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 大気汚染微粒子
 また、中国からの越境大気汚染が進んでいる。2月6日の別府大分マラソンでも大分市が、微粒子でかすみがかかる現象が見られた。九州を中心とした西日本一帯で、「もや」状の大気のかすみが確認され、国立環境研究所などは中国からの大気汚染物質の流入が原因と分析している。中国からの越境大気汚染は10年ほど前から確認されはじめ、排出源が少ないはずの離島でも光化学スモッグが観測されるなど、その影響が目立ち始めている。

Bird's Nest

 九州大応用力学研究所(福岡県春日市)の竹村俊彦准教授によると、「かすみ」が見られたのは2月3~9日で、期間中の西日本各地の最低視程は長崎の福江島3キロ、那覇4キロ、福岡、広島、大阪5キロ・・・と、見通しの悪い状態が続いた。

 この間、普段は大気1リットル中に5万~20万個の微粒子を、約50万個計測。比較的粒子の大きい黄砂や火山灰などは観測されず、5マイクロメートル以下(1マイクロメートル=0.01ミリメートル)の微粒子が急増したという。竹村准教授は「中国の工場などから排出されたすすや硫酸塩などの大気汚染微粒子が原因と考えられる」と指摘。「越境大気汚染は、風向きが西寄りになる春と秋によく起こる」と説明する。

 これらの大気汚染微粒子は、非常に小さいため吸い込みやすく、呼吸器疾患などを引き起こす原因となる。国立病院機構・福岡病院(福岡市南区)の小田嶋博副院長は「特に6歳以下のぜんそく患者で重症化につながりやすい。食べ物などと一緒に体に取り込むと、アレルギーを引き起こすこともある。実際に今週は小児科で患者が増えているようだ」と注意を呼びかける。

 黄砂は気象庁が観測し黄砂情報を発表しているが、大気汚染微粒子については一般に対して注意を促す態勢が確立されていないため、予防が難しい。小田嶋副院長は「微粒子用マスクは効果がある。また、職場や学校などでもこまめに目や鼻を洗うといいでしょう」と話している。(毎日新聞 2011年2月18日)

 北京オリンピックでも問題に
 中国からの越境大気汚染は、今回だけでなく過去にも何度も問題になっている。記憶に新しいのは、2008年の北京オリンピックである。男子マラソンの世界記録保持者、エチオピアのハイレ・ゲブラシラシエ選手が北京の大気汚染を理由に欠場を表明した。

 また、イギリスの水泳代表選手団は、北京の大気汚染が選手へ悪影響を与えることを懸念し、ぎりぎりまで日本の大阪で最終調整を行なった。大気汚染や食品の安全性への懸念から合宿地として、日本で最終調整を行った国は、欧米勢を中心に約25ヵ国にものぼった。

 2008年7月、工場の移転や閉鎖等を実施し、自動車のナンバープレート末尾が奇数・偶数のみを走行許可させるといった規制など大気汚染を食い止める施策がなされてきたものの好転が見られず、WHO(「世界保健機関」)安全基準の5倍の汚染レベルを維持した。

 私たちは微粒子を吸い込むと、血液が固まりやすくなって、心臓発作や脳卒中、エコノミークラス症候群のリスクが高まるという。大気中の微粒子(直径100分の1mm以下)を吸い込んで肺で炎症が起きると、血液が固まりやすくなることが動物実験で確かめられ、2007年10月の米医学誌に発表されている。(asahi.com 2008年8月3日) 

 光化学スモッグ汚染
 2007年5月9、日本列島が高気圧に覆われ各地で今年一番の暑さになった。九州北部から関東まで20都府県以上で観測された光化学スモッグは、中国大陸で発生したオゾンが主原因だった。西風でオゾンが運ばれてきた様子が、九州大学と国立環境研究所によるシミュレーションで再現された。以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものだ。

 光化学スモッグは、光化学オキシダント(主成分はオゾン)が起こす。オゾンは、自動車や工場などが出す窒素酸化物などの大気汚染物質が日光を浴びるなどして生じることが知られている。

 光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での発令が目立ち、9日には新潟県で1972年の観測開始以来初の注意報が出された。こうした特徴や、日本の大気汚染が規制で改善傾向にあることから、研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きいとの見方が強かった。

 国立環境研究所の大原室長は「国内で光化学スモッグの原因物質をさらに減らすと同時に、越境汚染について国際的なルールを作る必要がある」と指摘している。

 12月なのに「黄砂」飛来
 2010年12月26日、鳥取県内で中国大陸から飛んでくる「黄砂」が観測され、一時的に見通しが悪い状態になった。例年、偏西風の影響で春先に観測されることが多い黄砂が、冬場に見られるのは珍しい。

 鳥取地方気象台によると、鳥取市内で午前9時、大気の混濁度を示す視程が7キロより先の見通しがきかない状況になった。12月に黄砂で視程10キロ未満になるのは1976年以来33年ぶり。一時的に冬型の気圧配置が強まり、上空に強い西風が吹いたのが原因で、この日は北陸から九州にわたって黄砂が観測されたという。

 黄砂は日本の中では、大陸に近い西日本や日本海側の地方でとくに3月から4月に飛来することが多い。降水量が少なく地面が乾燥する冬は、シベリア高気圧の影響で風があまり強くない穏やかな天候が続くうえ、ほとんどの乾燥地帯の表土は積雪に覆われてしまうため、黄砂が発生しにくい。

 春になると、表土を覆った積雪が融け、高気圧の勢力が弱まる代わりに偏西風が強まり、低気圧が発達しながら通過するなどして風が強い日が増えるため、黄砂の発生も増えると考えられている。春の中盤に入り暖かくなってくると植物が増え、夏になると雨も多くなるため、土壌が地面に固定されるようになって次第に黄砂の量は減り、秋に最少となる。

 黄砂の主な原因としては、降水量の変化や積雪面積・積雪期間、黄砂の飛来経路の変化などが大きいとされている。しかし、中国での砂漠化や乾燥化も増加の原因だとされている。2007年の時点で中国の国土面積の18%、約174万km³が砂漠と化しているが、過剰な放牧や耕地拡大などの農業の問題、生活や経済の問題がその原因とされており、環境問題としてとらえられる場合もある。

 発がん性物質「PAH」飛来
 2008年4月19日の北国新聞によると、能登半島に10月~4月にかけて多量の発がん性物質が中国から飛来し、大気中でその濃 度が上昇していることが、金大大学院自然科学研究科の早川和一教授の調査で初めて確認 された。輪島上空ではほかの時期に比べて濃度は十倍以上となっていた。工場の排ガスに 加え、暖房のため大量に燃やされる石炭から出た有害物質が偏西風で運ばれたとみられる 。対岸の国で深刻化する大気汚染が越境している現実が浮き彫りとなった。

 金大が輪島市西二又町に設けた大気観測施設で、2004年9月から毎日大気中の化学物質を測定した。その結果、物を燃やした時に出る発がん性物質の多環芳香族炭化水素(PAH)類の濃度が毎年10月中旬から4月中旬にかけて大幅に上昇していたことが判明し た。輪島に到達したPAH類などの発生源を特殊な気象の解析方法で調べたところ、瀋陽や大連など中国東北地方を経由していると分かった。

 PAH類にはディーゼル車など自動車の排ガスに含まれるものもあり、金沢市内でも検出される。しかし、輪島と金沢、瀋陽の大気中PAHの組成を分析すると、輪島のPAHは瀋陽に類似していたという。

 中国の都市大気中のPAH濃度は、日本の都市の数十から数百倍に及ぶことが早川教授の研究で分かっており、同教授はその一部が偏西風に運ばれて日本に達し、大気中の濃度 を押し上げていると結論づけた。

 輪島で観測されるPAH濃度は金沢市中心部の交差点の濃度より低く、すぐに健康被害が出るとは考えにくいという。しかし早川教授は「中国からやってくるのは黄砂だけでは ない。発がん性物質を摂取し続けた場合の影響を検討したい」と話し、中国の研究者とも 協力して調査を続けることにしている。(北国新聞)

 

 参考HP Wikipedia「黄砂」 

また中国か!―90分でわかる「中国の悪行」大全 (晋遊舎ブラック新書 12)
東亜細亜問題研究会
晋遊舎
中国の環境問題 今なにが起きているのか (DOJIN選書 12)
井村 秀文
化学同人

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