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 シーラカンスに、魚類と陸上動物両方の遺伝子
 「生きた化石」として知られるシーラカンスの全遺伝情報(ゲノム)の解読に、東工大と東大、国立遺伝学研究所の共同研究グループが成功した。

 シーラカンスのゲノムの量は通常の魚よりはるかに多く、魚類と陸上動物の両方の遺伝子を持っていた。魚類が陸上へ進出した進化の謎を解く手がかりとして注目される。

 研究グループは、アフリカのタンザニアで捕獲された稚魚のゲノムを解析した。その結果、ゲノムを構成する「塩基対」の数は27億あった。マグロやメダカなど平均的な魚類の約3倍あり、人(約30億塩基対)を含めた哺乳類とほぼ同じであることが判明した。また、個体同士の情報伝達に関係する遺伝子群を調べたところ、魚類と陸上動物に特有の遺伝子を両方とも持っていることがわかった。(2011年12月28日  読売新聞)

Latimeria

 今後はシーラカンスと四足動物で共有している様々な遺伝子について機能解析を進め、祖先グループにおける陸上進出の鍵を探るとともに、絶滅危惧種でもあるシーラカンスの遺伝的多様性についても調べていく予定だ。(国立遺伝学研究所)

 シーラカンスの全ゲノム解読完了!
 「生きた化石」といわれる深海魚シーラカンスの全ゲノム塩基配列が、東京工業大学大学院生命理工学研究科、国立遺伝学研究所、東京大学大学院 新領域創成科学研究科の研究者たちによって解読された。

 ゲノムの規模は通常の魚の3倍、ヒトを含めた哺乳類と同等の大きさで、魚類と四足動物の双方に共通するゲノム配列を持つことが明らかになった。シーラカンスの塩基配列をさらに詳しく調べることによって、ひれしか持たない魚類から四つの足を持つ哺乳類など陸上動物への進化過程について重要な情報が得られると研究者たちは期待している。

 タンザニア共和国産シーラカンスの稚魚(参考図1)の鰓、心臓、筋肉からDNA を抽出し、次世代シーケンサーを用いてその塩基配列を大規模に決定した。その結果、ゲノムサイズはおよそ27 億塩基対でヒトを含めた哺乳類とほぼ同等であることがわかった。これまでに配列が決定された魚類ゲノムの中では最大。また、日本独自のプロジェクトとして決定したゲノムの中でも、最大のものとなっている(マグロ、メダカのゲノムサイズ:約8 億塩基対、フグのゲノムサイズ:約4 億塩基対)。このように、シーラカンスのゲノムサイズは平均的な魚類ゲノムの3 倍以上ある。

 平均的な魚類の反復配列の構成を調べると、シーラカンスに特有なものが約2/3 を占めていたが、魚類タイプのものを多く残している傾向が見られた。タンパク質をコードする遺伝子配列を大規模に比較して系統樹を作成したところ、シーラカンスは四足動物に近縁であることを強く支持する結果が得られた(参考図2)。この解析に用いたデータ量は、シーラカンスの進化に関する先行研究と比べて最大であり、もっとも信頼性が高い結果であるといえる。

 また、ゲノム中にタンパク質をコードする遺伝子が2 万個以上みつかり、魚類タイプのものと四足動物タイプのものを合わせもつことがわかった。機能的な面でも、シーラカンスが魚類と四足動物の中間的な特徴をもつことがゲノムレベルで示唆された重要な知見だ。(国立遺伝学研究所)

 シーラカンスとは?
 シーラカンス(英名:Coelacanth)は肉鰭綱シーラカンス亜綱シーラカンス目に属する魚類の総称。またはシーラカンス目ラティメリア科ラティメリア属の現生種で最初に発見された Latimeria chalumnae の和名。

 シーラカンスは、1938年に南アフリカで生きた個体が発見されるまで、6,500万年前に絶滅したと信じられていた。化石として発見されている古代の個体と現在生存している個体がほとんど変わっていないという珍しい特徴を持つ。4つのひれの構造が足に似ており、魚から哺乳類などへの移行段階にある貴重な種として学問的にも関心が高い。

 現生種としては Latimeria chalumnae とLatimeria menadoensis の2種が知られる。 体長1〜2m。深度150〜700mに生息する深海魚である。水温・水圧の変化に弱い。 古生代と中生代のシーラカンスは、浅い海や淡水域に広く分布していたらしい。体型、体長もさまざまなものが知られ、現生のシーラカンスに近い体型のものから、タイのように体高が高く、扁平な体をしたものもいた。また、復元された全長が3mに達する巨大な種も知られている。

 コモロ諸島周辺では『使えない魚』という意味で「ゴンベッサ」と呼ばれていたが、その価値が明らかになり高値で取引されるようになった現在では、「ゴンベッサ」は『幸運を呼ぶ魚』という意味になっている。シーラカンスの肉には、ワックスが入っており、沢山食べると腹を下す。日本の魚類学者である末広恭雄によれば、肉は味が無く、歯ブラシのようで水っぽくてまずいらしい。

 シーラカンスの発見
 1938年12月22日、南アフリカのイーストロンドンの博物館員であるマージョリー・コートニー=ラティマー(Marjorie Courtenay-Latimer、女性)が、南アフリカ南東部のインド洋のカルムナ川河口付近で漁をしていた漁船の獲物の山の中に、見慣れない魚を見つけた。

 どの文献に当たってもその魚の正体が判らなかったラティマーは、知り合いの魚類学者ジェームズ・レナード・ブライアリー・スミス(James Leonard Brierley Smith)にその魚のスケッチを送り、助言を求めた。そのスケッチは簡単に描かれた物であったにもかかわらず、白亜紀末に恐竜とともに絶滅したはずのシーラカンスの特徴がはっきりと描き込まれていた。

 最初の標本は腐敗のため、頭と剥製用の皮膚しか保存することができなかったので、スミスたちは100ポンドの懸賞金を掛けた手配書を配って第2の標本を探し求めた。しかし次の標本が発見されたのは14年後であった。しかも発見されたのは最初の発見地から3,000km近く離れたコモロ諸島のアンジュアン島であった。

 一刻も早く現地に飛ぶため、南アフリカ首相D・F・マランに特別機を仕立ててもらったスミスは、今回は軟組織も保存された現生のシーラカンスに出会えた。その標本には第1背鰭が無かったのでスミスは Latimeria 属とは別属と考え、特別機を出してくれた首相に献名して Malania anjounae と名付けた。

 しかし、後に Malania anjounae の第1背鰭は幼魚時代に事故で失われた物だとわかり、コモロ諸島のシーラカンスも Latimeria chalumnae であるとされた。その後、コモロ諸島周辺で200尾以上が捕獲されているが、南アフリカ沿岸ではほとんど採取されないため、最初の標本はたまたま南アフリカ近海に迷い込んだ物と見られている。

 1997年、インドネシアのスラウェシ島において同じラティメリア属の別種が発見され Latimeria menadoensis と命名された。L. chalumnae と L. menadoensis の形態的差異は鱗表面の色彩のみとされている。最新のDNA分析では、2種の分岐が3千万から4千万年前まで遡ることが示唆されている(Inoue et al. 2005)。

 2006年5月30日(現地時間8:39)には、インドネシアのスラウェシ島沖において、福島県いわき市にあるアクアマリンふくしまのシーラカンス調査隊が生きたインドネシアシーラカンスの撮影に成功している。(出典:Wikipedia)

参考HP Wikipedia シーラカンス 国立遺伝学研究所 生きた化石シーラカンスの全塩基配列を解読

ゴンベッサよ永遠に―幻の化石魚シーラカンス物語
クリエーター情報なし
小学館
立体図鑑ミュージアムモデル インドネシアシーラカンス フィギュア
クリエーター情報なし
カロラータ株式会社

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