科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学の疑問を、やさしく解説!毎日3分読むだけで、みるみる科学がわかる!


 「第2の地球」発見?
 米航空宇宙局(NASA)は12月5日、地球型生命に不可欠な液体の水が存在できる温度の太陽系外の惑星を初めて確認した、と発表した。「第二の地球」を探すケプラー宇宙望遠鏡の観測成果として今年2月に発表された54個の惑星候補の一つ。地上からの望遠鏡などで存在が確かめられた。

 はくちょう座と隣のこと座の方向に地球から600光年の距離にある「ケプラー22b」。大きさは地球の2.4倍で、温度は22度と推定される。太陽に当たる恒星との距離は地球・太陽間よりやや短く、公転周期は290日。この恒星が出す光が太陽よりやや弱いため、惑星がほどよい温度になるような位置関係にあるとみられる。

 ケプラー22bが地球のような岩石の惑星か、木星のようなガス惑星なのかはまだわからないが、研究チームは「『第二の地球探し』にとって重要な一里塚だ」と言っている。サイズも位置も地球に近い系外惑星を確認(asahi.com 2011年12月6日)

Kepler-22b_System

 系外惑星探査衛星「ケプラー」
 系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測から、主星からの距離や大きさが地球に似た惑星が発見・確認された。2009年の打ち上げ以来、長周期の惑星を観測する十分な期間が経ったことも手伝って、地球サイズの惑星と思われる天体の数は急増している。

 系外惑星ケプラー22bは、主星ケプラー22からちょうどよい距離のハビタブルゾーン内(画像上、緑色の部分)に位置している。図は、太陽系とそのハビタブルゾーンを比較のために表示。(提供:NASA/Ames/JPL-Caltech)

 NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」で、ハビタブルゾーンにある惑星が初めて発見・確認された。「ケプラー22b」と名付けられたこの惑星の直径は地球の2.4倍ほどで、太陽に似た星のハビタブルゾーンを回る系外惑星としてはこれまででもっとも小さい。地球のような岩石惑星か木星のようなガス惑星かといったことはわかっていないが、地球に似た惑星を見つけるための大きな一歩といえる。

 惑星の発見方法
 ハビタブルゾーン内にある地球サイズと思われる惑星はこれまでにも見つかっていたが、はっきりとした確認はできていなかった。太陽より小型で低温の恒星を回る惑星として、ハビタブルゾーンのぎりぎり端にあるものは2つ見つかっている。これらは太陽系でいうと金星や火星のような距離だ。

 「ケプラー」ミッションでは、地球から見て惑星が恒星の手前を横切る時に恒星がわずかに減光する現象から惑星の存在を感知するという方法で、15万個もの星を対象に探査を行っている。3回以上の減光の観測で、惑星の存在の可能性ありと見なされる。

 「ケプラー22b」の発見には幸運も手伝ったようだ。最初の減光観測は、ケプラーの観測準備が整った3日後だったし、3回目の減光は、2010年の休暇シーズンの最中だった。

 ケプラーの観測により「系外惑星では」と疑われるものは、地上の望遠鏡や赤外線天文衛星「スピッツァー」の観測により確認が行われる。春~初秋には、はくちょう座とこと座方向にあるケプラーの観測領域を見ることができる地上望遠鏡がその役目を担う。

 600光年先にあるケプラー22は太陽と同じスペクトル型がGの恒星で、その周りを惑星bが290日周期で回っている。2011年2月に54個見つかったハビタブルゾーン内の系外惑星候補から確認が完了した最初のものだ。(2011年12月6日 NASA)

 系外惑星候補、予想以上の成果
 「ケプラー」サイエンスチームは12月5日~9日の学会で、2009年~2010年の観測で新たに発見された1094個の系外惑星候補について発表する。新たに発見されたもののうち、地球の数倍以下の質量のものは200個以上で、これは今までに見つかったものの1.4倍もの数だ。

 ケプラーはその観測初期のころは、恒星からの距離が近い大型の惑星を多く観測したが、打ち上げから2年経ち、長周期の惑星が3周する時間が経過したためにこれらの発見が可能になった。これにより、地球の1~4倍の惑星がこの銀河には多数存在することが示されている。

 現在ハビタブルゾーンに見つかっている系外惑星候補は48個で、以前に発表された54個から数のうえでは減っているが、これは金星の地表で起きているような温室効果を考慮して「ハビタブルゾーン」の定義をより厳密にしたためだ。

 「地球サイズの惑星候補が大幅に増えたことで、ケプラーが本来目標とする、地球程度の質量でなおかつ主星からの距離がちょうどいい天体に照準が合ってきました。データが多ければ多いほど、さらに理想的な惑星が見つかるチャンスも増えるでしょう」(ケプラーサイエンスチームのNatalie Batalha氏)。

 バビタブルゾーンとは?
 NASAは12月5日、600光年先にある太陽に似た恒星を周回する地球とよく似た惑星が確認されたと発表した。生命の存在に最適な位置だという。NASAの宇宙望遠鏡ケプラーが発見した惑星は、ケプラー22bと名付けられた。恒星のハビタブルゾーン(生命居住可能領域)の中心域で海王星より小さい惑星が見つかったのは今回が初めてとなる。

 ハビタブルゾーンとは、恒星の周囲で惑星の表面温度が高すぎず低すぎず、水が液体で存在でき、したがって地球上のような生命を維持するのに適した領域をいう。ハビタブルゾーンを周回することが分かった惑星はほかにもあるが、大半は木星や海王星くらいのサイズで、生命がいる可能性は低い。

 ケプラーの科学チームで副主任を務めるカリフォルニア州、サンノゼ州立大学のナタリー・バターリャ(Natalie Batalha)氏は、「ハビタブルゾーンの海王星より小さな惑星は見つけるのが極めて難しいため、確認されているものはほとんどない」と話している。実際、これまでその条件に当てはまる惑星はグリーゼ581(Gliese 581)とHD 85512の2つしかわかっていない。また、この2つの惑星はハビタブルゾーンの端を周回しており、地球よりは金星や火星に近い。

 「今回の発見が特に胸を躍らせるのは、惑星がハビタブルゾーンのまさに中心域を周回しているからだ」とバターリャ氏は説明する。「それに、太陽と双子のような恒星を周回している。前の2つは、太陽よりかなり冷たい恒星の周りを回っている」。 

 「ケプラー22b」とは?
 ケプラー・ミッションでは新しい惑星を見つけるために、約15万個の恒星を一斉に観測し、惑星が恒星の前を通過(トランジット)することを示す明るさの減少を捉えようとしている。ケプラー22bは、チームが2月に発表した地球にサイズが近い惑星の候補、54個に入っていた。しかし、明るさの減少が惑星のせいであることを確認するために、ケプラーはトランジットを3回以上観測する必要がある。

 カリフォルニア州のモフェットフィールドにあるNASAエイムズ研究センターでケプラー・ミッションの主任研究員を務めるウィリアム・ボルッキー(William Borucki)氏は声明の中で、「この惑星の発見には幸運がほほ笑んだ」と語っている。

 「最初に通過を捉えたのは、運用開始の準備ができたと宣言したわずか3日後(2009年5月)だった。決定づける3度目の通過は2010年のホリデーシーズンに観測した」。ケプラー22bは直径が地球の約2.4倍だが、質量の情報が得られていないため、構成している物質についてはまだわかっていない。

 しかし、ケプラーのチームは、スペインのカナリア諸島で2012年春から観測が始まる新しいHARPS(High Accuracy Radial Velocity Planet Searcher、高精度視線速度系外惑星探査装置)の協力があれば、ケプラー22bの質量を計算できるだろうと期待している。このHARPSは、チリのヨーロッパ南天天文台に設置されているHARPSに対して、北半球にあるためHARPS-N(orth) と呼ばれている。

 HARPS-Nは、惑星のドップラー速度、つまり対象天体が地球に近づいている時と遠ざかっている時の天体から届く光の周波数の変化を、高い精度で測定することができる。この情報からケプラー22bの質量を計算し、密度を算出すれば、岩石の惑星なのか水の惑星なのかといったことを特定することができる。

 サンノゼ州立大学のバターリャ氏は、「本当に期待している。この惑星の質量を突き止めるのにHARPS-Nはとても大きな力になるだろう」と語っている。「我々は今まさに、真の意味で地球に似た惑星に近づいている。その進展には胸が躍る」。新しい惑星ケプラー22bの詳細は、「Astrophysical Journal」誌の次号に掲載される。(Ker Than for National Geographic News December 6, 2011)

参考HP National Geographic news ハビタブルゾーン中心に地球に似た惑星

スーパーアース (PHPサイエンス・ワールド新書)
クリエーター情報なし
PHP研究所
宇宙は「地球」であふれている -見えてきた系外惑星の素顔- (知りたい!サイエンス)
クリエーター情報なし
技術評論社

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please