科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
ドメインって何? お名前.com レンタルサーバー 300万個の実績、ダイエットサプリ! 

 次期小型ロケット「イプシロン」
  
 宇宙航空研究開発機構は1月12日、2013年度の初号機打ち上げをめざして開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロン」の発射場を、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所に決めたことを発表した。イプシロンは、内之浦で打ち上げられてきた固体ロケットM-5(2006年9月の打ち上げを最後に廃止)の後継機。大型ロケットH2Aの半分以下の打ち上げ費用で主に小型科学衛星を打ち上げる計画で、開発費は205億円。

 H2Aロケットは、液体燃料ロッケットで、液体水素を燃料に、液体酸素を酸化剤に使用する。これに対して固体燃料ロケット「イプシロン」の推進剤は、アルミニウムとポリブタジエン、酸化剤に過塩素酸アンモニウム、が使われる予定だ。ポリブタジエンは合成ゴムで、固めるはたらきをするが、同時に燃料にもなる。液体の燃料は制御しやすいが、装置が複雑になる。固体の燃料は、一度火がつくと制御しにくいが、装置は簡単ですむ。一挙に宇宙に飛ばすのなら固体ロケットは効率がよい。

ε

 内之浦宇宙宇宙空間観測所は、2006年まで使われていた固体燃料ロケット「M5」の射場で、あの小惑星探査機「はやぶさ」なども打ち上げられた。イプシロンも固体燃料を使用することから、設備を改良するだけで有効活用できる。宇宙航空研究開発機構の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で打ち上げられる主力ロケット「H2A」は液体燃料で、射場の設備なども異なる。(2011年1月13日  読売新聞)

 固体ロケット「イプシロン」の目的は?
 惜しまれつつも引退したM-Vロケットの後継機となる、新しい固体ロケットの研究を始めている。M-Vロケットは全段固体で惑星探査にも使用できる世界最高性能の多段式固体ロケットだが、総合的に見たときに運用のコストがかさんでいたので、新しい固体ロケットではM-Vロケットの約3分の1程度を目標にコストの削減を図ろうと計画している。もちろん、コストばかりではない。新しい時代にふさわしい宇宙輸送システムへと進化・発展させること、ロケットの打ち上げをもっともっと手軽なものにして、宇宙への敷居を下げようというのが最大の目的である。なお、H-IIAロケットやH-IIBロケットを併せて運用することにより幅広い打ち上げニーズに対応することができるようにもなる。

 M-Vロケットの打ち上げ準備には手間と時間がかかる。新しい固体ロケットの研究では、単に既存技術を組み合わせるだけでは及ばない打ち上げシステムの革新、世界に冠たる運用性の向上を図ろうと計画している。例えば、地上設備や打ち上げオペレーションにかかる時間を、M-Vロケットの4分の1程度になるようにコンパクト化。このために、ロケット搭載系の点検は機上で自律的に行い、地上系の手間を省く。極端に言うと、世界中のどこにいてもネットワークを介してロケットの点検や管制ができる、それもノートパソコン1台でできる、そのような世界をめざしている。射場に依存しない究極の管制システムである。新しい固体ロケットのこうした革新コンセプトは、未来のロケットのお手本になるのだ。

 ロケットの搭載装置は、現在ではロケットごとに固有のものを作っている。ロケットをパソコンに例えるなら周辺機器に相当する搭載機器はそのパソコン(ロケット)に専用だ。中には専用のものも必要だが、新しい固体ロケットではロケットに依存しない搭載系を目指している。たとえば、搭載装置は高速のネットワークでつなげようと思っているが、インターフェースを共通化しておけば、あたかもパソコンの周辺機器のように機器を追加したり、取り替えたり、あるいは、別のロケットに乗せることも自由にできるようになる。パソコンのように取り扱いが簡単なロケット。ロケットの打ち上げはもっと手軽でもっと日常的なものになるだろう。宇宙をもっと身近に感じることができる、夢のような時代がもうすぐそこまできている。

 ロケットの燃料は何か?
 ロケットの燃料は大きく分けて、固体燃料と、液体燃料の2種類に分けることができる。それぞれ特徴があり、用途によって使い分ける。
固体燃料ロケットの推進剤は、一般的に燃料(ブタジエン系の合成ゴムなど)と酸化剤(過塩素酸アンモニウムなど)を均一に混ぜ合わせて固めたものを使用している。固体燃料ロケットは、誘導制御などが比較的難しく、制御の面では液体ロケットに劣るが、構造が簡単なので、信頼性が高く、後に述べる液体ロケットに比べて開発・製作・取り扱いが容易であると同時に同じ大きさの液体燃料ロケットと比較すると、大きな力(推力)を出すことができる。JAXAの母体の一つであるISASの場合、すべてのロケットに固体推進剤が使用されてきた。

 科学衛星打ち上げ用ロケットであるM-Vの場合、酸化剤に過塩素酸アンモニウム、燃料にアルミニウム、粘結剤にポリブタジエンが使われている。ポリブタジエンは合成ゴムで、燃料にもなる。

 一方、液体ロケットの推進剤は、一般的に燃料(液体水素など)と酸化剤(液体酸素など)が別々のタンクに入れられ、それぞれ燃焼室に送られる。燃焼室に推進剤を送り込む方法として、「ガス圧式」、「タービン式」などがある。構造が複雑なため、固体ロケットに比べ開発・製作・取り扱いなどが容易でないのだが、誘導制御が容易であるという利点がある。
 現在、H-IIAロケットのLE-5BやLE-7Aといったロケットエンジンでは、酸化剤に液体酸素(LOX)、燃料として液体水素を組み合わせた「水素推進系」を使っている。また現在、液化酸素と、安価でロケットの小型軽量化が可能な液化天然ガス(LNG)を使用する「LNG推進系」の研究も進められている。

 固体燃料と液体燃料の違いは何か?
 打ち上げに使われる固体燃料と液体燃料にはそれぞれの長所と短所がある。ここでは固体燃料について説明する。1955年に水平試射されたペンシル・ロケット以来、日本では科学観測に固体燃料のロケットを用いてきた。1970年に日本最初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げてからも、固体燃料のロケットである「Mロケット」のシリーズを改良してきました。科学衛星の打ち上げに使われてたM-Vロケットは、輸送能力・制御能力などすべての点で、固体燃料ロケットにおける世界最高の水準にあり、世界のロケット技術において高く評価されている。

 液体燃料ロケットに比較して、固体燃料ロケットは、極端に精確な制御能力は持っていないが、科学観測のための衛星においては、実用衛星に比べると、軌道に投入されてから精確に軌道決定されれば観測に支障のないものが多く、今日まで固体燃料ロケットが使われている。この固体燃料ロケットの強力なバックアップを得て、日本の宇宙科学は1970年代から1990年代にかけて、世界に例を見ない飛躍的な発展を遂げ、X線天文学、宇宙プラズマ物理学、太陽物理学などにおいて、世界のリーダーとなる顕著な成果を挙げてきた。

 一方1960年代において、宇宙開発の実利用が進むにつれて、日本もこの分野に乗り出すべく準備が進められ、1969年にNASDAが設立された。NASDAが担当する実用衛星は静止軌道に投入されるものが多く、制御能力にすぐれた液体燃料ロケットを開発すべく、アメリカからの技術導入に頼って技術の開発に努め、H-IIロケットに至って、ついに国産化に成功した。しかし第1段の推力を補強する補助ブースターにおいては、アメリカのスペースシャトルと同様に固体燃料には捨てがたい魅力があり、H-IIAロケットにおいても、ISASが開発し世界の最高水準にある日本の固体燃料ロケット技術が活用されている。

 固体燃料と液体燃料という2つの方式は、決して一方だけで宇宙輸送をなしうるものではなく、補い合いながら効率的なシステムを構築している。液体燃料ロケットが主流となるかに見えた昨今、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアにおいて期せずして固体燃料ロケットへの見直しが始まっているのは、こうした背景があるからだ。

 参考HP JAXA「イプシロンロケット」「M-5(ミュー・ファイブ)」 

ロケットと宇宙開発 決定版 (Gakken Mook 大人の科学マガジン別冊)
クリエーター情報なし
学習研究社
トコトンやさしい宇宙ロケットの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
的川 泰宣
日刊工業新聞社

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please