3万年前の花が咲いた!

 ロシアの研究チームが約3万2000年前の種子から花を咲かせることに成功した。これまで発芽、生育に成功した種子は2000年前が最古(日本の古代ハス)で、その記録が3万年近く更新された。

 開花したのはシベリア原産でナデシコ科のスガワラビランジ(学名:Silene stenophylla)。研究チームがシベリア北東部を流れるコリマ川沿岸部で種子を発見した。氷河期に、リスが食料貯蔵のために隠し埋めたと見られており、放射性炭素年代測定の結果およそ3万2000年前の種子と判明した。

 永久凍土の地下38メートル付近から出土し、周囲の地層からはマンモスやバイソン、ケブカサイ(毛サイ)などの骨も見つかっている。発見された複数の種子は、成熟と未成熟が混在していたが、成熟した種子はいずれも損傷を受けていた。貯蔵中に発芽しないようリスが傷付けたと見られている。一方、一部の未成熟の種子は発芽能力を持っていた。



 研究チームは、凍結した種子から組織を抽出。複数の容器で見事発芽させることに成功した。その後も順調な生育経過をたどり、花が咲いた1年後には新たな種子を実らせた。また、発芽した植物はすべて同じスガワラビランジだったが、現生種とは花の形状が異なっていたという。

 アメリカ、ミズーリ植物園の名誉園長で植物学者のピーター・レイブン氏は、「手順に誤りは見当たらない。実にすばらしい成果だと思う。今後もこのような発見が報告されることを期待している」と語る。


 種子の保存技術に進歩をもたらす可能性

 今回の研究は、永久凍土が“古生物遺伝子の貯蔵庫”の役割を果たしている可能性を示唆していると専門家は指摘する。つまり、永久凍土を探せば、復活できる絶滅種が見つかるかも知れないのだ。イスラエルのアラバ環境学研究所(Arava Institute for Environmental Studies)の植物学者エレイン・ソロウェイ(Elaine Solowey)氏は、「古代人が栽培していた既に絶滅した植物や、かつての生態系で重要な地位を占めていた植物は、今でも有用と考えても不思議はない」と話す。

 ソロウェイ氏は2000年前のヤシをよみがえらせた経験があり、ナデシコが塗り替えるまで最古の記録を持っていた。しかし同氏が手がけたヤシの種子は、永久凍土とは対照的な冷涼で乾燥した地域から発見されている。今回の成果についてソロウェイ氏は、摂氏マイナス7度で長期間凍結していた種子を発芽させた点に大きな意義があると述べる。ノルウェー領スピッツベルゲン島にあるスバールバル世界種子貯蔵庫をはじめ、世界中の種子保存プロジェクトはいずれも種子の凍結保存を前提としているからだ。

 「凍結保存された種子を解凍し発芽させる方法について新たな知見が得られれば、非常に価値のあることだと思う」とソロウェイ氏は語る。またレイブン氏は3万2000年もの間、種子が発芽可能な状態で保存された条件を特定し、人為的に再現できれば、種子の長期保存にも役立つと話している。

 今回の研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌オンライン版で2月21日に掲載された。(Dave Mosher for National Geographic News February 22, 2012)


 ツタンカーメンのエンドウ豆

 昔の種子が発芽したという記録は他にもある。有名なのは、エジプトのツタンカーメンの墓から、エンドウ豆が発見されている。3000年の年を経て発芽させる事が出来たとされるが、豆の種子がそれほどの長期間、生存することは植物学上考えにくく、また、豆自体もエジプトで自生している野生種であり、「直系の種」と言われても判別はつかない。

 現在多く出回り、販売もされている”ツタンカーメン”のエンドウ豆については、半ば宣伝文句と思ったほうがよい。なお、ツタンカーメン王墓が発掘された際に出土したもののリストの中に「エンドウ豆」という項目は存在しない。死後の備えとして入れられた食物の中に穀物の入った壷があり、その中に豆類が混じっていた。(Wikipedia)


 千葉市の古代ハス

 もう一つは日本の「古代ハス」がある。このハスは、1951年(昭和26年)、千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区朝日ケ丘町)にある東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)の落合遺跡で発掘された、今から2000年以上前の古代のハスの実から発芽・開花したハスである。

 遺跡から発掘されたハスの種子3粒を、植物学者でハスの権威者でもある大賀一郎博士(当時・関東学院大学非常勤講師)が、東京都府中市の自宅で発芽を試みた。2粒は失敗に終わったが、1粒は育ち、翌年の1952年(昭和27年)7月18日にピンク色の大輪の花を咲かせた。

 このニュースは国内外に報道され、同年11月17日付米国ライフ誌に「世界最古の花・生命の復活」として掲載され、博士の姓を採って「大賀ハス」と命名された。また大賀博士は、年代を明確にするため、ハスの実の上方層で発掘された丸木舟のカヤの木の破片をシカゴ大学原子核研究所へ送り年代測定を依頼した。

 シカゴ大学のリピー博士らによって放射性炭素年代測定が行われ、ハスの実は今から2000年前の弥生時代以前のものであると推定された。自宅近く、博士の銅像が建てられている府中市郷土の森公園修景池には、この二千年ハスが育てられており、鑑賞会が催されている。(Wikipedia)


参考HP  Wikipedia 大賀ハス ツタンカーメン National Geographic news 3万年前のナデシコ種から開花に成功



ツタンカーメンの謎 (講談社現代新書 (749))
クリエーター情報なし
講談社
古代蓮―大賀ハスと行田ハス
クリエーター情報なし
新風社

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