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 インフルエンザ流行も峠を越えたが...
 国立感染症研究所は2月17日、2月6~12日の週に全国約5000の医療機関に報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関あたり40.34人となり、前週の42.62人より、やや減少したと発表した。

 30都府県で患者が減少したが、流行がピークを過ぎたかどうかは、次週以降の動きを見極める必要があるとしている。 推定の患者数は約201万人で、約211万人だった前週より約10万人減った。年代別では5~9歳が約52万人、0~4歳と10~14歳が、ともに約31万人などとなっている。 (2012年2月17日 読売新聞)

 ようやく、今年のインフルエンザの勢いが止まってきた。これで収束してくれればよいが。インフルエンザは、次々と遺伝子変異をするので、新しいタイプのインフルエンザ対策を常に考えて、研究を続けなければならない。

WHO_H5N1
 河岡義裕・東京大学医科学研究所教授らの研究チームと、オランダの研究チームはそれぞれ鳥インフルエンザウイルス「H5N1」に関する最新の研究成果を挙げている。この成果は論文となって、昨年「サイエンス」と「ネイチャー」に掲載されるはずだった。

 しかし、この成果を報告した論文がバイオテロに悪用されることを恐れる米国からの要請に応えた米科学誌「サイエンス」と英科学誌「ネイチャー」から掲載を見送った。この問題の発端は昨年12月、米政府・科学諮問委員会(NSABB)が生物兵器やテロに利用される恐れがあるため論文の一部を削除するように求めたことにあった。

 その論文は、オランダ・エラスムス医療センターと、東京大医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス学)がそれぞれ執筆。H5N1ウイルスの遺伝子がどういう変異をすることで、空気感染しやすくなるかを哺乳類のフェレットを使って突き止めたとされる。世界の医療研究をリードする米国立衛生研究所(NIH)も同日付で「この方針に同調する」との見解を発表した。

 WHO、論文は掲載すべき

 これに対して、世界保健機関(WHO)は2月17日、ジュネーブで開いた専門家会合で、論文を全文公開すべきだとの勧告を全会一致で決めた。
「米国が求める一部非公開の基準はあいまいで、ワクチン開発などにより世界的流行の予防に役立てる方が公益性が高い」と指摘。ただし、ウイルスが研究機関の外に流出しないよう安全管理に一層配慮することや、論文公表前に専門家同士が十分に吟味する必要があるため、公表や研究の自粛は当面延長すべきだとした。WHOはウイルスの管理強化などを話し合うため、加盟国代表も含めた国際会議を6月にも開く。

 この問題を巡っては、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らとオランダの研究チームが、H5N1ウイルスの遺伝子を改変し、哺乳類同士で空気感染しやすくなることを動物実験で突き止め、米英の科学誌に論文を投稿した。これに対して、米科学諮問委員会が、生物テロに悪用されかねないとして、ウイルスの作り方を削除することなどを科学誌に勧告し、掲載は見送られた。世界の研究者は、1月からウイルス研究を自粛している。(毎日新聞 2012年2月18日)

 WHO、一転「インフル論文非公表」

 ところが、2月18日、世界保健機関(WHO)は、強毒性の鳥インフルエンザウイルス「H5N1」に関する2本の研究論文について、全面公開が有益と認めながらも当面は非公表とすべきだと勧告した。

 WHOの勧告は、一定の条件が満たされるまで論文の全面公開は見送るというものになった。会議に参加した米国以外の科学者らが一様に早期の公開の必要性を強調したのに対し、WHOが対米配慮を見せた結果だ。

 会議の終了後、記者会見したケイジ・フクダWHO事務局長補は、論文の全面公開による科学者の情報共有に「圧倒的な支持があった」と明らかにした。感染予防策を強化していく観点から、感染力を増した変異ウイルスを使った研究の継続が欠かせないとの認識でも一致したという。
関係筋によると、参加者の中で、全文掲載に難色を示したのは米政府の代表だった。米国立衛生研究所(NIH)からの出席者が、2論文公開にあたって一部削除を求めた諮問機関「生物安全保障のための科学諮問委員会」(NSABB)の見解を支持する立場は不変だと強調したという。

 WHOが、米政府代表の主張を取り入れて、当面の論文非公開を決めたのは、最大の拠出国を重視したためといえる。(2012年2月19日 読売新聞)

 バイオテロの現実

 インフルエンザを使った「バイオテロ」の話はよく聞く。実際にこれまで起きたことがあったのだろうか?バイオテロとは何だろうか?

 ヒトに害を及ぼす病原体(ウイルス、細菌、真菌等)及びその産生する毒素等(以下病原体等)を用い、無差別に大量のヒトを殺傷しようとする行為をバイオテロという。病原体等を一般的に“生物剤”ともいう。これが国あるいは軍のレベルで開発され用いられる場合“生物兵器”という。小さなテロは病原体さえあればいかようにでも起こしうること、また実施者は前もって薬剤やワクチンにより防禦しうる点でいわゆるNBCテロといわれる(N: Nuclear核、C: Chemical化学剤)のうちのNやCと大きく異なる。

 病原体等をどのような媒体にのせて健康人を殺傷に至らしめるかは病原体の特徴等により、エーロゾルであったり食品や水、あるいは昆虫であったりする。

 2001年9月11日の航空機によるテロ(大惨事)(米国ニューヨーク)は戦争状態でない状況下での発生であり、続いて米国フロリダ、ニューヨーク、ワシントンDCでの炭疽菌事件はさらに世界の耳目を集め、現実感のある脅威を全世界に植え付ける点で大きな効果(テロリストにとっては大成功)があったといえよう。

 第二次世界大戦後1960年代?1970年代初にかけていわゆる“生物化学兵器”開発競争が行われてきたのも事実である。いわゆる“テロ”(バイオテロを含む)が国と国の闘いでなく、一般市民の間でいとも簡単に実施され、全世界の注目を集めたのが我が国の1995年の地下鉄サリン事件である。これはまさに全世界を“震撼”させた。オカルトグループ(オーム)はさらにボツリヌス毒素、炭疽菌をばらまいたが、幸い病人は発生しなかった。

 これら一連の事件は、全世界から“日本の危機管理”が全くなっていないという烙印を押されるのに十分であった。米国政府はこれらのことがいわゆる“市民”によって簡単になされた点を重視し、米国厚生省のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)にバイオテロ対策部門が1998年に設置された。それと同時に“生物兵器、バイオテロ”という語が「市民権」(従来は軍等における秘密事項)を得て、極めて広く使用され、対応についても“一般的”な状況の中に入りつつある。大量高速輸送等により世界の一カ所での発生は直ちに全世界への脅威となり、感染症の拡大が危惧されることからである。(バイオテロへの対応)

参考HP Wikipedia H5N1 国立感染症研究所 バイオテロへの対応

バイオテロ!―細菌兵器の恐怖が迫る
クリエーター情報なし
朝日新聞社
忍び寄るバイオテロ (NHKブックス)
クリエーター情報なし
日本放送出版協会
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