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 天気予報では大雪
 2月11日~13日にかけて、東京や湘南にも積雪を予想して、拍子抜けした人も多かっただろう。しかし、13日朝は一面雪景色…とはならず、スッキリと晴れた、さわやかな1日になった。さすが湘南は暖かいから、めったに雪は積もらないのか。東京都心でも、雪は積もらなかったようだ。ところが、関東北部ではしっかり積雪していたとのこと。この違いはどうしておきるのだろう?

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 実は、八丈島付近を低気圧が通過し、関東の上空に寒気が入り込んでいれば、太平洋側も雪になる。今回、上空1500mあたりの気温は関東北部で-6℃。東京でも-3℃…ということで、しっかりと雪になった。

 しかし、地上の温度は氷点下になっていなかった。水戸では0℃だったので積雪。しかし、東京や湘南は1℃~1.4℃くらいあった。このわずかな下層の気温の違いで、積雪の有無の違いが出たようだ。

 11日夕方の気象庁の天気予報でも、12日に予想される降雪量は、多い所で東北、近畿、中国:40センチ。北陸、九州北部:30センチ。北海道、関東甲信、四国:20センチ。東海:15センチ。関東南部でも15センチが予想されていた。関東南部に関しては、みごとに予想は外れてしまった。

 11日の夜には雪が降り続き、次の日は我が家の子ども達も、雪合戦ができると喜んだ。翌12日朝はうっすらと積雪、しかし午前中に一時日も差し、すっかり溶けていた。午後に入り雪が降り出したものの、1時間もせずにやんだ。夜にはかなり冷え込んだが、もう降ることはなかった。こんな時、気象予報士も判断が難しそうだ。まず、今回の雪の予報はどうやって出したのだろう?

 春を告げる南岸低気圧
 日本気象協会の日直予報士、藤枝知行さんは次のように解説している。「きのう(11日)からきょう(12日)にかけて、太平洋側でも雪が降り、各地で積雪となりました。今朝の茨城県水戸ではきのう(11日)、最深積雪4センチを観測しました。」

 「今朝にかけて、太平洋側の広い範囲に雪を降らせたのは、“南岸低気圧”。南岸低気圧は日本の南岸沿いを北東進する低気圧のことで、発達しながら進むため、太平洋側に大雪をもたらすことがある。この南岸低気圧が通るようになるということは、春が近づいていることを示しています。」

 「2月に入って冬型の気圧配置は長続きしなくなっています。大陸からの寒気の吹き出しが弱まってきているためです。寒気の吹き出しが弱まると、東シナ海から本州の南岸に前線が現れやすくなります。前線上には低気圧が発生し、日本の南岸を進みます。これが南岸低気圧です。逆に考えていくと、“南岸低気圧”は春を告げる使者ともいえるわけです。」

 また、日本気象協会の日直予報士、ほりかわたかはる氏は「関東で雪が降るかどうかを決める最も重要な要因は気温ですが、低気圧の通るコースというのも、重要な要因のひとつです。八丈島付近を通過すると雪になる場合が多く、それより北を通ると南からの暖かい空気が入り、雨に。また、低気圧のコースが南に離れ過ぎると、降雪域がかかりません」と述べている。

 そうか、八丈島付近を南岸低気圧が通過するかどうかで、雪を予測しているのだな。では、今回、都心や湘南で積雪しなかったのはなぜなのだろうか?これについては、日直予報士、照井じょん氏が解説している。 
 
 関東南部になぜ雪が積もらなかったか?
 「11日、東京は朝6時くらい~夜10時頃まで、ほとんどず~~~と雪が降っていた。なのに何故積もらなかったんだろ?なんてこともぼんやりと考えつつ。関東に雪が降る条件のまとめ&きのうの雪の振り返りをしてみます。」

 「まず、関東の雪の条件、1. 低気圧が八丈島付近を通過 2. 上空1500mあたりの気温が-6℃~-3℃ …以下(実は0度くらいでも状況によっては雪) 3. 三陸沖らへんに高気圧(高気圧から吹き出す冷たい北東風が地上の気温を下げる)この 1~3 と昨日の条件は合致していたのか、本当に一般に言われている条件の妥当性はいかに??などを、ざっくり検証してみたりして。」

 「☆検証1.3 1.八丈島付近、ですね。 3.三陸沖というには若干遠い気もするが、高気圧は…ある。 2.そのとき1500mあたりの気温は? ★-6℃線=関東北部にギリギリかかっていた。 ★-3℃線=ギリギリ東京にかかっていた。ということで、北部はしっかりと雪の条件クリア。東京も-3℃線内に収まっていたので、雪だったんですね。」

 「じゃ、何故東京は積もらなかったんだろ?積もった地点と比較することで、その原因をザックリ考えてみます。東京らへんには南からちょっと暖気。関東の北部らへんは北東風で、北からちょっと寒気ということで、下層の気温の違いは、積雪の有無と相関があるようですね。」

 「地上付近の気温を見てみても、やはり東京は他と比べて高めだったんです。降水があった時間帯の気温は東京:1~1.4℃くらいで経過。水戸:ほぼ0℃台(昼ごろ一旦2℃位まで上がって雪が解けたが再び0℃台に)。秩父:0℃前後をキープ。宇都宮:0℃台をキープ…というわけで、ほかにも要因はあったかもしれませんが、ザっ見ると、ま、恐らく皆さんの想像通り、東京の1度台の気温は、我々にとっては寒かったが、雪にとっては高かったのでしょうね。」

 なるほど、地上の温度が関係していたようだ。やはり「湘南は暖かい」というのは、あっていた。今回、積雪をもたらすと思われた南岸低気圧と、もう一つ後からできた低気圧が、意外に関東に影響をもたらさなかったのも一因。これについて気象予報士、燕九郎氏は次のように述べている。

 発達しなかった寒冷低気圧
 「九州北部や中国・四国には暴風雪警報のでている所があります。荒れた天気を連れてくるのは、山陰沖にある低気圧です。雲の様子を見てみますと・・・・山陰沖で低気圧の雲が、ぐるぐると渦を巻いています。この低気圧、規模としては小さいんですが、ピリリと辛いんです。その理由は上空に寒気を伴っているから。(12日午前9時)」

 「このため、この低気圧の雲がかかると、落雷や突風、急に強まる雪や雨に注意が必要になります。この低気圧(この先、低気圧として解析されなくなるかもしれませんが、気圧の谷として影響を及ぼします)は東へ進んで、九州から東海は午前中、北陸や関東は午後に影響を受けそうです。」

 この低気圧が 寒冷低気圧(cold low)で、周囲より相対的に温度の低い寒気からなる低気圧である。寒冷渦(かんれいうず)、偏西風から切り離されてできることから切離低気圧(cut off low, カットオフ低気圧、カットオフ・ロー)と呼ばれることもある。

 中緯度地域で偏西風の蛇行が激しくなると、蛇行が低緯度側へ張り出した部分(気圧の谷)が切り離されて独立した渦となり、この部分は上空の極からの寒気が入り込んでくるので、周囲よりも寒冷な低気圧となる。今回、この低気圧があまり発達しなかったことも、積雪の少なかった原因かもしれない。
 

参考HP Wikipedia「寒冷低気圧」・日本気象協会「日直予報士・天気概況 

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