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 複数の受精卵を結合
 6匹の“親”から遺伝情報を受け継いだアカゲザルを3匹誕生させることに、米オレゴン健康科学大のチームが成功し、1月6日までに米科学誌セル電子版に発表した。

 異なる遺伝情報の細胞が混ざった生物は「キメラ」と呼ばれ、マウスでは広くつくられているが、サルでは初めてという。

 チームは、細胞分裂を始めた直後のサルの受精卵(胚)を数種類集めて接合、一つの受精卵が育ったのと同じような状態をつくることに成功。その上で母ザルの子宮に着床させたところ、3匹の子ザルが生まれた。(毎日新聞 2012年1月7日)

Chimera

 同大の立花真仁研究員らは、人工授精で作った複数の胚(受精卵)を凝集させたうえで母胎に戻したところ、健康な子ザル3匹が生まれた。全身が、3~6種類の胚に由来することを確認。本来、別々に生まれる「兄弟」の遺伝子が混じっていることを意味する。うち1匹は、最大6種の胚が混合していることから、日本語で「ロク」と命名した。

 マウスではすでに、胚性幹細胞(ES細胞)からキメラ個体を作ることは一般的。黒い毛のマウスと白い毛のマウスを使ってキメラを作ると、子供は白黒のまだらになる。しかし、サルではこの方法は通用せず、ES細胞より早い段階の「4細胞期」と呼ばれる胚を使う必要があった。(2012年1月6日  読売新聞)

 キメラとは何か?
 最初、サルの4細胞期にある、6匹分の細胞を凝集して、母体に戻したということだから、6匹生まれると思ったら、生まれたのは3匹!あとの3匹分はどうしたの?…よく調べると他の3匹の細胞に混ざっているというのが、今回の結果。生物とはこんな不思議なことが起きる。こうした状態が「キメラ」だ。

 生物学におけるキメラ (chimera) とは、今回のように、同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていることや、そのような状態の個体のことをいう。

 キメラという言葉はもともとギリシャ神話のなかに出てくる怪獣「キマイラ (Χίμαιρα, Chimaira) 」で、体全体がいくつかの種類の動物の体の一部分を融合させたものからできているものの名前である。名前の意味は「牡山羊」である。神話ではテュポーンとエキドナの娘。ライオンの頭と山羊の胴体、蛇の尻尾を持つ。

 現在では、例えば、心臓の弁膜に問題がある場合、それらの代替器官は牛や豚から移植されるが、 それは事実上の「キメラ」の手術である。2003年、上海第二医科大学にて人間の細胞をウサギの胚に注入する実験が行われ、人類史上初の動物と人間のキメラの胚が誕生した。科学者らは許可を得て、そのまま胚が肝細胞に成長するまで実験が続けられたという。

 また2004年には、米ミネソタにて体内に人間の血が流れる豚が誕生した。また更に、今年末にはスタンフォード大学において、人間の脳を持つネズミを誕生させる実験が行われる予定である。このように現在、世界では人間の身体と動物を組み合わせたキメラの誕生が進められているが、研究を進める科学者らによれば、これらの実験は動物をより人間に近い身体にすることで投薬テストなどに役立て、更には肝臓などの移植用パーツを動物の身体の上で育てることを目的としているという。

 念のため付け加えておくと、ごく初歩的な間違いとして雑種がある。雑種というのは、受精卵の核自体が2つの系統や動物種由来の染色体を持つものなので、したがってこの生物個体のすべての細胞の核内に2系統の遺伝子が存在はしているが、すべての細胞は同じ遺伝子セットを持っているため、キメラとは明確に異なる。

 さまざまなキメラ
 植物では、異なる遺伝情報を持つ細胞が縞状に分布するものを区分キメラ、組織層を形成して重なるものを周縁キメラと呼ぶ。それらは成長点細胞の「突然変異」や「接ぎ木」で生じることがある。

 脊椎動物では移植免疫があるため、生体でキメラを作ることはできないとされてきた。しかし最近では、心臓の弁膜に問題がある場合、それらの代替器官を牛や豚から移植したり、人間の細胞をウサギの胚に注入し、ウサギにヒトの肝細胞をつくらせたりする実験が続けられており、これらは、キメラである。

 ヒト型肝臓キメラマウスは肝臓がヒト型に置き換わったマウスである。恒常的に肝障害を起こす免疫不全マウス(ノックアウトマウス)に脾臓からヒト初代肝細胞を移植すると、それが肝臓に定着し徐々にマウス肝臓からヒト肝臓に置き換わる。

 また、1個体が異なった個体由来の血液細胞を同時に持っている状態を血液キメラという。1つ胚に由来しているが異なる遺伝情報を持つ細胞が部分的に入り交じるものをモザイクと呼び、キメラと区別する。モザイクはキメラよりはるかに頻度が高い。

 ヒトキメラもあるが、多くは血液キメラである。双生児の胚はしばしば胎盤における血液供給を共有しているため、血液幹細胞がもう一方の胚へ移動可能で、移動した血液幹細胞が骨髄に定着した場合、持続的に血液細胞を供給するようになり血液キメラが作られる。

 二卵性双生児のペアの8%ほどは血液キメラである。双生児でない場合の血液キメラも知られているが、これは妊娠初期に双生児の一方が死亡し、生存している方に吸収されて血液キメラが生じたと考えられている。

 2つの受精卵が子宮内で融合して1つの胚となった場合に作られる真のヒトキメラは1994年のイギリスで生まれた少年の例など僅かしか知られていない。なお、この少年は体外受精で生まれている。

 骨髄移植キメラは、白血病治療のため、骨髄移植を受けた患者も医学用語でキメラと呼ばれている。骨髄移植は同一の血液型でなくても可能である。血液型が異なるドナーから骨髄移植を受けた場合、元々の造血幹細胞で造られる血液と移植された造血幹細胞で造られる血液型は異なることからそのように呼ばれる。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia キメラ 国立遺伝研究所 2つの異なる遺伝子セットを持つ個体

エピジェネティクス 操られる遺伝子
リチャード・フランシス
ダイヤモンド社
利己的な遺伝子
リチャード・ドーキンス
紀伊國屋書店

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