しつこい下痢に“新”犯人が!

 2011年12月14日、NHK放送の「ためしてガッテン」はお腹の話。職場や学校でストレスを感じて、腹を下した経験はないだろうか?私も何かで緊張するとすぐに腹が痛くなり、自分は胃腸が弱いのだと思っていた。このような症状の胃腸炎は、過敏性腸症候群(IBS)という。

 このような症状の人は、全国で960万人いるといわれている。しかし、このような症状になる可能性は、1億人の日本人、ほとんどにあるという。それをチェックする、2つの質問で番組は始まった。「あなたは風邪で腹を下したことがありますか?」「あなたは食あたりをしたことがありますか?」どちらも当てはまる…と思った人がほとんどではないだろうか?私にも当てはまる。

 そういう人はすべて、過敏性腸症候群になる可能性があるという。なぜだろうか?

 私のような、過敏性腸症候群はこれまで、主な原因はストレスだと考えられてきた。脳がストレスを受けると腸が過敏状態になる。すると少しの刺激でも痛みや不快感を感じてストレスになる。その状態が続くと今度は脳も過敏状態になり、ささいなこともストレスに感じるようになる。これがいわゆる慢性の状態である。


IBS


 「脳の過敏状態」と「腸の過敏状態」、この二つの状態が悪循環に陥り、病気が悪化してしまうのだ。こうなってしまっては、ストレスを除いても、もはやもとに戻らない。では、こういう人はあきらめるしかないのだろうか?

 今回、過敏性腸症候群に、ストレス以外の原因が発見された。これまでの治療や薬で、思ったように治療効果が得られない人もあることをすれば症状が改善される。そんな過敏性腸症候群の人に朗報である!


 ストレスではない“新”犯人とは!?

 ストレス以外の過敏性腸症候群の原因とは何かを探るため、ある実験をした。東邦大学医学部の瓜田純久先生は、5人の男性の中から、内視鏡検査や問診をすることなく、誰が過敏性腸症候群かを見抜く実験を行った。

 実験の結果、専門家は見事正解!実は、5人の男性が吐く「息」に秘密が隠されていた。息の中に含まれるメタンガスや水素ガスの割合が高い人は、過敏性腸症候群である確率が高かった。そして、そのガスを作り出す原因こそが、今回新たに見つかった過敏性腸症候群の犯人だった。

 その犯人とは「腸内細菌」。でも、腸内細菌は誰もが持っている、ビフィズス菌のような善玉菌や悪玉菌の両方を含む。一体何がきっかけで、下痢を引き起こしてしまうのだろうか?

 腸内細菌は普段大腸にいる。しかし、かぜでおなかを壊したり、食あたりでおなかを壊したりすることがきっかけで小腸にも住み着いてしまうことがある。本来、小腸には腸内細菌がほとんどいない。小腸は腸内細菌を異物と見なし追い出そうと激しく運動。その結果、食べ物が未消化のまま大腸に達してしまい、下痢になる。

 慢性的な下痢の原因は、腸内細菌が小腸で異常増殖したことであった。その証拠に風邪をひいたときに「抗生物質」を飲むと、腸内細菌が減るので、下痢の症状が改善される。

 慢性的な下痢で、腸内細菌が原因の場合は小腸に異常増殖した腸内細菌を撲滅するのが有効。海外の研究では抗生物質を投与すると症状が改善したという報告があり、医療現場でも処方されているが、日本国内では保険適応ではない(※抗生物質をむやみに服用すると重大な副作用が生じることがある。くれぐれも自己判断で服用しない)。

 そこで、手軽に実践できる対策法が腸内細菌を兵糧攻めにする方法である。


 ある日突然…謎の下痢の意外な原因

 もう一つ、過敏性腸症候群の原因がある。ある日突然、慢性的な下痢になってしまった二人の症例をご紹介する。一人は、胸焼けの治療を続けていたところ、激しい下痢に襲われた。もう一人は、高血圧と腰痛の治療をしていたら下痢になった。

 二人に共通する「ある原因」とは一体何だろうか?

 正解は「薬」。ある種類の胸焼けの薬、高血圧の薬、鎮痛薬などを飲み続けたり、2種類以上を組み合わせて飲むと、薬を分解する酵素が足りなくなり、分解されないまま大腸に到達することがある。

 すると、大腸は薬の成分が有害であるかもしれないと考えて自らコラーゲンのバリアを作って吸収しないようにする。大腸は本来便の水分を吸収してくれる臓器なので、バリアができてしまうと水分の吸収まで妨げられ、下痢を引き起こすのだ。

 原因となる薬を同じような効果を持つ他の種類の薬に変えると症状が改善することがある(薬に関しては必ずかかりつけの医師に相談すること)。どんな薬が慢性的な下痢を引き起こす可能性なのだろうか?


 解決策があった!過敏性腸症候群

 過敏性腸症候群には、ストレス以外に原因があることがわかった。ではどうすればよいのだろうか?

 過敏性腸症候群の人の40%の人は、小腸の腸内細菌が原因である。この、あってはならない小腸の腸内細菌をやっつけるのが対処方法!

 兵糧攻めの方法で、食事を腹8分目にする。空腹時間を8時間以上確保する。例えば、深夜に食事をした場合は朝食を抜く(症状が治るまでの一時的な対策)というのが有効。空腹時間を長くすることで栄養分が小腸の腸内細菌に十分に行き渡らなくなり、数が減少すると考えられる。

 過敏性腸症候群の人の20%は、薬が大腸に達するために、大腸にバリアができるタイプ。この薬の名前は特定されている。

 慢性下痢を引き起こす可能性がある薬胃薬としては、「プロトンポンプ阻害薬」。鎮痛薬としては、「非ステロイド性抗炎症薬」。高血圧の薬としては、「カルシウムきっ抗薬」である。

 これらの薬を長期間服用したり、2種類以上を組み合わせて服用すると下痢を引き起こす可能性がある。同じような効果を持つ他の薬に変えると症状が改善するので、かかりつけの医師に相談するとよい。


 過敏性腸症候群とは?

 過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:通称 IBS)は、主として大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称。検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こる。以前は大腸の機能の異常によって引き起こされる病気ということで「過敏性大腸症候群」と呼ばれていたが、最近では、大腸だけではなく小腸にも関係することなどから「過敏性腸症候群」と呼ばれる。

 症状は主に便通の異常である。症状の現れ方によって、不安定型、慢性下痢型、分泌型、ガス型の4つに分けられる。排便により、しばらくは症状が軽快するが、またぶり返す。

 不安定型: 腹痛および腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れる(交代性便通異常)。
 慢性下痢型: 少しでもストレスや不安を感じると下痢を引き起こす。神経性下痢などとも呼ばれる。
 分泌型: 強い腹痛の後、大量の粘液が排泄される。
 ガス型: 常に「ガスが漏れて周囲の人に嫌がられているのではないか」という不安に苛まれ、意識がその一点に集中し、余計におならが出てしまう症状。症状が重くなると、他人の前では無意識の内にガスやにおいがもれるようになる。

 腸の運動を司る自律神経に異常があったり、精神的不安や過度の緊張などを原因とするストレスなどが引き金となる場合がある。また、元々神経質な性格であったり自律神経系が不安定であったりする人が、暴飲暴食やアルコールの多量摂取などを行ったり、不規則不摂生な生活、過労や体の冷えなどの状態に置かれた場合に症状が発生する場合がある。

 また、最初は身体的理由(暴飲暴食など)が原因で下痢をしたものが、それにより人前で恥をかくという経験を幾度か重ねるうち、学習効果により人前で下痢をすること自体に異常に恐怖心を持ってしまい、長時間トイレのない場所や人目に触れずにトイレに入れないような場所に行くと不安障害の一種として下痢をするようになることもある。

 これはちょうど、乗り物酔いしやすい人というのは、乗り物酔いを何度か経験するうちに「また乗り物酔いするのではないか」という予期不安によって、乗り物に乗る前から、意識がそれに集中してしまい、酔いやすい状態(あるいは酔った状態)になるという、いわゆる「酔うと思うから酔う」現象に似ているともいえる。パニック障害などとほぼ同じ原理といえる。

 近年、過敏性腸症候群(IBS)にはセロトニンという神経伝達物質が関係していることが指摘されている。セロトニンは、その約90%が腸内にある。ストレスによって腸のセロトニンが分泌されると、腸のぜん動運度に問題が生じ、IBSの症状が現れるとされる。

 これまでの治療法としては、症状は精神的なストレス、生活の乱れによって引き起こされることが多いため、症状を改善するにはこれらの要因を解消することが基本となっていた。(Wikipedia)


参考HP NHKためしてガッテン

腸の不調を退治せよ!しつこい下痢の“新”犯人
市立宇和島病院 大腸がんについての基本的な情報


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