春の嵐に負けず梅・桜満開
 水戸の偕楽園の梅が、満開見頃を迎えた。4月3日夜の暴風に耐え、散る花は少なかった。茨城県内は4日、前日に続いて強い風が吹いたが、天気が回復し各地で青空が広がった。水戸観光協会によると、「梅の花は意外と丈夫で、風で散ることは少ない」という。昨年は東日本大震災で閉園し、満開の発表はなかった。今年は、昨年より1カ月近く遅い満開となった。(産経news 2012.4.4)

 一方、東京管区気象台は6日、東京で桜(ソメイヨシノ)が満開になったと発表した。東京では、気象庁が定点観測している靖国神社の標本木でつぼみの8割以上が咲き、満開の基準を満たしたのを確認。桜の名所・上野公園でも3日に吹き荒れた暴風に負けず、見ごろを迎えた。(毎日新聞 2012年04月06日)

 ようやく、暖かくなって春を実感することができるようになった。冬が長かったせいか、梅の花と桜の花の両方が楽しめる、いつもと違った春になった。ところが、東京都青梅市の吉野梅郷では、梅の花が楽しめない状況が発生している。現在梅の木が、プラムポックスウイルスにやられて1万本を伐採しなければならないという状況になっている。

 このウイルスは、アブラムシが媒体になって広がる。潜伏期間は3年。感染したら生半可な治療は効き目がなく、(根こそぎ)伐採して処理するしかないのだそうだ。青梅市の梅に感染が初めて確認されたのは3年前のこと。国は感染を防ぐために「木の伐採」「アブラムシの防除」「苗木などの持ち出し禁止」などの対策をとっている。

 アメリカでは、かつてこの病気がはびこりましたが、すべて伐採し、100%駆除し「撲滅宣言」をしました。だから、青梅市もできるだけ速く伐採しなければならない。そうすれば、他の梅の名所、他の梅の産地に飛び火しないで、ここだけの被害ですむ。

 ところが、そう簡単にはいかない。青梅市の観光課によると、青梅の梅は、うめぼしなどの農産物収入が1億円、観光収入9億円と、圧倒的に観光が市の収入源になっている。果実にならなくてもいいから梅の木の伐採だけは何とか避けたい。すべての木を切って、稚木を植えて鑑賞にたえるまで大きくするには20年もかかりそう。

 ウイルス撲滅には全伐採しかないが、梅の木で生活している人は多種多様。せっかくここまで有名になった観光事業をやすやす消してしまうのはつらいところ。実は採れなくてよいから花だけでも残したいという人もいる。難しい問題が発生している。

 ウイルス感染で、1万本伐採!
 2012年3月18日TBS放送の「噂の!東京マガジン」では、今、青梅市の梅林を襲っている、プラムポックスウイルス(PPV)について特集していた。

 プラムポックスウイルス(PPV)とは何か?聞きなれない植物の病気である。PPVは梅、桃、アンズ、スモモなどサクラ属の果樹類に感染するウイルス。感染すると発育不良や葉、実に斑点のような模様ができ、商品価値も下がる。ただし食べても健康に影響はない。

 ブルガリヤで1915年確認され、その後、欧州、アメリカ、中国など各国でも発生。世界の被害額は過去30年で1兆4000億円を超え、国際的に警戒されている病気という。

 青梅市の梅に感染が初めて確認されたのは3年前のこと。国は感染を防ぐために「木の伐採」「アブラムシの防除」「苗木などの持ち出し禁止」などの対策をとってきた。しかし、伐採する際の基準が「梅畑」と「公園、庭木」で違うため、梅の生産農家から不満の声があがっている。

 伐採の基準は、梅畑は「感染樹が1割以上で全て伐採」「一割未満で感染樹及び隣接している木の伐採」。ところが公園、庭木などの場合「感染樹のみの伐採」という“ダブルスタンダード”。

 新たに苗木を植えるのは3年後という決まりになっているが、新たに感染樹が確認された場合、そこから3年間は新しく苗木を植えられない。梅の生産農家は早期解決を目指すには「梅畑と同じ基準に統一すべき」「一斉に伐採すべき」という。観光業関係者は「梅の里から梅が消えたら大打撃となる。現行の基準がよい」といい、意見が分かれている。梅の実=生産 梅の花=観光(観賞)という構図。どちらが良いかは難しい問題だ。国は3年後の平成27年3月を根絶の目標として、現行の伐採基準で当面は進めるという。

 梅の苗がいつから植えられるようになるかは誰にも分かりませんが、梅の里がはやく元のように戻ることを心から願いたい。(2012年3月18日放送 噂の!東京マガジン)


 農林水産省の対応
 本年4月1日、東京都青梅市のウメに、これまで我が国で報告のなかった、プラムポックスウイルス注)による植物の病気の発生が確認されました。
このウイルスは、アブラムシにより媒介されることから、農林水産省と東京都は、この病気が発生した園地では、ウイルスを媒介する可能性のあるアブラムシの防除を徹底する等、まん延防止策を講じています。

 農林水産省と東京都は、ウメの新葉が出始める4月中旬以降から青梅市におけるこの病気の発生範囲を特定するための調査を行います。併せて、全国での発生状況を把握するための調査を実施します。

 なお、このウイルスは果実からウメ、モモ等の植物へ感染することはありません。また、このウイルスは植物に感染するものであり、ヒトに感染しませんので、果実を食べても健康に影響はありません。


1.経緯
(1)本年3月18日、東京都から農林水産省に、「東京大学植物病院が、青梅市で栽培され、葉の輪紋や花弁の斑入り症状が見られたウメが、プラムポックスウイルス(資料1)に感染しているものと診断した」と、報告がありました。このウイルスは、モモやスモモ等の果樹類に感染するものですが、我が国ではこれまで検出されたことがありませんでした。
(2)農林水産省は、上記の連絡を受け、3月20日及び24日に東京都と共同で、このウイルスが検出された樹が植えられている園地及びその周辺の園地において緊急調査を行い、花弁にこのウイルスによる病徴が見られる枝を中心に試料を採取しました。
(3)試料についてエライザ法及びPCR法により検定を行った結果、4月1日、これらの園地の花弁が、このウイルスに感染していることを確認しました。

2.対応
(1)この病気は、アブラムシがウイルスを媒介することにより広がることが科学論文で報告されています。そのため農林水産省はただちに東京都に対して、この病気の発生が確認された園地におけるアブラムシの防除の徹底等、まん延防止策を実施するよう要請しました。
(2)この病気のまん延を効果的に防止するためには、発生範囲を特定し病気の封じ込めを行うことが重要です。農林水産省と東京都は青梅市におけるこの病気の発生範囲を特定するための調査を、病徴の確認が可能な新葉が出始める4月中旬以降に実施します。
(3)また、他の地域におけるこの病気の発生の有無を知るため、(2)の調査と並行して、ウメ、モモ、スモモ等の生産地を中心に全国的な発生調査を実施します。
(4)以上の調査結果に基づき、学識経験者の意見を聞きつつ、今後の防除対策を進めることとしています。

3.生産者及び消費者の方へ
 この病気は、アブラムシがウイルスを媒介することにより広がることが科学論文で報告されています。ウメ、モモ、スモモ等の栽培に当たっては、従前どおり適期・適切なアブラムシ防除を心がけてください。
万一、葉や実などに見慣れない症状が見つかった場合には、速やかに最寄りの植物防疫所に連絡してください。(平成21年4月8日 農林水産省)


 プラム・ボックス・ウイルスとは?
 プラム・ポックス・ウイルス(Plum pox virus、PPV)とは、サクラ属に感染する植物ウイルスである。果樹が感染すると、葉や花弁や外果皮に斑紋が現れるとともに早期落果により収穫量が減る。感染した果実を食用としても人体に害はないが、商品価値はほぼゼロとなるため、果樹農家にとっては減収になるうえ、木を伐採せざるをえず、経営上の大きな脅威となる。

 1915年にブルガリアで発見された以降、世界各地で発生が確認されるようになった。日本では、2009年に初めて東京都青梅市の吉野梅郷で感染を確認した。ウメで感染が確認されたのは世界初。

 感染する種は、サクラ属のモモ、スモモ、ウメ、ネクタリン、アンズなど。媒介となる虫は、アブラムシが媒介するほか、感染した苗木などから広がる。果実からは感染しない。

 これまでの被害状況を見ると。世界の被害額は、過去30年で1兆4000億円を超える。日本では、感染が最初に見つかった青梅市周辺で被害が大きい。他地域のウイルスにもDNAの一致がみられ、全て青梅市が感染源と考えられている。

 治療法や予防薬は2012年3月18日現在見つかっておらず、感染拡大防止策しかない。 アブラムシの駆除、感染樹や周辺の樹木の伐採、感染地域の苗木の移植規制などが行われている。伐採後は潜伏期間を考慮し、一定期間再植樹しない。徹底した封じ込めにより、既に根絶宣言した国もある。

 これまで感染が発見された、主な国は次の通り。ヨーロッパ:ブルガリア、オランダ、ベルギー、フランス、イタリア。アジア:中華人民共和国、イラン、インド、トルコ、日本。アフリカ大陸のエジプト。北アメリカ:アメリカ合衆国、カナダ。南アメリカ:アルゼンチン、チリ。

 日本政府の対策については、果樹園は、感染した樹の割合が10%以上なら全て伐採、10%未満なら感染樹及び隣接している木の伐採。だが、公園や個人の庭木では、観光への影響を考慮し、感染樹のみ伐採する。このようなダブルスタンダートの分け隔ては他の国では無い。 伐採は2012年3月までで1万本に及ぶ。伐採後3年間はウメの植樹禁止。 青梅市を中心とする感染地域からの苗木の持ち出し禁止。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia プラムボックスウイルス TBS噂の東京マガジン 日本屈指の梅の里 青梅がピンチ!  農林水産省 プラムボックスウイルスへの対応について

植物ウイルス―病原ウイルスの性状
山下 修一
悠書館
植物ウイルス学
池上 正人,奥野 哲郎,夏秋 啓子,難波 成任,上田 一郎
朝倉書店

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