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 口蹄疫で牛や豚約29万頭が犠牲となり、やっと復興に歩み始めた宮崎県を、今度は鳥インフルエンザが襲った。相次ぐ家畜伝染病禍に、全国有数の畜産地が震撼(しんかん)した。宮崎市佐土原町の発生養鶏場では1月22日、飼育する鶏約1万羽が殺処分された。

 今年はこれで終わりそうもない。愛知県豊橋市では1月27日、卵養鶏農場(約15万羽飼育)で高病原性鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかった。遺伝子検査で高病原性の「H5型」ウイルスが検出されたと発表した。家畜伝染病予防法に基づき県は同日早朝から、発生養鶏場の約15万羽すべての鶏の殺処分を開始。半径10キロ圏内の鶏や卵などを移動禁止にした。

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 さらに長野県小諸市で、死んだ野生のコガモの簡易検査を行ったところ、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が確認された。養鶏場だけでなく、野鳥でも相次いでいる鳥インフルエンザ。なぜ、ここまで急激に拡大しているのだろう?

 「これまでとは違うルートで鳥インフルエンザウイルスが広がっている」(北海道大学・喜田宏教授)

 専門家の間で急浮上しているのが、これまで確認されていなかった北からウイルスが運ばれるルートの可能性。これまでは、インドネシアなど東南アジアで感染した野鳥が日本にウイルスを運んでくると考えられてきた。しかし、去年10月に北海道のカモからモンゴルで見つかった鳥インフルエンザウイルスに似たものが初めて検出されました。これで、シベリアなど北からの渡り鳥が運んで来た可能性が高まっている。

 北海道・苫小牧市のウトナイ湖。南へ向かう渡り鳥が多く立ち寄ることで有名な観光地だが、1月27日に湖岸への人の立ち入りを禁止した。人間がウイルスの「運び屋」となることを防ぐ目的だ。

 「実際、事故が起きた場合、どのくらいまで規制するのか、我々も少し心配」(道の駅ウトナイ湖・上田良治支配人) 「野鳥が原因の可能性が高いとすれば感染しない防護態勢を徹底する」(菅直人総理大臣)

 去年の秋以降、島根や鹿児島に続いて宮崎、愛知と鳥インフルエンザ感染の拡大が続く。野鳥が原因とすれば根絶は難しく、日本全国、いつ、どこで発生してもおかしくない状況と言えそうだ。(TBS news 1月27日) ウイルスにくわしい、北海道大学の喜田宏氏は次のように述べている。

 カモがウイルス遺伝子の供給源
 「新型インフルエンザウイルスはどうやって出てくるのか、という研究を三十数年前に始めました。インフルエンザウイルスは人を含むいろいろな哺(ほ)乳類と鳥類に感染します。その中で、秋にシベリアから北海道に飛んでくるカモのふん便から大量にいろいろなインフルエンザウイルスが分離されるということが分かりました。」

 「インフルエンザウイルスは、表面にヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)というタンパクがあり、HAは1-16、NAは1-9の亜型に分けられます。カモはすべての亜型のインフルエンザAウイルスを持っているのです。ウイルスはカモの腸で増えて、ふん便と一緒に排せつされます。水鳥ですから水系ふん口感染で、感染したカモは症状は出さず大量にウイルスをふん便と一緒に排せつします。渡りによってウイルスを運ぶので、カモはインフルエンザウイルス遺伝子の供給源でもあるわけです。」

 「1968年に出現した新型香港AインフルエンザウイルスA/Hong kong/68というのがあります。20世紀以降、ヒトの新型インフルエンザウイルスは3回出現しました。1918年のスペイン風邪ウイルス、1957年のアジア風邪ウイルスと、この新型香港Aインフルエンザ(香港風邪)ウイルスA/Hong kong/68ですから、A/Hong kong/68が最も新しい新型ウイルス(H3N2)です。」

 ブタの呼吸器が製造工場
 「中国や台湾での疫学調査の途中で得られたブタ由来のH3N2ウイルスを調べると、A/Hong kong/68と区別がつかないウイルスがたくさんあります。しかもレセプター(受容体)の特異性を決定するアミノ酸配列にヒトのウイルスと、鳥のウイルスと同じものがあることが分かりました。」

 「その後、河岡義裕・東京大学医科学研究所教授らとの共同研究で、ブタの呼吸器上皮細胞にはヒトと鳥両方のウイルスに対するレセプターがあることを証明しました。すなわち、ヒトのウイルスと鳥のウイルスがブタに同時に感染して、遺伝子を交換した遺伝子再集合ウイルスができる。つまり、新型インフルエンザウイルスの製造工場にブタの呼吸器上皮細胞がなっているということです。」

 「ちょっと待てよ。カモからブタ経由でヒトに移ったというが、カモはどうやってブタにウイルスを移すのか。そんな疑問が生じるでしょう。自由に空を飛んでいる渡り鳥がふん便とともにウイルスを排出したとしても、ブタがそれを食べるわけではありませんから。そこで、中国の農家で飼われているアヒルやガチョウから分離されたウイルスを調べました。その結果、A/Hong kong/68と同じウイルスが得られ、分離されました。そういうことで、水生家禽であるアヒルやガチョウが、水鳥であるカモとブタの仲立ちをする役割を演じていたことが分かりました。」

 「結局、1968年に香港風邪を引き起こしたA/Hong kong/68は、カモのウイルスがアヒルやガチョウを介してブタに感染し、一方、当時ヒトの間で流行していたアジア風邪のウイルスが中国南部でブタの呼吸器に同時感染し遺伝子再集合によってできたウイルスだ、ということを証明したわけです。」

 「こうした証明は、ほかの新型ウイルスについてはありませんが、アジア風邪のウイルスも同じだろうと考えられています。また、スペイン風邪のウイルスも鳥から直接ヒトに感染したという意見もありますが、私は1918年1月に米イリノイ州から広がったブタインフルエンザウイルスにその起源があると考えています。いずれにしても、過去の新型ウイルスの出現にはブタがかかわっていたということと、鳥のウイルス由来の遺伝子分節が、それまでヒトで流行していたウイルスに入り込んで新型ウイルスができたと考えております。」

 「では、どんなウイルスがブタに感染して、どんなウイルスがブタに感染しないのか。それを調べることが重要です。ブタに感染しないウイルスなら新型ウイルスになる資格がないと考えられるからです。ブタの鳥インフルエンザウイルスに対する感受性を3年ほどにわたって調べました。結局分かったことは、どの型のHAを持ったウイルスも、ブタの呼吸器で増えることができる、ということです。どのウイルスも新型ウイルスとして現れる資格はある、ということになります。」

 「ブタはどのHA亜型の鳥インフルエンザウイルスにも呼吸器感染し、そしてブタの呼吸器上皮細胞に鳥のウイルスと哺乳動物のウイルスが同時感染すると、遺伝子分節が再集合して、新たな遺伝子の組み合わせを持ったウイルス、すなわち遺伝子再集合ウイルスができ、これらが新型インフルエンザウイルスの候補になるということです。」

 ウイルスの故郷はアラスカ、シベリアの湖沼
 「では、カモはウイルスをどこから持って来るかを明らかにするために、生態学的な研究を随分長いことしました。結局分かったのは、アラスカです。カモはそこで夏の間、卵を産んで、ひなを育てて、秋になると南方に飛んで来るわけですが、北極圏にほとんど近い湖や沼、アラスカの営巣湖沼の水の中に冬の間、ウイルスが凍結保存されているという証拠をつかみました。」

「シベリアでも同じことが起きていて、北極圏に近いカモの営巣湖沼の水の中からいろいろなインフルエンザウイルスが出てくるということも分かりました。自然界における存続のメカニズムとして、純粋に物理学的な凍結保存というメカニズムが働いていたのです。だから、人類が地球上に現れる前から今に至るまで、インフルエンザウイルスは存続して来た、ということが言えると思います。」

 「カモのウイルスはシベリアで分離したウイルスと、アラスカで分離したものは、それぞれノースアメリカンタイプ、ユーラシアンタイプと遺伝子の系統図できれいに区分けできます。」(喜田宏・北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター長)

 

参考HP サイエンスポータルインタビュー「インフルエンザ・主役はカモとブタ」 

鳥インフルエンザ完全防御マニュアル
ジョー レビル
イーストプレス
動物ウイルスが人間を襲う!―エイズ、鳥インフルエンザ、サーズ…
中島 捷久,澤井 仁
PHP研究所

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