新燃岳は300年ぶりの本格マグマ噴火

 鹿児島、宮崎県境の霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)の噴火が続いている。気象庁長官の私的諮問機関「火山噴火予知連絡会」が2月3日、拡大幹事会を開き、「1、2週間は現在と同程度の爆発的噴火が続く」との見解を発表した。

 「約300年ぶりの本格的なマグマ噴火」と明言する一方、大規模な火砕流を伴う大噴火への移行は「兆候が確認されていない」と判断。同庁の噴火警戒レベルを現在の「3」(入山規制)から、住民の避難につながる「4」へ引き上げることは求めなかった。


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 見解によると、噴出した火山灰などの量は、推定4000万~8000万トン。火山ガスの二酸化硫黄を1日あたり1万トン以上放出し、活発な噴火が続いている。記者会見した会長の藤井敏嗣・東京大名誉教授は、「江戸時代の噴火は、静まっては活発になるというサイクルを繰り返した。同じ経過をたどる可能性は十分ある」と指摘した。(2011年2月3日21時26分  読売新聞)


 気象庁「溶岩ドーム」改め「溶岩」に

 気象庁は3日、新燃岳の火口に見える溶岩を「溶岩ドーム」と呼ぶのをやめ、単に「溶岩」とすることを決めた。軟らかくて平らな形をしており、崩壊による火砕流は発生しにくく、雲仙・普賢岳などの「溶岩ドーム」と異なるためだ。(2011年2月3日21時45分  読売新聞)


 空振、関東でも観測

 東京大地震研究所は4日までに、霧島連山・新燃岳の噴火に伴う空振が関東地方にまで伝わり、約900キロ離れた千葉県内で圧力の変化が観測されたことを明らかにした。

 同研究所の西田究(きわむ)・助教(地震学)は「冬に特有の強い西風の影響を受け、東側で強く伝わった。夏だったら観測されなかっただろう。冬には鹿児島県の桜島の空振を関東で観測することもある」と話している。

 今回観測された圧力の変化は千葉で7パスカルで人には感じられず、建物被害も心配しなくていいという。

 西田助教によると、空振が伝わったのは1日午後11時19分の爆発的噴火の後。ほぼ音速で伝わり、約45分後の翌2日午前0時6分、千葉県鴨川市の東大の演習林に設けた空振計で7パスカル、茨城県つくば市でも1パスカル未満の圧力を観測した。この噴火では、火口から3キロで185パスカルが記録されている。

 一方、458パスカルを記録した1日朝の爆発的噴火に伴う空振も鴨川市で観測されたが、1パスカル未満だった。空振は、上空で強い風が安定して吹いていると遠くまで強く伝わるが、風に強弱があったり風向きが蛇行したりすると弱まるという。(毎日新聞 2011年2月4日)


 新燃岳1・2回目の爆発的噴火

 鹿児島、宮崎県境の霧島山・新燃岳(1421メートル)の噴火活動が始まったのは、1月26日。このときは、小規模な噴火があった。1月27日、28日に約50年ぶりとなる中規模の爆発的な噴火が起き、噴煙の高さは火口から2500メートル以上に達した。 その後の噴火記録を追ってみた。

 新燃岳噴火3回目の爆発的噴火…2日ぶり

 宮崎、鹿児島県境にある霧島山系の新燃岳(1421メートル)で30日午後2時前、2日ぶりに爆発的噴火が起きた。新燃岳は26日から噴火活動を活発化させており、爆発的噴火は27、28日に続き3回目。

 鹿児島地方気象台などによると、爆発的噴火に伴う噴煙の高さは火口付近が雲に覆われていたため不明。噴煙は北西の風を受け宮崎県都城市、日南市、串間市、高原町などで降灰が続き、市民生活に深刻な影響が広がっている。噴火に伴い空気が振動する空振も観測。噴石を飛ばす小規模な噴火が続いた。気象台は引き続き、火口周辺2キロ内へ立ち入らないよう注意を呼び掛けた。(毎日新聞 2011年1月30日)


 新燃岳4回目噴火、最大規模に…初の負傷者

 2月1日午前7時54分、爆発的噴火を観測した。大きな空気振動が起き、麓にある鹿児島県霧島市では窓ガラスが割れ、女性1人が軽いけがをした。

 霧島市によると、火口から南西約4キロの県道脇で直径50センチの噴石を確認した。1月26日の噴火以降、爆発的噴火は4回目で最大規模。噴煙は約2000メートル上空に達した。鹿児島地方気象台は、溶岩ドームの上部の一部が吹き飛ばされたことを確認。噴石などが飛散する範囲が広がる恐れがあるとして、火口から3キロ圏内だった入山規制を4キロ圏内に拡大した。同市も4キロ圏内を立ち入り禁止にした。

 福岡管区気象台によると、爆発的噴火で火口から南西3キロ地点の空振計で458パスカルを観測。過去3回で最も大きかった2回目(1月28日の81.8パスカル)の5倍以上の強さだった。火砕流の発生は確認されていない。(2011年2月1日13時12分  読売新聞)


 新燃岳5回目の爆発的噴火、噴煙2千メートル

 1日午後11時19分、この日2回目となる爆発的噴火が起きた。噴煙は2000メートル以上の高さに達した。大きな空気振動(空振)も発生したが、被害は不明。爆発的噴火は1月26日の噴火以降5回目。空振は1日朝の爆発的噴火より小さく、185.5パスカルだった。

 1日朝の爆発的噴火について、鹿児島地方気象台などは同日、溶岩ドーム頂上の北西側の一部が吹き飛ばされてくぼみ、数十メートル低くなっていることを確認した。ここで噴火が発生したとみられる。また、溶岩ドームは直径600メートルに達していることが、国土地理院の同日午後の航空機観測でわかった。

 溶岩ドームは1月28日に直径約50メートルだったが、30日には直径約500メートルになっていた。1日は直径約700メートルの火口いっぱいにさらに近づいた。ドームの高さは、火口のへりまで約50~60メートルとみられる。内部は高温を保っている。(2011年2月2日00時50分  読売新聞)


 新燃岳、6・7回目爆発的噴火相次ぐ…噴煙2000メートル

 2日も活発な活動を続け、同日午前、大きな空気振動(空振)を伴う爆発的噴火が2回発生した。爆発的噴火は7回となった。被害報告は入っていないが、発生の頻度が高まっており、福岡管区気象台は警戒を呼びかけている。

 同気象台によると、発生時刻は、午前5時25分と同10時47分。6回目の噴火では、噴煙の高さは2000メートル以上に達した。

 火口から南西3キロの鹿児島県霧島市側に設置した空振計では、それぞれ299.6パスカル、86.5パスカルを観測した。一連の噴火では最大規模で、同市内のホテルなどで窓ガラスが割れる被害が出た4回目(1日午前7時54分)は458.4パスカルだった。

 同気象台は「大きくなった溶岩ドームが火口にふたをし、内部の圧力が高まりやすくなっている。このため、比較的大きな空振を伴う爆発的噴火が起きやすい状態。今後も注意が必要」と説明している。(2011年2月2日12時54分  読売新聞)


 新燃岳 8回目の爆発的噴火

 2日午後3時53分に火山性の地震を伴った爆発的な噴火が起きた。噴煙の高さは3000メートルまで上がり、気象台は噴石や火山灰に注意するよう呼びかけている。爆発的噴火は、火山活動が活発化した先月26日以降で8回目で、これまでのところ火砕流は確認されていない。

 気象庁の観測によると、新燃岳は、午後3時53分に火山性の地震を伴った爆発的な噴火があり、噴煙の高さは3000メートルまで上がった。気象庁が設置している監視カメラでは、大きな噴石が火口からおよそ1キロ先まで飛んだことが確認されたという。噴煙や火山灰は山の東側に流れている。気象台は引き続き、大きな噴石が飛ぶ危険がある火口からおよそ4キロの範囲に立ち入らないよう呼びかけるとともに、4キロ以上離れたところでも、小さな噴石や噴火に伴う大きな空気の振動、それに火山灰に注意するよう呼びかけている。(NHK 2月2日 16時58分)


 新燃岳、9回目の爆発的噴火…空振は小さく

 2月3日午前8時9分、爆発的噴火が起きた。活動が活発化した1月26日以降、9回目。午後0時17分には上空2500メートルまで噴煙が上がった。

 福岡管区気象台によると、爆発的噴火による噴煙の高さは1500メートル。火砕流の発生は確認されていない。火口の南西3キロで観測された空気振動(空振)は26.0パスカルと小さく、被害報告は入っていない。

 1日夜以降、爆発的噴火の間隔は5~6時間に狭まっていたが、今回の発生は8目の約16時間後だった。(2011年2月3日  読売新聞)


参考HP 東京大学地震研究所「新燃岳の噴火」 

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