確認されたアマゾンの孤立部族

 ブラジル北西部アクレ州に住む“外部との接触を持たない”部族の新たな空撮写真が公開された。2008年に撮影チームの飛行機へ矢を放つ姿が公開され一躍有名になったが、今回も元気に暮らす姿が確認された。

 ヤシの葉の小屋のそばに立つ先住民は「外部との接触を持たない部族」と呼ばれているが、以前はそうでもなかったらしい。「だが、彼らは孤立を選んだ」と先住民問題の専門家ホセ・カルロス・メイレレス氏は言う。


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 「この部族は現在のところ危機的な状況にはない。しかし、違法伐採が進むペルーから、先住民保護が手厚いブラジルへとほかの部族が逃げ込んでくる可能性がある」

 「この地域で長年対立してきた部族もいる。流入でどんな事態になるか想像もつかない。土地や食料の奪い合いに発展しなければいいが」。メイレレス氏によると、同地域ではほかに3部族が生活している。ブラジル全土の孤立部族数は約70と推定されているが、確認できたのは29にすぎないという。

「外部と接触した経験を一切持たない部族は世界のどこにもいない。彼らはわれわれの存在も認識している。接触を続けないことが最善だと考え、自ら孤立を選択したのだ」。

 森林伐採で民族の危機
 アクレ州に住むこの部族に初めて出会った白人は、1895年にアマゾン熱帯雨林の奥地へ分け入った労働者だった。「ゴムの樹液採取が目当てだったのだが、先住民が白人のマチェーテ(山刀)を使う姿も1905年から報告され始めた」。2010年4月に撮影された写真でも、マチェーテや金属製の鍋を使う様子が確認されている。

 視察チームは政府の方針を守り、部族との直接の接触は行わなかった。病気の蔓延や部族の環境・文化への悪影響を避けるためである。

 「先住民は空の飛行機におびえるのが普通だが、この部族は地域上空を飛行する各種の旅客機を見慣れているようだ」とメイレレス氏は話した。同氏はブラジル国立インディアン・ファンデーション(FUNAI)の職員として40年の実績を持つ。

 「観察の必要はないと言われるかもしれない。しかし、彼らが健康な生活を送り人数が減ることもなく、伐採業者や採掘業者に痛めつけられていないか確認したい。1年に1度は上空から調査を行っている」。

 ペルー領内にも部族の土地は伸びているが、資源が豊富で、林業や農耕、原油、鉱物、天然ガス、水力発電などの開発が具体化しそうだ。

 「現実に違法伐採は増え続けている。しかし、ブラジル、ペルー両国の議会は彼らの存在を議論している段階だ。このような写真でアピールすることは、先住民の土地の権利を守るうえで非常に重要だ」とメイレレス氏は話している。(National Geographic News February 4, 2011)

 すでに消えた100の民族
 1500年にポルトガル人にブラジルが「発見」された当時、トゥピやグアラニといった先住民族の人口は100万から300万人程度と推定されている。しかし、その後の白人による虐殺や奴隷狩り、重労働、さらに疫病などにより少なくとも100近い民族が消滅し、現在の人口は20万人程とみられている。

 1960年代に入り、当時の軍事政権が開始したアマゾン開発は先住民族に大打撃を与えた。日本の支援によるカラジャス鉄鉱山の開発(大カラジャス計画)をはじめとして、森林の商業伐採、牧草地の開発、ダムや鉄道・道路建設などが進み、先住民族は土地を追われ、居住地域を分断され、伝統的生活が維持できない状況に追い込まれた。

 さらに、1970年代終わり頃からアマゾン川流域で砂金採掘が活発化し、採掘中に使用される金属水銀による環境汚染が起こった。約3000トンのもの水銀が放出されたとみられ、先住民族をはじめアマゾン川流域に暮らす人びとへの健康被害が確認されている。

 またアマゾンには、ここ数十年の間に外部社会と接触した先住民族や、いまも外部との接触を持たない未接触民族の人びとが存在する。現在も彼らは、入植者が持ち込んだ結核やマラリアなどの疫病、開発業者による虐殺にさらされている。

 虐殺された先住民族
 現在、政府機関として国立インディオ基金(FUNAI)が、先住民族保護区の画定を行い、教育や医療などの分野で先住民族への支援を行っている。しかし、同機関は国家の開発計画のために先住民族を居住地から移動させる任務も負っており、その活動には限界もある。

  近年では、開発業者から自らの土地を守ろうとする先住民族が殺害される事件が続発しており、2007年には76人が殺害された。その多くが農園主や森林業者に雇われた警備員の犯行とみられている。ブラジル南西部のマトグロッソドスル州だけで40人以上が殺されている。

 2009年2月、同州にあるグアラニ・カイオワ族の村を警察隊が早朝に襲撃し、家々や村の学校を破壊し、金銭や家財道具を奪った。彼らは同村のリーダーであるカリト・デ・オリヴェイラら4人を、武器の不法所持、犯罪集団の組織化などの容疑で逮捕した。

 その際、警官たちは、「この豚どもを殺そう、そうすれば悪を根こそぎにできる」と大声で叫んだという。同州の先住民族は、大豆農地や牧草地の開発により土地を奪われ、地主や州当局による暴力的な立ち退きにさらされている。(ブラジルの少数民族)

 日本民族の行方
 2011年2月4日、TV朝日放送の「朝まで生テレビ」では、ホリエモンが「尖閣諸島問題」で、コスト的に割が合うのかどうか?国際世論が黙っていないのではないか?現実に技術的に採算が合わないのではないか?というのを問題にして、「尖閣諸島問題」を国防問題にしようとしていないのが印象的であった。

 だが、中国は世界第2位の軍事大国だ。採算を度外視して軍事予算につぎ込んでいる。採算を度外視して国土拡張をしないという仮説はなりたたない。あらゆる可能性を排除しないのが国防というものだろう。やはりホリエモンは経営者だけあって、コストで物事を判断している。残念ながら危機管理能力は低い。

 一方、夜の議論はやはり疲れるのか、田原総一朗さん達お年寄りは、国は守るべきだ!一辺倒の感情論・精神論に陥ってしまったのは残念だった。もっとコスト的にも、納得がいく方法で国防を考えることや、景気を回復し、国民を幸福にすることに話を持っていって欲しかった。

 日本国民は経済的な豊かさに幸福感を感じる国民性があるのは確かで、景気回復も急務だ。その点は、日本も中国も共通している点である。その辺をホリエモンは冷静に見抜いているのだろう。

 しかし、朝まで生テレビ、久しぶりにいろいろな人が一生懸命議論している姿を見て、東浩紀さん津田大介さんなどの若手にも、なるほどと思うことがあり、自由に議論するのも悪くはないかなと思った。

 ブラジルのアマゾンの先住少数民族は、文明と接触を続けないことが最善だと考え、自ら孤立を選択した。そして歴史の中で消えていく存在である。こういう、いろいろな人が接触し、激しく議論ができる日本民族は、まだまだ大丈夫…という気がして、元気が湧いてきた。


参考HP 世界の先住民族・少数民族 「ブラジルの少数民族」・TV朝日「朝まで生テレビ 

アマゾン―民族・征服・環境の歴史
ジョン ヘミング
東洋書林
ニッポンの少数民族 (宝島SUGOI文庫)
鮫肌 文殊,山名 宏和
宝島社

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