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 マダガスカルで、世界最小のカメレオン発見
 今から約1億6500万年前にアフリカ大陸から分離したマダガスカルには、世界の他の場所では見られない固有種が多く、独自の生態系が息づいている。

 ここでは約6000種の植物が確認されており、そのうち約4000種が樹木、その植生も独特である。とくにバオバブは世界で8種類が確認されているが、そのうち6種類がマダガスカル島だけの固有種である。

 50種類棲息していると報告されているキツネザルは、マダガスカルを代表する「珍獣」であり、現在も毎年のように新種が発見されている。全原猿類のうち3/4がマダガスカル固有種といわれている。

Madagascar Island

 両生類では120種類に及ぶカエルの存在が確認されている。さらに、2009年5月、欧米の研究チームが200種に上る多数の新種を発見したと報じられた。爬虫類、カメレオン科は種数の約半数にもあたる、61種がマダガスカル島固有種だ。鳥類は約200種が確認されており、そのうちの約半数がマダガスカル固有種である。

 今回、見つかったのはカメレオンの四つの新種。うち一つは全長が3センチ未満で、爬虫類全体としても、ヤモリ2種と並び最小の部類に入る。このカメレオンの子供は、体長15ミリ。指先にのる大きさだ。なぜ、これほど小さい生物ができたのだろうか?

 このカメレオンはマダガスカル北部の小さな島に住む。食料が限られ、外敵がいない特殊な環境で動物が小型化する現象は「島嶼(とうしょ)化」と呼ばれており、研究チームは「島嶼化の極端な例ではないか」とみている。体は茶色で、大型のカメレオンと違って大きくは体色を変えられない。(2012年2月16日  読売新聞)

 2段階の島嶼矮化で、極小化
 新種のカメレオン、ブロケシア・ミクラ(Brookesia micra)がこれほど小型化したのは、2段階の島嶼矮化を経たためではないかと研究者は推測する。マダガスカル沿岸のリゾート島ノシ・ベから、別の島ノシ・ハラに移り、そこでさらに小型化したというのだ。
 
 研究者は論文で、「このシナリオだと、マダガスカルという大きな島でまずミニマヒメカメレオン(学名:Brookesia minima)類が進化し、ノシ・ハラという小島が(ミニマヒメカメレオン類の中で)ブロケシア・ミクラに見られるような極端な小型化を促したと考えられる」と述べている。
 
 アフリカ東岸の島国マダガスカルで新種のカメレオンが4種発見された。その中の最小種が、マッチ棒の先程度の大きさしかないブロケシア・ミクラ(Brookesia micra)だ。成体の平均体長は鼻先から尾まで2.9センチで、爬虫類として世界最小の部類に入る。
 
 生物が島の限られた資源で暮らしていると体が小型化する現象を「島嶼矮化(とうしょわいか)」と呼ぶが、この小さな新種カメレオンはその極端な例ではないかと研究者は考えている。
 
 研究を率いたドイツのバイエルン州立動物学博物館のフランク・グラブ(Frank Glaw)氏は、「このような小さな爬虫類が極端に小型化した場合、身体の設計に数々の特殊化が生じていると考えられる。これは今後有望な研究分野だ」と話している。
 
 新種のカメレオンについての研究論文は、オンライン科学誌「PLoS ONE」に2月14日付けで発表された。

 「絶望的で、悲しい」名前の理由
 新種は4種とも小型であるため、生息環境の破壊に非常に弱い。新たに付けられた学名もその弱さを表している。例えば種小名「デスペラータ」はラテン語で「絶望的な」という意味だ。
 
 研究者は論文で、「生息地域は実際ほとんど保護されていない。人間に起因する環境問題が数多く発生し、生息地が深刻なダメージを受け、この種の存続は脅かされている」と書いている。
 
 別の新種の学名、ブロケシア・トリスティス(Brookesia tristis)の「トリスティス」とは、「悲しい」だ。この学名は「分かっている限りで、この種の生息地域全体がすさまじい森林伐採と環境破壊にさらされている事実」を表している。(National Geographic News February 16, 2012)

 マダガスカルでは2009年1月~3月に起きた政変後、未だに政情安定していない。自然保護政策が頓挫し、森の自然破壊が進む事態に陥っている。2010年8月2日、マダガスカルのアツィナナナ雨林はユネスコの危機遺産(危機にさらされている世界遺産)リストに登録された。
 
 非営利団体コンサベーション・インターナショナル(CI)によれば、多様な生物が生息するマダガスカルでは、不安定な政情の下で違法な森林伐採や希少なキツネザルの密猟など様々な環境破壊が進行している。
 
 CIの代表で国際自然保護連合(IUCN)の副議長でもあるラッセル・ミッターマイヤー氏は声明で次のように述べている。「この国の経済発展の先導役だった観光産業まで崩壊し、世界でここにしかいない多くの種が絶滅寸前にまで追い込まれている。ユネスコ危機遺産に登録されたことを機に、国際社会がマダガスカルで起きている悲劇に注目し危機感を共有し、素晴らしい自然遺産の破壊を阻止するための効果ある対策が打たれることを期待する」。

 島嶼化とは何か?
 島嶼化(とうしょか、island rule)は進化生物学、生態学、生物地理学に関する学説の一つ。提唱者の名を取ってフォスターの法則(Foster's rule)とも言う。 島嶼生物学の要点となっている。
 
 生物の個体数は一時的・地域的には増大したり減少したりを繰り返しているが、通常は周辺から個体の流入や流出が起きるために中長期的に見ればほぼ一定に保たれている。しかし物理的に孤立した島では生物の流入や流出が起きないために、より厳しい競争が続いていると考えられる。この説は、島嶼部では利用可能な生息域や資源量が著しく制限されるため、生物が他の地域で見られるよりも巨大化するかあるいは矮小化するという説である。

 大型の動物の場合は、その中でも小さな個体の方が代謝量の減少や性成熟が早いなどの点で島嶼地域では生存と繁殖に有利である。そのため体格が縮小するような選択圧が働くと考えられる。小さな動物では捕食者が少ないことで捕食圧が減り、捕食者の目を逃れるための小さな体を維持する必要がなくなる。そして一部の小型動物は中型動物のニッチへの適応放散が起きるなどが理由として考えられる。まれに、島嶼部では餌の量が少ないため大きく成長できないのだと説明されることがあるが、餌不足による生育不全とは異なる。

 1964年にJ・ブリストル・フォスターによってネイチャー誌に『島嶼における哺乳動物の進化(The evolution of mammals on islands)』として発表され、1978年にはエドワード・オズボーン・ウィルソンらによって拡張された『島嶼生物学の法則(The Theory of Island Biogeography)』が発表された。

 島嶼化の例としては、ウランゲル島で発見されたマンモスがある。他の地域のマンモスの推定体重が平均6トンなのに対して、このマンモスは、2トンしかなかったと考えられ、しかも5000年という短期間で矮小化が起こったと推測される。ヒトについても、インドネシアのフローレス島で発見されたチンパンジー並みの体格しか持たない原人(ホモ・フローレシエンシス、しばしばフローレス原人と呼ばれる)が島嶼化の影響によると考えられる。

 逆に、小型の動物では体格の巨大化が見られる。例えばアカリスは、北米大陸のもので100g程度だが、オーストラリアで220g、マダガスカル島で230g、さらに小さな島では250gを超える物も見つかっている。フローレス島のネズミ(フローレスジャイアントネズミ Papagomys armandvillei)は一般的なドブネズミの2倍の大きさである。

 ただし同じ島でも巨大化した動物と巨大化していない小型動物が共存していることがあり、大型動物と違って小型動物は常に島嶼化の影響を受けるわけではない。他にも象、カバ、ボア、シカ、ヘビ等で観察されている。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia マダガスカル島 National Geographic news 2段階の小型化、新種ミニカメレオン

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