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 いよいよ2010年も終わろうとしている。世界的にみると北朝鮮の核保有問題や中国との尖閣諸島をめぐる問題。東アジアをめぐる情勢は緊張の度合いを増している。韓国と北朝鮮の間の哨戒艦沈没事件、北朝鮮による韓国砲撃などもあった。日本もいつ戦争に巻き込まれてもおかしくない状況だ。中国の民主活動家にノーベル平和賞が贈られたが、政治犯として本人は獄中にある。

 ハイチではM7.0の大地震が起きた。23万人が死亡した。メキシコ湾では原油流出事故が起きた。これは米国史上最悪の海洋汚染事故だといわれた。アイスランドでは火山の大規模な活動があり、欧州などで飛行機が1週間も飛べなかった。今でも噴煙による塵は上空を広く漂っているという。

DeepwaterHorizon_Eyjafjallajokull

 一方、うれしいニュースとしては、チリ鉱山の落盤事故で33人が奇跡的に救出された。上海では万博が開かれ、7300万人が入場した。また、NASAの土星探査機カッシーニは、土星の環が波打つこと、衛星タイタンに氷火山があることなどを発見した。民間でも、ヴァージンギャラクティック社などが開発した宇宙船で、民間人でも宇宙旅行ができるという、夢が実現した年になった。

 国内では、もちろん、根岸氏、鈴木氏、2人の日本人による、ノーベル化学賞受賞はうれしいニュースだった。宇宙開発でも野口宇宙飛行士、山崎宇宙飛行士の活躍があった。小惑星探査機「はやぶさ」が7年もかけて、地球に帰還したのも感動的であった。少し遅れたが、東北新幹線の全面開通が実現、中央リニア新幹線もようやくルートが決まり、着工されようとしている。トヨタ、ホンダのハイブリッド車に続き、日産「リーフ」、三菱「アイミーブ」など電気自動車が販売され、EV時代の幕開けを感じた。

 一方、残念なニュースでは、宮崎県の「口蹄疫」。多くの畜産農家が打撃を受けた。そして、今年記憶に残る、夏の猛暑は、観測史上最も暑い記録に残る夏になった。政治の方は、民主党が総理大臣を鳩山氏から、菅氏に代え引き続き政権を担っている。スポーツの方は、サッカー日本代表のW杯決勝リーグ進出、大相撲で横綱白鵬が63連勝した。プロ野球ロッテのレギュラーシーズン3位からの日本一も痛快だった。そんな中で、10大科学ニュースを選んでみた。

 第10位 史上最悪の原油流出事故
 2010年4月20日にアメリカ合衆国ルイジアナ州のメキシコ湾沖合80kmで操業していたBPの石油掘削施設(石油プラットフォーム)「ディープウォーター・ホライズン」(Deepwater Horizon)が爆発し、海底1,500mへ伸びる掘削パイプが折れて海底油田から大量の原油がメキシコ湾全体へと流出した事故があった。
 ようやく流出が止まったのは7月15日キャップにより原油流出が事故以来初めて停止。流出時間85日と16時間25分であった。原油流出量はBP社発表によると1日15000キロリットルと推定される。その後修正され、7月16日までの総流出量は約78万キロリットル。この流出量は1991年の湾岸戦争の150万バレルに次ぐ規模だった。

 5月 4日 史上最悪!エクソンバルディーズ号をこえる原油流出事故発生?
 8月26日 神秘!メキシコ湾の深海で、原油を分解する新種細菌発見!

 第9位 地球に似た系外惑星の発見
 宇宙での発見も相次いだが、中でも第2の地球のような惑星の発見は夢がある発見だった。地球外生命体の可能性が高くなった。これまで、太陽系外の惑星というと、「ホットジュピター」という太陽に近い巨大惑星の発見が多かったが、初めて最も地球に似た惑星が発見された。てんびん座にある、赤い恒星「グリーゼ581」の周りを公転する、「グリーゼ581g」である。 生命の生存に適した条件を備えていると考えられる。米カリフォルニア大などの天文学者が9月29日、専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」に発表した。
 この惑星は、地球から20光年の距離にある小さな恒星「グリーゼ581」の周りを公転している。恒星のわずかなふらつきをハワイの望遠鏡で11年間観測し、惑星の存在を割り出した。

10月 1日 ついに第2の地球発見?20光年先にある「グリーゼ581g」とは何か?

 第8位 中央リニア新幹線、電気自動車(EV)など交通革命の幕開け
 リニア中央新幹線は、リニアモーターカーで東京~大阪間を約1時間で結ぶ構想。東京を起点に、甲府市、名古屋市、奈良市付近を経過し、終点の大阪までを時速500キロメートルで走行する。
 JR東海が2010年5月に発表した「超電導リニアによる中央新幹線の実現について」によると、名古屋開業は2027(平成39)年、大阪開業は2045(平成57)年。建設費約5兆1000億円は自己負担すると発表した。
 そして、日本でも日産「リーフ」、三菱の「アイ・ミーブ」など電気自動車(EV)が販売されるようになった。まだ価格は高く、走行距離が短いが、技術力は世界でもトップレベル。東北新幹線も予定より遅くなったが12月4日に全面開通した。日本の優れた技術で、交通網を整備し、世界にアピール。そして、経済を活性化させたいものだ。
 
 7月14日 日本再生!科学技術振興政策「宇宙」「リニア」「ロボット」
12月16日 EV時代の幕開け!日産「リーフ」米国で12月10日、国内は12月20日販売

 第7位 COP10(第10回生物多様性条約締約国会議)
 今回の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)、始まる当初から合意に達するのは難しいと思われていた。実際に、どの国も自分の主張を最後まで、繰り返すばかりであり、果たして最終日まで、一致することはなかった。
 その中で議長国日本は頑張った。各国の妥協点を見出し、合意できる点を絞り込んで提案した議長案が、最後に採択され、決裂を回避できた。結局「名古屋議定書」「愛知ターゲット」「名古屋・クアラルンプール補足議定書」3つの議題の採択に成功し、COP10は閉幕した。
 生物多様性条約が、単に生物保護だけでなく、貴重な利益を生む生物資源として、各国が権利を主張していたのが、印象に残った会議であった。生物資源には2つの意味がある。1つは生物をエネルギーの一つとしてみるバイオマスとしての資源、もう1つは、生物独自の性質を利用する遺伝子に着目した資源である。

10月17日 混乱・紛糾「COP10」 生物資源をめぐる闘いにルールはできるか?
10月31日 名古屋議定書・愛知ターゲット採択!「COP10」ついに決着!

 第6位 バイオマス資源の発見
 「石油や鉱物などの資源の少ない我が国は、人材だけが資源である」本年度、ノーベル化学賞を受賞した鈴木氏の言葉。その日本人が数々のエネルギー資源を発明している。食料品廃棄物や廃材を有効利用、発酵させて、エタノールを作ったり、鶏糞を燃料として利用した火力発電所などをつくるなどユニークなものがあった。
 中でも感心したのが、アオコや藻などを使って、石油を作る研究。筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チームは、海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し、各地で調査したところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。
 オーランチオキトリウムは、球形で直径は 5~15マイクロメートル(マイクロは 100万分の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。

12月18日 世界一の生産能力!これまでの10倍「石油」つくる藻類、沖縄で発見!

 第5位 医療技術の進歩 再生医療や陽子線治療
 ガン放射線治療には、髪の毛が抜けたり、他の器官に副作用が出たりしてよいイメージがなかった。それは、放射線を患部に照射するときに、目的とするガン細胞だけでなく、まわりの組織にもダメージを与えてしまうからであった。
 しかし、日本でこれまでガン治療に用いられた放射線はX線・γ線などの電磁波が主流であったが、放射線には陽子線・重粒子(重イオン)線などエネルギーを持った粒子もあり、こちらのほうがガン治療に効果的であることがわかった。利用する粒子の種類によって、陽子線治療、重粒子(重イオン)線治療、パイ中間子治療等に分けられ、世界の各地で臨床応用や研究が行われている。

 9月12日 ガンの先進医療「陽子線治療」と「重量子線治療」の違いは何か?
 9月13日 ガン重粒子線治療の原理、1903年発見の「ブラッグピーク」とは?

 第4位 記憶と記録に残る猛暑
 今夏(6〜8月)の日本の平均気温は平年を1.64度上回り、平年を1.36度上回って記録的猛暑だった1994年を大きく抜いて、統計を開始した1898(明治31)年以降の113年間で最も高かったことが1日、気象庁のまとめで分かった。 地域ごとに見ると、関東甲信で1.9度、北陸で1.8度、東海で1.6度それぞれ平年を上回り、いずれも戦後最高。地点別でも平年を2.5度上回った前橋、宇都宮、熊谷(埼玉)など全国55地点で観測史上最高を更新し、記録破りの猛暑をデータで裏付けた。
 最高気温35度以上の猛暑日の日数で最多記録を塗り替えたのは熊谷(31日)、千葉(8日)、横浜(5日)など11地点。30度以上の真夏日も横浜(55日)など11地点で過去最多。25度を下らない熱帯夜は、東京都心(48日)など48地点で最多記録となった。また、8月の平均気温は、平年より2.5度高かった東京都心をはじめ、全国の気象台など154地点の半数に当たる77地点で最高を更新した。(2010年9月2日 asahi.com)

 9月6日 気象庁「異常気象」と判断!酷暑まとめ「異常気象クイズ」!

 第3位 レアメタルそっくりの新素材
 レアアースはレアメタルつまり、地球上に量が少ない金属のなかまである。レアアースは、中国の尖閣諸島をめぐる問題で、注目された。現在、中国が世界の90%生産しているレアアースは、日本への輸出を禁止するなど、中国の外交政策のために、日本は窮地に立たされた。対策としては、他の諸外国から輸入する方法や、レアアースをリサイクルしたり、レアアースを使わない技術も考えられているが、どれも即効性はない。
 ところが、京都大学の北川宏教授らはレアメタルの一つ「パラジウム」そっくりの合金をつくり出すことに成功した。この方法を使えば、問題のレアースもつくれるかもしれない。核融合や核分裂を使わず、中世の錬金術を思わせるような、別の金属を混ぜてつくり出したその方法とは、ナノテクノロジーを駆使したものだった。

12月30日 ナノテクノロジーを使った現代の錬金術で、レアメタル(Pd)代替新合金精製!

 第2位 はやぶさ7年ぶりに帰還、あかつきは6年後
 小惑星探査機「はやぶさ」がもどってきた。姿勢制御装置の故障や化学エンジンの燃料漏れによる全損、姿勢の乱れ、電池切れ、通信途絶、イオンエンジンの停止など、数々のアクシデントに見舞われながら、ようやく地球にたどり着いた。
 6月13日には大気圏突入し、オーストラリアのウーメラという砂漠の地に落下、翌14日にはカプセルの回収に成功した。2003年打ち上げ、5年後の2007年帰還の予定だったが、大幅に変更され 7年間もかけた長い長い旅がついに終わった。
 この旅路をサポートしたJAXAの「はやぶさ」プロジェクトチームの人達にエールを送りたい。数々のアクシデントもその大半は想定の範囲内であり、相互バックアップや自動復旧できるよう、設計されていたというからすごい。

 6月14日 小惑星探査機「はやぶさ」50億キロの旅路 奇跡の飛行完結!
11月17日 「はやぶさ」の奇跡完結!1500個微粒子イトカワのものと判明!

 第1位 根岸氏、鈴木氏の2人がノーベル化学賞受賞
 2010年のノーベル化学賞に、日本人2人の受賞が決まった。同じ日本人として、こんなに誇らしいことはない。受賞したのは、鈴木章・北海道大名誉教授(80)、根岸英一・米パデュー大特別教授(75)、リチャード・ヘック・デラウェア大名誉教授(79)ら3人。授賞理由は有機合成の「クロスカップリング反応」であった。  

 「クロスカップリング反応」は「カップリング反応 」の一つ。つまり、2つの化学物質を選択的に結合させる反応のこと。この反応は通常は結びつかない炭素と炭素を、金属の「パラジウム」を触媒に使い、結合させる技術である。「クロスカップリング」と呼ばれるこの化学反応に関する研究は日本の「お家芸」で、実はノーベル賞級の研究者が多かった分野だ。2人だけでなく、日本人研究者の努力の結晶といえる受賞となった。鈴木氏の「日本は資源も何もない国、だけど人材と努力がある国」という言葉。根岸氏も「若者はもっと大きな視野で、世界で活躍して欲しい、外国から日本を見て欲しい」という言葉も印象に残る。

10月6日 2010年ノーベル化学賞で鈴木氏・根岸氏受賞!「クロスカップリング反応」
11月9日 「ヨウ素」でクロスカップリング反応!「ヨウ素」はすごい物質

 

科学技術は日本を救うのか (DIS+COVERサイエンス)
北澤 宏一
ディスカヴァー・トゥエンティワン
21世紀の科学技術イノベーション―日本の進むべき道
クリエーター情報なし
丸善プラネット

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