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F35、実力未知数
日本の次期主力戦闘機(FX)にF35戦闘機が決まった。F35は米国や英国の航空戦力の屋台骨を支える戦闘機になる予定だが、開発途上で、その実力は未知数だ。日本の求める2016年度中に米側が最初の4機を輸出する時点では、米空軍が実戦運用していない可能性があり、事故やトラブルが発生するリスクのある初期型の機体を引き渡す恐れもある。
国防総省は米軍向けにF35を2035年までに空軍、海軍・海兵隊向けに計約2500機調達する予定で、うち「F35A」と呼ばれる空軍仕様が約1700機を占める。空自が導入するのがF35Aだ。空軍仕様はF16戦闘機の後継機と位置付けられ、ステルス性能を生かした機体で対地、対空能力を持つのが特徴。実証試験機が2006年に初飛行した。しかし、開発や試験の遅れで5年が経過しても空軍が認定する初期運用能力(IOC)獲得に至っていない。
F35A型のIOC取得予定は2013年だったが、2016年に変更され、今年11月の下院議会公聴会で米空軍高官は「IOC取得は2018年にずれ込む恐れがある」と証言した。ロッキード・マーチン社は、機体制御の生命線となるコンピューターソフトの完成型を搭載した機体を2016年度に日本に引き渡すと主張。米政府も日本側に誓約書を出して、納入時期厳守を保証するが、その機体が実戦運用されていないものである可能性は排除されない。
ステルス素材を使用し、燃料タンクやエンジンの大型化で機体重量はF16の1.5倍。それだけ、単発エンジンに負荷がかかり、開発を難しくする一因になった。米ゼネラル・エレクトリック(GE)が商機とみて、代替エンジン開発を執拗(しつよう)に国防総省に提案していたゆえんだ。
上院軍事委員会によると、開発の遅れにしびれを切らした空軍は限定的な能力を備えたF35を使った訓練の開始を検討しているが、国防総省のギルモア局長(装備評価担当)は「未完成の機体を使用した訓練は重大事故につながる恐れがある」と内部文書で警告したという。
防衛省によると、2016年度調達予定の1機当たりの価格は約99億円。ロッキード社が量産化を前提にした6500万ドル(約50億6000万円)よりかなり高額だ。日本が組み立てを行えば、完成品を輸入するより単価はさらに高騰する。日本はソフトウエアの更新料も支払わなければならない。同省によると、調達する42機の20年間の運用・維持コストは取得費も加え、総額1兆6000億円に上る。
日本側は今回の導入により、運用と安全面でリスクを負うことになる。(時事通信2011/12/20)
F35決定「疑問だらけ」 選定開始時の防衛相 石破氏
航空自衛隊の次期戦闘機(FX)にF35(米ロッキード・マーチン社)が決定したことについて、野党・自民党の石破茂元防衛相は本紙のインタビューに「極めて異様な選定というほかない。予算委員会で追及の目玉にする」と政府を批判した。
石破氏は、防衛省で2007年にFX選定が始まった当時の防衛相。「(今回候補になった欧州機の)ユーロファイターを『当て馬』にせず、真剣に選定するよう指示したが、今回ははじめから米国製ありきだった。背景に普天間飛行場問題の迷走があり、米国に配慮したのだろう」と述べ、公正な選定ではなかったと指摘した。
F35の特徴について「(レーダーに映りにくい)ステルス機といってもF35は対地攻撃が専門で、日本に必要な防空戦闘機ではない。国内生産が制限されるF35の選定により、戦闘機の製造基盤も維持できない。しかも開発の遅れから納期遅れは確実。なぜF35なのか疑問だらけだ」。
そして「国会で選定した理由をきちんと説明できないなら、閣議決定をやり直すべきだ。自民党が政権党になった場合は当然、選定結果を見直すことになる」と強調した。
防衛省はおよそ十年後、約200機保有するF15戦闘機の後継機選びを迎える。石破氏は「そのころF35が完成していれば、候補として検討できるかもしれない。だが、より問題なのは防衛省が『日本の防空』をどう考えているのか、さっぱり分からないこと。老朽化したRF4E偵察機の後継選びをせず、空白のままにしているのはその証拠だ」と防衛政策を批判した。(2011年12月24日 東京新聞)
時期主力戦闘機 F35とは何か?
F35 ライトニング II(F-35 Lightning II)はアメリカ合衆国の航空機メーカー、ロッキード・マーティンが中心となって開発中の単発単座の多用途性を備えたステルス戦闘機である。開発計画時の名称である統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter)の略称JSFで呼ばれる事も多い。
統合打撃戦闘機(JSF:Joint Strike Fighter)計画に基づいて開発された、第5世代ジェット戦闘機に分類されるステルス機であり、Xプレーンから実用機となった唯一の機体である。
概念実証機のX-35は2000年に初飛行を行い、競作機となったX-32との比較の結果、X-35がJSFに選定される。量産機のF-35は2006年に初飛行し、現在でも開発は継続中である。アメリカ空軍への本機の納入は2011年から開始され、初期作戦能力獲得予定は2017年後半以降となっている。米海兵隊は2018年以降からとされる。
JSFの名の通り、ほぼ同一の機体構造を用いながら、基本型の通常離着陸(CTOL)機であるF-35A、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF-35B、艦載機(CV)型のF-35Cという3つの派生型を製造する野心的なプロジェクトである。1960年代にも似たような運用構想でF-111が開発されているが、F-35はそれと比較しても、機体の小型化技術の進歩やステルス技術を窺わせるものであり、また採用予定国も複数に上る。
アメリカ空軍・海軍・海兵隊、イギリス空軍・海軍などが採用を決定しており、あわせて数千機が製造される見込みであるが、開発の遅延や当初予定より大幅なコスト高などの課題も抱える。2011年5月時点で開発総額は3850億ドル(31兆円)に達している。
開発の経緯・特徴
アメリカのF-16、A-10、F/A-18、AV-8B、およびイギリスのホーカー・シドレー ハリアー、カナダのCF-18などを含む、多種類な戦術航空機を代替する新型機の開発を目的とした「統合打撃戦闘機計画」に基づき、ボーイング社のX-32とロッキード・マーティン社のX-35の2種の概念実証機が開発された。
開発競争の結果、2001年10月26日にX-35が選定された。X-35にはF-35の制式名称が与えられ、現在も開発は継続中である。
F-35B内部の様子F-35は、F-22に似た、ステルス性に優れた菱形翼のすぐ後方に、主翼と似た平面形の全遊動式水平尾翼を持ち、2枚の垂直尾翼はステルス性向上のために外側に傾けられている。主翼付け根前縁から機首先端まで続くチャインは機体の上面と下面を明確に分けており、エアインテーク(インレット)はチャインの下、コックピット後方の左右にある。従来の超音速ジェット機にあったような境界層分離板(boundary layer diverter)が無く、胴体側面の出っ張りによって境界層を押しやる仕組みになっており、ダイバーターレス(diverterless)超音速インレットなどと呼ばれている。
コックピットには前方ヒンジ方式の一体型キャノピーを採用した。これによりアクチュエーターの小型化と重量の軽減が可能となった。合わせて、整備の際のアクセスも容易となった。
電気システムのユニットや整備アクセス関連のユニットを、それぞれ胴体側面に配置した事で少ないアクセスパネルで対応できる。
強力な単発エンジン
リフトファン使用時には機体上下のドアが開いて空気が下方へ噴射される。機体後部のエンジン排気もノズルによって下方へ曲げられる。エンジンの圧縮機で作られた高圧空気の一部も翼の左右に導かれてロールポストで調整され下方へ噴射される。
回転面がずれた3つの筒部を互い違いに回転させることで、真後ろ方向から垂直下方までジェット排気の推力を偏向させるF-35は、その開発に際し各軍の要求の多くを実現しようとしたため、単発戦闘機としては重量級の機体となった。それに見合う様、エンジンも強力なF135を搭載しており、その推力はドライ出力でも125kN、アフターバーナー使用時には191kNにも達する。
その為、F-35は単発機でありながらラファール(M88、ドライ出力:50.04kN×2=100.08kN、A/B出力:75.62kN×2=151.24kN)、ユーロファイター(EJ200、ドライ出力:60kN×2=120kN、A/B出力:89kN×2=178kN)、F/A-18E/F(F414、ドライ出力:62.3kN×2=124.6kN、A/B出力:97.9kN×2=195.8kN)等といった双発機の合計推力に匹敵する大推力を有する事となった。また、GEアビエーションとロールス・ロイスが開発中のF136が、2010年以降互換性を持つとされる。
F-35B型は垂直離着陸を行う方法として、リフトファン方式を採用しているのが特徴である。X-32と同出力のエンジンを使用したと仮定した場合、構造上X-35は、X-32より効率的にエンジン推力を伝達出来るため、離昇速度や燃費に優れる。離昇推力は基本的には、単位時間当りの空気流量×噴出速度から決定されるが、X-35はリフトファンの効果によりX-32と比べて離昇時の空気流量が大きくなるためである。当然、離昇推力が同一の場合は噴出速度が低くて済む。
だが、垂直離着陸時や短距離離着陸時にしか使用しないリフトファンとシャフトは、水平飛行中は不要となり重量と空間が無駄となる。これにより燃料搭載スペースが削られ、STOVL機であるF-35BはF-35A/Cより航続距離が短くなっている。また、構造の複雑化により整備性も悪くなる。また、この高推力エンジンと固定インテイクの取り合わせにより、騒音が大きくなった。(Wikipedia)
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