可能になったという。

Tunnel transistor

 研究成果は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ)「革新的次世代デバイスを目指す材料とプロセス」(研究総括:佐藤勝昭・東京農工大学名誉教授)の研究課題「Si/III-V族半導体超ヘテロ界面の機能化と低電力スイッチ素子の開発」によって得られた。(サイエンスポータル 2012/06/15)

 ナノスケールの半導体接合を実現
 今回の研究では、半導体結晶成長技術を駆使し、シリコンと化合物半導体のナノ接合を作ることによって、新しい界面を形成し、その界面にできる障壁を電子が量子的に通り抜けるトンネル効果を使い、障壁の大きさを電圧で制御して電流をオンオフすることが可能な、低消費電力型スイッチ素子として機能するトンネルトランジスターを開発した。この界面を使ったトンネルトランジスターは既存のボトルネックを回避できるもので、世界最小のサブスレッショルド係数21mV/桁を達成した。この素子をさらに高性能化すると、回路全体で現在の半導体集積回路に比べ1/10以下に消費電力を低減させることが期待できる。

 この現象は、シリコンと化合物半導体接のナノ接合を作ると、図のようにバンド構造に段差を生じる。オフ状態では、シリコンの中の電子がこの間を通ることができないため、電子を流すことができないが、ゲート部分で電圧を加えて、段差を大きくすると、シリコンの価電子帯と化合物半導体の伝導帯のエネルギーが重なるようになって、接合部分にできた薄い障壁を電子が量子的に通り抜ける現象(トンネル効果)が生じる。これにより電流が流れるようになったと考えられる。結晶成長技術で非常に小さな領域に、きれいなナノ接合を作ることがポイントになった。

 現在のIT社会を支えているパソコンやスマートフォン、デジタル家電に使用される半導体集積回路は数多くの製品に搭載されており、いずれも半導体トランジスターからなる集積回路を用いているため、ジュール熱によって多大なエネルギー損失を生じる。この消費電力の削減はあらゆる電子機器の大きな問題であり、トランジスター開発は消費電力削減との戦いといってもよい状況である。

 本研究で初めて開発された低電力スイッチ素子は、従来のトランジスターが抱えていた発熱によるエネルギーロスの問題を根本的に解決しうるものである。集積回路を搭載した製品では、デジタル家電の待機電力を大幅にカットすることができ、また、モバイル機器の電池の消耗を半分にすることが期待できまる。環境に配慮した省エネルギーな電子技術開発への貢献が期待できる。

 トランジスタとは何か?
 今回はナノスケールのトンネルトランジスタを開発して、消費電力を抑えるものであったが、そもそもトランジスタとは何だろう?

 トランジスタ (transistor) は増幅、またはスイッチ動作をする半導体素子で、近代の電子工学における主力素子である。transfer(伝達)とresistor(抵抗)を組み合わせた造語である。増幅とは何らかの信号の入力に対して、元の信号よりも大きな出力信号を得るような作用のことである。

 デジタル回路ではトランジスタが電子的なスイッチとして使われ、半導体メモリ・マイクロプロセッサ・その他の論理回路で利用されている。ただ、ICの普及に伴い、単体のトランジスタがデジタル回路における論理素子として利用されることはほとんどなくなった。一方、アナログ回路中では、トランジスタは基本的に増幅器として使われている。

 一般には実用化につながった1947-1948年の、ベル研究所による発見および発明がトランジスタの始祖とされる。1947年、ベル研究所のジョン・バーディーンとウォルター・ブラッテンは、半導体の表面における電子的性質の研究の過程で、高純度のゲルマニウム単結晶に、きわめて近づけて立てた2本の針の片方に電流を流すと、もう片方に大きな電流が流れるという現象を発見した。最初のトランジスタである点接触型トランジスタの発見である。

 日本でも、官民で研究や試作が行われた。最初の量産は、1954年頃に東京通信工業(現ソニー)が開始し、翌1955年に同社から日本初のトランジスタラジオ「TR-55」が商品化された。その後相次いで大手電機メーカも量産を開始し、1958年あたりには主要な電機メーカーからトランジスタラジオが商品化される。このとき東京通信工業の主任研究員であった江崎玲於奈はトランジスタの不良品解析の過程で、固体におけるトンネル効果を実証する現象を発見・それを応用したエサキダイオードを発明し、1973年にノーベル物理学賞を受賞した。

 トンネル効果とは何か?
 トンネル効果とは、量子力学の分野で、エネルギー的に通常は超えることのできない領域を粒子が一定の確率で通り抜けてしまう現象のことである。 古典的解釈では、物質の運動はポテンシャル障壁と呼ばれる壁に入射すると、衝突して完全に遮られる。しかし原子レベルでは、原子や電子の持つエネルギーが不確定であるため、ポテンシャル障壁よりもエネルギーが大きくなり、結果として障壁を透過してしまうことがある。このような性質がトンネル効果と呼ばれている。

 例えば原子核のアルファ崩壊は、トンネル効果で説明できる。 トンネル効果は、物理学者の江崎玲於奈によって発見された。この発見によって江崎氏は1973年にノーベル物理学賞を授与されている。

 エサキダイオードは、不純物濃度の高い半導体を用いたダイオード。トンネル効果による負性抵抗特性(電圧を上げると電流が減る性質)をもち、発信・増幅に利用されている。このためトンネルダイオードともよばれている。それまで原子レベルであった量子効果を、物質レベルで実証して見せたことに価値がある。

参考HP 科学技術振興機構:トランジスタの理論限界値を突破!次世代省エネデバイス実現 Wikipedia:トンネル効果

ダイオード・トランジスタ回路入門 (Electronic Engineering Books)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社
巨視的トンネル現象 (新物理学選書)
クリエーター情報なし
岩波書店

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

「リコピン」を70nmまで安定的にナノ化に成功!浸透力・抗酸化力アップ!

 「リコピン」をナノ化させることに成功
 富士フイルムは、トマトなどに含まれ、高い抗酸化能を持つ健康成分として知られる「リコピン」を、結晶化しやすい性質を制御し、独自の技術で世界最小クラスの70nmまで安定的にナノ化した「ナノリコピン」の開発に成功し、同時に複数の成分を組み合わせて複合的に安定性を保つ独自技術も開発したと発表した。

今回の技術により、高い抗酸化能などの有用性を損なわず、肌の角質層透過を期待できるという。リコピンは結晶性が高く、安定的にナノ化することが難しかった。従来技術でナノ化したリコピンは、粒子径が大きいために光を透過せず、濁って見える。一方、今回のナノリコピンは、リコピンが極小サイズのまま安定化されているため、光を透過するので、透明に見える。

 ヒトの皮膚は、加齢や、強力な紫外線を浴びることによって酸化ダメージ(活性酸素の影響)を受け、それがシワやシミなどの原因となってしまう。酸化ダメージから身を守るため、本来、ヒトは生体内で抗酸化成分を産生する機能を備えてはいる。しかし、その機能も加齢と共に弱まってしまうため、年齢と共にシミやシワなどが増えてしまうというわけだ。
Lycopene

 また、さまざまな食物の中には酸化ダメージを抑制する抗酸化成分が含まれている。そうした抗酸化成分の中でも、高い抗酸化能を有するのがリコピンだ。リコピンとは「カロテノイド」の1種であり、トマトやスイカ、柿などに豊富に含まれる赤色色素である。活性酸素の消去能を有していることで知られており、抗ガン作用や糖尿病改善作用などの健康作用も報告されている、非常に優れた化合物だ。

 しかし、リコピンは分解しやすい不安定な化合物であり、また結晶性が高いという特性を持つ。理想としては安定的にナノ化することが効果の面から望ましいが、そうした理由から、これまで実現されていなかった。

 リコピンがグルタチオンの合成促進!
 富士フイルムは以前よりリコピンの抗酸化能に着目しており、安定的にナノ化するための技術開発や詳細な機能研究を続けており、今回の開発と機能解明につながったというわけだ。

 富士フイルムが今回の研究で着目したのは、生体内に存在する抗酸化成分の産生を促進するといわれるタンパク質「Nrf2」だ。このNrf2は、通常は細胞中の細胞質に存在する。しかし、酸化などのダメージを受けるとNrf2は細胞の核内へ移行し、一連の抗酸化遺伝子群の発現を誘導して、種々の抗酸化成分の産生を促進するという仕組みだ。

 富士フイルムではリコピンが、ヒト皮膚細胞において核中Nrf2タンパク量を増加させ、生体内抗酸化成分である「グルタチオン」の合成酵素遺伝子発現を誘導すること、及び細胞内のグルタチオン量を増加させることを新たに見出した。

その実験では、ヒト内皮細胞を用いて、リコピンを添加した場合と添加しなかった場合の核中Nrf2タンパク質量、グルタチオン合成酵素遺伝子発現量、グルタチオン合成酵素遺伝子発現量、細胞内グルタチオン量をそれぞれ測定。

結果として、(1)核中Nrf2タンパク質量の増加、(2)グルタチオン合成酵素遺伝子発現量の増加、(3)細胞内グルタチオン量の増加、の3点が確認された。 またリコピンによって皮膚細胞内グルタチオン量が増加することで、酸化ダメージによる細胞傷害が抑制されることも確認された。

この時の実験方法は、ヒト皮膚細胞に過酸化水素由来の酸化ダメージを与え、24時間後に生存していた細胞数を測定。リコピン添加/非添加細胞で比較している。その結果、リコピンを添加しない場合は細胞が20%減少したのに対して、リコピンを添加した場合はほぼすべての細胞が維持された形だ。

 アスタキサンチンの抗酸化力
 さらに、写真フィルムで長年蓄積してきた技術をベースに、高い抗酸化能を有する「アスタキサンチン」とリコピンを共存させるなど、さまざまな有用成分を独自技術で安定的にナノ化し、浸透を高めることに成功。アスタキサンチンの抗酸化能の持続性を向上させることができることも見出された。

 この時の実験方法は、リコピンを併用しないアスタキサンチン溶液と、リコピン(0.5ナノモル(nmol))を併用したアスタキサンチン(1.0nmol)溶液とを、その溶液中で一重項酸素を発生させ、一定時間後の残存するアスタキサンチン量の定量から、アスタキサンチン1nmol当たりの活性酸素消去量が求められた。

実験の結果は、アスタキサンチン(1nmol)による活性酸素の消去量は、リコピンを併用しない場合と比較し、約3倍となったのである。

 今後、ナノリコピンを用いて、紫外線や環境ダメージなどの酸化ダメージによる老化を防ぐエイジングケア化粧品を開発していくと、富士フイルムではコメントしている。

 アスタキサンチンとは何か?
 アスタキサンチンは自然界に広く分布している天然の赤い色素で、サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種。トマトのリコピンや人参のβ‐カロテンなどのカロテノイドは活性酸素を消去する「抗酸化作用」をもつ成分として最近注目されているが、中でも他を抜きん出た強力なパワーをもつアスタキサンチンは今最も注目の成分。

 動物はアスタキサンチンを自ら作り出すことはできない。第一生産者であるヘマトコッカスと呼ばれる海の藻類をオキアミなどの動物プランクトンが食べ、さらにエビ、カニ、魚類、というように食物連鎖によってさまざまな生物の体に取り込まれている。したがってアスタキサンチンは植物由来のカロテノイド。

 サケはもともとマスと同じ白身の魚ですが、アスタキサンチンを筋肉中に溜め込んでいるためにいわゆるサーモンピンクになっている。産卵のために川を遡るサケは、たくさんの酸素を取り込むので体内で絶えず活性酸素が発生し、筋肉に大きな負担がかかります。その活性酸素を消去するために筋肉中にたくさんのアスタキサンチンを備えていると考えられる。

 さらに産卵の準備が始まると、メスは卵(イクラ)へアスタキサンチンを移行させる。紫外線の影響を受けやすい浅瀬に産み付けられる卵のDNAを守るため。 このように、生物が抗酸化、抗疲労、抗炎症、免疫強化、持久力強化といった生存の戦略として利用している。わたしたち人間にも効果がある。

参考HP マイナビニュース:「リコピン」を70nmまで安定化させることに成功 富士フィルム:天然色素カロテノイド「アスタキサンチン」

トマト大好き!健康生活。―リコピンパワー美味しい活用レシピ (SERIES 食彩生活)
赤堀 博美
素朴社
伊藤園 熟トマト 190g×20本
伊藤園
伊藤園

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

自然界にある電池?「微生物燃料電池」実現のカギとなる「電気共生」を発見!

 微生物燃料電池
 水素と酸素から電気をつくり出すのが燃料電池。原理はこれと似ているが、微生物が有機物を分解する力を利用して、電気を得る「微生物燃料電池」の研究が進んでいる。

 微生物燃料電池の中で微生物は有機物を酸化分解し、発生する電子を電極に排出することによりエネルギーを獲得する。このような微生物は電極に電子を流すための「細胞外電子伝達系」を持っている。

 そして、微生物群集を用いることにより、組成が複雑な廃棄物系バイオマスや廃水中の汚濁物質を燃料にすることも可能だ。多大な電力が消費される現行の廃水処理に代わる省エネ型廃水処理として、大きな期待が寄せられている。

Magunetite

 今回、科学技術振興機構(JST)は6月5日、東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 橋本研究室、および東京薬科大学 生命科学部 生命エネルギー工学研究室との共同研究により、微生物が導電性金属粒子を通して細胞間に電気を流し、共生的エネルギー代謝を行うことを発見したと発表した。

 研究グループは、自然環境中にも電極や電線が存在し、それらを使って微生物が電子の授受をしている可能性を考えた。この考えを実証するため、酢酸を電子供与体に、硝酸を電子受容体として、土壌細菌の代表株であるゲオバクター(Geobacter sulfurreducens )とチオバチルス(Thiobacillus denitrificans )を共培養した。

 カギとなる「電気共生」の関係を発見
 ゲオバクターは酢酸を酸化分解できるが、硝酸を電子受容体にした呼吸はできない。一方のチオバチルスは、ゲオバクターとは逆に硝酸を電子受容体にできるが、酢酸を分解できない。つまり、両者の間に共生的電子の移動が起こらない限り、酢酸酸化に依存した硝酸還元は起こらないというわけだ。

 このような培養系に非導電性の酸化鉄粒子を添加したところ、一部の鉄が溶液中に溶け出して拡散依存の電子媒体として働き、酢酸酸化に伴う硝酸還元(共生的代謝)が起きるようになった。

 一方、導電性酸化鉄であるマグネタイトの粒子を添加したところ、共生的代謝が格段(10倍以上)に促進された。この現象は、溶液中を拡散移動する電子伝達系によるものとは説明できず、マグネタイト粒子の中を電気が流れたことを示している。この現象を「電気共生」と名付けた。

 各種酸化鉄を添加した際の共生的電子伝達速度の比較で、グラフの傾きを比較することにより、マグネタイトを添加したもののみ、ほかより格段に早く電子が移動していることがわかる。

 マグネタイトを介した電気共生により生育したゲオバクターとチオバチルス。チオバチルスの細胞はゲオバクターより大きい。どちらの細菌の細胞にもマグネタイト粒子が付着し、それらを通して電気が流れていると考えられる。

 マグネタイトなど導電性ミネラルの粒子は、環境中(土中や堆積物中)に普遍的に、しかも豊富に存在している。今回の発見から、これら環境中でも微生物が導電性ミネラルを電線として使って電子をやり取りし、お互い助け合って生きているとしてもなんの不思議ではないという。

 導電性ミネラル粒子で効率化
 一方、微生物燃料電池やバイオガス生産プロセス(メタン発酵槽)の中では水素などの代謝産物が電子媒体になるといわれているが、この電子の授受ステップが律速段階になっている。研究グループは、導電性ミネラル粒子を使えば、これらのバイオエネルギー生産プロセスを高効率化できるのではないかと考えているとした。

 今回の発見は、微生物がなぜ電極に電子を流す能力を持っているのかという科学的疑問からスタート。しかし得られた結果は、環境中の微生物の共生関係を説明するものとして、またバイオエネルギープロセスの高効率化の礎として、広くインパクトを及ぼすものとなった。

 研究グループは今後、導電性ミネラルを利用する微生物に関する知見を深めると共に、微生物燃料電池やバイオガス生産プロセスの高効率化に応用していきたいと考えている。(科学技術振興機構)

参考HP 科学技術振興機構:微生物が互いに電子をやりとりする「電気共生」発見

身近で発見 スゴイ科学 不思議な科学 (知りたい!サイエンス)
クリエーター情報なし
技術評論社
人工光合成と有機系太陽電池 (CSJ Current Review)
クリエーター情報なし
化学同人

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

ニュートリノの謎に迫れ!超光速ニュートリノは幻?高エネルギーニュートリノ観測!

 ニュートリノとは何か?
 物質を構成する最小の粒子を素粒子とよぶ。素粒子は大きく2種類に分類され、物質を構成する粒子をフェルミ粒子、力を媒介する粒子をボース粒子と呼ぶ。物質を構成するフェルミ粒子は更に、クォークとレプトンに分類される。クォークやレプトンの大きさはわかっていないが、仮に有限の大きさがあるとしても陽子のスケールにおいても点とみなすことができる大きさである。

 クオークとレプトンだ。レプトンには6種類あり、荷電レプトンとニュートリノに分類される。荷電レプトンは、電荷 −1 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。荷電粒子には、電子、ミュー粒子、タウ粒子の3つがある。ニュートリノには、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノの3つがある。

 クォークにも6種類あり、上系列と下系列に分類される。上系列は電荷 +2/3 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。 アップクォーク 、チャームクォーク、 トップクォークの3つがある。下系列は電荷 −1/3 を持ち、それぞれに反粒子が存在する。 ダウンクォーク、ストレンジクォーク 、ボトムクォークの3つがある。

 ニュートリノは電荷を持たず、他の素粒子との反応がわずかで、透過性が非常に高い。そのため、原子核や電子との衝突を利用した観測が難しく、ごく稀にしかない反応を捉えるために高感度のセンサや大質量の反応材料を用意する必要があり、他の粒子に比べ研究の進みは遅かった。

Neutrino

 最近では、観測技術が向上し、さまざまな装置でニュトリノの新たな性質がわかってきた。スイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(OERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出する実験では、光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告された。

 この実験では、「光より速い粒子が世界で初めて発見された」と話題になったが、光ケーブルの接続不良や、ニュートリノ検出器の精度が不十分だったことを理由に取り消されている。

 また、南極に設置された「Ice Cubeニュートリノ観測所」では、南極の氷にあたって発光する、ニュートリノのわずかな光をとらえる装置であるが、今回通常のニュートリノより10倍以上高いエネルギーの高エネルギーニュートリノを検出した。

 高エネルギーニュートリノは、銀河系に閉じ込められることがないので、銀河系外からやってきたものであると考えられている。発生源は、宇宙最大の爆発現象とされる「ガンマ線バースト」や、銀河の中心にある巨大ブラックホールなどが考えられるがよくわかっていない。いずれにしても激しい天体現象により、高エネルギーのニュートリノも同時に生成される。そして、ニュートリノは地球に届くまでほとんど他の物質と相互作用せずに直接飛んでくる。

 ニュートリノ、「超光速」撤回 名古屋大などが正式に発表
 素粒子のニュートリノが光より速く飛ぶとの実験結果を昨年9月に報告した名古屋大などの国際研究チーム「OPERA」は8日、測定精度を高めた再実験の結果、ニュートリノの速度は光速と誤差の範囲で同じだったとして、「超光速」の当初報告を撤回した。京都市で開かれているニュートリノ・宇宙物理国際会議で正式に発表した。
 
 「超光速粒子」の報告は、質量を持つ物質は光速を超えないとするアインシュタインの相対性理論に反するため世界的な論争を呼んだ。科学者の多くは当初から懐疑的だったが、研究チームの撤回表明で論争は終結する見通しとなった。
 
 実験はスイス・フランス国境の欧州合同原子核研究所(OERN)から発射したニュートリノを、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ地下研究所で検出。当初は光より60ナノ(ナノは10億分の1)秒早く届いたと報告された。
 
 速度を測定するため、GPS(衛星利用測位システム)で時刻を合わせる時計を発射側と到着側に計3台設置。このうち到着側で地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続不良や、ニュートリノ検出器の精度が不十分だった可能性が見つかり、今年5月に再実験を行っていた。
 
 再実験では光ケーブルの接続を十分に確認した上で、地上と地下の時刻合わせを1ナノ秒単位で正確に監視。ニュートリノが検出器を通過する時刻も、誤差を従来の25分の1の1ナノ秒に抑えて確認できるように装置を改良した。
 
 超光速粒子をめぐっては昨年11月、同じ研究所の別の実験チームがノーベル賞学者の見解をふまえて反論したほか、今年3月には検証実験で否定。光ケーブルの接続不良問題も浮上したことで、超光速は誤りとの見方が広がっていた。(産経新聞 2010年6月8日)

 未知の天体から?高エネルギーニュートリノ観測
 千葉大などの国際研究チーム「IceCubeプロジェクト」が、これまで観測されたことのない高エネルギーのニュートリノを2個、南極で観測した。

 京都市で開かれているニュートリノ・宇宙物理国際会議で8日、発表した。未知の天体から地球に飛来したと見られ、高エネルギーを放つ天体の理解につながるという。

 チームは、南極点付近の氷河に、1立方キロ・メートルの範囲にわたって検出装置を埋め、昨年5月に本格的な観測を開始。同8月と今年1月に計2個、大気中などで発生する高エネルギーのニュートリノより10倍以上高いエネルギーのニュートリノを検出した。可視光に比べると1000兆倍高いエネルギーだという。

 このニュートリノの放出源は、宇宙最大の爆発現象とされる「ガンマ線バースト」や、銀河中心にある巨大ブラックホールなどが考えられるが、よく分かっていない。発表した千葉大の石原安野あや研究員は「より多くの高エネルギーニュートリノを観測し、天体の謎を解明していきたい」と話している。(2012年6月9日 読売新聞)

 アイスキューブ・ニュートリノ観測所
 アイスキューブ・ニュートリノ観測所(The IceCube Neutrino Observatory)は、南極のアムンゼン・スコット基地の地下に設置されたニュートリノ観測所。南極の厚い氷の中にDOM(Digital Optical Module)と呼ばれる球体の光センサーモジュールを数千個並べてある。1つのDOMは耐圧球の中に浜松ホトニクス製の光電子増倍管、地表の施設にデジタルデータを送るためのデータ収集回路、電源、磁気シールドが内蔵されている。
 
 完成は2010年12月18日(ニュージーランド時間)。熱水ドリルで南極の氷に深さ2450mの垂直の穴(string)を86本掘削し、それぞれのstringの深さ1450mから2450mの間に60個のDOMが縦に並べられている。86本全てのstringを合わせてarrayと呼び、合わせて86x60=5160個のDOMが氷の奥深くに埋め込まれていることになる。これらのセンサーは深さ方向に1km、上から見て1km2の正六角形の領域に分布しており、全体として1km3もの体積を持つ巨大な検出器を構成している。

 アイスキューブはこれらの高エネルギー(100GeVから数PeVまで)のニュートリノを検出できる。その天体現象が激しければ激しいほど、アイスキューブで検出できる見込みが高い。その意味では、アイスキューブはスーパーカミオカンデよりもピエール・オージェ観測所(世界最大の宇宙線観測所)に近い。アイスキューブは北半球方向からやってくるニュートリノを高感度で観測できる。検出自体はどの方向からのものでも可能であるが、南半球からのニュートリノは宇宙線由来のミュー粒子によるバックグラウンドによってかき消されてしまう。アイスキューブの探索はまず北半球に的を絞り、南半球への拡大は臨時の作業として行われる。
 
 アイスキューブで検出されるニュートリノは望遠鏡で捕らえられる光に比べたらほんのわずかなものではあるが、高い解像度を持っている。数年後には宇宙マイクロ波背景放射やガンマ線望遠鏡にも似た北半球方向の宇宙の地図を作成するかも知れない。また、KM3NeT(地中海の水深2500-4500mに設置される予定のニュートリノ観測所)が南半球の地図を作成しているかも知れない。なお、アイスキューブでは2006年1月29日に最初のニュートリノを観測している。(Wikipedia)

参考HP Wikjipedia:ニュートリノ アイスキューブ・ニュートリノ観測所

ニュートリノ天体物理学入門―知られざる宇宙の姿を透視する (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社
世紀の大発見がもたらす未来 超光速ニュートリノとタイムマシン
クリエーター情報なし
徳間書店

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

iPS細胞の可能性拡大!がん攻撃のT細胞や肝臓を初めて作製

 がん攻撃のT細胞をiPS細胞から作製 
 あらゆる細胞に変わる能力を持つ、人間のiPS細胞(新型万能細胞)から、がんやウイルス感染細胞を攻撃する、免疫系のT細胞を作り出すことに、東京大学医科学研究所が成功した。
 
 T細胞は最初は攻撃能力がなく、様々な異物と遭遇しながら能力を獲得する。今回、エイズ患者のT細胞からiPS細胞を作製、そこから再びT細胞を作ったが、細胞の状態が激しく変化する過程を経ても、T細胞は攻撃能力獲得前に戻ることはなかった。T細胞を効率的に作製し、がんやエイズの免疫治療に道を開く成果で、横浜市で開かれる日本再生医療学会で6月14日に発表する。
 
 医科研の金子新助教らは、細胞を変化させる独自の培養法を開発。できたT細胞の遺伝子を調べ、攻撃能力を保持していることを確認した。今後、動物実験で、作製したT細胞を使った治療効果を確かめるという。(読売新聞 6月10日)

 T細胞とは何か?
 T細胞(T cell、T lymphocyte)とは、リンパ球の一種で、骨髄で産生された前駆細胞が胸腺での選択を経て分化成熟したもので、細胞表面に特徴的なT細胞受容体(T cell receptor;TCR)を有している。末梢血中のリンパ球の70〜80%を占める。名前の『T』は胸腺を意味するThymusに由来する。

 1968年にG. F. MitchelおよびJ. F. A. P. Millerにより、初めてマウスの胸管リンパ中に19S溶血素(抗ヒツジ赤血球抗原IgM抗体)産生細胞前駆細胞(すなわちB細胞)及び、その前駆細胞を抗原依存性に19S溶血素産生細胞へと分化させる細胞(すなわちT細胞)における、二つのリンパ球亜集団が存在することが見出された。

 細胞表面のマーカー分子としてCD4やCD8などを発現している。CD4を発現したT細胞は他のT細胞の機能発現を誘導したりB細胞の分化成熟、抗体産生を誘導したりするヘルパーT細胞として機能する。このCD4陽性T細胞は、後天性免疫不全症候群 (AIDS) の病原ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス (HIV) や、成人T細胞白血病 (ATL) の病原ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルス (HTLV-1) が感染する細胞である。

 CD8陽性T細胞はウイルス感染細胞などを破壊するCTL(キラーT細胞)として機能する。 また、NK細胞とT細胞の性質を併せ持つNKT細胞や、CD25分子を発現して他のT細胞の活性を抑制する働きのあるレギュラトリーT細胞などもある。最近では胸腺を介さずに分化成熟する末梢性T細胞が存在することも知られるようになった。(Wikipedia)

 iPS細胞で人の肝臓作製 再生医療に応用期待 横浜市立大など成功
 さまざまな細胞になる能力がある人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、マウスの体内で人間の小さな肝臓を作り出すことに横浜市立大などのチームが成功したことが、6月8日までに分かった。肝不全の患者に作った臓器を移植する治療や、医薬品の開発に応用できる可能性がある。

 これまでも、人のiPS細胞から肝細胞を作る研究はあったが、複雑な立体構造を持つ臓器を作るのは難しかった。チームは今回、人のiPS細胞が肝細胞に変わる手前の「前駆細胞」という細胞に、血管を作る細胞と、細胞同士をつなぐ役割をする細胞とを加えて数日間、培養。直径約5ミリに成長した肝臓のもとを、マウスの頭部に移植した。

 すると、数日間で血管網ができた。2カ月後には人に特有のタンパク質を作り、薬物を分解するなど、肝臓と似た働きをすることを確認した。成果は、横浜市で開かれる日本再生医療学会で、14日に発表する。

 iPS細胞から“ヒトの肝臓”
 体のあらゆる組織や臓器になるとされるiPS細胞からヒトの肝臓を作り出すことに、横浜市立大学の研究グループが成功した。研究グループによるとと、立体構造を持ち血液の流れのある臓器ができたのは初めて。

 この研究を行ったのは、横浜市立大学大学院の谷口英樹教授らのグループ。研究グループでは、ヒトのiPS細胞を「肝前駆細胞」と呼ばれる肝臓の元になる細胞に変化させたあと、血管を作り出す細胞と細胞どうしをつなぎ合わせる働きを持つ細胞を加えて、数日間、一緒に培養した。

 そして、大きさが5ミリほどに成長した細胞の塊をマウスの体内に移植したところ、血管がつながって血液が流れ始め、ヒトの肝臓と同じようにタンパク質を作ったり薬を分解したりする働きのあることが確認できたということ。

 立体構造を持ち、血液の流れのある臓器ができたのは世界で初めてだということで、谷口教授は「立体構造で本物と同じように働く臓器を作ることは、これまでとても難しいとされてきた。今回の方法は細胞が本来持っている臓器になろうとする働きを引き出すやり方だ。臓器作りが進むきっかけになるのではないかと思う」と話している。(NHK news 6月8日)

 iPS細胞:90%以上を肝細胞に
 あらゆる組織や臓器の細胞になる胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)を効率よく培養し、90%以上を肝細胞にする新技術を、赤池敏宏・東京工業大教授(生体材料工学)のチームがマウスで開発した。2011年1月14日、発表した。従来の効率は10%程度だった。今後、他の組織や臓器への応用が期待される。

 ES細胞やiPS細胞は塊になる性質がある。ほぐす過程で細胞が傷ついたり、他の細胞になる「分化」を促す物質が均等に行き渡りにくかった。

 チームは、細胞同士をくっつけるたんぱく質「カドヘリン」に着目。加工したカドヘリンを培養皿に敷き詰めた。その上で培養すると、ES細胞やiPS細胞が培養皿の上で塊にならず、均一に広がったまま増殖できた。さらに、分化を促す物質を与えると、90%以上の効率で肝細胞になった。がん化するとされる未分化の細胞はほとんど残らなかった。

 この道具は、細胞を料理するまな板のようだとして「細胞用まな板」と命名した。赤池教授は「医療として実用化するには大量で効率よく作ることが重要で、再生医療の実現に有用だ」と話す。(毎日新聞 2011年1月14日)

 iPS細胞とは何か?
 iPS細胞とは、 人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)のことで、細胞を初期の状態に戻し、受精卵のようにさまざまな細胞や組織に成長する能力を持たせた細胞。京都大学の山中伸弥教授らのグループによって、マウスの線維芽細胞から2006年に世界で初めて作られた。

 山中教授は四つの遺伝子を、ウイルスを使って皮膚細胞に導入した。その後、遺伝子の数を減らすなどさまざまな作成法が発表された。再生医療に用いる場合はがんを作らない作成法が必要。病気の仕組みを解明したり、新薬の安全性確認への応用も期待されている。しかし、真の実用化までには、まだ課題がある。

 マウスの実験において表面化した最大の懸念は、iPS細胞の癌化であった。iPS細胞の分化能力を調べるためにiPS細胞をマウス胚盤胞へ導入した胚を偽妊娠マウスに着床させ、キメラマウスを作製した所、およそ20%の個体において癌の形成が認められた。これはES細胞を用いた同様の実験よりも有意に高い数値であった。

 この原因は、iPS細胞を樹立するのに発癌関連遺伝子であるc-Mycを使用している点と、遺伝子導入の際に使用しているレトロウイルスは染色体内のランダムな位置に遺伝子を導入するため、変異が起こり、内在性発癌遺伝子の活性化を引き起こしやすい点が考えられた。その後、山中教授らは発癌遺伝子を使用しないiPS細胞の作出に成功したが、作出効率が極めて低下(1/100といわれる)するとの問題があり、効率を改善する手法の開発が進められている。また、レトロウイルスを用いないでiPS細胞を作出する手法の開発も多くのグループにより進められている。 



生命の未来を変えた男 山中伸弥・ips細胞革命
クリエーター情報なし
文藝春秋
幹細胞の基礎からわかるヒトES細胞
クリエーター情報なし
メディカルサイエンスインターナショナル
 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

燃料は太陽光!「ソーラー・インパルス」大陸間飛行に成功!次は世界一周

 モロッコに到達、大陸間ソーラー飛行
 翼上の太陽電池のエネルギーだけで飛ぶ飛行機「ソーラー・インパルス」が6月5日、スペインのマドリードからモロッコまでの大陸間飛行に成功した。高度は約8200メートルを記録。

 ソーラー・インパルスはスペインのマドリードを離陸し、19時間後の現地時間6月5日午後11時30分にモロッコへ着陸。ヨーロッパとアフリカを隔てるジブラルタル海峡を渡る830キロの旅を終え、大陸間飛行を初めて成功させた有人ソーラー飛行機として歴史に名を刻んだ。操縦は設計者の一人ベルトラン・ピカール(Bertrand Piccard)氏が担当した。

 モロッコのラバト・サレ国際空港で人々の歓声に迎えられたピカール氏は、「ジブラルタル海峡の飛行は夢のような時間だった。パイロット人生のハイライトの一つだ」と振り返っている。

 ソーラー・インパルスはスイス西部パイエルヌから出発し、マドリードに着陸。気象条件が整うまで1週間以上待ち、ラバトに向けて飛び立った。スイスからスペインまでの17時間の飛行は、プロジェクトのパートナーで設計者のアンドレ・ボルシュベルグ(Andre Borschberg)氏がパイロットを務めた。

 それまでの数日間は晴天に恵まれていたが、超軽量機には大敵の強風が吹いており、大陸間飛行は延期されていた。条件が整った6月5日、同空港を離陸した。

 モロッコへの飛行は、対地速度で平均時速約52キロ、19時間8分を要した。夜明け前に離陸し、深夜に着陸したが、電力の問題はなかったという。「約20時間の飛行を終えても、バッテリーには十分な充電量が残っていた。これは大成功で、新しい技術にますます自信が持てる」とパイロットのアンドレ・ボルシュベルグ氏は語る。

 機体にはベルギーの化学・プラスチックメーカー大手「ソルベイ(Solvay)」の名が大きく記されている。同社は2004年からプロジェクトの最初のスポンサーとなり、高性能で超軽量のポリマーを提供して同機の製作を可能とした。その他、時計メーカーのオメガ、ドイツ銀行、エレベーター・エスカレーター大手のシンドラーも後援している。 

 チームによると、今回の飛行はモロッコ太陽エネルギー庁(MASEN)が招待し、国王モハメッド6世も後援したという。目的地にモロッコを選んだのは、世界最大(160メガワット)の太陽熱発電所建設を後押しする目的もあった。
 
 MASENのムスタファ・バクリ(Mustapha Bakkoury)長官は、飛行成功を受けて次のコメントを出している。「ソーラー・インパルスもMASENも届けたいメッセージは同じ。太陽光エネルギーは研究開発の段階を抜けだし、日常生活に溶け込み始めている。ソーラー・インパルスが世界一周に挑戦する2014年には、太陽熱発電所も稼働を開始する予定だ」。今回の大陸間飛行はそのウォーミングアップにあたる。(National Geographic News June 7, 2012)

 ソーラー・インパルスとは?
 ソーラー・インパルス(Solar Impulse)は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校で進行中の有人ソーラープレーンプロジェクト。世界初の気球による無着陸地球一周を成功させたベルトラン・ピカールがプロジェクトを主催している。このプロジェクトでも太陽エネルギーを動力源とする有人固定翼機で世界一周することを最終目標としている。

 最初の単座航空機はスイスの機体番号コードで HB-SIA とされ、自力で離陸でき、最長36時間連続航行可能とすることを目標として製作された。2010年7月7日から8日にかけて、9時間の夜間飛行を挟んで連続26時間の飛行を成功させた。このプロトタイプ機の経験に基づいてやや大きめの2号機 (HP-SIB) が製作されており、20日から25日をかけて世界一周する計画である。

 ピカールがソーラー・インパルスのプロジェクトを開始したのは2003年のことである。その後様々な分野の専門家50人が6カ国から集まり、約100人がアドバイザーとして関与している。
 
 プロジェクトの資金は私企業が出資している。主要スポンサーはドイツ銀行、オメガ、ソルベー、Schindler Groupの4社。他にバイエル・マテリアルサイエンス、Altran、Swisscom がスポンサーとなっている。サポーターとしては、Clarins、Semper、トヨタ自動車、BKW、STG がある。スイス連邦工科大学ローザンヌ校、欧州宇宙機関、ダッソーが技術的支援をしている。

 HB-SIAの翼
 翼幅はエアバスA340に匹敵する63.4m。翼の下に4つのナセルがあり、それぞれにリチウムイオンポリマー二次電池と10 hp (7.5 kW)の電動機、2枚羽根のプロペラがある。翼をなるべく軽くするため、炭素繊維のハニカム・サンドイッチ構造を採用している。
 
 主翼と水平安定版の上面には12,000個の厚さ150μmの単結晶シリコン太陽電池があり、日中はこれで発電する。その電力で推進力を得ると同時に電池を充電して夜間飛行に備える。理論上は乗員1名で無制限の航行が可能である。2010年7月、夜間飛行を含む26時間以上の連続有人飛行に成功した。
 
 設計上の主な制限は搭載できる電池の容量である。条件がよければ24時間以上の間、平均で8 hp (6 kW)を供給でき、これは1903年のライト兄弟のライトフライヤー号の出力にほぼ匹敵する。昼間は電池を充電すると同時に位置エネルギーを利用して電力消費を抑え、夜間に備えることができる。

 2009年6月26日、ソーラー・インパルスはスイスのデューベンドルフで初めて一般公開された。走行試験の後、2009年12月3日に初の短距離飛行を行った]。操縦士は Markus Scherdel。プロジェクトの副リーダー André Borschberg は「信じられない1日だった。飛行機は約350m、地上1mほどの高度で飛行した…今回の試験は高く飛ぶことが目的ではなく、飛行中の操作性や飛行特性を確認することが目的だった」と述べ、さらに「結果は技術者が望んだとおりだった。これでエンジニアリング・フェーズが終り、飛行試験フェーズが始まる」と述べた。

 2010年4月7日、Markus Scherdel の操縦で87分以上の試験飛行を行った。この4月の試験飛行では高度1200mにまで達した。2010年5月28日には、太陽エネルギーだけによる飛行を初めて成功させ、電池を飛行中に充電した。
 
 2010年7月8日、HB-SIAは26時間の有人飛行を達成した。André Borschberg が搭乗し、中央ヨーロッパ時間 (UTC+2) の7月7日午前6:51にスイスのパイエルヌの飛行場を離陸、翌朝9:00に着陸した。この飛行で最高 8,700 m (28,500 ft) の高度に達した。有人のソーラープレーンとしては航行距離でも高度でも世界最高を記録し、2010年10月に国際航空連盟 (FAI) が正式に記録を認めた。
 
 2012年6月5日、スペインのマドリードを離陸。19時間掛けてジブラルタル海峡を越え、モロッコのラバト・サレ国際空港に着陸。飛行距離は830kmだった。
 
 計画されている2機目の飛行機 (HB-SIB) 
 HB-SIB はソーラー・インパルス2号機のスイスの機体番号コードである。2011年に完成予定で、与圧されたコックピットと最新のアビオニクスを備え、大陸横断飛行や大洋横断飛行が可能である。
 
 翼幅は 80.0 m (262.5 ft) でエアバスA380の翼幅 79.75 m (261.6 ft) より若干広く、旅客機としては世界最大である。
 
 コックピットは与圧されていて酸素マスクなども備え、高度 12,000メートル (39,000 ft) で巡航可能となっている。
 
 チームは世界一周飛行を2012年に実施したいとしている。北半球の赤道付近を一周する予定である。操縦士の交代のため5カ所で一旦着陸する予定となっている。操縦士の生理学上の制限により、1回の飛行は3日から4日までとしている。
 
 電池が改良されれば重量を減らすことができ、複座式にして途中で止まらずに世界一周できるようになると期待されている。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia:ソーラー・インパルス National Geographic news:世界初の成功、大陸間ソーラー飛行

太陽発電!ソーラーLEDイルミネーション♪かんたん取付
クリエーター情報なし
メーカー情報なし
GOAL ZERO ポータブルソーラー発電機 NOMAD7 GZ-12301
クリエーター情報なし
GOAL ZERO

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

九州で絶滅したはずの“ツキノワグマ”目撃情報相次ぐ!さまざまなクマの仲間

 九州で「絶滅」のはずが
 九州では絶滅したといわれている野生のツキノワグマ。だが近年、大分、宮崎、熊本の県境の山奥などで「クマのような」大型動物の目撃情報が寄せられ、研究者らでつくるNGO「日本クマネットワーク」が25年ぶりに本格的な生息調査に乗り出した。「ネットワーク」は「中身のある調査結果が出るのでは」と意欲満々だ。
 調査は6月8日から開始。大学の研究者や地元猟友会会員の計約40人が参加し、10日まで宮崎・大分両県にかかる祖母(そぼ)・傾山(かたむきさん)山系の登山道や林道周辺を対象に、クマのふんや食べかす、つめ痕などの生息痕跡を探す。更に、赤外線センサー搭載の自動撮影カメラ約40台を長期にわたって設置する。
 九州最後のクマは、1987年に大分県豊後大野市の山中で射殺されたツキノワグマと言われている。だが「ネットワーク」によると2010年11月、古祖母(こそぼ)山で登山をしていた男性が黒くて大きな動物を目撃し、うなり声を聞いた。2011年10月には、隣の祖母山中の尾根道で登山中の女性が大型動物に遭遇し、後ろ脚で立ち上がる姿を目撃したという。調査対象地域はブナやミズナラなどの自然林が残り、人の手があまり入っておらず「クマが生息していてもおかしくない」という。



 一方、1987年に射殺されたクマの遺伝子は福井、岐阜両県に生息するものに近いと学会で発表され、九州外から持ち込まれたとの見方が有力だ。だが「ネットワーク」は「元々九州にいたとされる野生のツキノワグマの遺伝子の型が明確になっていない。今回、九州に残る古いクマの剥製や骨などからDNAの型も調べたい」としている。 
 
 宮崎県高千穂町で10年以上、クマを追っている写真家、栗原智昭さん(46)は「クマの研究は本州、北海道が中心で本格的な調査が九州に入ることは非常に画期的なこと」と期待する。3県の自然保護担当課は「関心を持って経緯を見守りたい」と話している。(毎日新聞 6月10日)

 ツキノワグマとは?
 ツキノワグマ(月輪熊、Ursus thibetanus)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)クマ科クマ属に分類される食肉類。別名アジアクロクマ、ヒマラヤグマ。体長120~180センチメートル。尾長6~11センチメートル。体重オス50~150キログラム、メス40~90キログラム。肩が隆起せず、背の方が高い。全身の毛衣は黒いが、赤褐色や濃褐色の個体もいる。胸部に三日月形やアルファベットの「V」字状の白い斑紋が入り、旧属名Selenarctos(月のクマの意)や和名の由来になっている。
 
 眼や耳介は小型。乳頭の数は6個。森林に生息する。夜行性で、昼間は樹洞や岩の割れ目、洞窟などで休むが果実がある時期は昼間に活動することもある。夏季には標高3,600メートルの場所でも生活するが、冬季になると標高の低い場所へ移動する。
 食性は植物食傾向の強い雑食で、果実、芽、昆虫、動物の死骸などを食べる。
 繁殖形態は胎生。シベリアの個体群は6~7月、パキスタンの個体群は10月に交尾を行う。主に2頭の幼獣を産む。授乳期間は3か月半。幼獣は生後1週間で開眼し、生後2~3年は母親と生活する。生後3~4年で性成熟する。寿命は24年。飼育下の寿命は約33年。

 家畜や人間への被害例もある。少なくとも亜種ニホンツキノワグマは主に6~7月にカラマツ、スギ、ヒノキなどの直径15~20センチメートル以上の針葉樹の樹皮を剥いで形成層を食べるため、植林した針葉樹を食害する害獣とみなされている。全周剥皮では枯死、部分剥皮では剥皮が大規模なら衰弱、また腐食などにより材木の価値が下がるなどの被害が生じる。樹皮剥ぎの理由はよく分かっておらず、樹液による栄養補給、餌であるニホンミツバチの巣となる樹洞の形成のため、縄張りのマーキング、繁殖行動のためのメスの誘引などの説がある。樹皮剥ぎの被害は、従来は西日本の太平洋側が中心と言われてきたが、近年では西日本の日本海側や東北地方でも深刻なことが確認されている。 参考 - ツキノワグマによる林木剥皮被害(森林総合研究所関西支所年報 第38号)また、未だ多数の支持を得るには至ってはいないが、多く植えられたスギの木を、森の生態復元のために減らそうとしている、冬眠穴になる樹洞を形成するために行っている、などという説もある。

 開発による生息地の破壊、毛皮や胆嚢、手目的の乱獲、駆除などにより生息数は減少している。アフガニスタンでは見られなくなり、バングラデシュや朝鮮半島では絶滅の危険性が高い。保護の対象とされることもあるが密猟されることもあり、中華人民共和国や朝鮮半島へ密輸されているとされる(国際的商取引は禁止されているが、例として1970~1993年に大韓民国へ2,867頭が輸入された記録がある)。旧ソビエト連邦での1970年代における生息数は6,000~8,000頭、1985年における生息数は4,600~5,400頭と推定されている。

 中華人民共和国での1995年における生息数は12,000~18,000頭と推定されている。日本では九州の個体群は捕獲例が1941年、確実な目撃例が1957年以降はなく絶滅したと考えられている。1987年に捕獲例もあるがミトコンドリアDNAの分子系統学的解析から、琵琶湖以東の個体あるいは琵琶湖以東の個体に由来する個体が人為的に移入された後に捕獲されたと考えられている。だが近年においても祖母・傾山系や九州山地では目撃例が多々あり、生存している可能性もある。(Wikipedia)

 絶滅のおそれのある地域個体群(環境省レッドリスト)
 日本国内における個体数は、10,000頭前後と推定されていた。しかし堅果類の凶作年の2004年に約2,300頭、2006年に約4,600頭のクマが捕殺された後も、大量に目撃されていることから実態数は不明である。2010年の大量出没年の際に朝日新聞が、各都道府県の担当者に聞き取り調査を行った数では16,000頭~26,000頭と幅が大きい上、数十頭の個体数と考えられていた岡山県などで推測数の半分近くが捕獲される例が相次ぎ、誤差の大きさをうかがわせている。

 これは、平均生息密度が1平方kmあたり1頭以下と極めて低いことなどに理由があり、個体数の推測に用いる区画法、ラインセンサス法、ヘアートラップ法などでは限界があるためである。

 上記の樹皮剥ぎをスギやヒノキ等、造成林で行うことによって発生する林業被害や、果樹や農作物、養蜂、家畜及びその飼料を食害するなどの農業被害が存在する。また、個体そのものに遭遇し、危害を加えられるケースもある。そのため、日本では本種は危険動物として認識されている。出没は森林内はもとより、森林と人間の居住エリアとの境界付近で、出遭い頭であることが多い。

 こうした場所に行くときは、聴覚が鋭いクマの特性を利用して、よく鳴る笛や鈴を必ず携行するなど、人間の存在をクマに知らせることが重要である。また、クマは背中を見せて逃げるものを追う習性があるため、出遭ってしまったときは、静かに後ずさりすべきである。 なお、熊は死肉を食す習性もあり、遭遇したときに死んだふりをするというのは、イソップ寓話『熊と旅人』の話の一部であり、自ら死を招くような行為である。(Wikipedia)

 さまざまなクマの仲間
 最大種はヒグマもしくはホッキョクグマで体長300cm、最小種マレーグマでも体長100~150cmとネコ目内でも大型種で構成される。一般に、密に生えた毛皮と短い尾・太くて短い四肢と大きな体、すぐれた嗅覚と聴覚をもつ。
 
 頭部が大きいわりには目は小さく、耳も丸くて短い。視力は弱い種が多いが、聴覚・嗅覚は鋭い。顎が発達しており、犬歯も大きいが、ネコ目の多くが、臼歯(きゅうし)が肉を切り裂くための裂肉歯に変化しているのに対し、クマ科では裂肉歯が植物などをすりつぶすのに適した、短くて扁平なものに二次的な変化を起こしている。歯式は3/3・1/1・4/4・2/3=42(本) ・乳頭式は2+0+1=6(個) のものが一般的(アカグマの上顎門歯は2本)、寿命は25年から40年の種が多い。
 
 四肢は力強く、筋肉質でがっしりとしている。前後の肢は幅が広く、その先には長く湾曲した鉤爪を備えた5本の指を有しており、この鉤爪は引っ込めることができず、木登りや穴掘りに優れた形状をしている。また前肢後肢とも、足の裏の大部分がネコ目の特徴である毛の生えていない肉球形状であり、踵を地面につけて歩く蹠行性動物である。
 
 主に山岳地帯や森林に生息するが、ホッキョクグマは氷原に生息する。秋期に豊富に栄養を摂って、冬季に冬ごもりを行う種もいる。冬眠中のクマは体温が下がり、呼吸数や心拍数が減るとともに、餌や水を口にしなくなるだけでなく、排泄や排尿も見られなくなる。主に植物食傾向の強い雑食だが、ホッキョクグマ(アザラシ等)やヒグマ(サケ等)、ナマケグマ(シロアリ等)は動物食傾向が強い種も存在する。
 
 成獣の雌は7-8か月の妊娠期間を経て、約1-4子(平均で約2子)を出産する。冬ごもりを行う種は冬ごもり中に幼獣を産む。

 ヒグマ ツキノワグマ マレーグマ ジャイアントパンダ クマ科は、イヌ科やアライグマ科と比較的類縁関係が近いとされる。パンダ類の分類については諸説あり、パンダ科として独立させたり、レッサーパンダをアライグマ科に含めるなどされてきたが、DNA分析による結果から、ジャイアントパンダはクマ科に含まれ、レッサーパンダは独立のレッサーパンダ科とする考え方が有力となっている。 3亜科の関係は、ジャイアントパンダ亜科が離れており、クマ亜科とメガネグマ亜科が近縁である。そのため、ジャイアントパンダ亜科を別科とする、あるいは、メガネグマ亜科をクマ亜科に含めることがある。(Wikipedia)

動物地球遺産 ~絶滅危惧種・珍獣たちのビジュアル博物館~
クリエーター情報なし
シンフォレスト
ナショナル・ジオグラフィックの絶滅危惧種写真集 (P-Vine Books)
クリエーター情報なし
ブルース・インターアクションズ

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please

科学用語でクリック!
ギャラリー
  • 植物は「かおり」で会話する?草刈りの匂いでダイズの防衛能力が向上!「植物間コミュニケーション」は存在する
  • 地球温暖化で拡大する感染症を阻止せよ!武器は「蚊の工場」、広大な中国から蚊を一掃できるか?
  • ニュージーランドは未知の大陸「ジーランディア」の一部だった!海に沈んだ「アトランティス」大陸の謎
  • ついに環境汚染が深海まで到達!マリアナ海溝の深海生物(エビ)に、中国最悪の川を超える50倍のPCB検出!
  • 宇宙のリチウムなぜ少ない?「7Be+n→4He+4He」仮説覆す成果!さらに謎が深まった宇宙リチウム問題
  • 卵や幼虫を世話する働きアリは24時間活動し続ける!一方働かないアリも一定数存在?アリ社会の不思議
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

最新記事
livedoor プロフィール

 サイエンスジャーナルに
 関する、取材の申し込みや
 お問い合わせは、記事の
 コメント欄にご記入お願い
 致します



logo

bnr-yt-fact-min

The Liberty Web
未曾有の危機到来!
自分の国は自分で守ろう!

最新コメント
太陽の法―エル・カンターレへの道
大川 隆法
幸福の科学出版

このアイテムの詳細を見る
黄金の法―エル・カンターレの歴史観
大川 隆法
幸福の科学出版

このアイテムの詳細を見る

楽天SocialNewsに投稿!

ブログランキング・にほんブログ村へ ←Click
人気ブログランキングへ     please

月別アーカイブ
まぐまぐ

 全力で情報収集し、記事を
まとめています。
参考になりましたら、広告を
クリックしていただけると
励みになります。m(_ _)m

最新科学情報やためになる
科学情報 をメルマガで!
540円/月!お試し期間あり!


週刊 サイエンスジャーナル


ダイジェスト版
Yes,We Love Science!
もご利用下さい。

ツイッター相互フォロー
科学・環境・Twitter情報局
をご利用下さい。

 現在、記事の一部しか表示
されません。記事のすべてをお読み頂くためには、
メルマガ登録後に配送される
パスワードが必要です。
 御登録お願い致します。
なおパスワードは一定期間
ごとに変更されます。

Let’s tweet Science!
















































































































































理科学検定に挑戦しよう!











































































































  • ライブドアブログ