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 HTV、打ち上げ成功     
 国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人補給船「こうのとり」(HTV)2号機を載せた大型国産ロケットH2Bの2号機が22日午後2時37分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。H2BとHTVの打ち上げは2009年9月に続き2回目。

 HTVは、国際約束で分担しているISSへの補給義務を果たすために新たに開発された。打ち上げの約15分後にH2Bから分離され、地球を回りながら5日ほどかけて少しずつ高度を上げてISSに接近し、ドッキングする計画だ。直径約4.4メートル、長さ約10メートルの円筒形で、荷物を含めた総重量は約16トン。宇宙飛行士の食料や飲料水、衣類やシャンプーなどの日用品、ISSの日本の実験棟「きぼう」の実験機器などを積み込んでいる。

LNG

 HTVは高度350キロ・メートルのISSに接近し、1月28日未明にドッキングする。3月28日に廃棄物を積んで離脱し、翌29日に大気圏に突入して燃え尽きる。今年6月に予定されるスペースシャトルの退役後は、HTVがISSに大型装置を輸送する唯一の手段となる。(asahi.com 2011年1月22日)

 H2Bは、H2Aのメーンエンジンを二つ並べるなどして打ち上げ能力を高めた増強型ロケット。JAXAでは、この他にH3ロケットや固体燃料ロケットイプシロン、LNG推進系ロケットなども開発中。日本の科学技術がますます楽しみだ。今回は、LNG推進系ロケットについて調べる。 

 新技術「LNG推進系」とは?
 液体ロケットエンジンは酸化剤と液体燃料を混合し、燃焼させて、推進力を得る。この酸化剤と液体燃料の組み合わせにより、液体ロケットエンジンの性能、特色が変わってくる。代表的な組み合わせは、液体酸素/液体水素、液体酸素/ケロシン、四酸化二窒素/ヒドラジンなどがある。

 現在のH-IIAロケットで使用している第2段エンジンLE-5B-2,第1段エンジンLE-7Aでは、酸化剤に液体酸素を、燃料に液体水素を組み合わせている(「水素推進系」)。この組み合わせは燃焼ガスがクリーンで、性能がもっとも高いという長所がある。一方で、水素は密度が小さいため、体積がかさばり水素タンクが大きくなる。

 一方、液体酸素と液化天然ガスを組み合わせた「LNG推進系」は、水素推進系と比べて性能面では劣るものの、以下のようなメリットがある。

•宇宙空間で蒸発しにくく、長期間宇宙で運用する軌道間輸送機や惑星探査機に適する。
•推進薬が安価であることから、打ち上げ経費等の低減が可能。
•爆発などの危険性が低く、安全性が高い。
•高密度のため推進薬タンクがより小型となり、再使用型輸送機などの大型ロケットの1段に適している。

 このような特徴を活かし、LNG推進系技術は、再使用型輸送システム等の1段推進系や、月・惑星探査計画における比較的低推力の軌道間輸送機や惑星探査機に応用することができる可能性を持っており、将来の実用に向けての研究開発を進めている。

 LNGとは何か?
 天然ガスはメタン(CH4)を主成分とする天然の可燃性ガス。天然ガスは、石油に比べ世界各地に広く、豊富に埋蔵されているため供給安定性が高く、日本では有力な石油代替エネルギーとして導入が進められてきた。また石油、石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素等の排出量や窒素酸化物が少なく、硫黄酸化物を発生しないなど、環境にやさしいエネルギーとして評価されている。

 天然ガスは-162℃まで冷却すると液体になる。それを液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)といい、略してLNGと呼ばれている。液化することで体積は600分の1となり、輸送が楽にできるようになる。この性質を利用して、LNGタンカーで輸送することができるようになるのである。

 天然ガスは産出されてからの処理で塵の除去、脱硫、脱水、脱湿が行われるため、不純物をほとんど含まない。そのため燃焼させてもクリーンで、酸性雨の原因となる硫黄酸化物が発生しない。また、光化学スモッグなど大気汚染の原因とされる窒素酸化物(NOx)や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2)の排出量は石油や石炭と比較すると最も少なくなっている。

 世界のフロントランナー
 私たちが開発中のLNG推進系というのは、LNG(液化天然ガス、主成分は液化メタン)と液化酸素をロケットエンジンで燃焼させて推力を得る新しい推進系のことです。

 これまでJAXAは、H-IIAロケット第1段、第2段に使用されている液化水素と液化酸素の推進系や、M-Vロケットの各段などに使用されている固体ロケットを開発してきました。性能を求めるならば、液化水素推進系が適切なのです。なぜ今、LNG推進系なのでしょうか?

 LNGは密度が高いので推進系全体を小さくできるため、液化水素に比べて第1段ロケットに適しています。また、宇宙空間での長期間の貯蔵に適しているため、宇宙空間を移動する軌道上輸送機の推進系としても期待されます。この様にLNG推進系は他の推進系と組み合わせることにより、将来の多様な宇宙活動のための自在な宇宙輸送システムの構築を可能にします。私たちのプロジェクトは、LNG推進系開発の第一歩として小型のLNGエンジンを開発し、飛行実証してみようというものです。

 欧・米・露・韓でも同種エンジンの基礎的な研究は行われていますが、飛行実証したものはなく、私たちはLNG推進系の飛行実証で世界のフロントランナーを目指そうとしています。新しいエンジンと推進系の開発では、多くの困難に遭遇していますが、それを克服して世界に誇れるものにしようと努力しているところです。

 私たちの開発するLNG推進系は単に飛行実証するだけではなく、その後、民間が開発しているGXロケットの第2段として利用されることが計画されています。 (JAXA プロジェクトマネージャー 今野 彰氏)
 

参考HP JAXA「LNG推進プロジェクト」・財団法人天然ガス導入促進センター 

自作ロケットで学ぶロケット工学の基礎知識―基礎から最先端のロケット工学技術までをやさしく解説 (@サイエンスシリーズ)
久下 洋一,渡井 一生,山田 誠
技術評論社
トコトンやさしい宇宙ロケットの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
的川 泰宣
日刊工業新聞社

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