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 爆発が迫る?赤色超巨星
 今年の大河ドラマは「平清盛」だ。清盛は武士として最初に政治権力を握った平氏の棟梁で、後に源氏と争うことになる。今年の大河ドラマは見逃せない。ところで、源氏と平氏、この2つの名がついた星がある。すなわち源氏星、平家星と呼ぶ、この星は何のことをいっているのだろう?

 正解は、オリオン座のリゲルとベテルギウスである。リゲルの白色とベテルギウスの赤色を源氏と平氏の旗色になぞらえた表現に由来したと解釈されている。昔の人は星の色を見分けていたのだ。ベテルギウスはなぜ赤いかというと、星の外側が膨張しすぎたために温度が低くなっているからだ。

 この膨張はベテルギウスの寿命が近いことを意味している。外側が冷えては収縮し、また熱を出し膨張することを繰り返している。イギリスのジョン・ハーシェルは、1836年にベテルギウスが、変光星であることを発見した。大量のガスを放出しながら、脈打つように大きさを変える赤色超巨星・ベテルギウス。

Betelgeuse

 今まさに寿命が尽きて、超新星爆発を起こそうとしている姿だと考えられている。ベテルギウスが爆発すると何が起こるのか?地球から観測される爆発のスペクタクルや、爆発時に発せられる強力なガンマ線の影響などが研究されている。死が迫ったベテルギウスの運命、そして大爆発の地球への影響を最新研究から探ってみよう。

 ベテルギウスとは何か?
 ベテルギウス (Betelgeuse) はオリオン座α星で、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンとで冬の大三角を形作る。ベテルギウスは変光星でもあり、極大期を除いてβ星のリゲルより暗い。また全天で9番目に明るい恒星である。地球からの推定距離は640光年となった。表面の温度は3800℃。太陽の表面温度は6000℃である。ベテルギウスは、地球からの見かけの大きさ(視直径)が2番目に大きい恒星である(1位は太陽)。

 1920年にアルバート・マイケルソンとフランシス・ピーズはウィルソン山天文台の2.5m反射望遠鏡に干渉計を取り付け、その視直径が約0.047秒であることを見出した。これは、400km離れた所に置いた野球ボールと同程度である。

 干渉計によるベテルギウスの直径は太陽の1000倍、およそ14億kmある。これは、ベテルギウスを太陽系の中心に置いたとすると、火星軌道を大きく超え、木星軌道の近くまで達する。そして、変光の度に、直径は1億km増減を繰り返している。

 1970年代にアントニー・ラベイリはスペックル干渉法によって、ベテルギウスの実際の星像を得ることに成功している。また、1995年にはハッブル宇宙望遠鏡により、太陽以外の恒星では初めて(干渉法を用いないという意味で)直接その姿が撮影された。

 ベテルギウスの最新情報
 昨年の暮れ、2011年12月31日NHK放送の科学番組「サイエンスZERO」では、ベテルギウスの最新情報をわかりやすく紹介してくれた。それによると、ベテルギウスは星の寿命を99.9%終えており、いつ爆発してもおかしくない天体だという。果たしてわれわれが生きているうちに、星の最後の姿である「超新星爆発」が身近に見ることができるのであろうか?

 ドイツのマックスプランク研究所の大仲圭一氏は11年前から、恒星の死について研究している。2009年にチリにあるパラナル天文台の望遠鏡、VLT干渉計で、ベテルギウスの観測を行い、その形が球ではなく、コブが飛びだした雪だるまのような形をしていることを発見した。

 国立天文台の渡辺潤一氏はこの理由を、対流が原因だと説明した。対流は温度差がある流体の中で生まれる現象だ。太陽ではこの対流が直径1000kmの大きさであるが、ベテルギウスの対流はその80万倍もあるためかなり巨大な対流になっている。このため、その速度は、数十km/秒にもなり、その力でコブが飛び出したような形になったのではないかと考えられる。

 ベテルギウスの距離640光年は、広い宇宙から考えると、わりと地球に近い恒星。そんなに近い恒星が爆発をして地球に悪影響はないのだろうか?

 米国、ウオッシュバーン大学の宇宙物理学者ブライアン・トーマス教授は、今から約4億4000万年前(古生代・オルドビス期末期)に超新星爆発が起き、そのときに、地球にガンマ線が大量に飛来するガンマ線バーストが起きたと考えている。ガンマ線が直撃すると、オゾン層の35%が破壊され、紫外線が地表に降り注ぐことになる。

 強烈な紫外線のために地表近くの生物は、DNAやタンパク質が破壊され死滅、オゾン層がもとにもどるのに10年はかかり、生物の大量絶滅が起きたと予想している。

 「ガンマ線バーストの直撃を受けたら、地球は大変なことになる!」…だが、これまでの研究で、ガンマ線バーストが直撃するのは、自転軸から2°の範囲に限られている。最近NASAは、ハッブル宇宙望遠鏡を使って、ベテルギウスの自転軸を調べた。その結果、地球は自転軸から20°ずれており、直撃はなさそうなことがわかっている。

 しかし、ガンマ線バースト以外に、どんな影響があるかもわからない。最近の超新星爆発でそのヒントは得られないだろうか?

 超新星爆発の発見と研究の歴史
 人類の超新星爆発の観測記録は2世紀までさかのぼる。中国の歴史書「後漢書」は185年のケンタウルス座の超新星爆発に言及した。日本では鎌倉時代の歌人、藤原定家が1006年におおかみ座の超新星爆発が観察されたことなどを伝え聞いて、日記「明月記」に記した。

 夜空に突然現れ、しばらくすると消えていく様子から「客星」と呼ばれ、昔の人は一種の畏れを感じたに違いない。

 キリスト教的史観に基づく天動説の矛盾を突き崩すきっかけともなった。デンマークの天文学者、ティコが1572年に発見した超新星爆発は、「天空は不変」という当時の西洋の宇宙観に衝撃を与えた。

 彼の詳細な星空の観察記録は弟子のケプラーによって分析され、「惑星は太陽を一つの焦点とする楕円(だえん)軌道を回る」などの惑星3法則が生まれ、天文学の近代化が進んだ。

 ノーベル物理学賞との関係も深い。爆発後の中心部では、規則的な電波信号を出すパルサー(中性子星)という天体ができることがあり、この発見で英国のヒューイッシュ氏が1974年に受賞。

 1987年に小柴昌俊氏が先代のカミオカンデで計測した時には、大マゼラン星雲の中の超新星爆発で、ニュートリノを11個観測した。この成果で2002年ノーベル物理学賞を受賞している。ベテルギウスの場合は、ニュートリノの観測でも大きな成果が期待できる。ベテルギウスの爆発で検出されるニュートリノは推定約2500万個。

 1998年の超新星爆発では、ソール・パールマッター、ブライアン・シュミット、アダム・リースらが、宇宙の膨張が加速していることを発見し、2011年ノーベル物理学賞を受賞した。(産経news 2012.1.5 参照)

 ベテルギウスの超新星爆発シナリオ
 ベテルギウスが爆発したらどうなるのか。東京大数物連携宇宙研究機構の野本憲一特任教授(星の進化論)らの解析では、最初に表面が100万度の高温になり、X線を放つ。肉眼で見える可視光が出てくるのは1時間後で、1万度で青色に輝くという。

 ここから星は膨らみ始め、2時間後に全天で太陽の次に明るい恒星「シリウス」と並ぶ明るさとなり、3時間後には半月の明るさに到達。面積当たりでは半月の1千倍、満月の100倍のギラギラ度だ。この明るさが3カ月ほど続く。オリオン座は冬の星座なので夏に爆発すると日中しか見られないが、昼間でも十分に分かる明るさという。

 色は次第に暖色系へと変わり、3カ月後はオレンジ色から黄色に。その後は温度が下がるにつれて暗くなっていき、450日後には金星と同じマイナス4等星。肉眼で見える限界の6等星になるのは4年後だ。

 銀河では通常、30~50年に1度の割合で超新星爆発が起きる。ベテルギウスに限らず、いつ爆発が起きても不思議ではない。ベテルギウスをめぐっては、「2012年に爆発か」といった科学的根拠の希薄な情報がインターネットなどで広がっている。だが野本教授によると、爆発時期は「100万年以内」としか分かっていない。表面を厚いガスに覆われ、内部の様子が分からないため時期の予測は困難だ。(産経news 2012.1.5 参照)

参考HP Wikipedia ベテルギウス NHKサイエンスZERO 赤色長巨星・ベテルギウス

ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見 (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎
ブラックホールと超新星―恒星の大爆発が謎の天体を生みだす (ニュートンムック Newton別冊)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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