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 電磁エネルギーを発電に利用
 福島第一原発事故の影響で、猛暑の夏、節電生活が続いている。現在、様々な再生可能エネルギーを利用した発電に期待がかけられているが、まだまだ発電効率や発電コストの面で問題がある。太陽電池の発電効率は10~20%、1kWhあたりの発電コストは、46円もある。風力発電は30~40%で、10~14円、水力発電は80%、8~13円、原子力は30%5~6円、火力発電は、30~50%、5~6円だ。

 単に発電効率やコストで選ぶなら火力発電がよいが、CO2による地球温暖化の問題や、石油などの一次エネルギーが有限であることなどの問題点がある。水力発電も発電効率がよいし、一次エネルギーが水のもつ力学的エネルギーなので、クリーンでよい。しかし、数多くつくれないし、つくられる場所も都市部から遠い場所に限られる問題がある。太陽電池は何といっても材料にお金がかかりすぎる。

 地熱発電、燃料電池なども期待されているが、すべてに完璧な発電方法はなく、一長一短がある。いろいろなエネルギーを組み合わせ、有効利用しながら発電することが大切だ。ところで、これまで利用されてこなかったエネルギーがまだある。それは何だろう?

Space Solar Power System

 その一つが電磁波のエネルギーである。もちろん太陽光も電磁波の1つであるが、電磁波の範囲は広く極超長波、超短波、マイクロ波(テラヘルツ波)、赤外線、可視光、紫外線、X線、ガンマ線、レーザーなど多彩だ。しかし、このうち発電に利用してきたのは可視光だけである。 

 空中の電波から微量の電力回収
 ところが今回、米ジョージア工科大のチームがテレビやラジオ、携帯電話などで送受信している空中の電波の電力を回収するシステムを開発した。まだ、取り出せる電力はごくわずかだが、センサーを動かしたりすることに使えそうだという。

 研究チームは、銀の微粒子などを含む液をインクジェットプリンターで吹き付けた紙やフィルムでできたアンテナを使う。テレビ局の電波から数百マイクロワット(電気炊飯器の待機電力の千分の1程度)の電力を回収し、温度センサーを動かすことに成功したという。

 これまで、最終的に熱として捨てられる電磁エネルギーを活用するアイデア。日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの助成で東京大学と共同で研究を進めてきたチームは「身の回りにエネルギーはいくらでもあるが、これまで誰も取り出せなかった」としている。(asahi.com 2011年8月15日)

 テレビ、携帯電話、電子レンジ、リモコン…など、私たちの身の回りは電磁波であふれている。これらを、有効に利用し電力を取り出せればすごいことだ。しかし、電磁波から電力を取り出す方法を考えたのは、これが初めてではない。では、最初に考えた人は誰だろう?

 ニコラ・テスラの無線送電
 正解は、「ニコラ・テスラ」。彼が考案した「無線送電システム」が最初だといわれている。

 ニコラ・テスラ(1856年~1943年)は、19世紀中期から20世紀中期に活躍したセルビア人の電気技師、発明家。交流電源、蛍光灯、熱伝導、リモートコントロールの原理(無線トランスミッター)、太陽発電、蛍光灯…などや、空中放電実験で有名なテスラコイル、また無線送電システム(世界システム)を提唱したことで知られている。磁束密度の単位「テスラ」にその名を残す。

 1884年にアメリカに渡り、エジソンの会社・エジソン電灯に採用される。当時、直流電流による電力事業を展開していた社内にあって、テスラは交流電流による電力事業を提案。これによりエジソンと対立し、1年ほどで職を失うこととなる。その後独自の道を進むことになる。

 彼の「無線送電」の実験は10mの塔のてっぺんに巨大な銅の半球を取り付けて稲妻と火花を発生させる、非常に危険なものだった。巨大な稲妻の雷鳴は15マイル先まで轟き、人々は路上に立って足に衝撃を感じながらその稲妻を眺め、馬は蹄からその電気を感じとるほどであったという。

 現在、「無線送電」の技術は受け継がれており、宇宙空間で、太陽光発電で得られた電気を人工衛星から、マイクロ波やレーザー光を用いて送電する計画が進行中である。既に日本をはじめ、基礎的な実験が各国で進められている。電磁場の強度は距離の二乗に反比例するので指向性の高いアンテナ(レクテナ)を用いて送受信するように設定される。 

 現代の無線送電システム 
 宇宙太陽光発電は、宇宙空間上で太陽光発電を行い、その電力を無線で地上に送る発電方法である。これを利用した発電システムは宇宙太陽光発電システム(Space Solar Power System)と呼ばれ、SSPSと表記される。

 太陽光は地表に届くまでに、大気の吸収などにより減衰する。またそれは、天候により変化する。大気圏外で発電し、大気の透過率の高い波長の電磁波に変換して地上へ届けた方が、損失が少なく効率が良くなり、安定する。また、軌道によっては日没の影響も減らすことができるため、約10倍程度宇宙の方が有利であるとされている。

 宇宙太陽光発電は、宇宙空間にある発電衛星と地上の受信局によって行う。地球の衛星軌道上に設置した施設で太陽光発電を行い、その電力をマイクロ波またはレーザー光に変換して地上の受信局(構想では砂漠または海上に設置する)に送り、地上で再び電力に変換するという構想になっている。

 発電衛星と送電を中継する送電衛星を利用すれば夜間でも安定的に地上への電力供給が期待でき、無尽蔵の電力をほぼ24時間365日にわたって利用できる。この特徴から原子力発電同様にベース電力としての利用が可能である。なお、太陽電池による発電のかわりに、太陽熱を利用した汽力発電を利用することもでき、この場合は宇宙太陽熱発電と呼ばれる。また、発電施設の設置場所を軌道上ではなく、月面に固定することも考えられる。(Wikipedia)

 長所と短所
 長所としては、従来の発電方法に比べて発電量が多い。 環境汚染を引き起こさない。資源の枯渇の心配が無い。地上の受電設備をレクテナ(マイクロ波を直流電流に変換するアンテナのこと)にすることで、地上に照射されるエネルギー密度を、自然物に影響のないレベルに下げることができる。

 広大な面積を必要とするが、レクテナの下は居住区や農地に利用できる。地表面で、生体への影響を考慮する必要がない程度のエネルギー密度、10W/m²程度を想定している。この場合、10km四方の受電設備で、原子力発電1機分にあたる1GW(100万キロワット)の電力を受け取ることができる。

 短所としては、太陽電池を用いる場合、面積が巨大になり宇宙塵やスペースデブリなどへの対処が難しい。宇宙での大型構造物であるため、故障した場合の修理が非常に難しい。宇宙空間であるため放射線量が高く、被爆を考えれば作業員による建造、修理は不可能であり、機械であっても放射線への強い抵抗力が必要である。

 衛星軌道上に設置した場合、ソーラーセイルと同様に太陽光圧の影響が大きく、頻繁に軌道修正が必要。定期的に推進剤を補充する必要がある。地球の影に入った場合に発電できない。ただし発電衛星を静止衛星軌道上へ建設した場合はほぼ24時間発電可能。周波数によっては漏洩電波、高調波により衛星、その他無線通信への影響がある。他自然エネルギーに比して安定したエネルギー供給が可能になるものの、初期投資が非常に高額になる。受信設備以外にエネルギーを発信するなどの方法による兵器化のリスクが伴う。などがあげられている。 (Wikipedia) 

参考HP Wikipedia 宇宙太陽光発電 ニコラ・テスラ

宇宙太陽光発電所
クリエーター情報なし
ディスカヴァー・トゥエンティワン
NHKサイエンスZERO 宇宙太陽光発電に挑む (NHKサイエンスZERO)
クリエーター情報なし
NHK出版

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