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 2011年大晦日
 2011年が終わろうとしている。今年もいろいろなことがあった。何といっても、3月11日の、東日本大震災は、死者・不明者約2万人を出した。三陸沖を震源とする国内観測史上最大のマグニチュード(M)9の地震が発生。岩手、宮城、福島3県の沿岸は、高さ10メートルを超す大津波に襲われ、壊滅的な被害を受けた。 福島第一原発事故で深刻な被害が残ったことや、夏は、37年ぶり電力使用制限令が出て、節電を余儀なくさせられたことが印象にのこっている。 

 良いニュースでは、サッカー「なでしこジャパン」世界一があった。サッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会の決勝が7月17日(現地時間)に行われた。日本代表「なでしこジャパン」は、米国をPK戦の末に下し、初優勝した。 

 また、3月18日、スカイツリー「世界一」634メートルに到達した。東京都墨田区に建設中の東京スカイツリーは、着工から2年8か月を経て、目標の高さ634メートルに到達した。7月24日には地上波テレビのアナログ放送は、終了し、地上デジタル放送(地デジ)に完全移行した。

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 9月3日、台風12号が、四国から中国地方を縦断した。また、9月21日には、15号が静岡県に上陸した。二つの台風で、記録的大雨による被害が相次ぎ、死者・行方不明者は計112人に上った。今年は、大型台風上陸相次ぎ記録的被害が出た。 

 11月27日には、大阪ダブル選、「都構想」で共闘の橋下氏が大阪市長、松井氏が府知事に初当選した。日本でもようやく何かが変わる予感のするニュースであった。

 そして、つい最近の出来事としては、12月19日に北朝鮮の金正日総書記が亡くなるニュースが大きく報道された。ニュースによると死亡は17日だった。これも何かが変わる予感のするニュースだ。ただ、17日と19日、北朝鮮の短距離ミサイル「テポドン」「ノドン」が発射されたことがわかった。米軍の偵察機がつかんだ情報だったが、相変わらず日本のマスコミはほとんど取りあげなかった。この日本のマスコミの報道姿勢に不安を感じた。この国は何かがおかしい。

 こうした世界の中の日本に、相変わらず「こうしたい」という姿勢が感じられない政治不安を抱えながら、2011年が終わる。自然科学の面で、ブログで取りあげた、2011年10大科学ニュースをあげてみたい。

 第10位 地球村、人口70億を突破!貧富の差、温暖化、環境破壊…問題山積み
 世界の人口は、10月31日、70億人を突破した。国連は、10月31日に生まれる世界中のすべての赤ちゃんが70億人目になるとして、その誕生を祝うとともに、国際社会に対し、貧困の広がりなど人口増加に伴う問題に対する取り組みを強化するよう呼びかけた。

 国連によると、世界の人口は急激に増えており、1959年には30億人だったが、僅か半世紀で2倍以上増え、31日、70億人を突破した。そして、今後も増え続け、今世紀中に100億人を超えると予測されている。このうち、最も多いアジアは今世紀半ばには52億人に増えるほか、アフリカは2100年に現在の3倍以上にあたる36億人に達すると予測されている。

 地球は有限だ。人口が増えれば食料、エネルギー、資源、水をみんなで分かち合わねばならない。それだけではない「人はパンのみに生きるにあらず」であるから、まわりの人の役に立つ仕事をどんどん増やし、その成果にもとづいて富も増やしていきたい。そのためには、全人類が協力して知恵を出し合って行かねばならない。そういう地球にしたいものだ。

 第9位 相対性理論が変わる?高速を越える粒子観測!タイムマシンが実現可能に?
 欧州原子核研究機構(CERN)が約1万6000個のニュートリノをイタリアに飛ばしたら、光速より速く到着してしまったという。 これが本当なら「宇宙には光速より速く移動できるものは存在しない」とアルベルト・アインシュタインが1905年に提唱した特殊相対性理論が打ち破られ、物理を塗り替える革命となる。

 アインシュタインの特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっていることになる。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。

 2011年の12月31日の時点で、光速より速い粒子の存在は、まだ確実に証明されたわけではないが、将来、人類が広い宇宙開発していくためには、これまでと違った理論が必要であり、夢のある可能性を感じさせるニュースであった。

 第8位 ノーベル賞候補に東北大・大野教授「スピントロニクス」スピントロニクスの原点スピンとは何か?
 残念ながら、2011年のノーベル賞に日本人は選ばれなかった。しかしロイターによる、2011年ノーベル賞候補として挙げられたのが、東北大学の大野英男教授の研究「スピントロニクス」である。日本では最先端の研究が進んでいる「スピントロニクス」とは何だろう?
 ほとんどの場合、これまでのエレクトロニクスは電子の電荷に基礎をおいていた。つまり「+(もしくは帯電せず)/-」を「0/1」に対応させて情報処理を行っていた。しかし電子にはもう一つ重要な性質、スピンが存在している。やはりスピンにも、「アップ/ダウン」というように二つの状態があるのだが、近年、電子スピンをエレクトロニクスに積極的に取り入れようとする試みが強まってきた。このような新しい分野を、「スピントロニクス(spintronics, spin+electronics)」などと呼んでいる。

 すでに、スピントロニクスを応用した、スピンデバイスとしてGMR素子などがあるが、これはハードディスクの記憶容量を飛躍的に増大させた。さらに、不揮発性の高速メモリ「MRAM」の実用化など、スピントロニクスには、さまざまな可能性がある。 

 第7位 ついに第2の地球発見か?ケプラー22bケプラー、地球サイズの惑星を2個発見!
 「ケプラー」は、NASAが2009年3月6日に打ちあげた、系外惑星探査のための宇宙望遠鏡である。2011年2月、ケプラーは、惑星が前を横切ることによる恒星の光の微妙な変化を観測。1235個の惑星候補を特定し、うち54個は熱すぎず冷たすぎず、液体の水が存在して生命に適していると推定した。特に5個は地球に近い大きさだという。 → ケプラー1235個の系外惑星発見!

 12月5日、NASAは「地球型生命に不可欠な液体の水が存在できる温度の太陽系外の惑星を初めて確認した」と発表した。「第二の地球」を探すケプラー宇宙望遠鏡の観測成果として今年2月に発表された54個の惑星候補の一つ。地上からの望遠鏡などで存在が確かめられた。

 12月20日、NASAが発表した惑星は、ケプラー20eとケプラー20fである。この2つの惑星は、これまで見つかった中で“地球サイズ”と呼べる初めてのものだ。この2惑星、恒星に近く、ハビタブルゾーンにはないので、生物は棲めそうにない。だが今後、地球サイズで、ハビタブルゾーンにある惑星が発見できることが確実になった。科学技術の進歩で、太陽系外にある、地球そっくりの惑星の存在までわかるという、夢のあるニュースだ。

 第6位 COP17京都議定書延長、2020年以降に新枠組み設定
 南アフリカのダーバンで開催されていた気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が終わった。予定の会期を2日間も延長して11日朝、やっと合意にこぎ着けた。京都議定書が定める温室効果ガス削減義務を2013年以降も継続することになった。さらに、2020年には中国と米国を含むすべての国が参加する新たな法的枠組みを始めるとした合意を採択し、閉幕した。

 二酸化炭素(CO2)の排出量が1、2位で、世界の約4割を占める両国が法的枠組みに加わることに同意したのは、地球温暖化対策として大きな成果だ。京都議定書に代わる、新たな枠組みでの温暖化対策については作業部会を創設して協議。2015年までに決定し、2020年の発効を目指す「ダーバン・プラットホーム」を採択した。

 一方日本は、2013年以降、削減は自主的に取り組むことになった。延長される京都議定書の削減義務は、カナダなどと一緒に拒否した。東日本大震災があったこと、米国や中国、インドが参加しなかったというのがその理由だ。今回は、すべての排出国が集う新たな枠組みをつくることが目標だった。

 第5位 古川さん帰還!ISS長期滞在記録165日!
 11月22日、古川聡さん(47)ら3人の宇宙飛行士を乗せたソユーズのカプセル型帰還船が11月22日、カザフスタンの草原に着陸した。約5か月半ぶりの地球の感触に、古川さんは「ずっとエアコンで22~23度だったので、こういう冷たくて新鮮な空気はすばらしいですね」と笑顔で話した。

 また、11月4日には、ロシアで行われた、約1年半、520日間の有人火星探査模擬実験「Mars500」が終了した。帰還した宇宙飛行士たちはモスクワで盛大に迎えられた。6人のクルーは、実際に火星と地球を往復したわけではない。しかし、参加した6人は「これで人類は火星に行ける」と確信したという。

 昨年は火星の探査もすすんだ、探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」が地表に水の流れた跡を発見するなどの成果を上げている。次は生命が存在するかどうかだ。人類が火星に到達する日もそう遠くない。 → 火星に水の流れ

 第4位 「2位じゃだめなの?」のスパコン京が、毎秒1京回の計算速度達成!
 11月2日、理化学研究所と富士通は、共同開発したスーパーコンピューター「京(けい)」が毎秒1京回(京は1兆の1万倍)を超える計算速度を達成したと発表した。今月発表される予定のスパコン計算速度の世界ランキング「TOP500」で、6月の前回発表に続く連覇を目指す。

 毎秒1京回の計算速度をめざして名づけられた「京」は理研計算科学研究機構(神戸市)にあり、102個の中央演算処理装置(CPU)の入った高さ2メートルほどの箱を864台つないである。2006年に開発を開始。2009年の事業仕分けでは、世界一を目指す計画に、仕分け人の蓮舫氏から「2位じゃだめなんでしょうか」と問い詰められた。完成途上の今年6月、672台を使って毎秒約8200兆回を達成し、世界一になった。

 今回は864台すべてを使ったところ、計算速度は毎秒1京510兆回を記録した。長時間安定して使えるのが特長で、今後、ソフトウエアの調整を経て来年6月に完成、11月に運用を始める。先端材料を開発するために10万通りもの原子の組み合わせを計算したり、地震や津波のシミュレーションをしたりするのに使われる。

 第3位 ついに神の粒子発見か?世界はヒッグス粒子の海で満たされていた!
 
物質に質量がある起源とされ、理論的に存在が予言されながらまだ見つかっていない、「ヒッグス粒子」という未知の素粒子について、国際的な研究グループが記者会見を開き、「実験の結果、発見に向けて大きな進展があった」と発表した。現代物理学の大きな謎を解く、歴史的な発見の可能性が高まっている。 

 記者会見は、スイス・ジュネーブ郊外にあるCERN(ヨーロッパ合同原子核研究機関)が、12月13日に開いた。実験は2つの国際的な研究グループが行い、CERNに建設された、1周27キロ(山手線と同じ規模)の、巨大な円形をした加速器という実験装置を使い、光とほぼ同じ速度まで加速した陽子どうしを正面衝突させて、宇宙が誕生した直後のエネルギーの高い状態を再現し、そのときに生じるさまざまな粒子を観測した。

 その結果、ことし10月までの実験で、ヒッグス粒子の可能性がある粒子の存在を示すとみられるデータが、2つのグループともに得られたという。これについて研究グループは、「実験に大きな進展があり、かなり興味をひくヒントが得られた。発見と言うには十分ではないが、この謎を解くのに長い時間がかかるとは思わない」として、来年中には最終的に確認できるとする見通しを示した。

 第2位はやぶさに続け!あかつき金星に再挑戦!3回の軌道修正完了! 
 はやぶさは、昨年6月地球に帰還した。打ち上げ直後、4台のイオンエンジンのうち1台が不安定になり停止。その後も三基の姿勢制御装置のうち二基が故障した。 ようやくたどり着いたイトカワでは着陸後に補助エンジンで燃料漏れ。機体の姿勢が狂って通信が途絶えた。行方不明になった「はやぶさ」の通信は約7週間後に復旧し「奇跡の復活」といわれた。このトラブルのため2007年6月だった帰還予定は3年延びた。

 このピンチも、運用チームが万一に備えて設けていた回線が救った。エンジンは「イオン源」と「中和器」が同時に動くことが必要だ。故障したエンジン二台のなかで、無事だったイオン源と中和器を遠隔操作でつないだところ、一台分の推進力が得られた。満身創痍の体で2010年6月13日帰還した。最後まであきらめない、チームリーダーの川口淳一郎教授とそのなかま達が達成した快挙は全国で感動を呼んだ。

 そして、今年は持ち帰ったサンプルの分析が進み、大部分がイトカワ起源だとわかった。5月26日、北海道大学などが、小惑星イトカワが太陽系の誕生から約600万年以上たった後に誕生した可能性が高いことを報告。微粒子の表面には、クレーター状の微小な穴が複数存在することも判明した。

 一方、一度は金星への軌道を外れた探査機「あかつき」のチームもねばり強い。11月21日、「あかつき」は姿勢制御用エンジンによる3度目の軌道修正噴射を行った。この結果、2015年以降に金星に接近するような軌道に乗ったと見られる。日本人のこの粘り強さ、何かあったときリカバーする科学技術の高さはまだまだ捨てたものではない。

 第1位 東日本大震災発生!M9.0(世界最大級)大津波・福島第1原発緊急事態
 平成23年3月11日14時46分頃に三陸沖で地震が発生した。気象庁によると、マグニチュードは、9.0。場所および深さは、三陸沖(牡鹿半島の東南東、約130km付近)、深さ約24km。プレート境界型の大地震になった。

 今回の地震は大津波が発生した。気象庁は北海道から四国の太平洋沿岸に大津波(高さ3メートル以上)警報、その他の太平洋沿岸の 広い地域に津波警報を発表。気象庁は、最大で10メートル以上の津波を予測し、北海道から徳島県の太平洋沿岸を中心に17地域で大津波警報を発令。

 福島県相馬市で7.3メートル以上、宮城県気仙沼市で6.0メートル、茨城県大洗町で4.2メートル、岩手県釜石市で4.1メートル以上の津波を観測した。このほか、愛知県から沖縄県にかけての19地域では津波警報(2メートル程度)が出された。

 政府は11日夜、東北・関東大地震の影響で自動停止した福島県の東京電力福島第1原発の1,2号機で、外部からの電力供給が失われるなど緊急に対策を講じる必要があるとして、原子力災害対策特別措置法に基づく「原子力緊急事態宣言」を発令した。2000年の同法施行後、発令は初。

 福島県は、2号機から半径2キロ以内の住民約2千人に避難を呼び掛けた。枝野幸男官房長官は同日夜の記者会見で「放射性物質による外部への影響は確認されていないが、原子力災害の拡大防止を図るため応急の対策を実施する必要がある」と述べた。

 その他の出来事
 今年は自然災害が多かった。地震以外にも、新燃岳の300年ぶりのマグマ噴火や、台風12号や15号の来襲があった。自然の前には人類はまだまだ無力だ。また、北極上空に過去最大の「オゾンホール」が出現 した。

 一方、インターネット世界に身近にアクセスするツールは発達している。iPadやiPhonの便利さは使ってみて初めて実感した。これは凄いと感心した。開発者の一人であったスティーブ・ジョブズ氏の死は世界に衝撃を与えた。それほどApple社の製品は群を抜いていた。

 だが、便利なインターネットを悪用する人達もいる。「サイバー攻撃」という言葉が流行語になるほど問題化した。インターネットの世界が、これほど無秩序で、無法化していることにおどかされた。私のブログも、サイバー攻撃を受けたが、対日工作員がこれほど、個人のブログまでチェックしているとは思わなかった。ここは本当に日本なんだろうか。あらゆる面で国を守る意識の少ない日本に危うさを感じる。

 また、嬉しいニュースとしては、小笠原と平泉が世界遺産になった。小笠原の世界自然遺産は白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島県)、知床(北海道)に次いで4カ所目となる。また、岩手県の中尊寺などの寺院や周辺の遺跡からなる「平泉の文化遺産」は、国内の世界文化遺産としては、広島県の原爆ドームなどと合わせ12カ所目になった。

河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヵ月の記録
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