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 がれき撤去し、海開き
 岩手県久慈市の舟渡海水浴場で7月24日、海開きがあった。曇り空で最高気温は22.7度までしか上がらず肌寒かったが、子供たちが海の感触を楽しんだ。

 久慈市によると、岩手、宮城、福島の東北3県の主要な海水浴場で、今夏に営業するのは舟渡海水浴場の1カ所だけ。3県の海水浴場は、がれきの撤去が進まなかったり、砂浜が波にのまれてなくなったりしたため、各県が今夏の営業を見送っていた。舟渡海水浴場もがれきや流木が散乱していたが、市職員が先月から1カ月かけて撤去。岩手県が海水を測定した結果、放射性物質は検出されず、水質検査でも安全が確認されたため海開きを決めた。(産経news 2011.7.24)

 東日本大震災のがれきの影響で、なかなか復興が進まない。久慈市のように海開きできるほどがれきの撤去が進んだのは珍しい。がれきの撤去はなぜ進まないのだろうか?また、がれきを有効利用する方法はないだろうか?

Minamis_after_tsunami

 がれきの量とそのゆくえ
 国は、自治体の負担を軽減するため、がれきの処理はすべて国費を投入する方針。 環境省によると、阪神大震災時のがれきの処理量は、約1450万トン。今回のがれき量の推計は、宮城県約1600万トン、岩手県約600万トン、福島県約290万トンの計約2490万トンで、2倍近い。自動車や船舶などは含まれず、さらに処理の長期化や財政負担増が予想される。

 宮城県は1年以内に仮置き場に撤去し、その後2年以内にすべて処分する方針。岩手県も本年度中に撤去を終え、3年から5年かけて処分を予定。ただ撤去を担当する自治体の担当者は「この量と手間を考えると、1年での撤去なんてとても無理」と話している。福島県は「福島第一原発の問題で入れない地域もあり、現時点で処分時期は決められない」と言う。(東京新聞 2011年4月11日)

 被災自治体だけですべてを処理するのは困難なため、環境省が岩手、宮城、福島、茨城、沖縄を除く42都道府県に処理を打診した。これまでの中間集計によると、受け入れ可能な量は、紙くずや木くずなど可燃物の焼却処理が関東や中部、近畿の自治体を中心に年間最大180万トン。廃プラスチックや建物廃材などの破砕処理が65万トン、最終処分場への埋め立てが36万トンだった。

 環境省は最終集計がまとまりしだい、搬出するがれきの受け入れ先を調整。西日本などの遠隔地には、鉄道や船舶による搬送も検討している。広域的な受け入れのほか、宮城県と仙台市が焼却炉計9基の新設を予定するなど、被災自治体でも処理能力の強化が検討されている。福島第1原発周辺の放射性物質で汚染された可能性のあるがれきをどう扱うかは、関係省庁が協議を続けている。(2011/04/19 共同通信) 

 がれきを発電に有効活用
 林野庁は4月19日、東日本大震災の被災地にある大量のがれきをバイオマス(生物資源)発電などで有効活用する事業を実施する方針を固めた。2011年度第1次補正予算に3億円程度を盛り込む方向で調整している。

 政府の推定によると、がれきは家屋によるものだけで2500万トンあり、その約8割が木材とみられている。木材をバイオマス発電に使うには、5センチ以下の木くずにする必要があり、市町村や業者が被災地での利用のために移動式の木材破砕機を購入する際、2の1を補助する。破砕機の価格は1時間当たりの処理能力で異なるが、数千万円と言う。

 バイオマス発電所は全国に100カ所程度あり、民間企業が運営。木くず10万トンで年間1万キロワットの発電が可能とされる。福島第1原子力発電の事故で今夏の電力不足が懸念される中、バイオマスの発電能力を向上させて対応する狙いもある。

 発電だけでなく、木くずを接着材と混ぜて板にする「木質ボード」としての有効活用も見込む。木質ボードは住宅の床材や壁材などに使われている。

 がれき処理そのものは、環境省の災害廃棄物処理事業費として3000億円程度が計上される方向だが、ほとんどが焼却される見通し。林野庁はがれきの木材のうち、少なくとも1~2割を有効活用したい考え。すでにバイオマス発電所で自家発電している業者や木質ボードメーカーなど6カ所から、木くずを引き受ける申し出があると言う。(産経news 2011.4.19)

 ブラウン管を放射線遮蔽材料に
 7月25日、アナログ放送が終了した。多くの人が薄型デジタルテレビを購入。その結果大量のブラウン管テレビが廃棄されることになる。

 物質・材料研究機構(茨城県つくば市)は25日、テレビのブラウン管の破砕くずが放射線を100分の1にまで遮蔽(しゃへい)できる材料になることを確認したと発表した。地上デジタル放送への移行に伴い、大量廃棄が予想される廃ブラウン管を再利用すれば、東京電力福島第1原発事故現場周辺での遮蔽対策に役立つとしている。

 同機構によると、ブラウン管のガラスには鉛が重量比で25%程度含まれ、ガンマ線を遮蔽する効果がある。コバルト線源を使って実験した結果、ガラス破砕くずを厚さ55センチにすると、放射線を約100分の1にまで遮蔽可能で、厚さ9センチの鉛板に相当する能力という。破砕くずと粉砕時に出るガラス粉を混ぜると厚さ40センチで同じ効果があるという。

 同機構元素戦略材料センターの原田幸明(こうめい)・グループリーダーは「ガラス破砕くずは運びやすく使い勝手が良い。破砕くずを詰めた土のうを汚染したがれきの上に重ねるなどの方法で、遮蔽対策に使える」と話している。(毎日新聞 2011年7月25日)

 がれき撤去の遅れる理由!
 それにしても、1995年に起こった阪神淡路大震災に比べ、がれき撤去がすすまない。これはなぜだろうか?

 これについては、「阪神大震災とは状況が大きく違う。今回の大地震で壊滅的被害を受けた被災地は、殆どが人口が少ない地方都市で範囲も広い。阪神大震災では神戸の様な大都市が被害を受けて被災の範囲も今回の地震より狭いから、瓦礫撤去の手間も比較的少なかったし、跡地は神戸ほどの大都市では大きな建物がたくさん建つ事は明らかだから、大手ゼネコンが進出する理由があった。」

 「しかし、今回の地震は元々人口が少ない上に阪神大震災より遥かに多くの人が亡くなったから、仮に瓦礫を直ちに撤去して更地にした所で戻ってくる人も少ないし、大きな建物が多く建つ見通しはない。また、大手ゼネコンが進出すると地元の土木業者の仕事を奪う事になりかえって復興の妨げになりかねない。」という意見や

 「結局、権力争い。戦後日本は公共事業を中心とする土建国家でした。自民党を中心に土建族と呼ばれる政治家、旧建設省の官僚、ゼネコンがいましたが相次ぐ汚職、贈収賄の為、力を落とし政権交代も手伝い財務省の1人勝ちになっている。」

 「この国難をゼネコン中心に復興が進むと土建族の復権どころか民主党政治が確実に終わる。それだけは絶対に避けたい!そういった財務官僚、政治家が多いのが理由。政権交代があればすぐゼネコンが入って復興が進む。ただ、金権政治に逆戻りするかもしれない。」という意見がある。

 しかし、「ゼネコン=政治汚職」という図式は、短絡的すぎる。今は国の復興を第一に考えるべきだと思う。今すべきことを考えると津波に強い防災を考えた都市造りや、公共事業による雇用創出、再生可能エネルギーの導入を含めた復興などは、国が関わらねばできないこと。汚職は世界中に存在する問題。後で追求すればよいと思う。

参考HP Yahoo!知恵袋 東日本大震災でがれきの撤去が進まない理由

東日本大震災・原発事故 復興まちづくりに向けて
クリエーター情報なし
学芸出版社
東日本大震災 復興への提言―持続可能な経済社会の構築
クリエーター情報なし
東京大学出版会

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