科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学の疑問を、やさしく解説!毎日3分読むだけで、みるみる科学がわかる!


 右脳と左脳をつなぐ物質
 一般的に左脳の働きがよい人は、論理的で判断力に優れているタイプ。右脳の働きがよい人は、直感的で創造力に優れているタイプといわれている。このように左脳の機能、右脳の機能が分かれているという考えを、脳機能局在論というが、逆のタイプの人もいて、科学的に証明されたわけではない。

 今回、右と左の脳をつなぐ神経回路が作られる際に中心的な役割を担う物質を、大阪バイオサイエンス研究所の榎本和生研究部長らがショウジョウバエで見つけた。人でこの回路に異常が出ると、認知機能の低下などの神経疾患を招くとされ、疾患の解明に役立つことが期待される。米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 人の左脳は論理的思考、右脳は感覚的思考をつかさどる。目で得た視覚情報などを左右の脳をつなぐ神経回路「脳梁(のうりょう)」などを通じてやりとりし、処理する。

Asap

 この回路の構造が人と似ているのがショウジョウバエで、榎本部長はAsapというたんぱく質が、回路の細胞群にたくさん現れていることを発見。Asapを作れないようにすると、脳の左右をつなぐ神経細胞の一部が延ばせず、回路をうまく形成できなかった。

 Asapの遺伝子は、人の遺伝性精神遅滞疾患「オピッツ症候群」の原因遺伝子と同じ機能を持つ。榎本部長は「これらの遺伝子の機能解明が進めば、精神遅滞疾患の解明にも役立つ」とみている。(2011年11月16日  読売新聞)

 研究チームによると、このタンパク質と同じ働きを持つタンパク質は人間でも特定されており、てんかん発作などとの関連が指摘されているという。同研究所の榎本和生研究部長は「今回の発見が、てんかん発作などの症状の発症解明に役立てば」としている。(産経news 2011.11.15)

 昆虫の神経系
 ショウジョウバエは生物の実験にはよく登場するモデル生物だ。それにしても、昆虫とヒトの脳に共通点があるとは思わなかった人も多いのでは?昆虫の脳はどんな仕組みになっているのだろう?

 昆虫のからだは頭部、胸部、腹部の3つに分かれる。これに伴い、頭部、胸部、腹部に、それぞれ頭部神経節と食道下神経節、胸部神経節、腹部神経節に支配される分散構造がある。

 このような分散的な神経節構造は昆虫の神経系の大きな特徴である。各神経節は左右一対の縦連合といわれる神経束により結合され、はしご状の構造を示す。各神経節は、局所的な感覚情報処理や運動制御、記憶・学習の場として働き、脳がこれらの統合中枢として機能する。

 脳は主に,視覚・嗅覚などの頭部からの感覚情報の処理を行うとともに、胸部以下の神経節からの信号を受け、これらを処理し、新たな情報を行動指令として胸部以下の神経節に伝達する。

 情報の一部は脳内に記憶され行動指令を修飾する。脳以外の神経節は、体性感覚の処理に加え、胸部神経節では飛翔、歩行などの基本的な運動パターンをつくる。したがって,頭部と腹部を切り離し、胸部だけの状態でも、羽ばたきや歩行を起こすことができる。

 ただし、直進の歩行や飛行のパターンに限られる。歩行や飛行の開始、終了、方向転換などの行動指令は脳から胸部神経節に伝達される。また、胸部神経節にも学習能力がある。断頭したゴキブリを吊り下げ、脚がある高さまで下がると電気ショックが与えられるようにすると、30から40分でこのゴキブリは脚を次第に下げなくなる。このように昆虫では学習が胸部神経節など脳以外でも起こるのである。

 脳機能局在論
 次に、不思議なのは昆虫にもあるという左脳と右脳だ。これらはどのようなはたらきを持っているのだろうか?

 大脳および中枢神経系では、左右で異なる機能が局在していることがある。まず、腕を組んでみよう。どちらの腕が上になるか?人には利き腕と同様「利き脳」がある。腕を組んでみたとき、どちらの腕が上に来るかで、その人の利き脳、つまり左右のうちよく使っている脳が分かるという。

 右腕が上に来る人は左脳の働きがよく、論理的で判断力に優れているタイプ。一方、左腕が上の人は右脳の働きがよく、直感的で創造力に優れているタイプといわれている。

 言語野は大脳皮質の左半球にあることが多いが、右利きの人で数%、左利きの人で30~50%程度が右半球に言語野をもつことが知られている。総合的には90%以上の人では言語野は左半球にある。

 左半球に言語中枢がある場合においては、その損傷は言語ほか多くの精神機能の損傷を引き起こすことが多い。精神の主要な機能は左半球にあることが多いとされ、その場合においては左半球を優位半球、逆を劣位半球と呼ぶことがある。また右半球に言語中枢がある場合においては、これを優位半球と呼ぶことになり、どちらかが一般的に優れている、劣っているということではない。

 現在でも脳外科手術において手順を決める際によく用いられ、言語野のある半球を優位半球とすることが多い。 後天的に利き手の矯正を行った場合でも、優位半球や言語野の位置は特に変わらないことが知られている(厳密に言えば、一旦優位半球が確定した後に利き手の矯正を行った場合)。

 これら高次機能の局在が生じる原因等についてはよくわかっていない。 先天的半球欠如や、幼少時におけるてんかん治療などのための脳の部分的切除を行った場合、片方の半球に局在していることの多い機能がもう一方の半球で処理されるようになることがあることが知られている。

 脳梁を切断した分離脳患者の研究において、左右半球の関係や意識の所在などが論じられている。左脳は、思考や論理を司る人間的な脳、それに対して右脳は、五感を司る動物的な脳と言われる。左脳は文字や言葉などを認識し、右脳は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの五感を認識するという。しかし、右脳・左脳論は科学的に証明されたわけではない。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia 脳機能局在論

右脳と左脳―脳センサーでさぐる意識下の世界 (小学館ライブラリー)
角田 忠信
小学館
片づけ下手な右脳人間のための整理本―どうしてすぐに机の上がぐちゃぐちゃになるんだろう?
リー シルバー
主婦の友社

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please