人間らしさを追求したアンドロイド

 またロボットが、一段と本物の人間に近づいてきた。 2011年 1月12日NHK放送のクローズアップ現代「アンドロイド“人間らしさ”の追求」で紹介された、女性の姿をしたアンドロイドは、筋肉の細かな動きや視線まで、人間そっくりだ。

 今、人間そっくりのロボット、アンドロイドの研究が日本で急速に進んでいる。自然な動き、喜怒哀楽などの感情表現。まるで“心”を持ったかのような存在感を持つロボットの開発をリードしてきたのは大阪大学の石黒浩教授、世界の「生きている天才100人」にも選ばれた研究者だ。石黒教授は去年、アンドロイドの実用化に向けて大きな一歩を踏み出した。アンドロイドの市販に踏み切ったのだ。


Android

 

医療の現場で患者の心を癒したり、遠く離れたところに住む独居老人のカウンセリングに使われたり、アンドロイドは今、私たちの身近な存在になりつつある。空想の世界と思われてきた人とアンドロイドが共存する世界に現実がどこまで迫っているのかを伝える。(NHK)


 「HRP-4C」の登場

 2009年3月16日、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発した、若い女性の顔にスリムな体形を持った二足歩行ロボットも、人間そっくりでおどろいた。 音声認識にもとづく応答動作など、人間とのインタラクションを実現していた。

 人間型ロボットの最先端を目指し、2億円かけて開発した「HRP-4C」は、身長158センチ、体重43キロ。体形は、20代の平均的な日本人女性に基づいた。42個の高性能モーターやニッケル水素吸蔵合金のバッテリーなどを内蔵しながらも、生身の人間より軽くすることに成功した。(2009年3月16日 読売新聞)

 この「HRP-4C」、外見は人工皮膚を備え、20代の女性そっくりに、似せたものの、動きはやはりロボット、歩くと違和感があった。しかし、今回登場したアンドロイドは違った。外見だけでなく、目の動き、口の動き、頬の動き、皮膚の下の筋肉の動きまでも、徹底的に人間らしさを追求していた。まるで、人間とは何かをロボットを通して問いかけているかのような、哲学的な開発者が、大阪大学の石黒浩教授である。石黒教授はアンドロイドで何を表現しようとしたのだろう?


 人間らしさ追求の難しさ

 「動かないとですね、死んだ人のようになっちゃうんですよね。まず生き物っていうか、生物として自然な存在であるというのを表現する必要があると思います。」

 「まるでこの体に乗り移ってるような、そんな感じなんですね。実際にこうやって歩いてるときはですね、僕ら足の筋肉はどうやって動いてるかとか、足からどんな感覚が戻ってきてるかということを意識しないわけですね。ほとんど意識しないんですけれども、体がちゃんと動いてると、それを自分の体だというふうに受け止めらています。」

 「同じことがこのアンドロイドにも起こってると思うんです。僕は遠隔操作でしゃべって、唇が僕の思いをしゃべるとおりに動いてるし、頭も同じように動いてると。そうするとこの体をですね私自身が、私自身のたぶん、脳がですね自分の体のように思う。それで乗り移ったような感覚が出てくるのだと思います。」

 石黒教授が開発したアンドロイドは、50ヶ所駆動するが、そのうち13ヶ所は顔の表情の部分を動かす。映像認識装置で教授の動きをモニターし、アンドロイドは同じ動きをする。


 アンドロイド研究のきっかけ

 「ロボットの研究を始めてしばらくして、人と関わる日常生活の中で人にいろんなサービスをするそういうロボットを作ろうと考えました。工場の中で働くロボットじゃなくてですね。そうやって作ってきたんですけど、ふと気がついたときにですね、なんか動かすことばっかり頑張っていて、ロボットの見かけとかそういったものをあんまりちゃんと考えてなかったっていうことに気がついたわけです。」

 「人と関わるロボットは、動きも大事なんですけど見かけも同じように大事だと考えました。どうして僕は見かけの研究をちゃんとやらずに、人と関わる物を作ろうなんて思ったんだろう…っていうふうに、思ったときに、ちょっと研究のやり方に偏りがあるんじゃないかと思いました。」

 「もう一度、人と関わる物の大事な要素っていうのを、考え直してみて、やっぱり見かけは非常に大事だということになりました。じゃあ、見かけはどれぐらい人間に近いほうがいいのか、近くなくても構わないのかということ、そういうことを調べようってことになり、こういうアンドロイドの研究始めたんですね。」


 アンドロイドは情報端末のひとつ

 「今言いましたように少なくとも人間ってやっぱり、その姿かたちには非常に敏感で、例えばこういうアンドロイドを作ってみると、その姿かたちを見てるだけなんですけれども、そこに“人”がいるような感覚を持つ。もちろん姿かたちだけで動かなければだめなんですけれども、その姿かたちに人間らしい微小な動きとか、それから対話が加わると、いわばその人の存在そのものを再現するようなことが、できることがわかってきました。もし、すべてを人間らしく作ったら、人そのものが再現できると思います。」

 「こういうロボットの技術って今の情報化社会のわりと素直な、延長線上にあるんじゃないかなというふうに思ってます。例えば、今僕らは携帯電話とかパソコンとか、そういう情報メディアと呼ばれる物を肌身離さずほとんど持ってるわけです。それでいろんな人と通信してるわけです。テレビ会議もそうですしメールもそうですよね。」

 「でもそれがさらに発展してですね、こういう人らしい姿かたちになって、自分の存在を遠隔地に送るようになる。そういうのがたぶん、未来で起こることだと思うんですね。そう考えるとこのロボットの技術って、人間とロボットが別々にいるんじゃなくて、もうすでに人間とある意味一体化している情報メディアが、だんだん発展していってより高機能になり、こういう人の存在を遠隔地に送り込むことができる、ロボットになるというか、もうすでに共存は始まっていて、その延長線上にこういうロボット技術が入ってくると思います。」

 「それが自然な未来っていうか、今後起こりえることだというふうに想像しているんです。常にわれわれ人間というのは新しい技術が開発される。技術を見ながら、人間の能力はその技術によって、ある意味、置き換えられるわけですね。じゃあ、残った部分にもっと人間らしい部分があるんだろうと思うわけで、そうやって技術に照らし合わせられながら、人間とは何かを探求してるそういう気がします。」


参考HP NHKクローズアップ現代「アンドロイド“人間らしさ”の追求」 

ヒューマノイドロボット
梶田 秀司
オーム社
ヒューマノイド工学―生物進化から学ぶ2関節筋ロボット機構
熊本 水頼,精密工学会生体機構制御応用技術専門委員会
東京電機大学出版局

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