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 地熱のもとは何?
 3月11日の巨大地震と津波によって福島第一原子力発電所で大規模な事故が発生し、日本は史上最大級の電力不足のさなかにある。原発反対派は福島第一事故をきっかけに、太陽光や風力、水力、地熱などの自然エネルギーの急速な拡大を推し進めている。

 特に日本の地形・地質にあった地熱は有望である。豊かな地熱資源は8000万キロワットを超える発電能力を秘めており、電力需要の半分を満たすことができるという。ところで地熱はどこからくるのだろうか?

 東北大学、ニュートリノ科学研究センターの調査で、地熱の大半が放射性元素の崩壊熱が原因であることがわかった。つまり、地熱の正体は、昔のどろどろの惑星のなごりで、冷え切っていないから…ということだけではなかった。今、原子力発電が問題になっているが、驚くべきことに、地球自身が原子炉になっており、地核で天然放射性元素が崩壊するために熱くなっているのだ。この成果は、7月18日にNatureGeoScience 電子版に掲載された。

KamLAND

 Wikipediaによると、地熱の発生源は、落下した隕石がもともとの地球の構成中に取り込まれるときの衝撃および圧縮の熱、過剰な重金属(鉄、ニッケル、銅)が地核に沈降していくときに放出される摩擦熱、地磁気が作る電磁気的効果によって生み出されるジュール熱、地核でウラン・トリウムなどの天然放射性元素が崩壊する時の熱に由来すると考えられている。

 反ニュートリノ観測装置「カムランド」
 岐阜県神岡鉱山にある、東北大学の液体シンチレータ反ニュートリノ観測装置「カムランド」を用いて、地球の内部で発生している原子核崩壊により飛来する反ニュートリノを測定することに成功した。この結果、地表で観測される地熱のおよそ半分だけが放射性物質によるものであり、残りは地球形成時の熱が残っている可能性が示された。

 地球で発生する地震や火山活動、それらを引き起こすプレート運動やマントル対流の原因である地熱を調べることは、地球の形成・進化の過程を追う上でも非常に重要である。しかし地球内部の熱生成を直接調べることは難しく、これまで地球を形成したと考えられる隕石を用いた間接的な推定くらいしかできなかった。

 今回、放射性物質が崩壊する際に発生する「反電子ニュートリノ」を利用することで、地球内部に存在する放射性物質からの熱量の推定に成功した。

 原子炉反ニュートリノと地球反ニュートリノ
 観測に用いられたのは岐阜県神岡鉱山にある液体シンチレータ反ニュートリノ観測装置「カムランド」である。「カムランド」は地下1000mの場所に置かれた直径18mの球形のタンクに1000トンもの特殊な液体を入れた反ニュートリノ検出器であり、地球反ニュートリノなど、低エネルギーのニュートリノも検出できるという特徴を持っている。

 ウランやトリウムは地球内部の放射性物質の大部分を占め、これらが放射線を出して崩壊する際に、一緒に反電子ニュートリノを出すことが知られている。「カムランド」はこのウランやトリウムからの反電子ニュートリノに感度を持っているため、今回はこの地球内部のウランやトリウムからくる反電子ニュートリノの検出を行った。

 しかし、ウランやトリウムからの反電子ニュートリノは地球内部からだけではなく、原子力発電所からも発生しており、これらを取り除く必要がある。原子炉からくる反電子ニュートリノは地球内部から来るものと比較してエネルギーが異なるため、区別することが可能だ。

 2002年3月から2009年11月までの7年8か月分のデータを解析したところ、841個の反電子ニュートリノの検出に成功していた。そのうち大部分が原子炉やそれ以外の要因によるものであったが、106+29-28個が地球内部のウランやトリウムから来たものであることがわかった。

 地熱総量44兆ワットのうち、放射性物質21兆ワット
 この数字をウラン・トリウムが出す熱量に換算すると、マントルからおよそ10兆ワット地殻からは7兆ワットの熱が発生していることになる。今回は検出限界以下で測定できなかったカリウムからの熱(推定値)を合わせると、放射性物質から発生する全熱量はおよそ21兆ワットであることがわかった。

 隕石を用いた推定では合計で20兆ワットの熱が放射性物質から発生していると考えられ、この結果ともよく一致していた。

 地表面で観測される宇宙空間に放出している熱量は、地殻のボーリング調査からおよそ44兆ワットであることが知られており、この数字と比較すると約半分が放射性物質からの熱ということになる。

 この結果、地球から発生している熱の全てが放射性物質起源でないことを証明することができ、残りの半分は地球が形成したときに重力エネルギーが解放されたことによって発生した熱が残っている、またはまだ知られていない別の熱源が存在している可能性を示している。

 この「カムランド」の成果はニュートリノを利用した「ニュートリノ地球物理学」という分野の創出と、地球科学の重要な知見を得ることができたと言えるだろう。(2011年7月21日 東北大学プレスリリース)

 地球ニュートリノとは?
 地球内部から届く素粒子ニュートリノ。東北大などのグループは、岐阜県神岡鉱山地下の観測装置カムランドで電子型の反ニュートリノを検出したと2005年7月発表した。地殻などが含むウランやトリウムの崩壊過程で放出されたらしい。これらの崩壊は地球の熱源とされており、その生成粒子の検出は地球内をのぞく新しい窓となる。ニュートリノの物理学は、超新星で天文学と、今回の観測で地球物理学とつながった。( 知恵蔵2011 )

 ニュートリノは物質を構成する素粒子の中で宇宙に最も多く存在し、電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノとそれらの反粒子である、反電子ニュートリノ、反ミューニュートリノ、反タウニュートリノの全部で6種類ある。

 反ニュートリノとは?
 反ニュートリノ(Antineutrino)は、ベータ崩壊の際に生成する中性の粒子で、ニュートリノに対する反粒子である。1930年にヴォルフガング・パウリによって理論的に予測され、1956年にフレデリック・ライネスとクライド・カワンによって最初に検出された。中性子が陽子に崩壊するベータ崩壊の過程で放出される。スピンは1/2で、レプトンファミリーの1つである。これまでに観測された反ニュートリノは全て右回りのヘリシティーを持つ。

 反ニュートリノは重力相互作用と弱い相互作用によってのみ、他の物質と反応するため、実験的に検出することは大変困難である。ニュートリノ振動の実験により、反ニュートリノは質量を持つことが示唆されたが、ベータ崩壊の実験により、その質量はかなり小さいことが分かっている。

 反ニュートリノもニュートリノも中性であるため、これらは実は同一の粒子の可能性もある。このような性質を持つ粒子はマヨラナ粒子と呼ばれる。ニュートリノが真のマヨラナ粒子だった場合、ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊が許容される。いくつかの実験結果により、この過程の存在が示唆されている。

 核不拡散の観点から、反ニュートリノを原子炉のモニターに利用する可能性の研究も行われている。(Wikipedia)

参考HP 東北大学ニュートリノ科学研究センター 地球反ニュートリノ研究で判明「地球形成時の熱は残存している!」

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