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 有機薄膜太陽電池
 太陽電池には大きく分けて3つのタイプがある。シリコン系と化合物系そして有機系である。シリコン系はシリコン半導体を使ったもの、化合物系は化合物半導体を使ったもの、有機系は色素を使って太陽光を電気エネルギーに変換する。エネルギー効率はシリコン系で最大40.7%、化合物系で25.1%、有機系で10.4%と小さくなる。

 製造が簡単で材料も安価なものは有機系である。有機系のうち色素増感型は色はカラフルで、エネルギー効率も高いが、電解液を使うため、液の蒸発や操作性に問題がある。有機被膜型は薄く柔らかいため、柔軟性や寿命の上で有利であるが、エネルギー効率が低いなどの問題がある。

 今回、分子科学研究所と米ロチェスター大学の研究グループが、これまで、厚くすると発電効率の悪くなった有機薄膜太陽電池の膜を、逆に厚くしても発電効率がよくなる作製法を開発した。

Organic solar

 分子科学研究所の嘉治寿彦・助教らと米ロチェスター大学のタン教授らは、2種類の有機材料に加え、透明電極基板に付着しないような液体分子を蒸発させる新しい方法で、4倍厚い薄膜を作ることに成功した。この手法でさまざまな組み合わせの有機薄膜を作り、電流を計測したところ、これまでより3倍から40倍、ものによっては3,000倍以上という劇的な向上が見られた。

 今回開発した手法は、従来の真空蒸着法よりも結晶性の良い混合膜を簡単に作製することができるため、より変換効率のよい低分子型有機薄膜太陽電池を実現することができる、と研究グループは言っている。(サイエンスポータル 2011年6月16日)

 バルクヘテロ構造の最適化
 有機薄膜太陽電池は太陽光のエネルギーを電力へと変換するための低価格な技術として期待され、世界中で活発に研究開発されている。 現在、研究の主流は様々な有機半導体のドナー性(p型)材料とアクセプター性(n型)材料とでできた混合膜である、バルクへテロジャンクション構造(p-i-n接合のi中間層)の最適化と、新規有機半導体の合成とに向けられている。

 混合膜の最適化では、混合した各材料の混ざり方と結晶性とをどこまで制御できるかが一番重要になる。最近の高効率の有機薄膜太陽電池のほとんどは、ポリチオフェンとフラーレン誘導体との組み合わせのように、共役高分子をドナーとして、低分子をアクセプターとした混合膜をバルクへテロ構造として利用している。

 これらの高分子型有機薄膜太陽電池では、溶液塗布法によって作製され、通常、溶媒を適切に選択し、塗布製膜後の環境を精密に制御することで高効率が達成されている。

 一方で現在、携帯電話のディスプレーなどに用いられている有機ELの生産においては、低分子型有機半導体を用いた多層膜を真空蒸着法によって作製することが主流である。この真空蒸着法は多層膜の形成や膜厚の精密制御など様々な点で優れた技術なのだが、有機薄膜太陽電池の混合膜を作製する場合には、真空中で成膜するために溶媒と同様の効果がないため、溶液塗布法と比べて最適化できる作製条件が限られ、混合膜の形態や結晶性の制御が困難であった。

 このため、従来の真空蒸着法で作製された低分子型有機半導体の混合膜の大半は、十分に結晶化できずに電気伝導度が低く、膜厚を100 nm以下に抑えて有機薄膜太陽電池に用いられてきた。

 真空蒸着法に新手法
 自然科学研究機構分子科学研究所平本グループの嘉治寿彦助教らと米国ロチェスター大学のタン教授らの研究グループは、低分子型有機半導体のドナー:アクセプター混合膜を結晶化する、これまでにない手法を開発した。真空蒸着法を改良した手法で、従来の真空蒸着法よりも高品質な膜形態や結晶性を持つ低分子型有機半導体薄膜を作製できる。さらに、この新手法を用いて混合膜を結晶化することで、太陽電池性能を大幅に向上できることを様々な低分子型有機半導体を用いて示した。

 具体的には図のように、従来通り、ドナー分子とアクセプター分子の2種類の低分子型有機半導体を透明電極基板の上に同時に真空蒸着して混合膜を作製するときに、この手法ではさらに同時に、透明電極基板に付着しないような液体分子を蒸発させる。 液体分子が有機半導体分子に衝突することで、有機半導体分子が凝縮して混合膜を形成する前に基板表面を動き回りやすくなり、その結果、従来よりも確実に混合膜が結晶化されると考えている。

 様々な有機半導体を用いて、通常よりも厚い混合膜(約400 nm)を作製して有機薄膜太陽電池に用いたところ、従来の真空蒸着法で作製した同じ厚さの混合膜と比べて、特に、光電流が3倍~3千倍に向上し、太陽電池性能の劇的な向上に例外なく成功した。 

 今回用いた材料は、メタルフリーフタロシアニン(H2Pc、ドナー性)とフラーレン(C60、アクセプター性)のような代表的な低分子型有機半導体。 これらの分子の真空蒸着中に同時に蒸発させる液体としては、室温では真空中で液体として安定に扱える、アルキルジフェニルエーテル(ADE)やシリコーンオイルのような高沸点の液体の中でも特に、真空中で加熱して蒸発させることができ、かつ、同時に透明電極基板を適度に加熱することによって基板に付着しないようにできる液体を選んだ。  

参考HP 分子科学研究所 有機薄膜太陽電池の光電流を向上できる手法を開発 

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