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 アジア人初のノーベル科学賞受賞
 アジア人で最初のノーベル科学賞を受賞したのはだれだろう?それは、日本人ではない。インド人物理学者のチャンドラセカール・ラマンである。現在、日本人はアジアで一番ノーベル賞の受賞者が多いが、最初の受賞は1949年(昭和24年)の湯川秀樹のノーベル物理学賞であった。

 ちなみに、アジア人で最初ノーベル賞受賞者もインド人で、詩人タゴール。1913年、ノーベル文学賞を受賞している。当時インドは英国の植民地時代であり、1947年にインドが独立国になるまで、M.ガンディーも1937~48年にかけ、計5回ノーベル平和賞の候補になっている(本人が固辞したため未受賞)。現在もインドは英国連邦の1独立国であり、この受賞には政治的な意図があったと考える人もいる。

 さて、1930年のノーベル物理学賞の受賞理由は何だろう?それは「光散乱に関する研究とラマン効果の発見」である。光の散乱とは光が粒子と衝突して、その方向を変えられること。散乱のしかたには様々なものがあり、レイリー散乱、ミー散乱などがある。レイリー散乱は空が青い理由、ミー散乱は雲が白い理由である。そして、ラマン効果によって発生する光散乱が、ラマン散乱である。 

Chandrasekhara Raman

 ラマン効果・ラマン散乱 
 ラマン効果、ラマン散乱とは何であろうか?ラマン効果は、物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象をいう。1928年インドの物理学者チャンドラセカール・ラマンとK・S・クリシュナンが発見した。

 ラマン効果により散乱された光と入射光のエネルギー差は物質内の分子や結晶の振動準位や回転準位、もしくは電子準位のエネルギーに対応している。この原理を利用し、分子や結晶はその構造に応じた特有の振動エネルギーを持つため、単色光源であるレーザーを用いることで物質の同定などに用いられている(ラマン分光法)。

 ラマン散乱の原理を説明するのに良くテニスボールと玉突きのボールが引き合いに出される。 レーザー光をサンプルに当てた時、レーザー光はそこで拡散する。 その時ほとんどの光粒子はテニスボールのように同じ周波数(波数)で帰ってくる。 これがレイリー散乱(図の黒い矢印)と呼ばれているもの。この光はそのまま反射されているのでサンプルの分子情報は何も持っていない。 

 一方玉突きのボールのようにほとんど弾まない光は、サンプルに少し入り込んでその拡散した光粒子の中に、サンプルの分子情報によって変更された周波数(波数)情報を持っている。これがラマン散乱と呼ばれるもの。(図の緑と紫の矢印)

 さらに、ラマン散乱には、ストークス散乱と反ストークス散乱の2種類がある。ストークス散乱の場合、サンプルの分子は光粒子のエネルギーをほんの少しだが吸収する。 このため散乱された光粒子はもとの周波数より少し低い波数(長い波長)にシフトする。反ストークス散乱の場合は、逆に分子のエネルギーを光粒子が吸収することでおきる。このため散乱された光粒子はもとの周波数より少し高い波数(短い波長)にシフトする。 

 ストークス散乱と反ストークス散乱は中心周波数に対しほぼ対象に生じる。 実際にはほとんどの分子はエネルギーが低い状態ですのでストークス信号のほうが反ストークス信号より高い強度になる。 

 チャンドラセカール・ラマン
 チャンドラシェーカル・ヴェンカタ・ラーマン(1888年~1970年)はインドの物理学者。1930年のノーベル物理学賞受賞者。ラマン効果 (ラマンスペクトル)の発見者である。

 タミル・ナードゥ州のティルッチラーッパッリ生まれ。アーンドラ・プラデーシュ州のヴィシャーカパトナムで育つ。マドラス管区大学で学び、1917年にコルカタ大学の教授となる。そこで、光学の研究を行った。

 1928年、K・S・クリシュナンとともにラマン効果を発見した。
 1930年、この功績が認められ、ノーベル物理学賞を受賞する。受賞理由は「光散乱に関する研究とラマン効果の発見」である。 インド本国で研究したインド人研究者としては初めてのノーベル賞受賞者である。

 1934年にインド理科大学院の学長となった。1957年にはレーニン平和賞を受賞する。

 ちなみに、1983年にノーベル物理学賞を受賞したスブラマニアン・チャンドラセカールの叔父にあたる。スブラマニアン・チャンドラセカールは、1932年、白色矮星の質量に上限があることを理論的計算によって示し、恒星の終焉に関する「チャンドラセカール限界」を提唱した。ブラックホール研究者として有名である。1983年、「星の構造と進化にとって重要な物理的過程の理論的研究」でノーベル物理学賞を受賞した。 (Wikipedia)

参考HP トーキング・マイノリティ ノーベル賞再考 株式会社NEAT ラマン散乱光
Wikipedia
ラマン効果 世界のノーベル物理学賞 受賞者の経歴図鑑

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