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 ほぼ完全な古代ゾウの頭部、茨城の高校生が発見
 茨城県常陸大宮市野上の民有地の崖で、古代象ステゴロフォドンの頭部の骨の化石が、下顎の骨を除き、ほぼ完全な形で見つかった。

 水戸葵陵(きりょう)高校2年の星加夢輝(ほしかゆめき)さん(17)が地質調査中に発見、地層から、約1650万年前に生息していたとみられる。茨城大の安藤寿男教授(古生物学)は「これまで頭部の骨は一部しか見つかっておらず、哺乳類の進化の過程を知る貴重な手がかりになる」と話している。

 発見された頭部の骨の化石は、長さ約60センチ、上下約30センチ。牙が約26センチあり、頭頂部が下になった格好で埋まっていた。星加さんから連絡を受けて県自然博物館と茨城大が現地で調査し、ステゴロフォドンの頭部の骨の化石と確認した。15日、現地で報道関係者を対象とする説明会が開かれた。

 同博物館によると、ステゴロフォドンは、日本では約1700万年前から1600万年前に生息していた象類。

 化石はこれまで、山形、宮城、福島、茨城、富山、石川、長崎の7県で臼歯を中心に頭部や下顎などの骨が見つかっているが、頭部の骨がほぼ完全な形で見つかったのは初めて。

 星加さんは12月11日、趣味の地質調査中に偶然、化石が露出しているのを見つけたという。「哺乳類の化石であることは分かったが、まさかステゴロフォドンの頭の骨の化石だとは思わなかった」と喜んでいた。

 県自然博物館は今後、一般公開を検討する。(2011年12月16日17時32分  読売新聞)

 新生代・新第三紀・中新世
 今から、1700万年前から1600万年とは、新生代、新第三紀、中新世にあたる。この時代はどんな時代なのだろうか?

 中新世(Miocene)は地質時代の一つであり、約2,300万年前から約500万年前までの期間。新生代の第四の時代。新第三紀の第一の世。

 大陸はほぼ現在の形を造っている。しかし、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸は離れている。ヨーロッパのアルプス山脈と北アメリカのロッキー山脈で造山運動が始まった。日本がユーラシア大陸から分離し、日本海が形成され、これに伴う海底火山活動で日本各地にグリーンタフと呼ばれる凝灰岩層が発達した。

 気候は一般的に温暖であったが、南極大陸には氷床が発達・拡大していた。中新世の終わりには氷床は大陸のほとんどを覆うようになっていた。

 海と陸の生物相はより現代に近づいた。オオカミ類、ウマ類、ビーバー類、鯨偶蹄類(シカ類、、ラクダ類等)、カラス類、カモ類、フクロウ類、メガロドンなどは、中新世にすでに存在していた。アフリカ大陸がユーラシア大陸と繋がったことで両大陸の生物が行き来するようになった。  

 象の進化・分化
 象のなかまは長鼻類と呼ばれる。化石は古第三紀初期(5000万年以上前)まで遡ることができ、現在知られる最古のものとして、モロッコの暁新世層から出土したフォスファテリウムがある。とはいえ、最近の遺伝子などを基にした研究では長鼻類はじめアフリカ獣類に含まれる哺乳類は白亜紀には顆節目を含む北方真獣類とは既に分岐していた独自グループであるとの説も有力になりつつある。長鼻類含むアフリカに起源をもった有蹄草食哺乳類達(現生のものは長鼻目、海牛目、岩狸目)は祖先を共有する一群とされ、これは近蹄類と呼ばれる。

 当時、アフリカ大陸はテチス海によって他の陸地から隔てられており、長鼻類を含むアフリカ獣類は、この隔絶された大陸で、独自の進化を遂げた。始新世には、アフリカのヌミドテリウム、バリテリウム、モエリテリウム(メリテリウム)、インド亜大陸のアントラコブネ類など、非常に原始的な長鼻類が何種か知られている。始新世末期から漸新世にかけて、長鼻目はデイノテリウム亜目(ダイノテリウム亜目)と、現生のゾウ類に連なるゾウ亜目とに分岐した。

 中新世になると、新しい造山運動によってテチス海が分断され、アフリカとヨーロッパが地続きとなった。長鼻類はこのときにできた陸橋を通って、分布域を広げた。世界各地に数十種に及ぶ長鼻類が分布し、中新世は長鼻類の最盛期となった。2つの亜目のうち、デイノテリウム類は、アジア・ヨーロッパに分布域を広げ、中新世から更新世にかけて繁栄したが、更新世に姿を消した。その特徴は、下あごから湾曲しながら腹側後方へ伸びる、独特の牙(門歯の発達したもの)にあった。デイノテリウム類には肩高 4m に及ぶものもあり、インドリコテリウムに次いで、史上2番目にサイズの大きな陸生哺乳類とされることもある。

 マンモスは数千年前まで生存していた?
 一方、ゾウ亜目は中新世以降、著しく発展した。プラティベロドンやアメベロドンなどの“シャベルキバゾウ”がこれに含まれる。系統関係はまだ議論の途上にあるが、漸新世にマムート科(マストドン類)が分岐し、中新世に基幹的なグループとして、やはり下あごのシャベル状の牙を特徴とするゴンフォテリウム科が派生した。

 ゴンフォテリウム類は非常に繁栄し、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカに広く分布していた。日本からもアネクテンスゾウ、ミヨコゾウ、センダイゾウなどが発掘されている。また、ステゴドン科とゾウ科は、このゴンフォテリウム科からさらに分化したものと考えられる。鮮新世以降まで存続したゾウ亜目のグループでは、一般的にサイズの著しい大型化が見られる。

 2003年12月の発見により、現生のゾウに似た種は、2600万年ほど前に現れたと考えられるようになった。これらの種の進化は、主に頭骨とあごの比率および牙と大臼歯の形状に関わるものであった。初期のゾウ類の多くは、上下のあごに1対ずつ、計4本の短い牙をもっていた。

 中新世後期(約700万年前)にゴンフォテリウム類から生じたと考えられるプリムエレファスは、マンモス類と現代のゾウ類の直接の祖先に当たるとされる。約500万年前に世界的な寒冷化が始まると、ほとんどの長鼻類はこれに適応できず、多くの種は絶滅した。

 氷河期にも、現生ゾウ類によく似たマンモスやマストドンのような寒冷化に適応した種が少なからず存在したが、更新世の末期、約4万~数千年前に、地球の急速な温暖化が進行したこと、人類による狩猟が盛んになったことなどから、その多くが絶滅している。

 最後のマンモスは、紀元前1700年頃に、東シベリアの沖合にある北極海(チュクチ海)上のウランゲリ島で狩猟されたという説が提起されている。(Wikipedia)

参考HP 茨城自然博物館  古代象、「ステゴロフォドン」の化石をジュニア学芸員が発見

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