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 チェルノブイリと放射線物質
 ジャネット・シェルマン博士は、その著書「チェルノブイリ~大惨事の環境と人々へのその後の影響」の中で、チェルノブイリ原発事故について調べ、その死者は100万人であると述べている。もし、これが本当であるとすると、福島第1原発事故では、死者は報告されておらず、「国際原子力事象評価尺度(INES)」は同じ「レベル7(深刻な事故)」であるが、内容はまったく違う事故だといえる。

 また、100万人の死因は、もちろん放射線物質によるもので、癌、心臓病、脳障害や甲状腺ガンなど、症状はさまざまだった。問題になる放射線物質は、ウラン、プルトニウム、セシウム、ヨウ素、クリプトン、キセノンなどである。各核種の半減期はクリプトン2.8時間、キセノン5.3日、ヨウ素8日で短いが、セシウム137やストロンチウム90で、半減期は30年、ウラン45億年など極端に長いものもある。

 よく話題なる半減期とは別に、体内の放射性物質の量が半分になるまでの期間を「生物学的半減期」という。呼吸や飲食で体内に入った放射性物質はすべてがずっと体内にとどまるわけではない。例えばセシウム137は体液などに溶けていて排出されやすく、生物学的半減期は100日ほどである。人体への影響はこの2つの半減期を考慮する必要がある。

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 ヨウ素131は甲状腺に集まりやすく、甲状腺癌を起こすのに対して、セシウム137は心臓に集まり、心臓病を引きおこすことが「チェルノブイリ~大惨事の環境と人々へのその後の影響」の中で述べられている。一方、体の中には自然界にある放射性物質がいつも存在しており、成人男性の場合、カリウム40などが7000ベクレルほどの放射線を出している。このため、年間0.3ミリシーベルトほど内部被曝するが、健康には影響しない。

 ジャネット博士へのインタビュー 
 2011年3月5日、東日本大震災の6日前、カール・グロスマン氏のインタビューに、ジャネット博士は次のように答えている。

 「ようこそジャネットさん。 チェルノブイリ原発事故の死者は100万人ということですが 死因は何でしょう?」

 「癌、心臓病、脳障害や甲状腺ガンなど死因はさまざまでした。何より多くの子供達が死にました。胎内死亡、又は生後の先天性障害です。」「事態は私が思っていた以上に深刻でした。人々が癌や心臓病で命を落とすだけでなく、体中のすべての臓器が害されて免疫機能、肺、眼内レンズや皮膚など、すべての器官が放射能の悪影響を受けたのです。」「しかも人間だけではありません。調査した全ての生き物、人、魚、木々、鳥、バクテリア、ウイルス、狼や牛など生態系のすべてが、例外なく変わってしまいました。」

 「今となっては癌と放射能の関係はわかりますが、心臓病はどうして起こるのでしょうか?」

 「私がこの本を編集するときに気付いた重大なことの一つですが、バンダシェフスキーという科学者は、研究で子供達の体内に蓄積されたセシウム137の量が実験動物と同じ値になっていることを発見し、それが心臓にダメージを与えていることに気づきました。」

 「チェルノブイリからの放射能によって、ロシア、ベラルーシ、ウクライナは高濃度で汚染されましたが、この本によればそれどころか世界中に拡散したと書かれていますね。」

 「そのとおりです。放射能がもっとも集中したのは前述の三国ですが、最大量の50%以上は北半球全体に行きわたったのです。特に北はスカンジナビア、東はアジア圏へと。」

 「この悲劇はいつまで続くのでしょうか?」

 「放射性物質が浄化されるには千年はかかるでしょう。セシウム137及びストロンチウム90だけでも、半減期は30年、少なくとも3世紀は残ります。仰るように多くの同位体が千年残るはずです。」

 「被曝」と「被爆」
 「被曝」と「被爆」は、発音が同じで意味や漢字での表記が似ており(日偏と火偏の違い)、しばしば混同されてしまうが、厳密には「被曝」は「放射線にさらされること」、「被爆」は「爆撃を受けること」を意味する。 ただし、「被爆」という単語には「爆撃を受けること」という意味と共に「核兵器による被害を受けること」という意味もある。後者の意味が強調されると、「被曝」と混同されやすい。「被曝」は、主に「放射線にさらされること」のみを表す。

 被曝は人体表面からの被曝である外部被曝と、経口摂取した放射性物質などで人体内部が被曝する内部被曝に分類される。外部被曝に関しては、環境モニター等の数字で判断できる。しかし内部被曝は、均一に分布せず臓器に蓄積されるとその部位の被曝が極端に大きくなり致死的障害をおこしたり、癌の原因になる。
 内部被曝は原発の場合、ウラン、プルトニウム、セシウム、ヨウ素、クリプトン、キセノン等がある。各核種の半減期はクリプトン2.8時間、キセノン5.3日、ヨウ素8日である。セシウム30年をはじめウラン45億年など他の核種の半減期は人生に比べると極端に長い。もちろん、生体から排出されるのであるが、生理学的半減期は核種によって違い20~30年という物もある。

 吸い込まない事、皮膚に付けない事、食べたりなめたりしない事、怪我しない事が大事である。ヨードを摂取するのは、ヨードが甲状腺に蓄積する性質があるのであらかじめ放射性でないヨウ素で飽和させておいて放射性ヨウ素131を取り込まないようにするためである。また、被曝ではなく、プルトニウムはそれ自体が毒である。

 生物学的半減期
 体内に取り込まれた放射性物質は、それ自身の放射物理学的に原子核崩壊して減っていくのとは別に、生物学的な作用により、排泄されるなどして体外に排出されることで減っていく。いずれのメカニズムも、体内にあるその物質の量に対し一定の割合が 減少していくので、その減り方は指数関数的であり、一定の時間ごとに半分に減っていく。原子核崩壊によって半分に減る時間を物理学的半減期(または単に半減期)、生物学的な排出によって半分に減る時間を生物学的半減期という。

 内部被曝への対策としては、放射性のエアロゾルまたは気体のある雰囲気中ではそれを除去できるフィルターを有した呼吸保護具等を装備しなければならない。ただし、内部被曝対策としてのマスク等の呼吸保護具は、外部被曝対策としては役に立たないので注意が必要である。

 放射性物質が皮膚表面に付着しただけでは内部被曝とはならないが、閉じていない傷のある者は放射性物質の取り扱いを避けるべきである。また、手を汚染した場合は、その後の飲食、喫煙または化粧などによって汚染を体内に取り込む可能性が高い。したがって、放射性物質を取り扱う区域内では飲食、喫煙または化粧を行ってはならず、また取り扱いを中断・終了するときは必ず手に汚染がないことを放射線測定器で確認しなければならない。(Wikipedia)

Wikipedia 被曝 阿修羅 チェルノブイリ・百万人の犠牲者

内部被曝の脅威 ちくま新書(541)
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お母さんのための放射線防護知識―チェルノブイリ事故20年間の調査でわかったこと (高田純の放射線防護学入門シリーズ)
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