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 米民間機が宇宙基地へ
 昨年引退したスペースシャトルに代わり、国際宇宙ステーションへの人員や補給物資の輸送を担う米国の商用宇宙船の運用が始まる。2月には、宇宙ベンチャー「スペースX」社の無人機ドラゴンが、民間として初めてステーションに到着予定。米航空宇宙局(NASA)は「ことしは、宇宙輸送の商業化という新時代の幕開けになる」と期待している。

 ドラゴンは人と貨物両用の宇宙船として開発され、アポロ宇宙船に似た全長約3メートルのカプセル型。水や食料など6トン程度の貨物か、7人までの飛行士を乗せられる設計だ。スペースXが開発したロケット「ファルコン9」で打ち上げるが、宇宙船やロケットは再利用し、大幅なコスト削減を目指す。NASAは飛行士を乗せる宇宙船についても、ボーイング社など4社から選定中。スペースXも有力候補で、同社幹部は「2014年には人を乗せて初飛行したい」としている。(産経news 2012.1.18)

 2010年12月8日、無人の状態でドラゴンを地球周回軌道に投入する実験が行われ、ドラゴンは地球を2周して無事に帰還した。これは民間の創造した宇宙船としては初の快挙である。 しかし、2010年にイーロン・マスクCEOは、有人型ドラゴンの計画は現在進行中で完了するのに2~3年かかると示唆した。

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 スペースX社は、スペース・エクスポラレーション・テクノロジース(Space Exploration Technologies Corporation)のことで、ロケット・宇宙船の開発・打ち上げといった宇宙輸送(商業軌道輸送サービス)を業務とするアメリカ合衆国の企業である。2002年にインターネットベンチャー企業PayPalの創設者、イーロン・マスクにより設立された。

 部分的再利用可能な打ち上げロケットファルコン1、ファルコン9、ならびにファルコン9で打ち上げ可能な宇宙船ドラゴンシリーズを開発している。スペースXは、大部分のコンポーネントを自社で開発しており、その中にはマーリン、ケストレル、ドラコといったロケットエンジンも含まれる。

 宇宙へ夢運ぶエレベーター
 人はどこまで高みを目指すのだろう。かつてロケットに乗り、地球から38万キロ離れた月に到達したのは、選び抜かれた3人の宇宙飛行士だった。43年後の今、誰もが気軽に宇宙へ行ける時代の到来が現実味を帯びつつある。全長10万キロの長いケーブルに昇降機を上下させ、地上と宇宙を往来する「宇宙エレベーター」。こうした途方もないアイデアを情熱と技術で実現しようと奮闘する人たちがいる。

 宇宙エレベーターは建設方法が変わっている。高層ビルのように地上から組み上げるのではなく、宇宙空間に浮かぶ人工衛星から地上までケーブルを垂らすという。

 赤道の上空約3万6000キロを地球の自転と同じ速さで回る人工衛星は、止まって見えるため「静止衛星」と呼ばれ、カーナビや衛星通信などに使われている。この高度では、落ちようとする重力と、宇宙に飛び出そうとする遠心力が釣り合っている。

 この衛星から地上へケーブルを垂らすと同時に、上にも同じ長さのケーブルを伸ばす。これに昇降カゴをつければ完成。衛星を中継地点とし、高度10万キロの宇宙まで一気に人間を運ぶ。

 宇宙エレベーターはSF作家のアーサー・C・クラークが1979年に小説で紹介した。10万キロもの長さを維持できる素材は不可能と考えられてきた。鋼鉄など強い材料でも、長くなるにつれてのびたうどんのように途中で切れてしまう。

 だが1991年、飯島澄男・名城大教授が炭素の新素材「カーボンナノチューブ(CNT)」を発見した。軽さはアルミニウムの半分、強さは鋼鉄の数十倍。宇宙エレベーター実現を産学連携で目指す「宇宙エレベーター協会」(東京都港区)の大野修一会長は「CNTを安定的に大量生産できるようになれば、50年以内には実現すると専門家の間では言われている」と話す。

 宇宙エレベーターは、どんな夢をかなえてくれるだろうか。科学技術ジャーナリストの石川憲二さんは「宇宙旅行がぐっと身近になる」と話す。宇宙旅行をした民間人はいるが、ロケットで国際宇宙ステーションに10日前後滞在する費用は2000万ドル(約16億円)以上。訓練が必要な上、爆発の危険も。「宇宙エレベーターなら子どもやお年寄りでも、海外旅行のように宇宙に行けるようになる」(毎日新聞 2012年1月1日)

 宇宙エレベータとは?
 宇宙エレベータは、惑星などの表面から静止軌道以上まで伸びる軌道を持つエレベーターである。宇宙空間への進出手段として構想されているが、現状の技術レベルでは建造が非常に困難であるため、その構想のほとんどは空想であるか、または概念的な物にとどまっている。

 地上から静止軌道以上まで延びる構造物(塔、レール、ケーブルなど)に沿って運搬機が上下することで宇宙と地球の間の物資を輸送できる。動力を直接ケーブル等に伝えることで、噴射剤の反動を利用するロケットよりも安全に、かつ遥かに低コストで宇宙に物資を送ることができる。

 かつては軌道エレベータを建設するために必要な強度を持つ素材が存在しなかったため、軌道エレベータはSF作品などの中で描かれる概念的な存在でしかなかった。その後、理論的には必要な強度を持つものとしてグラファイト・ウィスカーなどが発見された。さらに、20世紀末になってカーボンナノチューブが発見されたことにより、その早期の実現を目指した研究プロジェクトが発足している。

 概念としては、静止軌道上の人工衛星を、重心を静止軌道上に留めたまま地上に達するまで縦長に引き伸ばし、そのケーブルを伝って昇降することで、地上と宇宙空間を往復するのを想像すれば良い。その際、全体の遠心力が重力を上回るように、反対側にもケーブルを伸ばしたり、十分な質量を持つアンカー(いかり)を末端に設ける。ケーブルの全長は約10万kmで、下端(地上)、静止軌道、上端の三ヵ所に発着拠点が設けられる。上端の移動速度はその高度における脱出速度を上回っているため、燃料なしでも地球周回軌道から脱して惑星間空間に飛び出すこともできる。

 ロケットとの比較
 現在、地球上から宇宙空間へ人間や物資を運ぶ手段は化学ロケットしか存在しない。ロケットを宇宙への物資運搬手段として考えた場合、地球の重力に抗して宇宙空間まで移動するのに莫大な燃料を消費する。ロケットは、原理的に本体の重量の大半(およそ90%以上)を燃料が占めるので効率が悪い。また、燃料として非対称ジメチルヒドラジンや塩素を含む固体燃料などを使用するものは、燃料そのものが有害物質であったり、燃焼時に有毒物質を発生したりして、環境を汚染している。爆音や有毒ガスの発生以外にも、信頼性や事故発生時の安全措置の面でも不安がある。

 このため、将来恒常的に大量の物資・人員を輸送することを念頭に置いた場合、経済的で無公害の輸送手段が望まれる。現在、ロケットに代わるさまざまな輸送手段が検討されているが、軌道エレベータはその一つである。

 籠の昇降には電気動力を使い、ロケットのように燃料を運び上げる必要がないため、一度に宇宙空間に運び出す(または宇宙から運び降ろす)荷を大幅に増やすことができる。また、上るときに消費した電力は位置エネルギーとして保存されているので、降りで回生ブレーキを使って位置エネルギーを回収すれば、エネルギーの損失がほとんどなく、運転費用が非常に安くて済む。

 一つの試算によると現行ロケットの場合、1ポンドあたり4~5万ドルなのに対し、軌道エレベータの場合約100ドル(1kg当たり220ドル)となる。電力供給に関しては、昇降機にパラボラアンテナを装備してマイクロ波ないしは遠赤外レーザーの形で送電する方法も考えられている。加えて人工衛星やISS(国際宇宙ステーション)などでも使用されている太陽電池や燃料電池が用いられると予想される。環境への影響や安全面などを考慮して、ケーブルを通じて供給するべきだという意見もあるが、カーボンナノチューブはそれに必要なだけの伝導性を持たず実用的ではない。

 昇降機がケーブルと接触した状態のまま動く場合、その速さは毎時200km程度で、アース・ポートから静止軌道までは約1週間(上端までは更に5日間)かかることになる。特別な訓練を受けた宇宙飛行士でなくとも宇宙に行くことができるが、非常に時間が掛かるため、利用者にストレスを与えないように、旅客用の昇降機には高い居住性を持たせる必要がある。

 リニアモーターなどを使用すればもっと時間を短縮でき、例えば昇りのとき1Gで加速し、中間点からは1Gで減速すると約1時間で静止軌道に到着する(この場合、中間地点での速度は時速64,000kmに達する)ことになるが、現在研究中のプランでは磁気浮上方式は検討対象外になっている。ちなみに、ISSは近地点高度 278 km、遠地点高度 460 kmの範囲の軌道に維持されている。この程度の高度でよければ、毎時200km程度の速度でもごく短時間に到達できる。(Wikipedia)

参考HP Sorae.jp ドラゴン宇宙船 Wikipedia 宇宙エレベーター

宇宙エレベーター-宇宙旅行を可能にする新技術-
クリエーター情報なし
オーム社
新企画は宇宙旅行!
クリエーター情報なし
TAC出版

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