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 「ケプラー20e」と「ケプラー20f」を発見
 系外惑星探査衛星「ケプラー」が、また新しい惑星を発見した。以前、12月5日にNASAが発表したのはケプラー22bであった。ケプラー22bは、主星ケプラー22からちょうどよい距離のハビタブルゾーン内に位置している。ハビタブルゾーンとは、惑星の表面温度が高すぎず低すぎず、水が液体で存在できる領域をいう。

 今回12月20日、NASAが発表した惑星は、ケプラー20eとケプラー20fである。この2つの惑星は、これまで見つかった中で“地球サイズ”と呼べる初めてのものだ。だが、ハビタブルゾーンにはなく、恒星に近すぎて、残念ながら生物は棲めそうにない。

 しかし、今回の発見で重要なことは、世界で初めて地球サイズの小さな惑星を発見できたということ。これまでは観測の容易な「巨大惑星」しか発見できていなかった。それほど「ケプラー」が優れた分析機器と分析技術を持っている。いずれ、地球サイズで、ハビタブルゾーンにある惑星が発見できることが確実になった。

Kepler20

 今回見つかった2つの惑星、ケプラー20eとケプラー20fは、いずれも大きさは地球と金星に似ている。ケプラー20eは地球の0.87倍で、金星よりやや小さい。ケプラー20fは半径が地球の1.03倍だ。ただし、これらの太陽系外惑星は、公転軌道が恒星に近すぎて、ハビタブルゾーンからは外れている。

 恒星ケプラー20を中心とするこの惑星系は、少なくとも5個の惑星からなり、そのすべてが水星と太陽の距離より近い軌道で恒星の周りを回っているとみられる。

 軌道距離が近いために、惑星は非常な高温になっている。ケプラー20eの平均表面温度は摂氏760度、それより“涼しい”ケプラー20fでも摂氏427度と推定される。地球の平均表面温度は摂氏14度だ。

 第2の地球発見が確実に?
 それでも、地球サイズの惑星をケプラーが初めて確認したことは事実であり、それは同ミッションの大きな目標の1つだ。

 「2011年は、太陽以外の恒星を周回する地球サイズの惑星を、人類が初めて発見した年として記憶されるかもしれない」と、今回の研究の主執筆者で、マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)に所属するフランソワ・フレシン(Francois Fressin)氏は、NASAが12月20日に行った電話会見で述べた。

 今回の発見によって、「他の恒星の周囲に地球サイズの惑星が存在することが、そしてそれをわれわれが探知できることが、初めて証明された」。今後、地球にそっくりな惑星を発見できるのは時間の問題だ。

 ただそのためには、ケプラーにさらなる時間が必要であり、場合によってはミッションを延長しなければならない。現時点で、同ミッションは2012年11月に終了予定だ。「今後2年のうちには地球に似た大きさの、生命が居住可能な系外惑星を発見したと発表できるようにしたい」とCfAのシャルボノー氏は述べている。

 太陽系とは異なる配列
 これまで発見された系外惑星は、いずれも地球よりかなり大きいものだった。先ごろ発表されたハビタブルゾーンの惑星、ケプラー22bにしても、半径が地球の2.4倍と推定され、密度もかなり低いと考えられている。これは、大気が濃く、表面の状態も地球とはかなり異なることを意味する。

 しかし今回の発見によって、「(地球型惑星に)ぴったりな大きさ」の惑星が存在することが確認されたわけだ。「ただし(われわれが知る生命にとっては)温度が高すぎる」と、研究チームの一員で同じくCfAに所属するデイビッド・シャルボノー(David Charbonneau)氏は取材に対して述べている。

 もう1つ、ケプラー20の惑星系の興味深い特徴は、他に3つある既知の惑星(海王星に近い大きさ)が、小型の岩石惑星の間に混ざって公転しているということだ。

 これに対し、われわれの太陽系は、岩石惑星のほうが太陽により近い軌道を回り、大型のガス惑星がより外側の軌道を回っている。

 今後ケプラーは、太陽に似た恒星を周回する惑星を発見するため、はくちょう座、こと座に属する領域を継続的に観測する。(Jason Major for National Geographic News December 21, 2011)
 
 系外惑星探査衛星「ケプラー」
 ケプラー (Kepler)は、地球型の太陽系外惑星を探すためにアメリカ航空宇宙局が運用している宇宙望遠鏡である。主製造業者はボール・エアロスペース社である。ケプラーは3年半にわたって10万個の恒星の明るさを測定し、惑星が主星を隠す時に生じる周期的な明るさの変動を検出すること(トランジット法)を目標としている。

 2009年3月6日に打ち上げられた。 ケプラーの本体は、直径140センチの反射鏡と、9500万画素のCCDカメラである。反射望遠鏡であり、レンズを用いるケプラー式望遠鏡(屈折望遠鏡)ではない。その意味で、ケプラー望遠鏡(Kepler telescope)と、ケプラー式望遠鏡(Keplerian telescope)とを、混同してはならない。「ケプラー望遠鏡は名前からしてレンズを用いている光学望遠鏡だな」と思う人もいるかもしれないが、それは勘違いである。

 反射鏡を用いる光学望遠鏡なので、電波望遠鏡とは異なる。 「ハッブル宇宙望遠鏡」の後継機として「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」の打ち上げ計画もあるが、ケプラー望遠鏡はそれとは位置づけや目的が異なる。 ケプラーの目的は、惑星系の構造と多様性を探ることにある。具体的には、多数の星の明るさを測定することによって以下の点について明らかにすることである。

 さまざまなスペクトル型の星について、ハビタブルゾーン内に地球型惑星やより大きな惑星がどれくらい存在するのか探査する。 太陽系外惑星の軌道の大きさや形を決定する。 連星系に惑星がどれくらいあるのかを推定する。 公転周期の短い巨大惑星(ホットジュピター)について、その軌道、光度、惑星の大きさ、質量、密度に関する知見を得る。

 既に惑星が発見されている恒星について、さらなる惑星の発見を行う。 惑星系を持つ恒星の性質について研究を行う。 惑星の軌道が中心の星と視線上偶然重なり食を起こす確率は、恒星の視直径を惑星の公転軌道の直径で割った値に比例する。

 太陽のような星の周囲を軌道半径1天文単位で地球型惑星がまわっていた場合、食を起こす確率は0.47%、1/210である。もし軌道半径が0.72天文単位(金星の公転軌道と同じ)場合、その確率は0.65%とやや大きくなる。惑星が複数存在する系の場合、それらの惑星は同じ軌道面を取ることが多いため食を起こす確率はより大きくなる。

 例えば、宇宙人がケプラーのような宇宙望遠鏡で地球による食を観測できたとすると、12%の確率で金星が起こす食も観測できることになる。 現在の技術では、ケプラーは地球型惑星を発見する可能性が最も高いミッションである。

 ケプラーは10万個の星を一度に観測することができるため、惑星による食を検出できる可能性もその分大きい。さらに、1/210の確率で地球型惑星の食を観測できるということは、すべての星が地球型惑星を持っていると仮定した場合、ケプラーは480個の地球型惑星を発見できる計算になる。

 これと実際に検出される地球型惑星の数を比較することで、地球型惑星が存在する確率を推定することができる。 ケプラーによって得られるデータは、さまざまな種類の変光星の研究、特に日震学を多数の恒星に適用するためにも有用である。(Wikipedia)

参考HP National Geographic news 地球サイズの惑星2個、ケプラーが発見

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