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 iPS細胞はMuse細胞か?
 最近iPS細胞をめぐる研究発表が多い。京都大学の山中教授が発見した、4つの遺伝子を組み込むことで、万能性を持つようになるという「iPS細胞」。万能性を持つようになるのではなくて、元からあった万能細胞「Muse細胞」を強化しただけだとする説を、東北大と京都大の研究チームが発表して、話題になった。これが本当ならば、万能細胞はiPS細胞ではなく、Muse細胞の方だということになる。 (毎日新聞 2011年5月31日)

 一方、山中伸弥教授らは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率よく作り、がん化するおそれのある不完全な細胞の増殖を抑える遺伝子「Glis1」を発見した。山中教授が発見した従来の4遺伝子の一つと置き換えると、iPS細胞の割合がマウスは約20%からほぼ100%、ヒトの細胞では約10%から約50%と純度が5倍になった。山中教授は「魔法の遺伝子だ。臨床応用に向け大きな前進になる」と話している。

 使ったのは、受精前とその直後の卵子で現れる「Glis1」という遺伝子。前川助教が、産業技術総合研究所のデータベースにある1400余りの遺伝子の働きを調べて見つけた。

iPS_Muse_cell

 iPS細胞はこれまで、体の細胞に4遺伝子を入れてつくっていた。その一つ「c-Myc」はがん遺伝子として知られ、iPS細胞の作製効率を大きく高める一方、iPS細胞になり損ねた不完全な細胞も増やしてしまい、再生医療への応用の壁になっていた。

 マウスの実験で、4遺伝子を入れてできた細胞群のうち、iPS細胞の細胞群の割合は約20%だったが、c-Mycの代わりにGlis1を使うと、3回の実験いずれでもほぼ100%になった。ヒトの細胞でも、4回の平均が約10%から約50%に上がった。 (asahi.com 2011年6月9日)

 iPS細胞のがん化で拒絶反応あたりまえ
 また、iPS細胞(人工多能性幹細胞)でも拒絶反応が起きると、米グループが先月発表した論文について、京都大の山中伸弥教授は6日、記者会見で「実験データの解釈に問題がある」と反論した。

 iPS細胞は患者自身の細胞からつくるため、臓器にして移植すれば、拒絶反応が起きないと期待されている。だが、米カリフォルニア大のグループが、マウスにiPS細胞を移植する実験で拒絶が起きたと、5月14日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 iPS細胞をそのまま移植すると、いろいろな組織が含まれる腫瘍(がん)ができる。今回の実験は、この腫瘍を免疫が攻撃する程度をみる手法だった。iPSはほかの細胞に比べて、拒絶のためにがんができにくかったとする論文内容について、山中教授は、「元は自分の細胞でも、がん化すれば免疫が反応して拒絶するのは当然だ」と述べた。(asahi.com 2011年6月6日)

 RNA振りかけるだけでiPS細胞
 一方、ウイルスを使わず、RNAを使って、さまざまな細胞になりうるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作ることに大阪大の森正樹教授(消化器外科)らのチームが成功した。

 5月26日付の米科学誌「セル・ステムセル」(電子版)で発表した。チームはマウスの細胞を調べ、何の細胞になるのか決まる前段階の「幹細胞」だけにあるRNA断片六十数個を発見。うち特定の3種を組み合わせると一部の細胞が幹細胞に変わることを突き止めた。

 できあがった幹細胞はiPS細胞とほぼ同じ性質を持っていた。さらに、ヒトの細胞でも同じ組み合わせでiPS細胞が作れることを確認。「mi-iPS(ミップス)細胞」と名付け、特許も申請した。

 従来のウイルスを運び屋にして遺伝子を組み込む方法と比べて細胞内の遺伝子を傷つける心配がなく、がん化のリスクは低い。断片を含む溶液を細胞にかけるだけでいいため、将来はiPS細胞を簡単に作る試薬の開発なども期待できる。

 iPS細胞の作製法は、今回とは別のRNAを使ったり、がん化のリスクの少ないウイルスを使ったりするなど国内外で激しい開発競争が続いている。今回の手法はiPS細胞が得られる効率が1%未満と低いが、森教授は「現時点で世界で最も安全にiPS細胞を作る方法といえる。効率を上げて臨床応用に活用したい」と話す。(asahi.com 2011年5月27日)

 iPS抜き、直接遺伝子挿入、神経細胞樹立
 一方、iPS細胞は癌化する可能性があるから、直接ターゲットになる細胞をつくり出す方法も研究されており、これを「ダイレクト・リプログラミング」という。

 米スタンフォード大の研究チームは、人の皮膚の細胞に4種類の遺伝子を入れるだけで神経細胞に変化させることに成功した。皮膚などの体細胞から治療などに必要な細胞に直接、変化させる「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれる方法が人の細胞で成功したのは初めてである。

 研究チームは遺伝子4種類を人の皮膚細胞に入れて4~5週間培養した。約半数が神経細胞の一種ニューロンになり、神経細胞として働くことも確認した。

 遺伝子4種類のうち3種類は、マウスの皮膚細胞からニューロンを作る際、使った。マウスは3種類で足りたが、人の場合はもう1種類の遺伝子を追加しないとできなかった。

 従来は、体の細胞をiPS細胞(人工多能性幹細胞)にいったん変化させてから、改めて必要な細胞に変化させる方法が主体だった。(asahi.com 2011年5月27日)

参考HP 京都大学iPS細胞研究所 CiRA

再生医療へ進む最先端の幹細胞研究―注目のiPS・ES・間葉系幹細胞などの分化・誘導の基礎と、各種疾患への臨床応用 (実験医学増刊 Vol. 26-5)
クリエーター情報なし
羊土社
iPS細胞―再生医療への道を切り開く 人工多能性幹細胞 (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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