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 キログラムの定義、120年ぶり見直しへ
 質量の単位「キログラム」の国際的な定義が、120年ぶりに見直される。フランスで開催された国際度量衡総会が10月21日、定義の見直し方針を採択したもので、今後、最先端研究をもとに4~8年かけて新しい定義を決める。

 現在、1キロ・グラムは仏の国際機関・国際度量衡局に保管されている白金とイリジウムの合金でできた円柱形の分銅「キログラム原器」が基準。日本も同じ材質の原器がつくば市の産業技術総合研究所にある。

 しかし、これまで繰り返し行われた洗浄やほこりの付着で、質量が微妙に変化したとされる。そのため定義の見直しの必要性が指摘されていた。今後は、質量の単位を原子の数、エネルギー量など普遍的な形で定義し、それをもとに分銅を作製する。新定義によって微小な分銅の作製も可能となり、ナノテクノロジーなどの産業にも生かされる。(2011年10月22日  読売新聞)

 

 国際キログラム原器は、白金イリジウム合金製の分銅。1889年、メートル条約に基づいてつくられ、パリの国際度量衡局に厳重に保管されている。

 本来、質量は一定のはずだが、1988年に洗浄された際は1億分の6程度軽くなった。また、2007年9月、国際キログラム原器が50µg軽くなっている事が判明した。“50µg”とは指紋が付いた分に相当するという。同時に作られた複製品には異常がなく、また厳重保管されているのに、なぜこのような状態になったかは未だに不明だという。

 この量は、極々わずかなので私たちの生活に問題はない。しかし、高精度の測定が必要な先端科学の世界では、より正確で安定的な定義が求められていた。

 「1kg」はどうやってきめられたか?
 「1m」は光の速さで、真空中を約3億分の1秒に進む距離として定義されている。では1kgはどうやって決められたのだろうか?

 1790年フランス、国王ルイ16世の号令の元、新しい時代の度量衡としてメートル法を策定すべく、主に科学者達で構成された委員会が結成された。当時その委員会において、質量単位のモデルとして1メートルの10分の1で構成された立方体の升に入った水の質量、すなわち1リットルの大気圧下で氷の溶けつつある温度(0度)における水について、grave(グラーブ、記号G)と名称が与えられた質量単位を標準とする事が提案された。その語源はgravity(重力)から由来したものである。

 当初案の定義では、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0度)における水について」となっていたが、その後、水の体積は温度依存することが分かり、結果として定義は、1790年に「最大密度(=液温摂氏4度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量」と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわち、このキログラムの定義は正確ではなかった。 

 1884年メートル条約で、国際キログラム原器をつくって、定義されることになった。国際キログラム原器はプラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金でできており、直径・高さともに39mmの円柱である。フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局に、二重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている(世界のすべての質量計測の基準であるので、万一にも錆などにより質量が変化しては困る)。国際キログラム原器の質量は "Le Grand Kilo" と呼ばれる。

 国際キログラム原器を元に40個の複製が作られて各国に配布・保管されており、約10年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている。日本には1889年に複製のうちの1つ (No.6) が配布され(日本到着は翌1890年)、日本国内ではこれをキログラムの基準に使用している。この日本国キログラム原器は現在、茨城県つくば市の独立行政法人産業技術総合研究所に、国際キログラム原器と同様の容器内に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.170mg重いことが分かっている。

 このように、メートルなど他のSI基本単位は、普遍的な物理量に基づく定義に改められているのに対し、キログラムだけが人工物に依存する単位として残ってしまった。人工物による定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。1970年代から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。

 普遍的な物理量による定義へ
 では、どのような定義が採用されるのだろうか?現在の定義に変わる新しい定義の候補として、アボガドロ定数やプランク定数などを用いた各種の提案がある。

 

 最も有力なのが、一定個数のケイ素 (Si) 原子の質量をキログラムとするという原子質量標準である。アボガドロ定数の値をより正確に求めることができれば、そこからケイ素1キログラムに含まれるケイ素原子の数を決定することができる。ケイ素が採用されたのは、ケイ素が不純物を含まない単結晶を作りやすいからである。現在、国際度量衡委員会 (CIPM) が中心となって、各国の研究機関でケイ素を用いてアボガドロ定数の不確かさを少しでも小さくするための研究が行われている。

 現在のアボガドロ定数の値 NA = 6.022 141 29(27)×1023 mol-1(CODATA2010年推奨値。括弧内は標準不確かさ)には、8桁目に不確かさがある。現行の定義による精度は8桁なので、あと1桁精度を上げることができれば、キログラムの定義を原子質量標準に置き換えることに意味が出てくる。

 他には以下のような提案がある。

・静止エネルギーと質量の関係式 E=mc² を用いて、ある振動数 ν の光子のエネルギー (E = hν) と等しい静止エネルギーを持つ物体の質量を1キログラムと定義する。
・かつてプランク定数とキログラムを関連づけることでアンペアを定義するのに用いられたワット天秤を用いて定義する。
・伝導コイルで発生する磁場で超伝導体を浮揚することによってキログラムと電気量とを関連づけ、コイルに流れる電流により定義する。
・ジョセフソン定数 (KJ≡4.835 978 70(11)×1014 Hz/V) とフォン・クリッツィング定数 (RK≡2.581 280 744 34(84)×104Ω) を用いて定義する。すなわち、真空中に1メートルの間隔で平行に置かれた無限に小さい円形の断面を有する無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに、1秒あたり6.241 509 629 152 65×1018の電荷による直流の電流が流れるとき、導体に2×10-7m/s²の加速度が生じたときの、その導体の1メートルあたりの質量を1キログラムと定義する。
・金の原子を蓄積し、それを中性化するのに必要な電流によって定義する。 (Wikipedia)

参考HP Wikipedia キログラム ・ アイラブサイエンス 1キログラム物語 

 

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物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源
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