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 翼竜化石と羽毛恐竜化石
 2011年7月7日、岩手県久慈市の久慈琥珀(こはく)博物館は、近くの山林にある白亜紀後期(約8500万年前)の地層から、長さ16.8センチ、最大直径2センチの翼竜の化石を発見したと発表した。この化石は翼を支える骨の付け根部分とみられ、翼竜が翼を広げると3メートルに達すると推定される。→久慈琥珀博物館 

 国内で発見された翼竜の化石の中では最大で、分析した早稲田大の平山廉教授(古生物学)は「翼竜の頭部など、他の部分の化石が見つかる可能性が高い」と話している。骨の内部に空洞がある特徴から、翼竜の骨と判明した。翼竜の骨は薄く壊れやすいため、国内での発見例は少なく、これまでの長さも約10センチだった。(2011年7月7日  読売新聞)

 一方、2011年7月15日、兵庫県立人と自然の博物館(三田市)は、同県篠山市の白亜紀前期の地層「篠山層群下部層」(1億1000万~1億年前)から、鳥類に近い小型恐竜「デイノニコサウルス類」の化石を発見したと発表した。国内2例目だが、前脚部分がほぼ完全な状態で見つかったのは初めてで、同館は「恐竜から鳥への進化を解明する貴重な発見だ」としている。→兵庫県立 人と自然の博物館

Quetzalcoatlus_Velociraptor

 同類は後ろ脚2本で歩く獣脚類に分類され、前脚には羽毛が生えていたとみられる。見つかったのは片方の前脚の大部分と、後ろ脚の一部。保存状態がよく、前脚は上腕と前腕が折りたたまれた状態で、伸ばせば約25センチ。指先はかぎ状になっており、木登りに使われたとされる。体長は約1メートルと推測される。(2011年7月16日  読売新聞)

 翼竜と羽毛恐竜の違い
 翼竜と羽毛恐竜、どちらも鳥のように翼を持ち、恐竜のいた中生代白亜紀に繁栄したなかまだが、どう違うのだろうか? 

 翼竜 (Winged lizard) は、中生代に生息していた初めて空を飛んだ脊椎動物。一部のメディアなどでは今も「空を飛ぶ恐竜」と呼ぶことがあるが分類学的には恐竜ではない。主竜類(主竜形類)に含まれる。なお、恐竜も主竜類に含まれるが、翼竜と恐竜は三畳紀中期(あるいはそれ以前)に分岐した別のグループである。 翼竜も恐竜と同様に白亜紀末の大量絶滅の際に絶滅した。 

 一方、羽毛恐竜とは羽毛の痕跡が化石記録で確認されている恐竜を指す言葉である。とくに1990年代以降、中国の遼寧省から多数の羽毛恐竜の化石が発見され、鳥類の起原や羽毛の発生に関する議論の中で大きな役割を果たした。 古くは1861年に発見された始祖鳥の化石にはっきりとした羽毛の印象が残されていた。しかし、始祖鳥はあくまでも“鳥”であり、恐竜である証拠は長年見つかっていなかった。

 1995年、ついに念願の羽毛恐竜が中国・遼寧省の下部白亜系熱河層群の化石密集層から見つかった。今から1億2400万年前、内モンゴルで火山活動が繰り返されたことによって、このあたりには大量の火山灰がもたらされた。細粒な火山灰が生物遺骸の上に降り積もることで、奇跡的に良好な保存状態で化石が残された。

 羽毛恐竜は特定の分類群を指す厳密な専門用語ではない。しかし、恐竜と鳥類の系統関係を考えるうえで、最も重要な発見が羽毛恐竜の化石である。 白亜紀末の大量絶滅の際に多くの恐竜は絶滅したが、一部は鳥類に姿を変え現在も繁栄している。 

 翼竜は飛べなかったかも
 2008年10月4日、英科学誌『ニュー・サイエンティスト(New Scientist)』によると、怪獣映画やフィギュアでおなじみの翼を持つ恐竜・翼竜(プテロサウルス)が、実は飛べなかったとする仮説が登場し、古生物学者たちをあわてさせている。

 この説を発表したのは、東京大学の佐藤克文(Katsufumi Sato)氏。同氏はインド洋南部のクローゼ諸島(Crozet Islands)で、大型の海鳥の飛翔能力を試すというまれな研究を行った。

 飛ぶ鳥の中では世界最大といわれるワタリアホウドリを含む5種28羽の大型鳥の翼に、単3電池程度の大きさの加速度計を取り付け、飛ぶ速度を計測した。

 ワタリアホウドリは広げると3.5メートルにもなる翼の形を巧みに変え、風の波に乗って飛ぶ。風がない場合や風の速度が一定している場合は、羽ばたきをしないと重力と空気抵抗に負けて落ちてしまう。

 1か月に及んだ研究で、佐藤氏の付けた加速度計によって、海鳥の羽ばたきには2種類の早さがあるということが明らかになった。離陸するときには素早く羽ばたき、風がないときに空中を飛んでいる場合は遅かった。羽ばたきの早さは筋力によって制限され、翼の長く体重が重い鳥ほど早く羽ばたくことができないという結果が出た。

 佐藤氏は、体重40キロ以上の鳥は、風速ゼロの環境下では離陸するのに十分なだけの羽ばたきができないと試算した。ワタリアホウドリは平均22キロで、この心配はない。しかし、この試算を当てはめれば、翼竜は飛べなかったことになる。

 化石が発見されている翼竜としては最大のケツァルコアトルス(Quetzalcoatlus)は、翼開長11-12メートル、体重は100キロ台に達したと考えられているからだ。(2008年10月4日 AFP)

参考HP Wikipedia 翼竜 羽毛恐竜
兵庫県立人と自然の博物館 鳥に近縁な恐竜デイノコサウリア類の化石

巨大翼竜は飛べたのか-スケールと行動の動物学 (平凡社新書)
クリエーター情報なし
平凡社
恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた
クリエーター情報なし
文藝春秋

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