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 クマの冬眠は睡眠?
 冬眠する動物とは何だろう?そう、ヘビ、カエル、カメ、昆虫、コウモリ、ヤマネ、リス、クマなど多彩だ。クマは冬眠するというが、他の動物と少し違う。リスは冬眠に入ると叩いても起きないが、クマはわずかな刺激でも目覚める。体温の低下も数℃以内で、冬眠というより、むしろ睡眠に近い状態だ。

 米アラスカ大などの研究チームが、冬眠中のクマが、体温をあまり下げずに代謝機能を通常の4分の1まで下げて生命活動を維持していることを突き止めた。代謝を抑える冬眠の仕組みを人間に応用できれば、けがなどの症状悪化を一時的に抑えられる可能性があるほか、老化の進行を抑制して移動に時間のかかる宇宙旅行が夢でなくなるかもしれない。2月18日付の米科学誌サイエンスに発表した。

Hibernation

 アラスカ州の住宅近くに出没して捕獲されたアメリカクロクマ5頭(体重34.3~103.9キロ)を巣穴で飼育。冬眠中の5カ月間、赤外線カメラで行動を観察したほか、体温や心拍数、巣穴の酸素濃度を測定し、代謝機能を分析した。

 それによると、冬眠中は食事や排尿・排便をしないまま体を丸めた姿勢を保ち、多いときでも1日2回体勢を変えたり毛づくろいをした。平均体温は33度で夏季の活動時より5~6度低く、30度まで下がると体を震わせて体温を上げた。動物では体温が10度下がると代謝機能は半分になる、という通説を覆した。

 人間は長く体を動かさないと筋肉や骨の量が減るが、クマは目覚めた後も冬眠前と同じように動き回った。(毎日新聞 2011年2月18日)

冬眠とは何か?
 冬眠(Hibernation)とは、季節的な低温に対して、動物が摂食や運動を中止して代謝活動を著しく低下させた状態で冬季を過ごすこと。

  ヘビ、カエル、カメ、昆虫など陸生変温動物の冬眠の場合、越冬するときには、体温は外囲の温度に並行して低下する。

 コウモリ、ヤマネ、シマリスなどの小型の恒温動物の冬眠の場合、体重に対する表面積の割合が大きいため、体温を維持するために大量のエネルギーを必要とする。食料の乏しい冬季ではこれを維持するだけの栄養を摂ることが出来ず、小型恒温動物は冬眠せざるを得なくなる。冬眠前には巣の中に食料を蓄えたり、体内に脂肪が蓄えられる。また、体内の脂肪の不飽和度が上がり、凍結することを防ぐ。冬眠時、体温は気温よりやや高い一定温度(コウモリでは5℃,ヤマネでは0℃くらい)を維持する。また、通常に比べ、代謝レベルが数十分の1まで低下する。

 大型のクマ、アナグマなどは、冬ごもりを行うが、これは真の冬眠ではなく、むしろ睡眠に近い状態であり、体温の低下も数℃以内で、わずかな刺激でも目覚める。動物園等で飼育されるクマは冬眠(冬ごもり)することはないが、2006年~2007年にかけて上野動物園で飼育されているツキノワグマ(雌のクー)を冬眠させる実験が行われた。冬眠中飲まず食わずと言われていたが、冬眠明けの頃目覚めて水を飲んで再びまた眠るなどの行動が見られた。

 冬眠と冬ごもりが混同されていることが多く、シマリスなども時折目覚めて溜め込んだ木の実などを食べているので冬眠なのか冬ごもりなのかはっきりしない。

  人間も冬眠した事件
 人間は冬眠しないが、極低温状態での生存例が報告されている。日本では2006年10月7日に兵庫県神戸市の六甲山で男性がガケから落ちて骨折のため歩行不能となり、10月31日に仮死状態で発見されて救助される事件があった。

 当初は「焼き肉のたれで生き延びた」などと報道されていたが、実際は遭難から2日後の10月9日には意識を失い、発見されるまで23日間、食べ物だけでなく水すら飲んでいなかったことが分かった。発見時には体温が約22℃という極度の低体温症で、ほとんどの臓器が機能停止状態だったが、後遺症を残さずに回復した。「いわゆる冬眠に近い状態だったのではないか?」と医師が話している。

 SF作品に登場する人工冬眠については、コールドスリープを参照。冬眠中は脈拍等が減少する。端的にいえばそれだけ寿命が長くなるとも考えられている。また、現在不治の病とされている患者に対し、冬眠に似た状態に保つことで、将来の医学に期待する方法も模索されている。SFを題材にした小説で、良く登場する手法である。


冬眠のメカニズム
 冬眠する哺乳類は冬眠中に体温が数度にまで下がっている。この状態において動物は細菌や発ガン物質から守られており、脳や心臓のように通常では大量の酸素やエネルギーを消費する臓器も酸素やエネルギー源をほとんど消費せずに眠っている。しかも、冬眠する動物は冬眠しない近縁種の動物に比べて数倍長生きすることもわかっている。これは、冬眠中の動物には非常に強力な体を守る作用が機能しているからだと思われる。

 株式会社三菱化学生命科学研究所の研究チームが冬眠に連動して変動する新たな因子をシマリスを用いた研究の過程で発見し、冬眠特異的タンパク質を略してHPと名付けた。HPは脳によって調整されている冬眠リズムによってその量が制御され、血液中から脳内に移行することによってホルモンとして働き、冬眠を司っていることを発見した。

 また、カルシウムイオンは細胞の内外を行き来することによって筋肉の収縮や弛緩を制御しているが、冬眠している動物の心筋、つまり心臓を形づくり脈動を行っている組織において、カルシウムイオンの挙動が覚醒状態とは大きく変化していることがわかった。冬眠のメカニズムを解明しようとする試みは世界中の多くの研究者らによって行われていまるが、今回、日本の研究者らが冬眠のメカニズムによりアプローチできたのはこの心筋におけるカルシウムイオンの変動に着目したからであると言われている。

 従来、冬眠のメカニズムを解明する標準的な手法として、冬眠していないときと冬眠中で発現量に違いのある遺伝子を探すという方法が採用されていた。しかし、この方法では、その遺伝子の変化によって冬眠に入ったのか、それとも冬眠状態に入って、体温が低下したり、血液の循環が低下した結果その遺伝子の発現に変化が生じたのかを区別することができないため、遺伝子からのアプローチで冬眠のメカニズムを解明しようとする試みは未だ成功していない。冬眠のメカニズムには、まだまだ謎が多い。


参考HP Wikipedia「冬眠」・ヴォイニッチの科学書 冬眠のメカニズム

冬眠の謎を解く (岩波新書)
近藤 宣昭
岩波書店
発想のタネになる科学の本―冬眠遺伝子から超伝導でビルを浮かせる話まで (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社

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