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 期待される再生可能エネルギー
 我が国のエネルギーをめぐる情勢を見ると、石油・石炭などの化石エネルギーに依存した時代から、石油ショックなどを経験し、水力、原子力などのエネルギーも併用する時代へ移行してきた。しかし、これらのエネルギーは環境への負荷が大きいことから、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーを利用する方法が考え出された。

 3月11日の東日本大震災にともなう、福島第一原子力発電所の事故によって、原子力の安全性に問題が生じた。現在、再生エネルギーへの移行が検討されている。しかし、発電電力量の割合は「水力8.1%、火力61.7%、原子力29.2%、再生可能エネルギー1.1%」(2009年度)で、再生可能エネルギーの割合はわずか1.1%。再生可能エネルギーの導入量を増やすことは大切だが、すぐには原子力の代替にはならず、これまでのエネルギーを併用する時代はまだ続きそうだ。

 現在、再生可能エネルギーの普及を促進するために、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」が国会で審議されている。これが通ると、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気について、国が定める一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付けられる。買取に要した費用に充てるため各電気事業者がそれぞれの需要家に対して使用電力量に比例した賦課金(サーチャージ)の支払を請求することができるしくみだ。

EnergyReport

 風力発電の課題
 日本国内では、再生可能エネルギーの研究は日々行われており、私も再生可能エネルギーの開発自体は大賛成だ。むしろ革新的な技術が発明されて、原発を使わないで済むようになることを期待したい。科学は夢を実現する手段であるから、そうであってほしいと思う。そのためには、どんな課題があるのだろうか?

 茨城県鹿島灘の洋上に、風力発電の風車が100基建設される計画が進んでいる。建設するのはウインド・パワー・エナジー社で、原発1基分、約50~100万kwの発電量を見込んでいる。2013年完成予定だ。

 島根県出雲市にある新出雲風力発電所は国内最大の風力発電所だ。風車が全26基、7万8000kwの発電を見込んで建設された。発電所は2009年4月に営業運転を始めた。しかし、半年後には台風に伴う強風で1基の羽根(ブレード)を破損。さらに1基が落雷を受けブレードが破損。その後も事故が続き全基を停止した。2011年6月中旬から再開されたが、強風や雷に対する課題がある。(asahi.com 2011年6月5日)

 その他風力発電には、出力電力の不安定・不確実性と、周辺の環境への悪影響の問題がある。特に設置場所の選定が重要となっている。 風力原動機を設置する場所の風況が発電の採算性に大きく影響する。風速の変動に伴って、出力の電圧や力率が需要と関係なく変動する。周囲に騒音被害を与える恐れがある。

 現時点ではコスト面で法的助成措置を必要とする。また、蓄電池、スマートグリッドなどインフラの拡張などにある程度の追加費用を要するとされる。ブレードに鳥が巻き込まれて死傷する場合がある。風車は年々タワーは高く、ブレードは長くなる傾向にあり、それに伴い点検や補修に係るコストを増大させる。風量によっては余剰電力を増大させる。 景観が威圧的で、人によっては恐怖心、不気味さを与える。高原や山地などに立地する事が多く、観光客が減少する可能性もある。 地震によって発電停止することがある。(Wikipedia)

 太陽光発電の課題
 太陽光発電で、一番問題なのはエネルギーコストだ。2010年度版エネルギー白書によると、太陽光発電は1キロワット時の発電をするのに49円もかかる。これは、主に太陽電池をつくるためのコストである。これに対して原子力は5~6円、火力7~8円、水力8~13円、風力10~14円であり、これらに比べて割高である。そこで、法的助成措置により発生した電気を事業者に買い取ってもらいコストを下げる計画だ。  

 他に太陽光発電は、供給量が安定しない問題がある。夜間は発電せず、昼間でも天候等により発電量が大きく変動する。これについては、昼のうちに蓄電池で電気をためておく方法があるが、現在の蓄電池の能力では約23兆円程度の設備投資が必要である。また、配電系統へ連系する場合、設備量の増加に伴って系統インフラの改造(スマートグリッド等)も必要になる。

 さらに、土地の問題がある。設置面積当たりの発電量が集中型の発電方式に比べて低い。例えば、100万kw原子力発電所1基分を代替する場合、太陽光であれば約58平方km必要で、これは山手線内の面積とほぼ同じだ。一方、風力の場合は約214平方kmで、実に山手線の面積の3.4倍を必要とする。(Wikipedia)

 不安定な国政では困る
 このブログでは、科学技術やエネルギー、環境、自然などの分野で、新しく得られた知見を幅広く掲載したいと考えているが、現在、日本の進むべき方向に由々しき問題が起こっている。本来、内閣で協議し、議会で了承を受けて決定すべきことを、ただ一人の首相の判断で国が動いてしまうことに問題を感じている。

 5月、菅首相が突然浜岡原子力発電所の停止を要請、数日後に管轄の中部電力が停止要請を受け入れた。これだけでなく、他の原発も定期点検に入ると再稼働させないつもりだ。浜岡原発を止める法的根拠や理由を示さない菅首相の決定は「政治主導」にはほど遠い、法治主義を無視した行為だ。

 7月、菅首相は北朝鮮関連団体への政治献金疑惑が発生した後、突然、記者会見で「将来的に原発に依存しない社会を目指す」と明言し、日本のエネルギー政策を大転換させる考えを打ち出した。これも、内閣で協議し、議会で了承を受けたわけではない。翌日には「個人的な見解だった」と言い直している。

 科学技術やエネルギー開発は、しっかりと落ち着いた「国」があって初めて発展する。米国にノーベル科学賞受賞者が多いのはそのためである。菅首相の行為は、まるで大統領のような越権行為だ。ちゃんと我が国の法に則ってやってもらいたい。本来、私は自然科学についてだけ考えていたいが、国が法秩序を無視して道を誤りそうな場合は国政にも意見したい。

参考HP Wikipedia 再生可能エネルギー 読売新聞 検証 脱原発1~5
資源エネルギー庁
エネルギー白書 2010

太陽光発電システムがわかる本
クリエーター情報なし
オーム社
マイクロ風力発電機の設計と製作 (Hardware Selectionシリーズ)
クリエーター情報なし
CQ出版

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