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 化学賞にイスラエルのシェヒトマン氏
 スウェーデン王立科学アカデミーは10月5日、2011年のノーベル化学賞を、結晶でもアモルファス(非晶質)でもない固体の状態である準結晶を発見したイスラエル工科大特別教授のダニエル・シェヒトマン氏に授与すると発表した。

 同アカデミーは授賞理由について、「スペインのアルハンブラ宮殿などアラブ世界の魅惑的なモザイクを原子レベルで再現したともいえる準結晶の発見は、科学者の間で数学と芸術の融合と評されている」と説明している。

 原子配列が周期的な固体が結晶、不規則なものがアモルファスだが、準結晶はそのいずれにも属さず、原子配列に一定の規則性があるにもかかわらず周期性はない。

Daniel Shechtman

 シェヒトマン氏は1982年4月、アルミニウムとマンガンの合金を急冷によって作った際に準結晶を発見した。これは、サッカーボールの表面を作るには五角形と六角形が必要なのに六角形だけでできたサッカーボールを見つけたのに等しい。当時の常識からは考えられず、シェヒトマン氏は研究室から退去を求められたという。

 今ではさまざまな物質から準結晶が発見されている。硬くて丈夫な性質を持つことから、フライパンやディーゼルエンジンの素材など日常生活でも広く活用されている。授賞式は12月10日にストックホルムで行われる。賞金1千万クローナ(約1億1千万円)が贈られる。(msn 2011.10.5)

 第3の固体の発見
 今年のノーベル化学賞を射止めたのは、イスラエルのダニエル・シェヒトマン教授の「準結晶の発見」であった。この研究の受賞は大方の予想を覆した。あまり聞いたことのない「準結晶」とは何だろう?

 ひとことでいえば、結晶・アモルファスに続く、第3の固体。これまで固体を構成する原子の構造は、原子が格子状に同じパターンで規則正しく並んでいる結晶か、無秩序なアモルファスのいずれかと考えられてきた。

 例えば、正三角形・正方形・正六角形のタイルは、同一平面に敷き詰めることができる。ところが、正五角形ではどう詰めても隙間が空いてしまい、タイルの敷き詰めは不可能になる。

 ところが1972年から、ロジャー・ペンローズという物理学者が、変わったタイルの敷き詰め方をいくつか考案する。最も有名なのは2種類の菱形から成るタイルパターンで、5回対称という今までにない対称性を持ったが、周期性を持たなかった。つまり一定の形が繰り返し現れることがなく、しかも無限に広くタイル張りが可能という、不思議な紋様であった。

 これが結晶学者の興味を引いた。このような非周期的な詰まり方をした「結晶」がありうるのではないかと考えたからだ。そして1984年、シェヒトマン教授がこのような固体を発見する。

 彼はアルミニウムとマンガンの合金を急速に冷却するとどのような結晶ができるかを研究していたのだが、これをX線結晶解析にかけたところ、10回対称という対称軸を持っていることに気づいた。これは、結晶学の常識をひっくり返す発見であり、当初は容易に信じてもらえなかった。しかし詳しい解析の結果、これはまさにペンローズの予言していた非周期パターンの3次元版であることがはっきりした。

 後にこれは「準結晶」(Quasicrystal)と名づけられることになる。バルクとしての準結晶(安定相)は、その非周期性のためへき開面を形成し難く、このため比較的硬くて強靭(脆くない)である。さらに東北大学の蔡安邦らが安定な準結晶合金を作り出すことに成功し、研究は大きく進展した。

 結晶とは?
 結晶(crystal)とは原子や分子が空間的に繰り返しパターンを持って配列しているような物質である。より厳密に言えば離散的な空間並進対称性をもつ理想的な物質のことである。現実の物質の大きさは有限であるため、そのような理想的な物質は厳密には存在し得ないが、物質を構成する繰り返し要素(単位胞)の数が十分大きければ(アボガドロ定数個程度になれば)結晶と見なせる。

 結晶のわかりやすい例は食塩の結晶で、NaとClのイオンがジャングルジムのように規則正しく詰め込まれた構造だ。ちなみにアモルファスというのはこのような規則性のないバラバラなつまり方をした固体で、身近なものではガラスが代表的である。

 結晶のつまり方にはいろいろなパターンがあるが、対称性のある構造であることは共通している。その回転対称性については、3回対称・4回対称・6回対称の3通りしかない。平面にタイルのように敷き詰めできる正多角形は正三角形・正方形・正六角形の3種しかないのと、基本的に同じ理屈。

 この原子の並びは、X線程度の波長の光に対して回折格子として働き、X線回折と呼ばれる現象を引き起こす。このため、固体にX線を当てて回折することを確認できれば、それが結晶していると判断できる。

 現実に存在する結晶には格子欠陥と呼ばれる原子の配列の乱れが存在し、これによって現実の結晶は理想的な性質から外れた状態となる。格子欠陥は、文字通り「欠陥」として物性を損ねる場合もあるが、逆に物質を特徴付けることもあり、例えば、一般的な金属が比較的小さな力で塑性変形する事は、結晶欠陥の存在によって説明される。(Wikipedia)

 アモルファスとは?
 アモルファス (amorphous)、あるいは 非晶質とは、結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序はある物質の状態。熱力学的には、自由エネルギーの極小(非平衡準安定状態)にある状態のこと。

 amorphous は、morphous(形を持つ)に「非」の意味の接頭辞 a‐ が付いた語。結晶は、明礬や水晶のようにそれぞれ固有の結晶形態を持っており、morphous である。しかし、急冷や不純物が混じった状態で出来た固体は、時間的空間的に規則的な原子配列が取れず非晶質となり、不定形である。

 アモルファス状態は、非金属ではしばしば見られる状態である。しかし、金属にもアモルファス状態が存在することは、アメリカのポール・デュエイ (Pol Duwez) カリフォルニア工科大学教授らが1960年に発見した。
 
 アモルファスとされるものには結晶構造を完全にもたないものと、光学的には結晶構造が見られない場合でもX線解析では弱い回折を示す潜晶質とがある(ただし、潜晶質は結晶質と解される場合もある)。天然に産出する鉱物では、非晶質と言われるものの、そのほとんどが潜晶質である(例:オパール、メノウ)。

 均質で等方性であることが挙げられる。結晶が存在しないため、結晶粒界や格子欠陥のような「弱い」構造が存在しないことが利点になる。

 結晶状態とアモルファス状態では、同じ材料でも物性が大幅に変わることがある。例えば電気伝導性や熱伝導性、禁制帯幅、光透過率や光吸収率、透磁率、物理的強度、耐蝕性、超伝導性などである。(Wikipedia)

 準結晶とは?
 準結晶(quasicrystal)とは結晶ともアモルファスとも異なる、第三の固体物質ともいうべき状態である。結晶を定義づける並進対称性は持たないが、原子配列に高い秩序性を有している。この研究に大きな貢献をしたダニエル・シェヒトマンに2011年のノーベル化学賞が授与された。

 結晶は並進対称性を持つことから、その電子線回折等の回折像は1回、2回、3回、4回および6回のいずれかの回転対称性を示す。これに対して、準結晶の回折像は5回、8回、10回または12回対称を示す。また、準結晶の回折図形には鋭い回折スポットが現れており、アモルファスのようにランダムな構造ではなく、高い秩序度を有していることを示している。このように並進対称性(周期性)を持たないが、高い秩序性が存在する構造として、一次元におけるフィボナッチ数列や、二次元におけるペンローズ・パターン(ロジャー・ペンローズによって提唱された)が知られている。このような構造は、高次元空間の結晶構造を、その結晶構造の対称軸に平行でない低次元空間に射影することで得られる。

 準結晶は1984年、ダニエル・シェヒトマンによって液体状態から急冷したAl-Mn合金から発見された。初期に発見された準結晶は熱力学的に不安定であり、熱を加えると、より安定な結晶相が析出してしまっていたが、東北大学金属材料研究所(当時)の蔡安邦らによって、Al-Cu-Fe(1987年)やAl-Ni-Co(1989年)といった安定な準結晶が次々と発見された。

 準結晶に特有の物性として、金属としては異常に高い電気抵抗があげられる。例えば、アルミニウム、銅、鉄はいずれも良導体であるが、これらからなる準結晶Al-Cu-Feでは電気抵抗が10万倍にも達する。また、準結晶は、その非周期性のためへき開面を形成し難く、このため比較的硬くて強靭である。(Wikipedia) 

参考HP Wikipedia 準結晶 有機化学美術館 第3の固体「準結晶」
固体の原子配列秩序と物性 結晶・準結晶・アモルファス Nobelprize.org Daniel shechtman

結晶・準結晶・アモルファス (材料学シリーズ)
クリエーター情報なし
内田老鶴圃
物理学最前線〈19〉
クリエーター情報なし
共立出版

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