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 回収しやすい、ペットボトル割りばし
 食品卸会社「甲信国分」(甲府市)とプラスチック製造業者の「ES製品事業組合」(笛吹市)は、廃ペットボトル素材を原料としたリサイクル割りばしを全国で初めて開発した。消費者がこの割りばしを使用後に、ペットボトル同様に分別して捨てれば原料として再利用される。同社と同組合はコンビニエンスストアなどで扱う弁当用の割りばしとして普及を目指し、年内にも県内を中心に販売を始める。

 同社と同組合は昨年から、リサイクル可能なポリスチレン製の割りばしを飲食店向けに製造販売。納品時に使用済みを回収し、再び原料として活用してきた。しかし、テークアウト商品やコンビニ弁当などに付く割りばしを回収することは困難だった。

 新開発した割りばしは、ペットボトルの材料であるポリエチレンテレフタレート(PET)を100%原料として使用。500ミリリットルペットボトルから1~2膳製造でき、半透明と乳白色の2種類を商品化する。

Bioplastic

 消費者が、街中にあるペットボトル回収箱や、ごみの分別回収の際にペットボトルとして捨てれば、割りばし原料としてのルートに載る。持ち手の部分に「PET」と表示することで、分別されるよう周知活動にも取り組む。

 弁当や行楽用に使用される木製割りばしの国内消費量は年間127億膳とされる。当面は年間で、市場の3%にあたる4億膳の販売を目指す。(毎日新聞 2011年11月10日)

 「生プラ」急速分解酵素発見!
 農業環境技術研究所(茨城県つくば市)は、生分解性プラスチック(生プラ)製の農業用フィルムを短時間で分解する酵素を大量生産する技術を開発した。この酵素を農地に張った生プラ製フィルムに散布すると、半日程度で穴が開くほど分解が早まる。必要な時に現場で消滅させることができ、生プラを多彩な分野に応用できるようになるという。

 11月30日~12月2日に千葉・幕張メッセで開かれるアグリビジネス創出フェアに出展する。生プラは微生物の働きで自然に分解される。農業の現場では、回収の労力とごみの量を減らすため、さまざまな生プラ製資材が使われ始めた。ただ、生プラの分解時期は人為的に決めることができず、数カ月は分解しない。

 農環研は2008年、イネやオオムギから生プラを効率的に分解する菌を発見。これらの菌の培養液に糖の一種キシロースを加えると、生プラを分解する酵素を大量に分泌することを突き止めた。今回の方法は、生産効率が発見当時の4万倍になる。

 農環研の北本宏子主任研究員は「使い手が好きな時に分解させられる。将来、使用済みのさまざまな生プラ製品を短時間で分解する技術を実用化したい」と話している。(毎日新聞 2011年11月26日)

 イネやオオムギに分解菌
 概要独立行政法人農業環境技術研究所 (農環研)[理事長 宮下淸貴] では、これまでに作物の葉の表面から、生分解性プラスチック (生プラ) を効率よく分解するイネ由来の酵母とオオムギ由来のカビを分離しました。今回、これらの微生物から高濃度の分解酵素液を連続生産する技術を開発しました。

 この酵素液を農地に張った生プラ製のマルチフィルムの表面に、散布すると、急速に劣化し、半日程度で、穴が数カ所も開くほどに分解した。また、市販の吸水性ポリマーと併用すると、マルチフィルムに2時間程度で穴が開き、翌日には表面全体に亀裂が生じるほど分解が早まる。 この成果を利用し、使用済みの生プラ製品を短時間で分解する技術の実用化が期待できる。 なお、この成果は11月30日~12月2日に幕張メッセで開催されるアグリビジネス創出フェア2011に出展される。

 近年、使用期間の短いプラスチック製品や農業、土木、医療など使用後に回収が困難な用途の製品では、回収する労力とゴミの量を減らす目的で、生プラが使われ始めた。

 農業資材では、生プラ素材のマルチフィルム、クリップ、ポット、ひも、ネット、除草シートなどが、すでに市販されている。しかし、普及が進むにつれ、「生プラ」 の組成や、加工後の形状、環境条件などにより、期待した速度で分解が進まない事例も報告されはじめた。

 農環研では、微生物の酵素を利用して分解を早める研究に取り組み、これまでに、植物の表面で生活する常在菌の中に分解菌が多数いることを見いだし、イネやオオムギから強力な分解菌を選抜した。今回、これらの微生物から酵素を大量生産し、使用済みの生プラを農業現場で速やかに分解する方法を開発した。

 生プラ分解酵素が大量発生!
 分解菌の培地にキシロースを加えると分解酵素を大量に分泌することを見つけた。キシロースは、セルロース系バイオマスの分解物に含まれており、低価格で容易に手に入れられることから、酵素を安価に生産できる。

 三角フラスコレベルの培養から、ジャー培養装置にスケールアップして、 従来の100倍濃度が高い酵素液が生産できるようになった。毎日、一定量の酵素液を回収し、新たな培地を加える連続培養で、三角フラスコ培養の4万倍の生産効率 (濃度 × 生産量 ÷ 培養時間) で、酵素を生産できるようになった。

 遺伝子組み換え技術を用いないため、単純な施設で安価な生プラ分解酵酵素製造への道が開かれた。容量5Lのジャー培養装置を用いると、毎日2Lの酵素液を生産できる。

 シャーレの中に入れた様々な生分解性フィルムの表面が湿る程度に酵素液を散布し、分解力を調べたところ…PBSA (ポリブチレンサクシネートアジペート) フィルムに従来の酵素液を散布すると、室温2週間で22%分解した。一方、今回生産した濃い酵素液では、2日間で同じ程度の分解ができるようになり、処理後5日目には、市販の生プラ製マルチフィルムでも33%も分解した。

 ビニールハウス内の畝に張った3種類のマルチフィルム (PBSA 製、PBS (ポリブチレンサクシネート) 製、および市販の生プラ製) の表面に、酵素液を400ml/m2 に散布したところ、マルチフィルムは速やかに劣化し半日以内に穴が開き始め、その後ひび割れて崩壊した。

 カルボキシメチルセルロース粉末(CMC)などの市販の吸水性ポリマーを散布すると、初期の分解速度が急速に早まり、1日後には市販の生プラマルチ全面に亀裂が生じ、崩壊が進みました。今後、様々な環境条件の現場で、生プラ製農業資材を速やかに分解させる技術の開発に取り組む。本技術はプラスチック資材の処理労力を軽減するため、高年齢化が進む農家の労力削減に役立つとともに規模拡大にも対応できる。また、ゴミを出さずに、安全な作物を安定して生産するために役立つと期待している。

参考HP 農業環境技術研究所 生分解性プラスチックを分解する酵素を大量発生

入門 生分解性プラスチック技術
クリエーター情報なし
オーム社
トコトンやさしい生分解性プラスチックの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)
クリエーター情報なし
日刊工業新聞社

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