科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学の疑問を、やさしく解説!毎日3分読むだけで、みるみる科学がわかる!
ヤマサちくわ「お試しセット」 スイーツ 北海道産地直送サイトNO.1

 土星はガス惑星
 土星は太陽系の太陽に近い方から6番目の惑星である。太陽系内の惑星では木星に次いで大きい。93%の水素、5%のヘリウムなどのガスを主成分とする惑星(ガス惑星)である。見た目の大きな特徴として、惑星の周りに明確に見える輪(環)がある。

 土星は明らかに上下に潰れて見え、扁平である。赤道と極では、直径が約10%も異なっている(120,536 km と 108,728 km)。これは土星の高速な自転と密度の低さのためである。木星なども扁平ではあるが、土星ほどではない。

 今回、地球のほぼ10倍ある土星を一周する巨大な嵐の全容が、はるか彼方の観測機と地上の巨大望遠鏡によって解明された。土星を形成するガスの表層に明るいガスの柱が噴出してくるのが、昨年12月に観測された。以来、土星の北半球を一周するこの嵐に注目が集まっていた。

Saturn-storm  

 このガスの乱れはそれ以降、秒速約100メートルの東風に乗って拡大を続けている。しかしこれまで、この嵐の作用や規模、土星全体への影響についてはほとんど分かっていなかった。

 NASAの土星探査機カッシーニと、ヨーロッパ南天天文台(ESO)がチリに設置している超大型望遠鏡VLTのそれぞれの観測に基づいた最新の研究によって、この土星の嵐は最深部から表層まで約600キロメートルという厚みがあることが分かった。

 地球上の嵐は通常、20キロの高さまでしか到達しない。土星よりずっと小さな惑星なのに、嵐が地球を一周することもない。

 「この嵐は地球上のどんなものとも比較しがたい。とにかく巨大なのだ」とイギリス、オックスフォード大学の惑星科学者で今回の研究を率いたリー・フレッチャー氏は言う。「(嵐の)頭が今年2月に尻尾に追いついた」。

 カッシーニが発見
 カッシーニはすでに7年近く土星の軌道を周回しており、土星の多様な衛星系を観測してきた。2010年12月にこの嵐の最初の噴出を知らせたのもカッシーニだ。最初は、通常と異なる電波のノイズが確認された。これは雷の活動の活発化の兆候だ。このノイズは、今回の嵐の主成分となっているメタンやエタンなどのガスが柱状になって噴出したときに放出されたものだ。

 だがこの時カッシーニは、嵐の内部で起こっていることを分析できなかった。そのために必要な熱赤外分光器という装置は、数カ月前にあらかじめプログラムしておかねばならないためだ。

 そして今年1月、2度目のチャンスが訪れ、フレッチャー氏は“地上部隊”を投入した。カッシーニの赤外線観測と同時に、超大型望遠鏡VLTで嵐の温度を高解像度で監視した。これにより、嵐の風速と構造が推測できるようになった。

 両者の観測を組み合わせると、嵐は巨大なガスの塊である土星の表層から約300キロ下の水雲の層で発生したものと推測された。水雲層からのエネルギーによって、通常より摂氏約20度高いガスが噴出した。

 土星は意外に高温
 土星で温度が最も高いのは極であることが分かっている。この特徴は太陽系内で唯一のものである。土星の内部は木星と似ている。中心に岩石の核があり、その上に液体金属水素の層、水素分子の層がある。土星の内部は高温であり、核では12,000K に達し、土星が太陽から受けているよりも多くのエネルギーを放出している。

 このエネルギーのほとんどは、ケルビン・ヘルムホルツ不安定(重力によるゆっくりとした圧縮)により生成されていると考えられているが、それだけで熱生成の全てが説明できているわけではない。

 土星は「数十億年前に形成されてから自転を続けている。この(自転による)熱がガスを温め、噴出させた。この嵐は数百万年かけて発生したものだ」とフレッチャー氏は言う。

 土星は太陽系で2番目に大きな惑星で、自転周期は10時間だが、太陽を1周するには約30年かかる。地球と同じく太陽に対して傾いているので季節があり、約7年半で季節が変わる。

 今回の巨大嵐は、土星の“春”を先触れするように巻き起こった。またこの嵐は、前例のないチャンスの到来を告げるものでもある。「前回の土星の春の際には、このような観測機器は利用できなかった。今回の嵐を追跡して、そのダイナミクスが(他の巨大ガス惑星である)木星、天王星、海王星などにも当てはまるか確認できれば興味深い」とフレッチャー氏は話す。

 今回の研究は「Science」誌オンライン版に5月19日付けで掲載されている。(National Geographic News May 20, 2011)

参考HP Astro Arts カッシーニと大型望遠鏡で、土星の嵐を観測
National Geographic news
土星を一周する巨大嵐の全容を解明

最新探査機がとらえた火星と土星―水と生命の証拠を求めて/タイタンとリングの謎に挑む (ニュートンムック)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス
ナショナルジオグラフィック傑作写真集 宇宙探査の50年 SPACE スプートニクからカッシーニまで
クリエーター情報なし
日経ナショナルジオグラフィック社

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please