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 天然ガスで温暖化は止まらない
 福島原発事故の影響でエネルギー不足が続いている。石油、石炭に代わるクリーンなエネルギーとして近年天然ガスが注目されている。しかし、最新の研究によると、世界中の石炭火力発電所を天然ガス火力に切り替えたとしても、地球温暖化の進行を先延ばしする効果は今世紀中ほとんど見込めないという。

 そればかりか、これから完全にCO2を排出しない電力に切り替えたとしても、今後100年間の温度上昇を食い止めることはできないという。石炭から天然ガスに切り替えた場合は、100年後の温度上昇を20%程度抑えるだけにとどまる。ただし、再生可能エネルギーや原子力では60~80%ほどの抑制効果が予想されている。(National Geographic news March 15, 2012)

 ただ、天然ガスならば、石油、石炭より大気汚染は抑えられるだろう。原子力がいけないとなると、再生可能エネルギーだが、すぐに需要に追いつける可能性はない。ならば、天然ガスや原子力を使いながら、再生可能エネルギーの量を増やしていくしかない。


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 今回、再生可能エネルギーの1つ、潮力発電の実証実験が、関門海峡で行われることになった。北九州市などが中心になって、関門海峡の速い潮の流れを活用して発電する、潮流発電の可能性を探る。実験機は3月17日、北九州市門司区の海底に設置された。

 実験機の高さは約7メートル。海中の水車が潮流を受けて回転し、海上の発電機で発電する。1日平均で一般家庭が使う半分程度の電気を生み出すと見込む。

 今月中に稼働を始め、近くの赤れんが倉庫のライトアップにも使われる予定だ。自然エネルギーに注目が集まる中、先進的な実験が未来を照らすか。(asahi.com 2012年3月19日)

 潮力発電・潮流発電とは?
 潮力発電、(潮汐発電)は、潮汐により海水が移動するエネルギーを電力に変える発電方式である。水力発電・風力発電・太陽電池などとともに、自然エネルギーを資源として利用する技術であり、発電の際に二酸化炭素の排出がないなどという点で、環境への負荷が小さい。海流発電(潮流発電)とともに、海水を利用する発電で、「海流」を「海水の流れ」とすれば、潮汐流を利用する場合は海流発電の一種である。

 地球の自転や月の公転に伴って海水には潮汐力が働く。そのため時刻によって潮位が変動する。入り口の広い湾内では干満の差が大きい。そのため、満潮時には堰を開放し、湾内に海水を導入し、干潮時に堰を閉鎖し、海水をタービンに導入する。このタービンの回転力を利用して、発電機を回す。低落差の水力発電の一種ともいえる。

 メリットは、燃料が不要で有害な排出部のないこと、水の密度が充分大きいためエネルギーの集中が可能なこと、潮汐現象を利用しているため、風力発電とは異なり出力の正確な予測による電力供給が行える。デメリットは貝などの付着の除去や機材の塩害対策等に維持管理費がかかる一方で耐用年数が5~10年と短いためにコストパフォーマンスが悪いこと、漁業権や航路等から様々な制約から設置場所が制限されることなどがある。(Wikipedia)

 潮流発電の現状  
 日本においては、鳴門海峡、津軽海峡、関門海峡など潮流の激しい地形で水平型水車を回す研究が進められており、北九州市と九州工業大学は、関門海峡で2011年度から実証実験を開始し、大間崎などでも検討されている。しかし、たとえ干満の差の大きいところであっても、大規模な潮汐発電所の設置に適した箇所が無いことから、それほど普及していない。

 また、川崎重工は再生可能エネルギーの一つとして期待される海洋エネルギーを利用した「潮流発電システム」の開発を始めている。沖縄や英国で実証実験を行う。

 潮流発電は、海底に設置した水車で海流を受け、タービンを回して発電する仕組み。気象や天候の影響が少なく、安定して発電する再生可能エネルギーとして世界的に注目されている。

 川崎重工は、沖縄電力などの協力を受け、沖縄海域で出力数百キロワット規模の設備を設置し、実験を行う。また英スコットランドでも、出力1メガワットの設備で実験を行う計画だ。(川崎重工プレス 2011年10月19日)

 フランス潮力発電所は、1966年11月26日に完成した世界で最初の潮力発電所である。フランスのサン・マロ郊外のランス川河口を幅700mにわたって堰止め、建設された。最大定格出力は24万kW、年間発電量は6億kWh。この付近は潮位差が大きく最大潮位差が13.5m、平均潮位差8.5mにもおよぶ。なお、建設により湾内の海水の交換頻度が減少するため、生態系のバランスが崩れた時期があったようである。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia 潮流発電 National Geograhic news 天然ガス転換は、温暖化に不十分?

再生可能エネルギーがわかる (日経文庫)
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社
日本はエネルギー大国だ―海流発電・実験成功
クリエーター情報なし
ダイナミックセラーズ出版

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