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 スピントロニクス
 スピントロニクス (Spintronics) とは、固体中の電子が持つ電荷とスピンの両方を工学的に利用、応用する分野のこと。  これまでのエレクトロニクスではほとんどの場合電荷の自由度のみが利用されてきたが、この分野においてはそれだけでなくスピンの自由度も利用しこれまでのエレクトロニクスでは実現できなかった機能や性能を持つデバイスが実現されている。この分野における代表的な例としては1988年に発見された巨大磁気抵抗効果があり、現在ハードディスクドライブのヘッドに使われている。

 巨大磁気抵抗効果(GMR)は、外部磁場によって電気抵抗が変化する現象である。1nm程度の強磁性薄膜(F層)と非強磁性薄膜(NF層)を重ねた多層膜には数十%以上の磁気抵抗比を示すものがある。このようにして、磁気抵抗を大きくしたものを巨大気抵抗効果と呼ぶ。1987年にドイツのペーター・グリューンベルク、フランスのアルベール・フェールらによって発見された。 巨大磁気抵抗効果を応用した磁気ヘッドの登場によって、HDDの容量が飛躍的に増大した。 グリューンベルクとフェールはこの発見によって、2007年のノーベル物理学賞を受賞している。

 この現象は、電子スピンが2種類あるから起こる現象である。強磁性体の中では原子の持つ磁石(スピン)の磁界の向きが、同じになっている。電子にも磁石の性質(スピン)があり、強磁性体の中を流れる電子もみな同じ方向を向いている。巨大磁気抵抗効果では、まわりの磁界を変化させることで、電子スピンが力を受けてその動きに変化が起きるので、電気抵抗があらわれる。

Spintronics

 この現象は、フレミング左手の法則に似ている。フレミング左手の法則は、導線電流のまわりの磁界を変化させると、導線が力を受けるというものである。この場合の電流に電子スピンの違いは関係がないが、巨大磁気抵抗効果の電流では、磁性体に電流を流すので、電子スピンが2種類に分かれている点が決定的に違う。

 2種類の電子を分ける
 電子にスピンがあり、上下2種類の向きがあるといっても、日常生活ではわかりにくい。この2種類の電子を分けるにはどうしたらよいのだろうか? 

 2008年4月、理化学研究所では、この2種類の電子を2つに分け、生じるスピン蓄積(スピンホール効果)を、電気的に検出することに成功した。

 電子の電荷の運動を「電流」と呼ぶのに対して、電子スピンの運動を「スピン流」と呼ぶ。 スピンの向きの違う2種類の電子は、強磁性体と非磁性体から成る積層構造に電流を流すことで、スピン偏極した電流が観察される。

 今回の研究では、強いスピン軌道相互作用を示す白金などの貴金属を用いることにより、磁性体を用いずに室温でスピン流を生成できることを電気的に検出し、その実態を明らかにした。

 物質中を伝導する電子の軌道は、スピン軌道相互作用によって、電子が持つスピンの方向と伝導する方向に垂直な方向へと曲げられる。曲げられる向きはフレミング左手の法則が成立する。

 電子のスピンの方向が反転すると、作用する力の方向も反転する。そのため、図のように、非磁性体に電流を流すと、上向きスピンは奥側に、下向きスピンは手前側に曲げられ、スピン流が電流と垂直方向に発生する。これを「スピンホール効果」という。研究グループは、このスピンホール効果によるスピン流を電気的に検出した。

 また、同じ装置で、、電流・電圧端子を入れ替え、スピン流を白金細線に注入すると、白金に電流が生じることが確認できた。これは、スピンホール効果と逆の現象であり、「逆スピンホール効果」という。 

 スピンホール効果とは?
 非磁性体の金属や半導体に電流を流すと、電流と垂直の方向に電子スピンの流れ(磁気の流れ)が発生する現象。電流の替わりにスピン流を利用するスピントロニクスへの応用が期待されている。

 電子には電荷とスピンという二つの性質があり、スピンには上向きと下向きの二つの状態がある。非磁性体に電流を流すと、上向きスピン電子と下向きスピン電子が、それぞれ電流と直交する方向の両端に分かれて蓄積する結果、スピン流が生じる。

 従来、非磁性体の中でスピン流を発生させるためには強磁性体(磁石)が必要と考えられていたが、スピンホール効果を利用することで、電流によってスピン流を発生させ磁化を制御できるようになる。

 上向き・下向きのスピンを二進数の0・1に対応させることで演算や記憶に利用することができ、高速低消費電力の次世代スピントロニクス素子の開発が期待されている。スピンホール効果に続いて、スピン流が電流に変換される「逆スピンホール効果」や、磁石の両端に温度差を与えると磁気の流れが発生する「スピンゼーベック効果」なども相次いで発見されている。

 ホール効果とは?
 ホール効果(Hall effect)とは、電流の流れているものに対し、電流に垂直に磁場をかけると、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が現れる現象。主に半導体素子で応用される。1879年、米国の物理学者エドウィン・ホール(Edwin Herbert Hall, 1855-1938)によって発見されたことから、このように呼ばれる。

 p型またはn型の半導体試料において、x方向に電流を流し、y方向に磁場をかける。この時試料を流れている荷電粒子(キャリア)は磁場によるローレンツ力を受けてz方向に動く。これによって電流と磁場の両方に直交する方向に電場(ホール電場)が現れる。これがホール効果である。ホール素子などによる磁場の検出に用いられるほか、半導体の電気的特性の測定などに応用される。

 これは、ホール電圧がキャリア密度の逆数に比例するためである。ゆえにキャリア密度の大きい金属ではホール電圧が半導体に比較して微小な値となるため、この現象を利用した物性測定は半導体が主である。しかしながら、強磁性金属など磁化を帯びた物質中では、この磁化に起因するホール電圧が生じることもある。このような強磁性体の磁化に起因するホール効果を特に異常ホール効果と呼ぶ。また物質中のスピン軌道相互作用に起因してそれぞれ逆向きのスピンを有するキャリアが逆方向へと散乱されるスピンホール効果も近年注目を集めている。

参考HP Wikipedia スピントロニクス 
理化学研究所
電流の中の電子スピンの方向を選り分ける、スピンホール効果

世界に勝てる!日本発の科学技術 (PHPサイエンス・ワールド新書)
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スピントロニクス理論の基礎 (新物理学シリーズ)
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培風館

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